日本語でわかる最新の海外医学論文|page:930

過体重・肥満の2型糖尿病患者、生活習慣介入強化では心血管リスクは低下しない/NEJM

 過体重・肥満の2型糖尿病患者に対し、生活習慣介入を強化し体重減少を図っても、心血管イベントの発生率は減少しなかったことが明らかにされた。米国・ブラウン大学ワーレンアルパートメディカルスクールのRena R. Wing氏ら「Look AHEAD研究グループ(糖尿病健康アクション)」が報告した。過体重・肥満の2型糖尿病患者には体重減少が推奨されているが、これまで体重減少が心血管疾患へ及ぼす長期的な影響について明らかではなかった。NEJM誌オンライン版2013年6月24日号掲載の報告より。

中心静脈カテーテルの末梢静脈挿入は静脈血栓症のリスクとなるか?(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(109)より-

 末梢静脈挿入の中心静脈カテーテルは増加している。理由としては、挿入が容易であること、使用法の多様性、対費用効果が高いことが挙げられる。欧米では看護師により挿入できることがコスト削減になっていると推察される。静脈血栓症は、費用、罹患率・死亡率も増加する重大な合併症で、発症率が1~38.5%と報告されている。しかし末梢静脈挿入とその他との相対危険度は解明されていない。

リウマチの異常歩行をスマホで評価できる?

 関節リウマチ(RA)患者において、歩行パターンの乱れは深刻な問題である。本研究はRA患者の歩行パターン測定におけるスマートフォンの有用性を検討するために、京都大学の山田 実氏らにより行われた。本研究は、歩行パターンの計測にスマートフォンを用いた初の研究となる。Rheumatology international誌2012年12月号の掲載報告。

たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

 スペイン・ミシェル・セルヴェ大学病院のTirso Ventura氏らは、年齢と誕生日を尋ねる2つの単純な質問が、臨床において概して認知症をルールアウトするのに有効であるという仮説について検証した。その結果、特異度および陰性適中率がほぼ100%近かったことが明らかになった。感度は約61%、陽性適中率は約45%であった。これらの結果を踏まえて著者は、「この単純な質問テストは現在までに報告された最善の方法であり、認知症のルールアウトに用いることが普遍化されるかもしれない」と述べている。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2013年6月15日号の掲載報告。

韓国人女性の髪と頭皮の変化の特性、日本やその他の国とは一部で異なる可能性

 韓国・Advanced Hair Research LaboratoryのS.N. Kim氏らは、韓国人女性の髪と頭皮の加齢に伴う変化の特性について調べた。その結果、40代以降に多様に変化する特性が示され、他国の女性の髪の変化とは一部異なる可能性が示されたことを報告した。これまでに、白人女性および日本人女性において、年齢が髪の性質に与える影響については報告があったが、韓国人女性について調べた報告はなかった。British Journal of Dermatology誌2013年6月号の掲載報告。

若年性特発性関節炎患児へのMMRワクチンブースター接種、安全性を確認/JAMA

 若年性特発性関節炎(JIA)患児への弱毒生麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチンのブースター接種について、疾患活動性を悪化することなく免疫獲得に結びつくことが、オランダ・ユトレヒト大学ヴィルヘルミナ小児病院のMarloes W. Heijstek氏らによる多施設共同無作為化試験の結果、示された。オランダではMMRブースターの定期接種(NIP)は9~10歳時に行われる。しかしMMRワクチンの安全性について、小規模の先行試験においてワクチンの風疹要因が関節炎を引き起こすことが示されていた。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告。

5-ARI、前立腺がんリスクを低減、重症がんは抑制せず/BMJ

 前立腺肥大症による下部尿路症状の治療として5α還元酵素阻害薬(5-ARI)の投与を受けた男性では、Gleasonスコア2~7の前立腺がんのリスクは低下するが、Gleasonスコア8~10のリスクには影響がみられないことが、スウェーデン・ウメオ大学のDavid Robinson氏らの検討で示された。2つの無作為化試験(PCPT試験、REDUCE試験)により、5-ARI投与は前立腺がん全体のリスクを23~25%低下させる一方で、Gleasonスコア8~10の前立腺がんのリスクはむしろ増大させることが示されている。この知見に基づき、米国食品医薬品局(FDA)は2011年、「5-ARIはより重篤な前立腺がんのリスクを増大させる可能性がある」との安全性に関する勧告を発表している。BMJ誌オンライン版2013年6月18日号掲載の報告。

腰部硬膜外ステロイド注射によって椎体骨折のリスクが増加

 腰部硬膜外ステロイド注射(LESI)は神経根障害や脊髄神経の圧迫から生じる神経性跛行の治療に用いられるが、副腎皮質ステロイドは骨形成を低下し骨吸収を促進することで骨強度に悪影響を及ぼすことが示唆されている。米国・ヘンリーフォード ウェストブルームフィールド病院のShlomo Mandel氏らは、後ろ向きコホート研究において、LESIが椎体骨折の増加と関連していることを明らかにした。

難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は?

 田中脳神経外科クリニック(鹿児島)の田中 滋也氏らは、難治性部分発作てんかんの治療にレベチラセタム(LEV、商品名:イーケプラ)を追加した場合の有用性を検討することを目的に観察研究を行った。その結果、LEVの追加は安全性に大きな影響を及ぼすことなく、有意な効果が得られることを報告した。結果を踏まえて著者は「難治性部分発作を有する患者に対して、本治療レジメンは推奨できると考えられる」と結論している。Epileptic Disorders誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。

高齢者の喘息、若年期発症と中高年発症で違いはあるのか?

 40歳以下で発症した喘息と40歳以上で発症した喘息を比べると、40歳以下で発症した喘息ではアトピー性が強く、ピークフローの測定が多く行われていた。一方、40歳以上で発症した喘息では呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が高く、重症の喘息も多いことがミシガン大学内科のAlan P. Baptist氏らにより報告された。Journal of Asthma誌オンライン版2013年6月20日号の掲載報告。

日焼け止め塗布は自動車運転中も大切

 米国・ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のDennis P. Kim氏らは、皮膚がん患者の自動車運転中のサンプロテクトについて評価した。その結果、ほとんどの患者の認識が薄かったことを報告し、「皮膚がん予防運動について、とくに運転中の日光曝露に主眼を置いた修正が必要である」と提言した。これまで、運転中のサンプロテクトに関する認識や具体的行動について調べた患者データはなかったという。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年6月号の掲載報告。

相次いで導入されるロボット支援前立腺摘除術 —国際医療福祉大学病院でも導入—

 前立腺がんなどの手術に最新型の手術支援ロボット「ダヴィンチSi」を導入する医療機関が増加している。国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原市)もその1つ。同院腎泌尿器外科では、先月27日に「ダヴィンチSi」を用いた初めての前立腺摘除術を実施したことを発表した。

急性虚血性脳卒中、迅速なt-PA開始を支持する新たなエビデンス/JAMA

 急性虚血性脳卒中患者の治療では、発症から組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)による血栓溶解療法の開始が迅速であるほど、良好な転帰が達成されることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJeffrey L Saver氏らの検討で示された。これまでに、急性虚血性脳卒中に対するt-PAの静脈内投与の効果は時間依存性であることが、無作為化臨床試験で示唆されている。一方、発症からt-PA投与開始(onset to treatment:OTT)までの時間が転帰に及ぼす影響を評価するには、いまだに症例数が十分でないため、臨床的知見の一般化可能性は確定的ではないという。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告。

新種のMERSコロナウイルスの院内ヒト間感染を確認/NEJM

 重篤な肺炎を引き起こす新種の中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome; MERS)コロナウイルス(MERS-CoV)の、医療施設内でのヒト間感染の可能性を示唆する調査結果が、サウジアラビア保健省のAbdullah Assiri氏らKSA MERS-CoV調査団により、NEJM誌オンライン版2013年6月19日号で報告された。2003~2004年のSARSパンデミック以降、呼吸器感染症の原因となる2種類の新規ヒトコロナウイルス(HKU-1、NL-63)が確認されているが、いずれも症状は軽度だった。一方、2012年9月、世界保健機構(WHO)に重篤な市中肺炎を引き起こす新種のヒトコロナウイルス(β型)が報告され、最近、MERS-CoVと命名された。現在、サウジアラビアのほか、カタール、ヨルダン、英国、ドイツ、フランス、チュニジア、イタリアでヒトへの感染が確認されているが、感染源などの詳細は不明とされる。

小児てんかん患者、最大の死因は?

 米国・ルリー小児病院(シカゴ)のAnne T. Berg氏らは、小児てんかん患者の死因とリスクについて検討を行った。その結果、神経障害または脳の基礎疾患を有するてんかんの場合は一般人口に比べて死亡率が有意に高いこと、発作関連の死亡よりも、むしろ肺炎または他の呼吸器疾患による死亡のほうが多いことを報告した。Pediatrics誌オンライン版2013年6月10日号の掲載報告。

コーヒー・紅茶の摂取量と原因別の死亡率の関係~人種によって異なる?

 コーヒーや紅茶の摂取量と死亡率は逆相関することが示唆されているが、原因別の死亡率との関係はあまりわかっていない。米国マイアミ大学のHannah Gardener氏らは、コーヒーや紅茶の摂取量と原因別の死亡率(血管関連、血管関連以外、がん、すべての原因)との関係を、多民族集団ベース研究であるNorthern Manhattan Studyでプロスペクティブに検討した。この調査では、人種によりコーヒー摂取量と血管関連死との関係が異なることが示唆された。Journal of Nutrition誌オンライン版2013年6月19日号に掲載。

イブルチニブ、再発・難治性CLLで高い長期寛解率を達成/NEJM

 ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブ(ibrutinib、国内未承認)は、再発・難治性慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療において高い有用性を示す可能性があることが、米国・オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らの検討で明らかとなった。BTKはB細胞受容体シグナル伝達系の主要コンポーネントで、腫瘍微小環境との相互作用を誘導し、CLL細胞の生存や増殖を促進するとされる。イブルチニブはBTKを阻害する経口薬で、正常T細胞には有害な影響を及ぼさないという特徴を持ち、CLL、SLLを含む第I相試験で有望な安全性と抗腫瘍効果が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年6月19日号掲載の報告。

乳児の急性細気管支炎治療、アドレナリン吸入は食塩水吸入と同程度/NEJM

 乳児の急性細気管支炎の治療について、ラセミ体アドレナリン(商品名:ボスミン)吸入は、食塩水吸入よりも有効でなかったことが示された。一方で、吸入治療戦略に関して、固定スケジュールよりも必要に応じて行うオンデマンド吸入が優れていると考えられることも明らかになった。ノルウェー・オスロ大学病院のHavard Ove Skjerven氏らが、多施設共同無作為化試験の結果、報告した。乳児の急性細気管支炎は大半はRSウイルスが原因で、入院率が高く換気補助を必要とし、致死的なこともある。治療では気管支拡張薬の使用は推奨されておらず、食塩水吸入の治療が行われることが多いが、吸入治療の効果の可能性については、薬剤の種類、投与の頻度に関するコンセンサスは得られていないのが現状であった。NEJM誌2013年6月13日号掲載の報告より。