腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:186

リスク低減乳房切除術、実施割合の高い女性は?/日本乳癌学会

 わが国では2020年4月、乳がんもしくは卵巣がんの既往歴のある遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)女性に対するリスク低減乳房切除術(RRM)とリスク低減卵巣卵管摘出術(RRSO)が保険適用された。今回、保険適用となる前のJOHBOCデータを用いて、HBOC女性のRRM実施状況を分析した結果について、国立病院機構四国がんセンターの大住 省三氏が第29回日本乳癌学会学術総会で報告した。子供がいる女性、乳房のサーベイランスを実施した女性、RRSOを実施した女性では、RRM実施割合が高かったという。

頭頸部扁平上皮がん1次治療、ニボルマブ+イピリムマブの第III相試験の結果(CheckMate-651)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年7月16日、プラチナ療法に適格な再発または転移のある頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)患者の1次治療としてニボルマブ(製品名:オプジーボ)とイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)の併用療法をEXTREMEレジメン(セツキシマブ+シスプラチン/カルボプラチン+フルオロウラシルと)と比較した第III相CheckMate-651試験の最新情報を発表した。  オプジーボとヤーボイの併用療法は、のPD-L1陽性(CPS20以上)患者における全生存期間で明確かつ肯定的な改善傾向を示したが、主要評価項目は達成できなかった。

PTEN欠損mCRPC、ipatasertib+アビラテロンでPFS延長/Lancet

 未治療で無症候性/軽度症候性の転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)へのipatasertib+アビラテロン併用投与は、アビラテロン単独投与に比べ、PTEN欠損を有する患者において無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが示された。ただしITT集団における有意差は認められなかった。安全性プロファイルは既知のものだったという。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のChristopher Sweeney氏らが、1,100例超を対象に行った第III相多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を報告した。mCRPCでは、PI3K/AKTおよびアンドロゲン受容体経路の調節不全が認められ、PTEN欠損を有する腫瘍ではAKTシグナル伝達の過剰な活性が知られている。こうしたことから研究グループは、AKT阻害薬ipatasertib+アビラテロンによる二重の経路阻害はアビラテロン単独よりも効果が大きい可能性があるとして検討を行った。Lancet誌2021年7月10日号掲載の報告。

NSCLCの4種のドライバー変異を判定するリアルタイムPCRが国内承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2021年6月25日、複数の抗悪性腫瘍薬のコンパニオン診断薬として「AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子 PCR パネル」の国内製造販売承認を取得したと発表。  同製品は、非小細胞肺がんの4種のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)を網羅するリアルタイムPCR法を原理としたコンパニオン診断薬である。  EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E変異を1回の測定で同時に検出し、9種の抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助が可能。  リアルタイムPCR法を用いた複数遺伝子を網羅するコンパニオン診断薬が承認されたのは本邦初であり、その感度の高さや短いターンアラウンドタイム(TAT)、手軽さなどにより、早期治療戦略の立案やNSCLC患者への治療機会拡大に貢献することが期待されている。

ペミガチニブ、FGFR2変異胆道がんに期待/インサイト

 インサイト・バイオサイエンンシズ・ジャパンは2021年7月15日、「胆道がんにおけるがんゲノム診断に基づく分子標的治療薬がもたらす新しい未来」と題したWebメディアセミナーを開催。日本胆道学会理事長の東北大学大学院 消化器外科学分野教授 海野倫明氏らが、胆道がん治療と本年発売されたFGFR2阻害薬ペミガチニブ(製品名:ペマジール)について紹介した。  胆道がんには3つの病型があるが、いずれも予後不良である。なかでも肝内胆管がんは、黄疸などの症状が現れにくく、初回診断時すでに進行した病期であることが多い。そのため、生存期間中央値13.5ヵ月と3病態のなかで、もっとも予後不良である。肝内胆管がんの罹患数は(肝臓がんの一部として集計される)、肝臓がんの6%とされる。

HER2低発現乳がんの臨床的特徴/Lancet Oncol

 抗HER2抗体薬物複合体の開発により、HER2低発現の患者を含む乳がん患者に新たな治療オプションがもたらされている。この新たなサブタイプの臨床的・分子生物学的特徴は、HER2陰性乳がん患者とどのように異なるのか。ドイツ・University Hospital of Giessen and MarburgのCarsten Denkert氏らが、術前化学療法への反応や予後を含む、HER2低発現症例の特徴をHER2陰性乳がん症例と比較し、Lancet Oncology誌オンライン版2021年7月9日号に報告した。

アテゾリズマブのNSCLCアジュバント、適応申請へ/中外

 中外製薬は、2021年7月6日、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)の非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助療法に対する製造販売承認申請を厚生労働省に行った。  今回の承認申請は、NSCLCの術後補助療法に対する第III相臨床試験IMpower010の成績に基づいている。同試験では、PD-L1発現(TPS)1%以上のII期~IIIA期の手術および化学療法後のNSCLCにおいて、best supportive careと比較して、テセントリク治療が無病生存期間を34%低下させた(ハザード比:0.66、95%信頼区間:0.50~0.88)。テセントリクの安全性は、これまでに認められている安全性プロファイルと同様であり、新たな安全性上の懸念は示されなかった。

タゼメトスタット、EZH2変異陽性の濾胞性リンパ腫に国内承認/エーザイ

 エーザイは、2021年6月23日、EZH2阻害薬タゼメトスタット(製品名:タズベリク)について、再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)の効能効果で日本における製造販売承認を取得したと発表。  本承認は、同社が国内で実施した多施設共同非盲検単群臨床第II相試験(206試験)およびEpizyme社が海外で実施した臨床試験の結果などに基づいたもの。  206試験では、前治療後に再発・増悪したEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(FL)患者などが登録された。同試験でのFL17例の独立判定による奏効率(ORR)は76.5%。事前に設定した閾値ORRを統計学的に有意に上回り、主要評価項目を達成した。また、発現率25%以上の有害事象は、味覚異常(52.9%)、上咽頭炎(35.3%)、リンパ球減少症(29.4%)および血中クレアチンホスホキナーゼ増加(29.4%)であった。

化学療法・ニボルマブ(オプジーボ)併用が胃がんと食道がんに対する標準治療となるか(解説:上村直実氏)

今年5月のコメント1382で抗PD-L1阻害薬ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が進行食道がんに対する1次治療に使用される可能性を記述したが、今回、HER2陰性の進行胃がんと食道胃接合部がんに対する1次治療の有用性がLancet誌にて報告された。日本を含む国際共同CheckMate試験の結果、1次治療として化学療法単独群と比較してオプジーボ・化学療法併用群が生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示されている。通常、外科的切除不能な胃がんや食道腺がんに対する化学療法において抗PD-L1阻害薬は複数の化学療法が無効であった場合の3次治療として使用されている。すなわち、国内においてオプジーボは9つのがん種で承認されているが、胃がんや食道がんなどに対する適応は「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行がん」に限定されているのが現状である。