薬剤感受性結核患者の治療において、多面的双方向性のデジタル服薬支援ツール「結核治療支援ツール(TB-TST)」は治療成功率および脱落率を改善させ、とくに若年層や女性でその効果が大きく、資源の限られた環境下での結核治療の服薬順守支援における実現可能性と有効性が示された。アルゼンチン・Instituto de Efectividad Clinica y SanitariaのFernando Rubinstein氏らが、ブエノスアイレスにある公立基幹病院4施設において実施したプラグマティックな無作為化比較試験の結果を報告した。著者は、「今後の研究では、アプリの利用状況、新型コロナウイルス感染症の流行などの状況的要因、費用対効果、および結核以外の慢性疾患の管理における本ツールの活用について評価すべきである」とまとめている。BMJ誌2026年8月6日号掲載の報告。
モバイルアプリを用いた服薬支援+標準治療vs.標準治療で治療成功率を比較
研究グループは、初発薬剤感受性結核と診断されている、または薬剤感受性不明の結核に対する治療を開始している16歳以上の患者で、スマートフォンを定期的に利用でき、かつ独力または支援を受けてスマートフォンを操作できる患者を、標準治療群(対照群)または標準治療+TB-TST群(介入群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。
TB-TSTは、スペイン語対応の患者用モバイルアプリと医療チームメンバー用のダッシュボードで構成され、毎日の服薬順守状況の報告、双方向コミュニケーション、教育リソース、および服薬順守確認のためのイソニアジドの尿中代謝物を検出する自宅尿検査を統合した新しいデジタル服薬支援ツールで、患者、医療従事者、バイオエンジニアおよび結核専門家により開発された。
介入の性質上、患者および支援者は割り付けに関して盲検化されていないが、医師は患者から知らされない限り盲検下にあり、追跡調査および解析を行う研究スタッフも盲検を維持した。
主要評価項目は治療成功(WHOの定義による治癒または治療完了)、副次評価項目は追跡調査からの脱落(2ヵ月以上連続する治療中断)であった。
治療成功率は82%vs.74%
2020年11月~2023年7月に1,017例がスクリーニングを受け、適格基準を満たした555例が登録および無作為化された(対照群278例、介入群277例)。
患者背景は、280例(50%)が女性で、平均年齢33歳(SD 13)、年齢中央値30歳(範囲:17~85)であった。
登録後に薬剤耐性結核が判明あるいは入院などプロトコールから逸脱した30例を除外した525例(登録患者の94.6%)が解析対象となった。
ITT解析の結果、治療成功率は介入群82%(208/255例)、対照群74%(201/270例)で介入群が高かった(リスク群間差:7.1%[95%信頼区間[CI]:0.1~14.1]、粗リスク比:1.10[95%CI:1.00~1.20]、p=0.05)。
追跡調査からの脱落率は、介入群で低かった(それぞれ17%、24%、リスク比:0.70、95%CI:0.50~0.98、p=0.04)。
探索的なサブグループ解析の結果、女性および35歳未満の患者で良好な結果がみられた。
(ケアネット)