英国で明らかになった外国人医師登録制度の改善点/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2014/05/12

 

 英国・ダラム大学のPaul A Tiffin氏らは、PLAB(Professional and Linguistic Assessment Board)試験に合格した外国人医師(英国以外の医学校卒業生)と、ARCP(Annual Review of Competence Progression)による評価を受けた英国の医学卒業生を比較する検討を行った。PLABは、外国人医師が英国で医師登録(General Medical Council:GMCに登録)をして働くための第一関門となる試験で、言語力と臨床能力がチェックされる。ARCPは、2007年8月1日に導入された臨床研修制度の評価プログラム(英国では全医師が定期的に評価を受けることになっている)で、PLAB合格者は、臨床1年目のARCP評価をクリアしているとみなされる仕組みとなっていた。BMJ誌オンライン版2014年4月17日号掲載の報告より。

英国人医師と外国人医師に対する臨床研修評価を比較
 英国では2012年現在、GMCに占めるPLAB合格者医師の割合は37%(うち27%が欧州経済領域外の卒業者)とグローバル化が進んでいるという。そうしたなかで、PLAB合格者医師について、専門性を身につけるために進学する王立大学院への合格率が低いといった傾向がみられることや、GMCに対して実地医療への適合性に関する懸念が寄せられていることから、研究グループは、PLAB制度の改善点を明らかにするため、ARCPの評価成績データと関連づけて分析する観察研究を行った。

 対象者は、ARCP評価を少なくとも1回受け2010~2012年にGMC登録医となった5万3,436人で、うち4万2,017人は英国の医学校卒業者、1万1,419人はPLAB制度を介して登録していた外国人医師だった。

 主要アウトカムは、英国で医師として登録後の、ARCP評価がより低いか高いかの確率とした。

言語力と臨床能力をいかに適正に評価できるかが課題
 対象者について、外国人医師のほうが英国医学校卒業医師(以下、英国人医師)よりも、年齢が高く、男性が多い、英国での臨床経験が短く、非白人が多く、ARCPを受けた頻度が高いという傾向があった。

 分析の結果、外国人医師は、英国人医師よりもARCP評価が低い傾向がみられた。その傾向は、性別、年齢、英国での臨床期間、人種、評価の免除で補正後も、維持されたままだった(オッズ比:1.63、95%信頼区間[CI]:1.30~2.06)。

 しかし、外国人医師のうち、PLABパート1試験(医学的知識を評価)で12分位範囲のうち最高位(合格点よりも32点以上高い)群に属する人は、ARCP評価において、英国人医師と有意な差はみられなかった。

 これらの結果から著者は、「外国人医師を登録するためのPLAB試験は、英国人医師に対する要件を満たしているとは言えないことが示された」と結論したうえで、「ARCPで明らかになった両者の臨床研修時における差をなくすためには、英語力の標準点とPLABパート2試験(14の臨床能力試験でパート1合格後3年以内に合格しなければならない)の合格点を引き上げる必要があるのかもしれない。あるいは異なるシステムを導入するという選択肢もあるだろう」とまとめている。

(朝田哲明:医療ライター)