〔CLEAR! ジャーナル四天王(59)〕 ラテンアメリカ7地域におけるピロリ除菌成功後の高率な“再感染” 今回の米国からの報告は、除菌治療後、尿素呼気試験(UBT)による判定でピロリ菌が陰性化した例を対象として、1年後の再陽性化率とそのリスクを検討したものである。2009年から2011年に6ヵ国(7地域)で行われた除菌治療試験(RCT)に参加し、除菌に成功(UBT陰性化)した1,463例を対象としたコホート研究であるが、UBTを指標とした再感染率は11.5%と高率であった。さらに、コロンビアやチリにおいて施行された試験、対象を初回治療に限定した試験、子供と同居している人を対象とした試験で有意に高い再感染率を示した。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(58)〕 国民皆保険の日本こそこういう解析を! アメリカ医師会雑誌JAMAに載った新着論文、退院患者が退院後30日以内に、どれほど予定外の外来を受診し、再入院になるかという研究である。再入院だけでなく、外来受診も相当多い。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(57)〕 重ね着にメリットなし、かえって風邪をひくかも-ACE阻害薬とARB併用に効果増強みられず- Renin-angiotensine(RA)系抑制薬として、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)そして直接的レニン阻害薬 アリスキレン(商品名:ラジレス)が実用に供されているが、これらのうち2種類の併用を“dual blockade”と称する。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(56)〕 脂肪摂取の基準はいかに-リノール酸による死亡リスクの増加- 心疾患のリスクを抑制するための食事療法として、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂質を可能な限り避け、多価不飽和脂肪酸の豊富な植物性脂質に変更することは、有意義であると考えられている。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(55)〕 急性期脳梗塞に対する血管内治療の優位性は示されず 本論文は、SYNTHESIS Expansion Investigatorsによる急性期脳梗塞を対象とした、rt-PA静注療法と血管内治療(rt-PA動注療法、デバイスによる血栓の破砕か回収、あるいは両方の組み合わせ)の無作為化比較研究の結果報告である。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(54)〕 がん検診の正しい情報とは? EBM(Evidence-Based Medicine)の領域では、医療介入がどれだけのベネフィットをもたらすかということを、NNT(Number Needed to Treat)という指標が使われる。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(53)〕 HOPE試験の再来か?ACE阻害薬が間歇性跛行に”降圧を超えた”有効性 ASOによる間歇性跛行を有する症例に対して、ACE阻害薬ラミプリルの6ヵ月投与は、歩行距離、歩行時間、歩行スピードのいずれも改善し、疼痛の軽減させることでQOL改善をもたらしたという論文である。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(52)〕 NoboriステントはCypherステントより優れているとは言えない? Biolimus-eluting biodegradable polymer-coated stent(Nobori、1,229症例)とdurable polymer-coated sirolimus-eluting stent(Cypher、1,239症例)の無作為化比較試験であるSORT OUT Vの結果が、Lancetに報告された。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(51)〕 ピロリ菌除菌―4剤逐次療法が標準的3剤併用除菌療法より良好! 日本ヘリコバクター学会によるガイドラインでは、H. pylori(ピロリ菌)感染が関与する疾患を『ピロリ感染症』と称してすべての疾患に対する除菌治療が推奨されていたが、今回、ピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療が承認され、わが国でも除菌治療の保険適用患者が大幅に増加することとなった。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(50)〕 降圧薬併用にNSAIDsで、急性腎障害が増加する!-多剤併用にご用心 薬剤による腎障害は、腎臓が多くの薬物の排泄臓器であることから、急性腎不全の重要な原因であり、臨床家は薬剤の使用にあたって、常に薬剤に起因する腎障害のリスクに配慮することが望まれている。数ある薬剤の中でも、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、その汎用性から、多くの使用機会があり、注意が必要とされる薬剤の一つである。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(49)〕 うつ病当事者の苦悩-これは身近な問題です― この論文でも最初に触れられているが、うつ病はWHOの健康指標の一つであるDALY(死亡損失と障害損失)において、第1位である(低所得国を除く)。筆者もこの事実を大学病院の精神科短期研修者に毎月強調している。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(48)〕 IL-1阻害薬は活動性全身型若年性特発性関節炎に有効である IL-1阻害薬は、IL-1レセプターアンタゴニスト(IL-Ra)であるアナキンラ(国内未承認)が関節リウマチの治療薬として欧米で承認されているが、 TNF阻害薬ほどの有効性は認められない。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(47)〕 FREEDOM試験がもたらした「開放」とは? 複雑な冠動脈疾患患者にバイパス(CABG)か?PCIか?という問題は90年代のBARI試験から最近のSYNTAX試験まで、いろいろな側面から検討がなされ、さながら不整脈のreentry回路のように外科医と内科医の頭を悩ませてきた。だが、このFREEDOM試験はその回路(circuit)に楔を打ち込んだ研究といえるのではないか。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(46)〕 糖尿病・多枝病変患者ではDES-PCIはCABGと比較して4年の短期追跡でも心筋梗塞・死亡率は高い 糖尿病患者に対する冠動脈血行再建術選択に関しては、BARI studyの結果から冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)と比較すると糖尿病患者100人に対して5年間で15人、7年間で20人、10年間で22人死亡数が多いことが報告されているが、ランダム化試験のサブグループ解析結果でありエビデンスレベルはCであった。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(45)〕 腎障害を伴った心不全に対して持続的限外濾過療法は有害? 本研究は、腎機能悪化を伴う急性非代謝性心不全例に対して持続的静静脈限外濾過治療と通常治療(フロセミドの静脈内投与)の効果や副作用を比較したものである。このような急性心腎症候群例は実臨床ではよく遭遇するが、エビデンスのある治療法は確立されていない。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(43)〕 もうひとつのeGFR算出式(CKD-EPI)を使った200万人規模のメタ解析が明らかにする『高齢者CKDはAgingに非ず』 今世紀になって、CKDが新たな心血管リスクとして注目されているのは周知のことである。CKD診療のゴールは、『健康長寿(healthy longevity)の実現』と『腎不全の回避』を両立させることにある。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(42)〕 リアルワールドでのRAS阻害薬投与は左室駆出率保持の心不全の予後を改善する可能性 左室駆出率保持の心不全(HFPEF)患者の予後を改善する薬剤は見つかっていない。J-DHF試験はβ遮断薬の有用性を示唆したが、ACE阻害薬のPEP-CHF試験、ARBのCHARM-Preserved試験やI-PRESERVE試験などの無作為化大規模試験で有用性は示されなかった。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(41)〕 固形がんに対する新しい治療薬の夜明けとなるか? 乳がんに対する抗体治療であるトラスツズマブの登場は大きな衝撃であった(Slamon DJ et al. N Engl J Med. 2001; 344: 783-792.)。トラスツズマブの開発を最初として、固形がんに対する分子標的薬の開発が加速した。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(40)〕 RA系抑制薬同士の併用はメリットなく、むしろ有害 レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬としては、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)および直接的レニン阻害薬(アリスキレン)があるが、これまでONTARGET試験などで、ACE阻害薬とARBの併用は、ACE阻害薬単独に比べて心血管合併症予防効果が認められず、むしろ有害事象が増加するのみという結果が示されている。