飲酒に起因するがんの死亡者数、20年で51%増

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/09

 

 アルコールに起因するがんによる死亡について、2000~21年で年齢調整死亡率(ASDR)は減少した一方、死亡者数は51%増加したことが、米国・Texas Tech University Health Sciences CenterのPojsakorn Danpanichkul氏らの研究により明らかになった。この傾向は社会人口統計学的指数(SDI)やがんの種類によってばらつきがみられた。Alimentary Pharmacology & Therapeutics誌オンライン版2025年4月27日号に掲載。

 本研究では、Global Burden of Disease Study 2021を分析し、アルコールに起因するがんによる死亡者数とASDR、それらの2000~21年の年変化率(APC)を、SDIに基づく地域/国別、国の開発状況別に調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・2021年における世界全体のアルコールに起因するがんによる死亡者数は34万3,370例で、2000年と比べ51%増加した。
・アルコールに起因するがんは、すべてのがん死亡の3.5%であった。
・アルコールに起因するがんのうち、がん死亡率が最も高いのは肝臓がん(27%)で、次いで食道がん(24%)、大腸がん(16%)の順となった。
・2000~21年に、アルコールに起因するがんによるASDRは減少した(APC:-0.66%)。
・地域別では、南アジアが最も急速にアルコールに起因するがんによるASDRが増加し、SDI別では低SDI国(APC:0.33%)と低~中SDI国(APC:1.58%)で上昇傾向を示した。
・がんの種類別では、早期発症(15~49歳)の口唇がんおよび口腔がんのアルコールに起因するがんによるASDRが増加した(APC:0.40%)が、他のがんでは減少した。

(ケアネット 金沢 浩子)