重篤な精神疾患に対する集中型ケース管理は入院治療を低減させるか

提供元:ケアネット

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公開日:2007/08/31

 

現代の精神健康サービスでは重篤な精神疾患患者の入院期間は最小限にすべきとされており、集中型ケース管理(intensive case management)は重症精神疾患患者の不必要な入院の低減を目的とした患者管理法である。これまでに実施された集中型ケース管理の無作為化対照試験の結果は相反するものであり、入院治療を減少させたとする報告がある一方で無効とする研究もある。

 このような矛盾した結果が生じる原因については、試験の実施状況や集中型ケース管理モデルの違いなど諸説がある。イギリス・オックスフォード大学Warneford病院社会精神医学のTom Burns氏らは、これらの仮説の検証を目的に体系的なレビューを行った。BMJ誌7月13日付オンライン版、8月18日付本誌に掲載された報告。

2007年1月までのデータから無作為化対照試験を抽出


2007年1月までにデータベースに登録されたデータを検索し、地域在住の重篤な精神疾患患者に対する集中型ケース管理を標準治療あるいは低集中型ケース管理と比較した無作為化対照試験を抽出した。

積極的コミュニティー治療(ACT)モデルの遵守の評価には適合度評価基準(fidelity scale)を用いた。多施設共同試験は、施設に特異的な適合度データによって個々の施設に分離して解析した。

入院治療が多い場合に、集中型ケース管理により入院治療が有意に減少


試験前のベースラインあるいは対照群における入院治療が多い試験では、集中型ケース管理により入院治療が有意に減少した。また、ACTモデルに従って組織化されたケース管理チームによって入院治療が有意に減少したが、この知見はsensitivityが低く、ACTで推奨されるスタッフ水準は確認できなかった。

Burns氏は、「集中型ケース管理は入院治療が多い場合に最も良好に機能していた。ケース管理チームの有効度はその組織のACTモデルの導入程度が上がるに従って増大したが、スタッフ水準の上昇を示すエビデンスは低かった」と結論している。

同氏は、「すでに少ない入院治療が達成されている場合は、集中型ケース管理のベネフィットはわずかであり、またスタッフの質よりもチームの組織化が重要と考えられる。入院治療の低減を達成するには、ACTモデルを全面的に適用する必要はない可能性がある」と指摘している。

(菅野 守:医学ライター)