アスピリンにより一部のがん患者の生存率が延長か

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HealthDay News

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 家庭常備薬である低用量アスピリンやその他の抗炎症薬が、頭頸部がんおよび肺がん患者の生存率を延長させる可能性が、新たな2件の研究により示された。これらの研究を率いた米ロズウェルパーク総合がんセンター腫瘍学教授のAnurag Singh氏は、「今回の研究結果を受け、今や私たちは、追跡中のおよそ1,000人の頭頸部がん患者にこの情報を提供するとともに、抗凝固剤を使用していない限り、毎日アスピリンを服用することについて主治医と相談するよう促している」と語る。両研究は、米国放射線腫瘍学会(ASTRO2019、9月15~18日、米シカゴ)で発表された。

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は抗炎症作用、解熱作用および鎮痛作用を有する薬物の総称で、低用量アスピリンが最もよく知られている。NSAIDはまた、血小板凝集抑制作用を持つため、心筋梗塞や脳梗塞といった心血管疾患リスクを低下させるために処方されることが多い。

 第一の研究は、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)の治療として、化学療法と従来の放射線療法を受けた患者460人のデータをレビューしたもの。このうち、201人は上記の治療を受けている間にNSAIDを使用していた。その結果、NSAIDを使用していた患者では使用していなかった患者に比べ、5年生存率および10年生存率の双方が改善していたことが分かった(それぞれ、64%対56%、38%対30%)。

 第二の研究は、早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対する治療として体幹部定位放射線治療(SBRT)を受けた患者164人を対象としたもの。このうち、74人がNSAID(90%がアスピリンを使用)を併用していた。解析の結果、アスピリン使用者における全生存期間の中央値は2.4年であったのに対し、アスピリン非使用者では2年であり、2年生存率もアスピリン使用者の57%に対し、非使用者では48%であった。

 第一の研究論文の共著者の1人で、同センター支持療法部門のAustin Iovoli氏は、「抗炎症薬が、がんの治療効果に影響を及ぼしたとは思われない。それにもかかわらず、これらの薬を服用していた患者の生存期間が延びたことは非常に興味深い」と話している。

 また、第二の研究に参加した同センターのGregory Hermann氏は、「アスピリンなどのNSAIDを使用することでがん患者が恩恵を受けることを示す文献は増えつつあるが、今回の2件の研究もこうした過去の研究結果を改めて裏付けるものである」と説明している。そして、「最終的な勧告とするには、まだ臨床試験の実施が必要だが、患者には、アスピリンの使用によるリスクと潜在的なベネフィットについて医師に相談することを勧めている」と付け加えている。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。

[2019年9月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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