適量のアルコール摂取でもアミロイドβは蓄積する?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/05

 

 WHOの声明によると、人間の健康に対する安全なアルコール摂取量は存在しないとされている。しかし、アルコール摂取とアルツハイマー病の病態との関連は、依然としてよくわかっていない。ギリシャ・Harokopio UniversityのArchontoula Drouka氏らは、アルコール摂取の頻度やパターンが神経変性バイオマーカーの予測と関連するかを明らかにするため、非認知症の中年成人コホートによる検討を行った。European Journal of Nutrition誌2025年4月1日号の報告。

 対象は、ALBION試験より組み入れられた非認知症者195人。アルコール摂取頻度のサブグループ(非飲酒者、時々飲酒者、軽度〜中等度の飲酒者)、地中海食型アルコール食生活パターン順守のサブグループにおける脳脊髄液(CFS)中のアルツハイマー病バイオマーカー(タウ[Tau]、リン酸化タウ[P Tau]、アミロイドβ[Aβ])を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を実施した。分析では、非飲酒者を基準カテゴリーとして使用した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象者は、66%が女性、平均年齢65±9.4歳、教育歴13.8±3.6年であった。
・ロジスティック回帰分析では、軽度〜中等度の飲酒者(51人)は、非飲酒者(117人)と比較し、Aβ陽性率が高いことが明らかとなった(オッズ比:2.98[95%信頼区間:1.29〜6.90])。
・地中海食型アルコール食生活パターン順守率の高い人は、非飲酒者と比較し、Aβ、Tau/Aβ42比、P Tau/Aβ42比の陽性率の有意な高さと関連が認められた。

 著者らは「非認知症の中年成人では、軽度〜中等度のアルコール摂取であっても、非飲酒者と比較し、Aβ沈着率が高いことが明らかとなった。地中海食型アルコール食生活パターン順守率の高い(1週間を通じて食事と共に少量〜中程度の赤ワインを摂取する)人においては、Aβ、Tau/Aβ42比、P Tau/Aβ42比の陽性率が高かった。これらのことから、アルツハイマー病の前臨床段階であっても、飲酒マネジメントがアルツハイマー病のアウトカム改善に寄与する可能性がある」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)