5人に1人の女性が生殖補助医療後に自然妊娠

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/07/28

 

 ロンドンを拠点に活動しているセクシュアルヘルス専門医のShema Tariqさんは、卵巣予備能低下と診断され、体外受精(IVF)なしでの妊娠の可能性はほぼゼロだと告げられた。「2018年に生まれた息子を妊娠するまでに、6回のIVFが必要だった」と彼女は振り返る。「息子が生まれた後、かかりつけ医が避妊に言及したが、私たち夫婦は、自分たちには関係のない話だと笑い飛ばした。自分が自然妊娠するなんて予想だにしていなかった。私は当時43歳で、自然妊娠の可能性は1%以下だと言われていたのだから」と彼女は付け加えた。ところがその8カ月後に、Tariqさんは女の子を自然妊娠した。「それはとても素晴らしい驚きだったが、妊娠が判明した当初は、準備不足を感じ、呆然とした」と話す。

 ところが、IVFによる妊娠・出産後に自然妊娠するケースは決してまれではないことが、英ユニーバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のAnnette Thwaites氏らによる新たな研究で示された。同研究によると、IVFや卵細胞質内精子注入法(ICSI、顕微授精)などの生殖補助医療(ART)で子どもを授かった女性の5人に1人が、その後、自然妊娠を経験する可能性が示唆されたのだ。この研究の詳細は、「Human Reproduction」に6月20日掲載された。Tariqさんは、「もし、IVF後に5人に1人の女性が自然妊娠すると知っていたら、精神的にも肉体的にも準備が整うまで避妊していたと思う」と強調している。

 Thwaites氏らは今回の研究で、論文データベースから抽出した11件の研究の結果を対象にメタ解析を実施し、ARTによる妊娠・出産後に自然妊娠した女性の割合について調べた。対象者の総計は5,180人で、最長追跡期間は2〜15年にわたった。研究結果を統合して解析した結果、ARTによる妊娠を経て生児出産した後に自然妊娠した女性の割合は、約20%と推定された。追跡から2年または3年時点のデータがそろう研究を対象に解析すると、ARTを経て生児出産した後に自然妊娠した女性の割合は、それぞれ16%程度、18%程度と推定された。

 UCLのInstitute for Women's Healthで地域社会の性と生殖の健康を研究するThwaites氏は、「われわれが得た研究結果は、ARTによる妊娠・出産後の自然妊娠は決してまれではないことを示唆するものだ。これは、女性や医療専門家によって広く受け入れられ、またメディアで一般的に言われている、『(ARTを必要とする女性では)自然妊娠はまず起こり得ない』という見解とは相反するものだ」と話す。その上で同氏は、ARTによる妊娠・出産後に自然妊娠する女性は、その多くが3年以内に妊娠していることに触れ、「これは、次子を考えている女性にとっては、有用な情報だ」と述べている。

 米マウントサイナイ・ヘルスシステムの生殖内分泌・不妊部門ディレクターであるAlan Copperman氏も、「この研究結果は、家族を持ちたいと願う女性にとって示唆に富むものだ」と話す。同氏は、子どもをつくろうと考えている人に対して、不妊治療の専門医に診てもらうことを勧めている。同氏は、「必ずしもハイテク治療が必要になるとは限らない。まずは専門家の評価を受けてみることだ。そうすることで、テクノロジーを利用するかどうかを自分たちで決める際に役立つ情報を得られる」と話す。

 Thwaites氏は次のステップとして、この研究結果をさらに発展させ、不妊治療を受けた後に自然妊娠する可能性を左右する具体的な要因を解明したいと考えている。同氏は、「われわれが理解しなければならないことはまだ山積みだ」と話している。

[2023年6月22日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら