術後放射線療法後の高リスク皮膚扁平上皮がん(cSCC)患者において、セミプリマブによる術後補助療法はプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を有意に延長した。オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのDanny Rischin氏らC-POST Trial Investigatorsが、16ヵ国107施設で実施した第III相無作為化プラセボ対照試験「C-POST試験」の、二重盲検期の解析結果を報告した。高リスクのcSCC患者は、根治的局所療法後に再発するリスクが高いが、全身療法による術後補助療法の有用性は臨床試験で十分に確立されていなかった。NEJM誌オンライン版2025年5月31日号掲載の報告。
対プラセボでDFSを比較
研究グループは、18歳以上の外科的切除および術後放射線療法を完了した限局性または局所性のcSCC患者のうち、高リスクの結節性または非結節性病変を有する患者を、セミプリマブ群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。
高リスクの結節性病変は最大径20mm以上で節外浸潤を伴うまたは節外浸潤の有無にかかわらず3つ以上、高リスクの非結節性病変はin-transit転移、指定された神経の神経周囲浸潤、骨浸潤を伴うT4原発腫瘍、または局所再発で少なくとも1つの予後不良因子を有する(N2b以上、腫瘍径4.0cm超のT3以上病変、腫瘍径2cm以上で低分化がんの組織学的特徴を有する)、と定義された。
セミプリマブまたはプラセボは、当初350mgを3週ごとに12週間静脈内投与した後、700mgを6週ごとに変更され、36週間(計48週間)投与された。いずれも、最長48週間、または再発、許容できない毒性の発現、同意撤回まで投与した。
主要評価項目はDFS、副次評価項目は無局所再発生存期間、無遠隔再発期間、全生存期間、および安全性などであった。
セミプリマブ群で再発または死亡リスクが68%低下、24ヵ月DFS率は87%
2019年6月~2024年8月に526例がスクリーニングされ、415例がセミプリマブ群(209例)とプラセボ群(206例)に無作為化された。
追跡期間中央値24ヵ月において、セミプリマブ群はプラセボ群と比較しDFSが有意に改善した。主要評価項目のイベントはそれぞれ24例、65例に発現し、再発または死亡のハザード比(HR)は0.32(95%信頼区間[CI]:0.20~0.51、p<0.001)、24ヵ月DFS率はそれぞれ87.1%(95%CI:80.3~91.6)、64.1%(95%CI:55.9~71.1)であった。
セミプリマブ群ではプラセボ群と比較して、局所再発(イベント数はそれぞれ9例vs.40例、HR:0.20[95%CI:0.09~0.40])および遠隔再発(10例vs.26例、0.35[0.17~0.72])のリスクも低下した。
Grade3以上の有害事象は、セミプリマブ群で23.9%、プラセボ群で14.2%に発現し、投与中止に至った有害事象はそれぞれ9.8%および1.5%であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)