日本語でわかる最新の海外医学論文|page:736

無症候性高度頸動脈狭窄症に対するEPD併用CASのCEAに対する非劣性を証明(解説:中川原 譲二 氏)-505

これまでの臨床試験で、遠位塞栓を予防するデバイス(EPD)を用いた頸動脈ステント留置術(CAS)は、手術による合併症の標準または高リスク患者において、頸動脈内膜剥離術(CEA)の代替として効果的な治療であることが示唆されていた。

common variantsより rare variantsなのか?(解説:興梠 貴英 氏)-504

ヒトゲノム計画は、予定より2年早い2000年にドラフトが完成し、ひとつの区切りを迎えた。その後は、ポストゲノム時代と呼ばれるようになり、その中で、生活習慣病のように「ありふれた疾患」は遺伝子のコード領域にあって機能的変化をもたらすようなまれな変異ではなく、比較的アレル頻度が高い(common)変異(single nucleotide polymorphism;SNP)が複数集積することによりリスクが高まるのではないか、つまり、common disease common variantsという仮説の下、全ゲノム的なSNP検索が多く行われた。

腎機能に基づくレベチラセタム投与量の調整:京都大学

 第2世代抗てんかん薬であるレベチラセタムは、部分発作の管理に使用される。投与量の約70%はそのまま尿中に排泄されるため、用量調節は個々の腎機能に基づくことが推奨されている。京都大学の伊藤 聡子氏らは、レベチラセタム治療のために、日常的にモニタリングされた血中濃度データを用いてレベチラセタムの母集団薬物動態モデルを開発した。Therapeutic drug monitoring誌オンライン版2016年2月24日号の報告。

帯状疱疹の急性痛、慢性疼痛の有無と関連

 慢性疼痛の存在が重度の術後痛と関連していることを踏まえ、ドイツにあるゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンのJoachim Erlenwein氏らは、慢性疼痛の非外科的急性期痛への影響を、急性帯状疱疹患者において前向きに調査した。その結果、慢性疼痛を有する患者では、帯状疱疹関連急性痛がより強く、疼痛に関連した機能障害もみられ、より長期の入院を要するなど、術後急性痛と同様の所見が確認されたという。Pain Medicine誌オンライン版2016年3月5日号の掲載報告。

ニフェジピンによるDES留置後の血管保護効果を確認

 2016年3月19日、宮城県仙台市にて開催された第80回日本循環器学会学術集会の「Late Breaking Clinical Trials/Cohort Studies III」にて、長時間作用型ニフェジピンの薬剤溶出ステント(DES)留置後の冠動脈に対する保護効果を検討した無作為化前向き試験“NOVEL study”の結果が、東北大学 循環器内科学の圓谷 隆治氏より発表された。

再挿管リスク、ネーザルハイフロー vs.従来酸素療法/JAMA

 抜管後の酸素療法について、再挿管リスクが低い患者ではネーザルハイフロー療法が従来酸素療法よりも、72時間以内の再挿管リスクが有意に低下したことが、スペイン、ビルヘン・デ・ラ・サルード病院のGonzalo Hernandez氏らによる多施設共同無作為化試験の結果、示された。これまでに、再挿管リスクの高低を問わない機械的人工換気療法を受ける重篤疾患患者の試験で、抜管後のネーザルハイフロー療法が従来酸素療法よりも酸素化を改善することは示されていた。しかし、再挿管リスクに関するデータはなかった。JAMA誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。

公表論文のp値、ほとんどが有意差あり/JAMA

 p値の記載のある抄録や論文は増加しており、そのほとんどが統計学的に有意差のある結果の報告であることが、パリ・イル・ド・フランス複雑系研究所(ISC-PIF)のDavid Chavalarias氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2016年3月15日号に掲載された。生物医学などの研究分野では、研究結果から得られる結論の伝達に、p値による統計的検定が用いられるが、p値の誤用や誤解、伝達不良への関心が高まっている。また、報告バイアス(reporting bias、「否定的な」結果とは対照的に、統計学的に有意差のある結果は優先的に公表され、強調されることによるバイアス)に関するさまざまな分野からのエビデンスが増えており、これは公表された科学文献の信頼性において重大な意味を持つ可能性があるという。

治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

 うつ病患者は、適切な第1選択の抗うつ薬治療を受けていなかった場合、誤って治療抵抗性うつ病として分類されることがある。治療レジメンへの第2選択薬の追加は、患者と医療システムの両方における負担を増加させる。米国・D'Youville CollegeのAmany K Hassan氏らは、うつ病患者が第2選択治療を開始する前に、適切な抗うつ薬治療を受けていたかを検討し、単極性 vs.双極性患者における第2選択治療の種類とうつ病重症度との関連も調査した。International journal of clinical pharmacy誌オンライン版2016年3月2日号の報告。

足動脈血管形成術、中等度CLI(重症下肢虚血)に有効性

 2016年3月19日、日本循環器学会学術集会「Late Breaking Clinical Trials/Cohort Studies III」が行われ、宮崎市郡医師会病院 仲間 達也氏が、足首以下にも病変を持つ重症下肢虚血(以下CLI:critical limb ischemia)患者に対する血行再建の臨床的意義を評価した多施設共同試験RENDEZVOUSレジストリについて報告した。

肺がん患者に分子標的治療を説明する工夫

 2016年3月16日都内にて、「薬剤耐性獲得後の治療を決定する遺伝子検査の重要性~医師は患者にどのように説明するか~」と題するセミナーが開かれた(主催:アストラゼネカ株式会社)。肺がん治療は、分子標的薬や免疫療法の出現で大きく進歩している。患者さんにも科学的に高度な内容を理解いただき、納得のうえで治療を受けてもらうための工夫が求められている。演者である岡本 勇氏 (九州大学病院呼吸器科 診療准教授)は、分子標的薬による治療例を中心に、患者説明における工夫の一端を紹介するとともに、次世代の薬への期待を述べた。

難民は精神病リスクが高い/BMJ

 難民は、統合失調症など非感情性精神病性障害(non-affective psychotic disorders)のリスクが高い。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnna-Clara Hollander氏らが、各種全国レジストリを用いたスウェーデン在住者約135万人の後ろ向きコホート研究で、明らかにした。発病リスクは類似地域からの「移民」と比べ1.7倍、スウェーデン生まれの人と比べ約3倍に上るという。先行研究で、「移民」において統合失調症などの非感情性精神病性障害のリスクが高いことが知られていたが、難民については不明であった。BMJ誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。

敗血症患者のICUでの2次感染、死亡への影響は?/JAMA

 ICUでの2次感染は、重症度が高い敗血症入室患者でより多く発生していたが、全死亡に対する寄与はごくわずかであることが、オランダ・アムステルダム大学のLonneke A. van Vught氏らが、Molecular Diagnosis and Risk Strati- fication of Sepsis(MARS)プロジェクトの一部として行った前向き観察研究の結果、示された。なお、敗血症患者のゲノム応答を調べたところ、免疫抑制は2次感染発症時に起きたことを示すものであったという。これまで、敗血症は免疫抑制を引き起こし、2次感染と死亡との関連感度を高めるのではないかと考えられていた。JAMA誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。

診療所における高リスク処方を減らすための方策が立証された(解説:折笠 秀樹 氏)-503

このRCTでは特殊なデザイン、すなわちstepped wedge designというものを用いた。通常なら、介入を与えるか与えないかの2群間比較デザインだが、それでは与えない群のほうが不利となり、しかもオープン試験なので混乱しかねないため、どの診療所にも介入は与えられるが、その開始時期をずらすという変則的デザインを用いた。

生体吸収性ステントBVSに対する期待とエビデンスの持つ意味~メタ解析の結果~(解説:上田 恭敬 氏)-502

新たに開発された生体吸収性ステント(BVS)と、現時点で最も優れた臨床成績を示している金属製薬剤溶出性ステント(DES)の1つであるXienceステントを比較した、4つの無作為化比較試験の1年時成績のメタ解析が報告された。症例数の合計は、BVSが2,164症例、Xienceが1,225症例である。

統合失調症患者の認知機能、年齢による違いを検証

 統合失調症患者における認知障害の潜在的動態は、その専門分野の文献で議論されている。最近の報告では、初回精神病エピソード後に認知機能障害のレベルが、わずかに変化することが示唆されている。ポーランド・ワルシャワ医科大学のAnna Mosiolek氏らは、患者と対照群における認知機能や臨床像の年齢群間差を検討した。BMC psychiatry誌2016年2月24日号の報告。

自分のLDLコレステロール値、まずは知ることから

 サノフィ株式会社は3月10日、LDLコレステロールとそのリスクに関するプレスセミナーを都内で開催し、山下 静也氏(りんくう総合医療センター 病院長)が、「LDLコレステロールの本当の怖さ リスクと知ることの重要性」と題して講演を行った。また、欧州動脈硬化学会が実施したコレステロールに関する国際意識調査を基に、日本とEU 11ヵ国の比較分析を行った結果を、同社の宇野 希世子氏が発表した。

長期アスピリン使用によるがん予防効果~13万6千人の前向き研究

 米国での医療従事者の2つの大規模前向きコホート研究における検討で、長期のアスピリン使用が、がん全体とくに消化管腫瘍のリスク低下に、わずかではあるが有意に関連することが認められた。また、定期的なアスピリン使用が大腸がんのかなり高い割合で予防し、スクリーニング検査によるがん予防を補う可能性が示唆された。JAMA oncology誌オンライン版2016年3月3日号に掲載。

腹部手術後の低酸素血症呼吸不全、非侵襲的換気療法が有効/JAMA

 腹部手術後に低酸素血症呼吸不全を発症した患者に対し、顔面マスクを介して行う非侵襲的換気療法は、標準酸素療法と比較して7日以内の気管再挿管の発生率が12%低下したことが示された。フランス、サン・テロワ大学病院のSamir Jaber氏らが、患者293例を対象に行った無作為化並行群間比較試験の結果で、JAMA誌オンライン版2016年3月15日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「こうした患者において非侵襲的換気療法の使用を支持する結果が示された」とまとめている。

プライマリケアでのNSAID・抗血小板薬の高リスク処方を減らすには/NEJM

 プライマリケア診療所に対し、専門家によるリスクの高い処方に関する教育や、処方の見直しが必要な患者について医師に通知する情報システム、さらにそうした処方の見直しに対する金銭的インセンティブを与えるという複合的介入で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗血小板薬に関する高リスク処方が4割ほど減り、関連する入院の発生も減少したという。スコットランド・ダンディー大学のTobias Dreischulte氏らが、34ヵ所のプライマリケア診療所を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果、明らかにした。NEJM誌2016年3月17日号掲載の報告より。