患者医療情報システムを活用した入院中転倒予防教育キット、転倒リスクを有意に減少

提供元:ケアネット

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公開日:2010/11/16

 

 患者医療情報システムを活用し、患者のリスクに見合った転倒予防教育キットを提供することで、入院中の転倒リスクが有意に減少することが報告された。米国ボストンを拠点とする病院経営共同体Partners HealthCare SystemのPatricia C. Dykes氏らが、1万人超の入院患者を対象に行った、多施設共同無作為化対照試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2010年11月3日号で発表した。入院中には、環境の変化や疾患・治療の影響などで、転倒リスクが増大することは知られている。一方で、医療情報技術を用いた転倒予防キットは、これが初めてのものだという。

患者個別のポスターやパンフレット、ケアに関わる人への注意事項などを提供

 研究グループは、2009年1月1日~6月30日にかけて、都市部4ヵ所の病院に入院した、1万264人を無作為に2群に分け、一方には医療情報システムを活用した転倒予防キット(fall prevention tool kit;FPTK)の提供を、もう一方には通常行われる転倒予防教育を行った。

 FPTKでは、まず看護師による患者の転倒リスク評価を行い、それに基づきFPTKソフトウェアで、患者の転倒リスクに合わせた予防プログラムを作成する。その内容としては、ベッドサイドに貼るポスター、患者向けパンフレット、ケアプランや、その患者のケアに関わる主な担当者に対する患者個別の注意事項などが提供される仕組みとなっている。

転倒率は1,000患者・日当たり約1人減、65歳以上では2人減

 試験期間は6ヵ月、延べ入院日数は4万8,250患者・日だった。その間、転倒患者数は対照群が87人に対し、FPTK群では67人と、有意に少なかった(p=0.02)。

 院内の入院部門特性で補正を行った後の転倒率は、対照群が4.18/1,000患者・日(95%信頼区間:3.45~5.06)だったのに対し、FPTK群では3.15/1,000患者・日(同:2.54~3.90)と、有意に低率だった(p=0.04)。

 FPTKは特に65歳以上の患者に対して効果が高く、対照群とFPTK群との補正後、転倒率の差異は2.08/1000患者・日(同:0.61~3.56)だった(p=0.003)。

 なお、転倒による怪我のリスクに関しては、両群で有意差はみられなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)