治療抵抗性統合失調症患者の脳は、特徴的な所見を示す 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/06/14 統合失調症では最大3分の1の患者が治療抵抗性を示す。ブラジル・サンパウロ連邦大学のAndre Zugman氏らは非治療抵抗性および健常対照との比較で、それら治療抵抗性患者の脳皮質厚の特徴を調べた。その結果、統合失調症では特異的所見かつ、より重症であることを示す皮質厚の特徴として、背外側前頭前皮質(DLPFC)の減少がみられたことを報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年5月27日号の掲載報告。 研究グループは、治療抵抗性統合失調症における生物学的基本過程の理解を深めることは、治療改善につながる可能性があるとして本検討を行った。治療抵抗性統合失調症(SCZ)患者、非治療抵抗性SCZ患者、健常対照の3群を設定し、それぞれの患者の構造的MRIスキャン画像データを入手し検討した。スキャン画像は皮質表面モデリング(freesurferパッケージで実施)にて解析し、皮質厚の群間差異を特定した。統計的有意差は、モンテカルロシミュレーションにて評価し、補正後p<0.01とした。 主な結果は以下のとおり。 ・治療抵抗性SCZ患者は、両側性に広範囲にわたる領域(前頭・頭頂・側頭・後頭)での皮質厚の減少がみられた。 ・非治療抵抗性SCZ患者は、2つの領域(左上前頭前皮質、左尾中前頭皮質)での皮質厚の減少がみられた。 ・また、治療抵抗性SCZ患者は非治療抵抗性SCZ患者と比較して、背外側前頭前皮質(DLPFC)の減少も認められた。 ・以上の結果を踏まえて著者は、「この脳領域の変化が、治療抵抗性のいわゆるマーカーとなりうるかを調べるべきであろう」と述べ、「この仮説を検証するため、初回エピソードから治療抵抗性SCZの診断確定までを個人追跡した前向き研究が必要である」とまとめている。 関連医療ニュース 統合失調症の重症度・社会性の低下は、海馬体積の減少と関連 新知見!慢性期統合失調症患者では意志作用感が減退:慶応義塾大学 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は? (ケアネット) 原著論文はこちら Zugman A et al. Schizophr Res. 2013 May 27. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 小児心臓弁膜症、部分心臓移植は実現可能か/JAMA(2025/09/10) 「かぜ」への抗菌薬処方、原則算定不可へ/社会保険診療報酬支払基金(2025/09/10) がん患者への早期緩和ケア、終末期の救急受診を減少(2025/09/10) 双極症に対する気分安定薬使用が認知機能に及ぼす影響〜メタ解析(2025/09/10) 日本女性、出産意欲の向上に関連する要素は?/神奈川県立保健福祉大学(2025/09/10) AIによる診療記録作成で医師のバーンアウトが減少(2025/09/10) 肺切除後の肺瘻リスク、低侵襲開胸手術で軽減の可能性(2025/09/10)