futibatinib、既治療のFGFR2融合/再構成陽性肝内胆管がんに有望/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/01/31

 

 既治療のFGFR2融合または再構成陽性の肝内胆管がん患者の治療において、次世代共有結合型FGFR1~4阻害薬であるfutibatinibは、測定可能な臨床的有用性をもたらし、奏効や生存が過去の化学療法のデータより優れ、QOLも良好であることが、米国・スタンフォード大学医学大学院のLipika Goyal氏らが実施した「FOENIX-CCA2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年1月19日号に掲載された。

13ヵ国の多施設共同非盲検単群第II相試験

 FOENIX-CCA2は、日本を含む13ヵ国47施設が参加した非盲検単群第II相試験であり、2018年4月~2019年11月の期間に患者登録が行われた(Taiho OncologyとTaiho Pharmaceuticalの助成を受けた)。

 対象は、年齢18歳以上、切除不能または転移性のFGFR融合陽性またはFGFR再構成陽性の肝内胆管がんを有し、1ライン以上の全身療法(FGFR阻害薬を除く)を受けた後に病勢が進行し、全身状態が良好な患者(Eastern Cooperative Oncology Group[ECOG] performance-status[PS]スコア0~1)であった。

 被験者は、21日を1サイクルとする継続投与レジメンで、futibatinib 20mg(4mg錠剤×5錠)を1日1回経口投与された。

 主要評価項目は、独立の中央判定による客観的奏効(完全奏効、部分奏効)であった。

奏効率42%、無増悪生存期間(PFS)9.0ヵ月、全生存期間(OS)21.7ヵ月

 日本人14例を含む103例(年齢中央値58歳[範囲:22~79]、女性56%)が登録された。前治療として53%が2つ以上の全身療法を受けていた。追跡期間中央値は17.1ヵ月(範囲:10.1~29.6)、治療期間中央値は9.1ヵ月であった。画像上または臨床的な病勢進行で72例(70%)が投与中止となったが、有害事象による投与中止は5%と少なかった。

 奏効は、43例(42%、95%信頼区間[CI]:32~52)で達成され、完全奏効が1例含まれた。病勢コントロールは85例(83%)で得られた。奏効期間中央値は9.7ヵ月(95%CI:7.6~17.0)で、奏効例43例のうち31例(72%)は6ヵ月以上、6例(14%)は12ヵ月以上奏効が持続した。奏効は、年齢65歳以上、前治療ライン数3以上、TP53変異が共存する患者を含むサブグループのすべてで認められた。

 無増悪生存期間中央値は9.0ヵ月であり、6ヵ月無増悪生存率は66%、12ヵ月無増悪生存率は40%であった。また、全生存期間中央値は21.7ヵ月で、12ヵ月全生存率は72%だった。

 最も頻度の高い全Gradeの治療関連有害事象は、高リン血症(85%)、脱毛(33%)、口腔乾燥(30%)、下痢(28%)、皮膚乾燥(27%)、倦怠感(25%)であった。また、最も頻度の高いGrade3の治療関連有害事象は、高リン血症(30%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(7%)、口内炎(6%)、倦怠感(6%)だった。

 futibatinibの恒久的な投与中止の原因となった治療関連有害事象は2例(2%)で認められた(Grade2の口内炎+Grade3の口腔異常感+Grade2の咽頭炎が1例、Grade3の食道炎が1例)。治療関連死はみられなかった。QOLについては、9ヵ月の治療期間を通じてEORTC QLQ-C30スコアが安定していた。

 著者は、「これらのデータは、futibatinibが本症における測定可能な臨床的有用性を有することを確証し、FGFR2阻害に反応する可能性のある腫瘍の同定における分子プロファイリングの価値を示すものである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)