消毒剤で看護師のCOPDリスク上昇か

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2019/11/25

 

 院内感染を防ぐために使われる消毒剤などが原因で、看護師の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症リスクが高まっているとする研究結果を、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のOrianne Dumas氏らが「JAMA Network Open」10月18日オンライン版に発表した。医療機器や病院内の環境表面の消毒に使われる洗浄剤や消毒剤は、看護師のCOPDリスクの上昇と関連している可能性が示されたという。

 Dumas氏らは今回、1989年にNurses’ Health Study IIに参加した米国14州の女性看護師11万6,429人のうち、2009年の時点で看護師として働いており、かつ肺疾患がなかった7万3,262人に着目。隔年で実施した質問票調査データを用いて、2009年から2015年までの職場における消毒剤や洗浄剤への曝露とCOPDリスクとの関連について調べた。

 その結果、喫煙や喘息など結果に影響する可能性がある要因を考慮して分析しても、消毒剤や洗浄剤に含まれる複数の化学物質に曝露すると、COPDリスクが25~36%有意に高まることが分かった。これらの化学物質には、医療機器の消毒に使用されるグルタルアルデヒドと過酸化水素のほか、病院の床や家具などの表面の消毒に用いられる消毒剤から気化した漂白剤やアルコール、第四級アンモニウム化合物が含まれた。

 また、看護師のCOPDリスクは、院内の環境表面を清潔に保つためだけに消毒剤を毎週使用する女性では38%高く、医療機器の洗浄に消毒剤を毎週使う女性では31%高かった。

 Dumas氏は「これらの化学物質は気道を刺激し、COPDの発症につながる可能性がある」と説明しているが、今回は関連が認められたにすぎず、因果関係は証明されていないと話している。一方、専門家の一人で米ブルックデール大学病院のAbhishek Chakraborti氏は「これらの化学物質は他の疾患との関連も指摘されており、肺がんの原因となるものもある」と述べている。

 同じく専門家の一人で米クリーブランド・クリニックの呼吸器専門医であるWayne Tsuang氏は「職場におけるこうした化学物質への曝露によって、看護師の健康が脅かされている可能性が示された」とした上で、「患者を感染症から守るには医療機器を清潔に保つ必要があるが、同時に医療従事者の健康も守られる必要がある」と話している。

 これらの結果を受けて、Dumas氏は「消毒剤がCOPDの発症原因となるメカニズムや、看護師以外の専門職でも同様にリスクが高まるのか、一般家庭でも漂白剤などを使用すると肺疾患リスクが高まるのかといった点を解明するには、さらなる研究が必要だ」と指摘。また、病院は、看護師の健康を守るためにも蒸気や紫外線を用いたより安全性の高い滅菌法を採用するなどの対策をとるべきだと付け加えている。

 一方、前出のTsuang氏は「看護師がこれらの化学物質に曝露する機会を減らしながら、院内感染を防止して患者の安全を確保するためには、チームでのアプローチが必要かもしれない」との見方を示している。

[2019年10月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら