慢性腎臓病の早期発見に有用な「D-アミノ酸」を発見―血中および尿中のD-セリン同時測定が有効

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HealthDay News

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 いまや国民病ともいわれる慢性腎臓病(CKD)の早期診断には、血中に微量に存在するD-アミノ酸の一つ、「D-セリン」の測定が有用な可能性があることを、医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府)難治性疾患研究開発・支援センター長の木村友則氏らの研究グループが突き止めた。血中および尿中のD-セリンを同時測定するとCKDの早期診断に最も有効であったという。研究の詳細は「Scientific Reports」3月25日オンライン版に掲載された。

 CKD患者は日本国内では1300万人、世界では8.5億人に上ると推計されている。自覚症状なく進行する腎臓病は、気づいたときには透析導入を余儀なくされる患者も多く、早期発見、早期治療が課題とされている。しかし、今のところ腎機能を予測するのに有用なバイオマーカーは確立されていない。

 木村氏らはこれまで、体内にはL-アミノ酸だけでなく微量のD-アミノ酸が存在し、これが腎臓病の予後と関連することを見出していた。今回、同氏らは、CKD患者と健康な成人を対象に、血中および尿中のアミノ酸を一斉に測定するメタボローム解析を用いて、D-アミノ酸がCKDの早期発見に有用なバイオマーカーになり得るか否かを検討した。

 研究では、D-アミノ酸を正確かつ高感度に測定できる2次元HPLC(high performance liquid chromatography;高速液体クロマトグラフィー)システムを搭載したメタボローム解析装置を用いて、CKD患者11人と健康な成人ボランティア15人の血中および尿中のD-アミノ酸を測定した。

 その結果、D-アミノ酸のうちD-セリン値が腎機能(糸球体濾過量)自体と強く相関し、これらの関連は従来の腎臓病マーカーと同程度かそれ以上であることが分かった。一方、尿中のD-セリンは糸球体濾過量以外の腎機能を反映しており、血中と尿中のD-セリンを組み合わせると腎臓病を診断できる確率が向上することも明らかになった。

 これらの結果から、木村氏らは「CKDの早期診断には、体中に微量にしか存在しないD-アミノ酸であるD-セリンが有効であることが分かった」と結論。「このような診断技術を活用してCKDの早期診断、早期治療が進むことで、透析導入患者の抑制や腎臓病の個別化医療の実現、病態解明などにつながることが期待される」としている。

[2019年7月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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