統合失調症におけるブレクスピプラゾール切り替えが成功しやすい患者の特徴

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/15

 

 高用量の抗精神病薬で治療中の統合失調症患者に対するドパミンパーシャルアゴニスト作用を有するアリピプラゾールへの切り替えは、とくに急速な切り替えを行う場合、切り替え失敗や精神症状の悪化リスクが高まる可能性があると、いくつかの研究において報告されている。このような切り替え失敗には、ドパミン過感受性状態が関連していると推測される。アリピプラゾールと同様にドパミンパーシャルアゴニスト作用を有するブレクスピプラゾールへの切り替えのリスクについては、これまで報告されていない。

 千葉大学の山崎 史暁氏らは、ブレクスピプラゾールへの切り替えの成功または失敗と関連する因子を特定するため、日本人統合失調症患者106例をレトロスペクティブに分析した。その結果、統合失調症患者における切り替えは、アリピプラゾールと比較し、ブレクスピプラゾールがより安全である可能性が示唆された。ただし、著者らは、治療抵抗性統合失調症患者では、失敗リスクが高まるため、難治性の患者にブレクスピプラゾール治療を開始する際には十分なモニタリングが必要である、としている。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2023年7月3日号の報告。

 主な結果は以下のとおり。

・ドパミン過感受性の統合失調症患者44例とそうでない患者62例を比較したところ、6週間後の切り替え失敗に有意差は認められなかった。
・切り替えが成功した患者80例と失敗した患者26例を比較したところ、治療抵抗性統合失調症患者では失敗する可能性が有意に高かった。
・ロジスティック回帰分析では、過去にアリピプラゾールへの切り替えに失敗した患者では、ブレクスピプラゾールへの切り替えが成功する可能性が高かった。
・ブレクスピプラゾールへの切り替えに成功した患者の2年間のフォローアップで、一時的ではあるが、機能の全体的評価尺度(GAF)および臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアのいくつかの改善がみられた。

(鷹野 敦夫)