脳脊髄液のメタゲノムNGSで中枢神経系感染症の診断精度向上/NEJM

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ケアネット

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 特発性髄膜炎や脳炎、脊髄炎の患者において、脳脊髄液(CSF)のメタゲノム次世代シークエンシング(NGS)を行うことで、他の検査では診断されなかった中枢神経系感染症を検出でき、診断精度が上がることが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校の Michael R. Wilson氏らが、204例の患者を対象に行った多施設共同前向き試験の結果で、NEJM誌2019年6月13日号で発表した。CSFのメタゲノムNGSは、単回テストでさまざまな種類の病原体を特定できるとされている。

メタゲノムNGS陽性の患者について、別の検査で確認
 研究グループは2016年6月1日~2017年7月1日にかけて前向き試験を行い、入院患者の感染性髄膜炎・脳炎の診断において、CSFのメタゲノムNGSの実用性を検証した。メタゲノムNGSで病原体陽性だったすべての患者について、独立した臨床分析やPCR検査により確認を行った。

 医師からのフィードバックについては、臨床シークエンシング委員会との遠隔会議を毎週行い、アンケート調査も実施した。臨床的実用性については、後ろ向き診療録レビューで評価された。

メタゲノムNGSのみで診断された中枢神経系感染症は22%
 8ヵ所の医療機関を通じて、204例の小児・成人患者が試験に参加した。患者は重症で、48.5%が集中治療室(ICU)に入院しており、被験者全体の30日死亡率は11.3%だった。

 中枢神経系感染症と診断されたのは、57例(27.9%)・58件だった。これら58件の感染症のうち、入院先の臨床検査では検出されなかったものの、メタゲノムNGSにより同定された症例が13件(22%)あった。残りの45件(78%)のうち、メタゲノムNGSで診断が一致したものは19件だった。

 メタゲノムNGSで同定されなかった26件中、11件は血清学的検査でのみ診断、7件はCSF以外の組織検体で診断されたものだった。さらに残る8件は、CSF中の病原体の力価が低く、メタゲノムNGSでは陰性となった。

 メタゲノムNGSのみで診断された13件のうち、臨床効果が得られたと考えられたのは8件で、治療方針が提示されたのは7件だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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メタゲノム解析による中枢神経感染症の原因診断(解説:吉田敦氏)-1068

コメンテーター : 吉田 敦( よしだ あつし ) 氏

東京女子医科大学 感染症科

J-CLEAR推薦コメンテーター

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