局所進行上咽頭がんの1次治療、補助化学療法+CCRT vs.CCRT/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/04/28

 

 N2~3期の上咽頭がん患者において、同時併用化学放射線療法(CCRT)の前にドセタキセル+シスプラチンによる補助化学療法(NACT)を4サイクル行うことにより、CCRTのみ行った場合と比較し、遠隔転移のリスクが低下するとともに全生存期間が改善し、毒性は管理可能であることが示された。中国・中山大学がんセンターのWei-Hao Xie氏らが、中国の3次医療機関6施設で実施した第III相無作為化比較試験の結果を報告した。局所進行上咽頭がんに対する補助化学療法+同時併用化学放射線療法の有効性は確立されていなかった。BMJ誌2025年4月15日号掲載の報告。

主要評価項目は、5年DMFS率とOS率

 研究グループは、未治療のT1~4/N2~3/M0上咽頭がんと病理診断された70歳以下の患者を、CCRT群またはNACT+CCRT群に、N病期で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた。

 NACT+CCRT群では、1サイクル3週間としてドセタキセル75mg/m2を1日目に、シスプラチン37.5mg/m2を2~3日目に、最大4サイクル投与することとし、最初の2サイクルで完全奏効または部分奏効が得られた患者はさらに2サイクル投与した後、CCRTを行った。CCRTは、強度変調放射線治療(IMRT)とシスプラチン40mg/m2の週1回静脈内投与とした。

 主要評価項目は、中央判定による5年間の無遠隔転移生存(DMFS)率および全生存(OS)率とし、ITT解析を行った。安全性については、NACT、CCRT、および全期間中のGrade3以上の急性毒性の発現、ならびに登録から5年後の晩期毒性を評価した。

5年DMFS率は91.3%vs.78.2%、5年OS率は90.3%vs.82.6%

 2016年2月23日~2019年2月18日に192例が登録され、同意を撤回した6例を除く186例が無作為化された(NACT+CCRT群93例、CCRT群93例)。

 追跡期間中央値76.9ヵ月(四分位範囲:65.4~85.9)において、遠隔転移はNACT+CCRT群で9例(10%)、CCRT群で20例(22%)に認められ、5年DMFS率はそれぞれ91.3%(95%CI:85.4~97.2)、78.2%(95%CI:69.8~86.6)であり、NACT+CCRT群が有意に高かった(ハザード比[HR]:0.41、95%信頼区間[CI]:0.19~0.87、p=0.02)。

 また、死亡はNACT+CCRT群9例(10%)、CCRT群22例(24%)に認められ、5年OS率はそれぞれ90.3%(95%CI:84.2~96.4)、82.6%(75.0~90.2)であった(HR:0.38、95%CI:0.18~0.82、p=0.01)。

 Grade3/4の急性毒性は、NACT+CCRT群で60例(65%)とCCRT群で46例(51%)に観察された(p=0.05)。主なGrade3/4の急性毒性は、白血球減少症(NACT+CCRT群46例[50%]vs.CCRT群26例[29%]、p=0.004)、好中球減少症(43例[47%]vs.10例[11%]、p<0.001)であった。晩期毒性はいずれも両群間で有意差は認められなかった。

(ケアネット)