COVID-19とインフルエンザに重複感染した子どもは重篤になりやすい

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/01/20

 

 子どもが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とインフルエンザに重複感染すると、病状が深刻なものになりやすいことを示すデータが、米疾病対策センター(CDC)発行「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」12月16日号に掲載された。

 この報告に関連して、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターのMarc Siegel氏は、「昨シーズンのインフルエンザ流行は小規模だったため重複感染する小児は少なかった。しかし今シーズンは劇的に増加する可能性がある」と述べている。また、「インフルエンザに罹患している時にはCOVID-19にかからないという保証はない」と語り、警戒を呼びかけている。

 CDCのKatherine Adams氏らは、250以上の急性期病院が参加しているインフルエンザ入院モニタリングシステム「FluSurv-NET」、およびCOVID-19に関する同様のシステム「COVID-NET」のデータを用いて、昨シーズン(2021年10月~2022年4月)にインフルエンザとCOVID-19に重複感染した小児(18歳未満)の実態を調査。この期間にインフルエンザで入院した小児は575人が記録されており、そのうち32人(6%)はCOVID-19との重複感染だった。

 重複感染患児はインフルエンザのみの患児よりも重症度が高かった。例えば侵襲的人工呼吸管理が行われた割合は同順に12.5%、4.2%(P=0.03)であり、二相性陽圧換気(BiPAP)または持続陽圧呼吸療法(CPAP)が行われた割合は15.6%、6.4%だった(P=0.05)。院内死亡は記録されていなかったが、シーズン中のインフルエンザ関連死は44人報告されており、これにはCOVID-19を重複感染した小児7人(16%)が含まれていた。

 インフルエンザワクチンの接種状況を比較すると、インフルエンザのみに感染した患児では42.4%がワクチンを接種していたが、重複感染群では17.4%にとどまっていた(P=0.02)。治療に抗インフルエンザウイルス薬が用いられた割合は、インフルエンザのみの群60.0%、重複感染群53.1%で有意差がなかった。重複感染で死亡した7人は全てインフルエンザワクチンの接種を受けておらず、また抗インフルエンザウイルス薬が用いられていたのはわずか1人のみだった。なお、COVID-19ワクチンの接種状況に関する情報は入手できなかった。

 Siegel氏は、「抗インフルエンザウイルス薬が極めて効果的であるにもかかわらず、この研究の対象となった子どもたちにはあまり用いられていなかったことが悔やまれる」と述べている。また、「COVID-19に対する抗ウイルス薬も有効であり、広く使用されるべきだ」とし、さらに「子どもたちは毎年インフルエンザワクチンの接種を受けるべきで、現在の状況においてはCOVID-19ワクチンの接種も必要だ」と付け加えている。

 ワクチン接種のリスクを心配する保護者もいるが、そのような人へのアドバイスとしてSiegel氏は、「子どもにワクチン接種を受けさせるか否か、小児科医と徹底的に話し合う必要がある」と語っている。加えて、「インフルエンザやCOVID-19罹患時の重症化リスクが高い子どもには、ワクチン接種が特に重要だ」とし、具体的に「肥満や喘息、2型糖尿病、自己免疫疾患などの慢性疾患を持っている子どもがハイリスクだ」と解説。

 また同氏は、今後は毎年、インフルエンザとCOVID-19のワクチン接種を受けることが一般的になると考えられると予測。その上で、「小児の死亡者数は成人に比べれば少ない。そうではあるが、ワクチン接種に伴うリスクはウイルス感染時のリスクよりもはるかに低い」と述べている。なお、CDCは生後6カ月以降の乳児へのインフルエンザおよびCOVID-19に対するワクチン双方の接種を推奨し、またそれらが流行している時期には、小児のフェイスマスクの着用も推奨している。

[2022年12月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら