プロトンポンプ阻害薬(PPI)使用者は非使用者と比べClostridioides difficile感染症(CDI)リスクが上昇することが報告されているが、これまでのメタ解析では、用量反応的な関係についての検討は行われていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMatilda Finke氏らによる用量反応メタ解析の結果、PPI投与量とCDIリスクとの関連は、正の相関を示すことが明らかになった。Journal of Infection誌オンライン版4月14日号掲載の報告。
本研究では、PubMed、Embase、Web of Science、およびCochrane Libraryを用いて、PPIとCDIに関する縦断研究を検索した。収集されたデータは、1日当たりのPPI投与量(DDD:defined daily doses)およびPPI治療期間に基づく2つの2段階ランダム効果用量反応メタ解析にそれぞれ組み入れられた。PPI非使用者と比較した補正相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)が推定された。
主な結果は以下のとおり。
・全体で15件の観察コホート研究および症例対照研究が対象となり、投与量(DDD)に基づくメタ解析に7件(n=48万3,821)、治療期間に基づくメタ解析に7件(n=51万6,441)が組み入れられた。
・バイアスリスクは中程度と評価された。
・プールされた用量反応推定値は線形傾向を示し、DDD10mg増加当たりのRRは1.05(95%CI:0.89~1.23)、PPIによる治療1日増加当たりのRRは1.02(95%CI:1.00~1.05)であった。
・両解析において残存異質性が認められたが(I2=91.4%/DDD、I2=99.4%/治療期間)、その要因の特定には限界があった。
著者らは、リスク上昇に関与する基礎的なメカニズムやCDIリスクが増加するPPI投与量の閾値については明らかになっていないとし、PPIとCDIの用量反応関係に関する、より多くのデータを基にした研究が必要としている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)