非輸血依存性(NTD)αサラセミアまたはNTD βサラセミアの成人患者において、開発中の経口ピルビン酸キナーゼ活性化薬mitapivatはヘモグロビン値を上昇させ疲労感を改善し、新たな経口治療薬となる可能性があることが示された。レバノン・American University of Beirut Medical CenterのAli T. Taher氏らENERGIZE investigatorsが第III相の国際無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ENERGIZE試験」の結果を報告した。NTDサラセミアは無効造血と溶血性貧血によって特徴付けられる遺伝性疾患で、長期の合併症、QOL低下、早期死亡をもたらす。βサラセミアに対する承認された経口疾患修飾治療薬はなく、αサラセミアに対しては承認薬がなかった。Lancet誌2025年6月19日号掲載の報告。
1日2回100mgを24週経口投与し、ヘモグロビン値上昇を評価
ENERGIZE試験は、NTD αサラセミアまたはNTD βサラセミアの成人患者におけるmitapivatの有効性と安全性を評価した世界18ヵ国70病院で行われた試験。非盲検の延長試験も行われている。対象は18歳以上、NTD αサラセミアまたはNTD βサラセミアでヘモグロビン値10g/dL以下の患者を適格とした。
被験者は、ブロック無作為化法を用いた中央双方向応答テクノロジーシステムを介して、mitapivat群(1日2回100mgを24週経口投与)またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。ベースラインのヘモグロビン値とサラセミアの遺伝子型による層別化も行われた。
試験に関わる全員が、主要エンドポイントの解析のために試験の盲検化が解除されるまで、被験者の治療割り付けを知らされなかった。
主要エンドポイントは、ヘモグロビン反応(12~24週目の平均ヘモグロビン値がベースラインから1.0g/dL以上上昇)で、無作為化された全被験者を対象に解析した。安全性は、試験薬の投与を少なくとも1回受けた全患者を対象に解析した。
平均ヘモグロビン値1.0g/dL以上上昇、mitapivat群42%、プラセボ群2%
2021年11月8日~2023年3月31日に、235例がスクリーニングされ、そのうち194例(女性123例[63%]、男性71例[37%])が試験に登録された。130例がmitapivat群に、64例がプラセボ群に無作為化され、この194例を有効性解析集団(FAS)とした。
各群1例について、無作為化されたが治療薬の投与を受けず、これら被験者は安全性解析集団から除外された(mitapivat群129例、プラセボ群63例)。mitapivat群の7例、プラセボ群の1例が24週間の二重盲検試験期間が終わる前に治療を中断している。
ヘモグロビン反応を呈したのはmitapivat群55/130例(42%)、プラセボ群1/64例(2%)であった(最小二乗平均差:41%[95%信頼区間:32~50]、両側のp<0.0001)。
有害事象は、mitapivat群107/129例(83%)、プラセボ群50/63例(79%)で報告された。mitapivat群で多く報告された有害事象は頭痛(29/129例[22%]vs.プラセボ群6/63例[10%])、初期不眠症(18例[14%]vs.3例[5%])、悪心(15例[12%]vs.5例[8%])、上気道感染(14例[11%]vs.4例[6%])であった。死亡は報告されなかった。
(ケアネット)