医療一般|page:149

外科手技に着想を得たレシピ集公開/ゲティンゲ

 ゲティンゲは1月11日付のプレスリリースにて、外科手技に着想を得た「The Heart Surgeon's Cookbook―心臓血管外科医のレシピ集―」の公開を発表した。この料理本は心臓血管外科・胸部外科医のNirav Patel氏とニューヨークのミシュラン二つ星レストランAskaの創設オーナーFredrik Berselius氏のコラボレーションによるもので、本書を通じ、心臓血管外科医のスキルの高さに焦点を当て、心臓血管外科における人材育成の課題を啓発することを目的としている。  料理本に含まれる9つのレシピでは、外科医の手技やメンタルコントロールの向上効果を狙った手術室外で取り組める意外性と遊び心のある訓練法が提案されている。各レシピは、精緻な切開、狭い箇所への注入、縫合、解剖、反復など、繊細な手先の動きと集中力を試す内容となっている。

LGBTQ患者の診療、困った経験は?/医師1,000人アンケート

 わが国にはLGBTQの人は3~10%程度いるとされている。「患者のほとんどが高齢者のためLGBTQは関係ない」と思われるかもしれないが、高齢者にもLGBTQの人は存在し、日常接している患者さんの中にも少なからずLGBTQ患者がいると考えられる。CareNet.comでは、会員医師1,029人を対象に、LGBTQ患者の診療経験に関するアンケートを実施した。その結果、多くの医師が今後の対応の必要性を認識しているものの、現状では診療体制が不十分であることが多く、今後の診療に影響が生じかねないケースもあったことが明らかになった(2023年12月25日実施)。

日本人双極性障害外来患者における離婚の予測因子

 双極性障害は、躁状態とうつ状態を繰り返すことを特徴とする精神疾患であり、社会的障害を引き起こすことが知られている。さらに、双極性障害は、離婚や家族のサポートを失うリスクを高め、予後を悪化させる可能性が明らかとなっている。しかし、リアルワールドにおける双極性障害患者の離婚の予測因子に関するエビデンスは限られている。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、日本人双極性障害患者における離婚の予測因子を特定するため、調査を行った。その結果から、日本人双極性障害患者における離婚の予測因子として、ベースライン時の年齢が若い、BMIが低いことが特定された。Annals of General Psychiatry誌2023年12月12日号の報告。

スマートウォッチが子どもの隠れた不整脈を検出

 Connor Heinzさんは12歳のときから動悸を感じるようになったが、医師はその原因究明に苦慮していた。Connorさんが装着していた心臓のモニタリングデバイスは使い心地が悪く、また、不整脈が起こる頻度は数カ月間に1回程度だったため、問題を特定することが難しかったのだ。Connorさんの心臓の問題が何なのか、主治医には見当がついていたが、それを確かめたいと考えていた。そこで主治医は、Connorさんに母親のスマートウォッチを付けてもらうことにした。研究グループによると、小児の心疾患の診断に役立てることを目的としたスマートウォッチの使用は、心臓専門医の間で急速に普及しつつあるという。

鎮咳薬不足、増えた手間や処方優先患者は?/医師1,000人アンケート

 後発医薬品メーカーの不祥事などで医薬品供給不安が続いているなか、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの流行が鎮咳薬不足に追い打ちをかけている。昨年9月には厚生労働省が異例とも言える「鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」の通知を出し、処方医にも協力を仰いだことは記憶に新しい。あれから3ヵ月が経ち、医師の業務負担や処方動向に変化はあったのだろうか。今回、処方控えを余儀なくされていることで生じる業務負担や処方を優先する患者の選び方などを可視化すべく、『鎮咳薬の供給不足における処方状況』について、会員医師1,000人(20床未満:700人、20床以上:300人)にアンケート調査を行った。

HR+HER2-進行乳がん、パルボシクリブ+タモキシフェンが治療選択肢に/ファイザー

 ファイザーは1月15日付のプレスリリースにて、パルボシクリブの添付文書が改訂されたことを発表した。ホルモン受容体(HR)陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)の進行または転移乳がん患者へのパルボシクリブとタモキシフェン併用投与の有効性と安全性を検討した第III相試験(PATHWAY試験)の結果に基づくもので、これにより、パルボシクリブとタモキシフェンとの併用が新たな治療選択肢となる。  パルボシクリブはこれまで、レトロゾールまたはフルベストラントとの併用投与の成績に基づいて承認されており、タモキシフェンとの併用における有効性や安全性は確立されていなかった。またアジア地域では欧米に比べ、全乳がんのうち閉経前乳がんの占める割合が多く、治療選択肢が十分でない状況があった。

新型コロナJN.1が世界の主流株に、高い伝播力と免疫回避能/東大医科研

 2023年12月時点で、オミクロン株BA.2.86の子孫株であるオミクロン株JN.1が世界各地で流行を拡大し、JN.1は世界保健機関(WHO)により「注目すべき変異株(VOI)」に分類されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らによる研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」の研究で、JN.1は、これまで主流の1つだったXBB系統のEG.5.1より高い伝播力(実効再生産数)を有し、自然感染やワクチン接種により誘導される中和抗体に対しても高い回避能を有していることが認められた1)。本結果は、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2024年1月3日号に掲載された。

朝食摂取とうつ病との関係

 うつ病は、食生活、社会的因子、生活習慣といった多くの要因と関連しており、重大かつ患者数が多い、世界的な公衆衛生上の問題である。中国・吉林大学のFengdan Wang氏らは、朝食の摂取、食事性炎症指数(DII)とうつ病との関連を評価し、朝食の摂取がうつ病に及ぼす影響に対しDIIがどのように関与しているかを調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年12月7日号の報告。  対象は、2007~18年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した2万1,865例。朝食の摂取、DII、うつ病との関連の分析には、二項ロジスティック回帰分析と媒介効果分析を用いた。食事による炎症は、DIIに従い炎症誘発性食と抗炎症性食に分類した。

国内初のRSVワクチン発売、対象は60歳以上/GSK

 グラクソ・スミスクライン/GSKは、60歳以上におけるRSウイルス(RSV)による感染症の予防を目的とした組み換えRSVワクチン「アレックスビー筋注用」を2024年1月15日に販売開始した。本ワクチンは、60歳以上を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「AReSVi-006試験」の結果に基づき、2023年9月25日に製造販売承認を取得している。  AReSVi-006試験の対象は、60歳以上の成人(医学的に安定している基礎疾患を有する者を含む)2万4,981例(日本人1,038例を含む)で、主要評価項目はRSV感染による下気道疾患の初回発現を指標とした予防効果であった。主要評価項目に関する有効率は82.6%であり、RSV感染による下気道疾患に対する本ワクチンの有効性が検証された。なお、日本人集団ではRSVによる下気道疾患の発現はみられなかった。

日本人高齢者における抗コリン薬使用と認知症リスク~LIFE研究

 抗コリン薬が認知機能障害を引き起こすことを調査した研究は、いくつか報告されている。しかし、日本の超高齢社会において、認知症リスクと抗コリン薬の関連は十分に研究されていない。大阪大学のYuki Okita氏らは、日本の高齢者における抗コリン薬と認知症リスクとの関連を評価するため本研究を実施した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2023年12月号の報告。  2014~20年の日本のレセプトデータを含むLIFE研究(Longevity Improvement & Fair Evidence Study)のデータを用いて、ネステッドケースコントロール研究を実施した。対象は、認知症患者6万6,478例および、年齢、性別、市区町村、コホート登録年がマッチした65歳以上の対照群32万8,919例。1次曝露は、コホート登録日からイベント発生日またはそれに一致したインデックス日までに処方された抗コリン薬の累計用量(患者ごとの標準化された1日当たりの抗コリン薬総投与量)であり、各処方の抗コリン薬各種の総用量を加算し、WHOが定義した1日の用量値で除算して割り出した。抗コリン薬の累計曝露に関連する認知症のオッズ比(OR)の算出には、交絡変数で調整した条件付きロジスティック回帰を用いた。

黒砂糖、がん発症を抑制か~J-MICC研究

 黒砂糖にはミネラル、ポリフェノール、ポリコサノールが多く含まれているが、黒砂糖が健康に役立つと評価した疫学研究はほとんどない。今回、鹿児島大学の宮本 楓氏らが、長寿者の割合が比較的高く黒砂糖をおやつにしている奄美群島の住民を対象としたコホート研究を実施したところ、黒砂糖摂取ががん全体、胃がん、乳がんの発症リスク低下と関連することが示された。Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition誌2023月12月号に掲載。

組み換え帯状疱疹ワクチン2回接種、4年後の効果

 組み換え帯状疱疹ワクチン(商品名:シングリックス)の2回接種は、臨床試験において有効率97%と非常に高い有効性を示しているが、実臨床における長期有効性は明らかになっていない。そこで、米国・Kaiser Permanente Northern CaliforniaのOusseny Zerbo氏らは、組み換え帯状疱疹ワクチンの実臨床における効果を調べた。その結果、1回接種の場合は有効性が1年後に低下したが、2回接種の場合は4年間の追跡期間において有効性が低下しなかった。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2024年1月9日号で報告された。

医療者の燃え尽き、カギはトレーニングよりも看護師人数

新型コロナウイルス感染症流行下では、世界中で多くの医療者が燃え尽き症候群に直面し、多くの離職者が出た。そして、日本では2024年4月から医師の働き方改革がスタートし、時間外労働への規制が厳しくなる。この状況において、パンデミックの経験から学ぶべきことは何か。 米国ペンシルベニア大学のLinda H. Aiken氏らは、医師と看護師の健康状態と離職率を測定し、有害な転帰、患者の安全性、介入に対する好みと関連する実行可能な要因を特定することを目的とした調査を行った。

統合失調症の神経認知プロファイルに対するアリピプラゾールとオランザピンの有効性比較

 統合失調症は、重篤な神経認知障害を引き起こす疾患である。統合失調症に対する抗精神病薬治療は、精神病理および神経認知機能の改善をもたらすことが期待される。インド・Government Medical College and HospitalのSanya Sharma氏らは、統合失調症患者の神経認知プロファイルに対するアリピプラゾールとオランザピンの有効性を比較するため、プロスペクティブ介入比較研究を行った。その結果、アリピプラゾールとオランザピンは、神経認知プロファイルの改善に有効であり、それぞれ特定の領域に対してより有効であることが示唆された。Indian Journal of Psychiatry誌オンライン版2023年10月号の報告。

乳がん脳転移例、全脳照射前のBEEPで脳特異的PFS改善

 脳転移を有する乳がん患者において、ERBB2(HER2)サブタイプにかかわらず、ベバシズマブ+エトポシド+シスプラチン(BEEP)導入療法を行ってから放射線の全脳照射を行った場合、全脳照射のみの場合よりも脳特異的無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことを、国立台湾大学病院のTom Wei-Wu Chen氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2023年12月21日号掲載の報告。  近年、乳がんに対する薬物療法は目覚ましい進歩を遂げており、術後再発や遠隔転移のコントロールが良好になっている。しかし、脳転移に奏効する薬剤は乏しく、治療の評価は確立していない。そこで研究グループは、BEEP導入療法を追加することで、全脳照射後の脳特異的PFSが改善するかどうかを検討するため、多施設共同無作為化非盲検試験を実施した。

デキサメタゾン製剤、アセタゾラミドなどに「重大な副作用」追加/厚労省

 厚生労働省は1月10日、アセタゾラミドやデキサメタゾン製剤などの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。炭酸脱水酵素阻害薬のアセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム(商品名:ダイアモックス)には重大な副作用として「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)や副腎皮質ホルモン製剤(経口剤および注射剤)のうちリンパ系腫瘍の効能を有する製剤には重大な副作用として「腫瘍崩壊症候群」が追加された。  急性呼吸窮迫症候群および肺水腫関連の症例を評価した結果、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウムと急性呼吸窮迫症候群および肺水腫との因果関係が否定できない症例(国内11例のうち9例、海外6例のうち4例。死亡例は国内3例、海外1例)が集積したため。

尿が黄色くなるメカニズムが明らかに

 尿中の黄色色素としてウロビリンが同定されているが、この発見から125年以上の間、ウロビリンの産生に関与する酵素は不明とされていた。しかし、米国・メリーランド大学のBrantley Hall氏らの研究グループが腸内細菌叢由来のビリルビン還元酵素(BilR)を同定し、この分子がビリルビンをウロビリノーゲンに還元し、ウロビリノーゲンが自然に分解されることで尿中の黄色色素ウロビリンが産生されることを明らかにした。また、BilRは健康成人ではほぼ全員に存在していたが、新生児・乳児や炎症性腸疾患(IBD)患者で欠損が多く認められた。本研究結果は、Nature Microbiology誌2024年1月3日号で報告された。

炎症性乳がんへのNAC、1ラインvs.2~3ラインで転帰の差は

 多くのStageIII炎症性乳がん患者は、第1選択治療として術前化学療法(NAC)を受け、十分な反応を示し手術可能となるが、追加のNACが必要となるケースもある。米国・ハーバード大学医学大学院のFaina Nakhlis氏らは、1ラインvs.2~3ラインのNACを受けた患者における臨床転帰を評価した。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年12月28日号への報告。  2施設において、1ラインまたは2~3ラインのNACを受けたStageIII炎症性乳がん患者が特定された。ホルモン受容体とHER2の状態、グレード、および病理学的完全奏効(pCR)が評価され、乳がんのない生存期間(BCFS)および全生存期間(OS)はKaplan-Meier法により評価された。多変数Coxモデルを用いてハザード比(HR)が推定された。

双極性障害患者の原因別死亡率と併存する神経発達障害

 双極性障害患者の早期死亡に関するこれまで研究は、サンプルサイズが小さいため、限界があった。台湾・長庚記念病院のWei-Min Cho氏らは、台湾の人口の約99%を対象に、双極性障害患者の早期死亡および併存する神経発達障害、重度の双極性障害との関係を調査した。その結果、精神科入院頻度の高い双極性障害患者は、自殺死亡リスクが最も高く、自閉スペクトラム症の併存は自然死や偶発的な死亡のリスク増加と関連していることが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年12月6日号の報告。