医療一般|page:149

コロナブースター接種、インフルワクチン同時接種の影響は?

 新型コロナウイルス感染症ワクチンのブースター接種と季節性インフルエンザワクチンの同時接種の有効性を調査した前向きコホート研究の結果、コロナワクチン単独接種群と比較して、コロナ+インフルワクチン同時接種群では抗スパイクIgG抗体価は低い傾向にあったものの統計学的な有意差はなく、副反応リスクも同程度であったことを、イスラエル・Sheba Medical CenterのTal Gonen氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2023年9月5日号掲載の報告。

日本におけるSNS上のがん情報、4割超が誤情報

 SNSの普及により、患者はがん情報に容易にアクセスできるようになった。しかし、患者の意思決定に悪影響を与えかねない誤情報や有害情報も大量に発信されている。日本のSNSにおけるがん情報はどの程度信頼できるものなのか。これについて調べた名古屋市立大学病院 乳腺外科の呉山 菜梨氏らによる研究結果がJMIR formative research誌オンライン版2023年9月6日号に掲載された。  研究者らは、Twitter(現:X)上で2022年8~9月に投稿された、日本語の「がん」という言葉を含むツイートを抽出した。

緑内障ほか眼科疾患と認知症リスク~メタ解析

 一般的な眼科疾患と認知症との関係を調査するため、中国・Shenzhen Qianhai Shekou Free Trade Zone HospitalのJiayi Feng氏らは、コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、眼科疾患は、すべての原因による認知症やアルツハイマー病のリスク増加と関連している可能性が示唆された。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2023年7月29日号の報告。  対象は、眼科疾患を有する患者。2022年8月25日までに公表された文献をPubMed、EMBASE、Web of Scienceなどのオンラインデータベースより、システマティックに検索した。緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、白内障とすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症との関連を評価したコホート研究をメタ解析に含めた。ランダム効果モデルを用いてプールし、相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。不均一性の評価には、I2統計を用いた。サブグループ分析および感度分析を実施した。

慢性便秘症ガイドライン改訂、非専門医向けに診療フローチャート

 慢性便秘症は、2010年代にルビプロストン(商品名:アミティーザ)、リナクロチド(同:リンゼス)、エロビキシバット(同:グーフィス)、ポリエチレングリコール(PEG)製剤(同:モビコール)、ラクツロース(同:ラグノス)といった新たな治療薬が開発されている。このように、治療の進歩とエビデンスの蓄積が進む慢性便秘症について、約6年ぶりにガイドラインが改訂され、『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』が2023年7月に発刊された。そこで、本ガイドラインの作成委員長を務める伊原 栄吉氏(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学)に改訂のポイントを聞いた。

オンコタイプDXの結果を乳がん治療でどう活用するか

 「オンコタイプDX 乳がん再発スコアプログラム」が、9月1日付で保険収載された。これを受けて9月6日、エグザクトサイエンスは「患者さん一人ひとりが納得のいく治療法を~シェアードディシジョンメイキングの時代へ~」と題したプレスセミナーを開催。坂東 裕子氏(筑波大学医学医療系 乳腺内分泌外科)らが登壇し、乳がん治療におけるオンコタイプDXの位置付けやシェアードディシジョンメイキングの重要性について解説・議論が行われた。

うつ病や不安症における人生の目的が果たす役割

 人生の目的は、自身の活動に関しての意味と目的の感覚、そして人生には意味があるという全体的な感覚により構成されている。オーストラリア・ニューイングランド大学のIan D. Boreham氏らは、人生の目的とうつ病や不安症との関連を、包括的に評価した。その結果、人生の目的レベルが高いほど、うつ病や不安症レベルが低いことが報告された。Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2023年8月12日号の報告。  人生の目的とうつ病や不安症との関連を調査するため、メタ解析を実施した。メタ解析には、99の研究、6万6,468例を含めた。

HER2変異NSCLC承認のT-DXd、第II相試験結果(DESTINY-Lung02)/WCLC2023

 第一三共は2023年8月23日、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が、本邦において「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能又は効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表している。本承認は国際共同第II相臨床試験(DESTINY-Lung02)の結果に基づくものであるが、その詳細が世界肺癌学会(WCLC2023)において、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A. Janne氏らにより発表された。なお、本発表の結果は、2023年9月11日にJournal of Clinical Oncology誌オンライン版へ同時掲載された。

ブレクスピプラゾール治療、統合失調症患者からどう評価されているか

 藤田医科大学の横井 里奈氏らは、ブレクスピプラゾールによる抗精神病薬治療に対する統合失調症患者の主観的評価を調査した。Fujita Medical Journal誌2023年8月号の報告。  本研究は、14週間のプロスペクティブ観察研究として実施した。対象は、2019年2月~2020年1月に本研究に参加した統合失調症患者19例。  主な結果は以下のとおり。 ・ブレクスピプラゾール治療開始時の患者の平均年齢は40.6±14.2歳、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアの平均値は4.6±1.2であった。

オンコマイン Dx、非小細胞肺がんHER2遺伝子変異に対するコンパニオン診断として保険適用/サーモフィッシャー

 サーモフィッシャーは2023年8月29日、次世代シーケンシング(NGS)技術を用いたコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test マルチ CDxシステム」に関し、非小細胞肺がんを対象としたHER2遺伝子変異に対するトラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)の治療適応判定の補助に対して、保険適用されたことを発表した。

血尿診断で内科医も知っておきたい4つのこと―血尿診断ガイドライン改訂

 『血尿診断ガイドライン』が10年ぶりに改訂された。改訂第3版となる本ガイドラインは、各専門医はもちろんのこと、一般内科医や研修医にもわかりやすいように原因疾患診断のための手順を詳細な「血尿診断アルゴリズム」として提示した。また、コロナ禍での作成ということもあり、最終章では「新型コロナワクチンと血尿」について触れている。今回、本ガイドライン改訂委員会の事務局を務めた小路 直氏(東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学)に、内科医が血尿時の問診や専門医への紹介を行ううえで注意すべきポイントなどを聞いた。

新型コロナEG.5.1、伝播力と免疫回避能が増強/東大医科研

 現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株は、アジアや欧州、北米を中心に、オミクロン株EG.5系統(エリス)の感染が急増し、主流となっている。XBB系統(XBB.1.9.2)の子孫株であるEG.5系統は、世界保健機関(WHO)により、XBB.1.5、XBB.1.16と共に注目すべき変異株(VOI)に分類されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らの研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」は、EG.5系統のEG.5.1のウイルス学的特徴を解析したところ、XBB.1.5に比べて1.2倍高い伝播力を示し、BBの中和抗体に対して1.4倍高い抵抗性を示したことを、調査により明らかにした。本結果はThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年9月11日号に掲載された。

食事の質は片頭痛にも影響

 イラン・Isfahan University of Medical SciencesのArghavan Balali氏らは、食事の質と片頭痛との関連性について、評価を行った。その結果、食事の質の改善は、片頭痛の頻度、重症度、関連する問題などの片頭痛アウトカムの改善と関連している可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2023年8月5日号の報告。  20~50歳の片頭痛患者262例を対象に、横断的研究を実施した。食事の質の評価には、Healthy Eating Index 2015(HEI-2015)およびAlternative Healthy Eating Index 2010(AHEI-2010)を用いた。食事の摂取量の評価には、168項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。

EGFR変異陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法 vs.オシメルチニブ(FLAURA2)/WCLC2023

 変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、オシメルチニブと化学療法の併用は、オシメルチニブ単独と比較して、統計学的に有意な無増悪生存期間(PFS)の延長を示した。  世界肺癌学会(WCLC2023)で、米国・ダナ・ファーバーがん研究所の Pasi A. Janne氏らが発表した、進行期NSCLCにおけるオシメルチニブと化学療法の併用を評価する第III相FLAURA2試験の結果である。

自閉スペクトラム症と統合失調症の精神症状の比較

 自閉スペクトラム症(ASD)患者は、明らかな精神症状を発現する傾向があり、これらの症状は、統合失調症患者でみられる症状と類似している。獨協医科大学のMomoka Yamada氏らは、ASD、統合失調症、非精神疾患の初診患者における精神症状の違いについて、調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年8月21日号の報告。  初診患者のデータは、2019年6月~2021年5月の獨協医科大学病院精神科の診療記録よりレトロスペクティブに収集した。分析には、精神症状の簡易評価ツールであるPRIME Screen-Revised(PS-R)の評価データを有する254例を含めた。すべての精神科診断には、DSM-V診断基準が用いられていた。

モデルナのXBB.1.5対応コロナワクチン、追加免疫として承認/厚労省

 厚生労働省は9月12日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のオミクロン株対応ワクチンの一部変更について承認したことを発表した。今回の承認で、モデルナの「スパイクバックス筋注」にオミクロン株XBB.1.5系統のスパイクタンパク質をコードするmRNAを含む1価ワクチンが追加された。2023年7月7日に製造販売承認事項一部変更申請されていたもので、9月20日以降の秋開始接種に使用される。本ワクチンは、世界で急速に拡大し新たな懸念となっているEG.5(エリス)やFL 1.5.1、BA.2.86(ピロラ)といった変異に対しても強固なヒト免疫応答を示している。

睡眠の質を高めるため、多くの医師がしていることは?/1,000人アンケート

 2024年4月から医師の働き方改革の新制度がスタートするが、長時間労働に端を発する医師の過労問題は改善されていないのが現状である。そのような中、睡眠は健康管理の重要カテゴリーとして医学界を筆頭にさまざまな業界で注目されているが、長時間労働者の象徴とも言える医師は果たして睡眠時間を確保できているのだろうか―。そこで、ケアネットでは多忙を極める医師の睡眠時間の実態を調査するために「睡眠状況、睡眠への意識について」のアンケートを実施。回答結果を診療科別、年代別、病床数別に抽出した。

若者の摂食障害や境界性パーソナリティ障害の特徴やリスク因子

 境界性パーソナリティ障害(BPD)と摂食障害は、併発リスクが高いが、両疾患に共通する症状の経過と関連するリスクについては、よくわかっていない。英国・ウォーリック大学のKirsty S. Lee氏らは、若者の地域サンプルにおける症状のジョイントトラジェクトリー、時間的優先順位、リスク因子、人口寄与割合(PAF)について、発達精神病理学的および心理社会学的観点より調査を行った。その結果、若者の摂食障害とBPDの一時性、リスク、スクリーニング、治療に関連するいくつかの新規かつ臨床的に関連性のある所見が特定された。Development and Psychopathology誌オンライン版2023年8月17日号の報告。

健康維持に必要な1日の最小歩数は?~メタ解析

 1日の歩数と全死因死亡および心血管疾患(CVD)の発症との関連を調べた結果、3,000歩弱という少ない歩数であっても有意にそれらのリスクが低減していたことを、オランダ・ラドバウド大学医療センターのNiels A. Stens氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2023年9月6日号の報告。  健康の維持・改善のためにウオーキングなどの有酸素運動が勧められることが多いが、最小および至適な1日の歩数は依然として不明である。そこで、研究グループは一般集団における歩数と健康アウトカムとの関連を評価するためにメタ解析を行った。MEDLINEとEMBASEをデータベース開設から2022年10月まで検索し、歩数計や加速度計などで客観的に測定された1日の歩数と、全死因死亡またはCVDの発症を評価した成人が対象の縦断研究を特定した。解析には一般化最小二乗法とランダム効果モデルが用いられた。

コロナ後遺症2年追跡、入院例は依然死亡リスク高い

 コロナ罹患後症状(コロナ後遺症、long COVID)に関するエビデンスは、これまでそのほとんどが感染後1年内のものだった。感染流行から時間が経過し、2年間の追跡データが発表された。米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのBenjamin Bowe氏らによる本研究は、Nature Medicine誌オンライン版2023年8月21日号に掲載された。  研究者らは米国退役軍人データベースから13万8,818例の感染群と598万5,227例の非感染の対照群からなるコホートを2年間追跡し、死亡と事前に規定した80の急性期後遺症のリスクを推定した。感染群は、急性期における入院の有無でさらに分析した。

中等症~重症アトピー性皮膚炎、トラロキヌマブは高齢者にも有用

 65歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者において、トラロキヌマブの忍容性および有効性は良好であることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoseph F. Merola氏らが、第III相無作為化プラセボ対照試験「ECZTRA試験(1、2、3)」の事後解析により明らかにした。アトピー性皮膚炎を有する高齢者には、併存疾患やポリファーマシー、感染症(帯状疱疹など)のリスクが高いなど、特有の治療課題が存在するが、臨床試験のデータは限られていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月23日号掲載の報告。