日本語でわかる最新の海外医学論文|page:581

デング熱ワクチンの有効性・リスクが明らかに/NEJM

 四価デング熱ワクチン(CYD-TDV)の有効性について、ワクチン接種前のウイルス曝露者には5年の間、重症型デング熱の発症(virologically confirmed dengue:VCD)やデング熱での入院に対する保護効果が認められたが、非曝露者では、反対に重症型VCDやデング熱による入院のリスクをより高めるとのエビデンスが確認されたという。フランス・サノフィ社サノフィパスツール(ワクチン部門)のSaranya Sridhar氏らが、有効性に関する3試験のデータを再解析し報告した。CYD-TDVの有効性試験では、ワクチン接種を受けた2~5歳児においてデング熱による過剰な入院が観察されていた。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。

地中海食は心血管イベントを抑制する/NEJM

 心血管リスクが高い集団を対象とした試験で、低脂肪食事療法に割り付けた群よりも、エキストラヴァージンオリーブオイル(EVOO)またはナッツを一緒に補充する地中海式食事療法に割り付けた群のほうが、主要心血管イベントの発生率は低いことが、スペイン・バルセロナ大学のRamon Estruch氏らによる多施設共同無作為化試験「PREDIMED試験」の結果、示された。これまで行われた観察コホート研究や2次予防試験では、地中海式食事療法の順守状況と心血管リスクについて負の相関が示されている。PREDIMED(Prevencion con Dieta Mediterranea)試験の結果は2013年にジャーナル発表されたが、無作為化割り付けに関する分析方法の不備から著者らが同論文を取り下げ、今回あらためて修正解析の結果を発表した。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。

世界の健康・福祉はどこへ向かうのか?(解説:岡慎一氏)-875

健康や福祉を維持、向上させるためにはお金がかかる。当然経済の発展とともに、健康・福祉関連の予算も増え、世界の健康・福祉は改善されてきた。Sustainable Development Goal(SDG)とは、国連に加盟するすべての国が賛同し、2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、17項目の持続可能な開発の目指すべき達成目標を掲げたものである。その中で健康・福祉はSGD-3に掲げられている。

がん免疫療法の効果に男女差はあるのか

 これまでに、免疫系の応答には男女差があるという報告があるが、性別が免疫チェックポイント阻害薬の有効性に及ぼす影響については、ほとんど知られていない。今回、イタリア・European Institute of OncologyのFabio Conforti氏らは、免疫チェックポイント阻害薬の、男女間における効果の不均一性を評価するために、システマティックレビューとメタ分析を行った。結果、免疫チェックポイント阻害薬は、悪性黒色腫および非小細胞肺がんなどの進行がん患者の全生存期間を延長するが、効果の大きさは性別に依存することが明らかになった。Lancet Oncology誌2018年6月号に掲載。

ペムブロリズマブ、進行胃がんの2次治療の初回解析/Lancet

 化学療法施行後に病勢が進行した胃・食道胃接合部がん患者のアウトカムは不良である。国立がん研究センター東病院の設樂 紘平氏らは、PD-L1陽性の進行胃・食道胃接合部がんの2次治療において、抗PD-1抗体製剤ペムブロリズマブは標準治療のパクリタキセルと比較して、全生存(OS)を改善しないことを示した(KEYNOTE-061試験)。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年6月4日号に掲載された。米国食品医薬品局(FDA)は、PD-L1の発現がみられ、プラチナ製剤またはフッ化ピリミジン系薬を含む化学療法、あるいはHER2/neu標的療法による2ライン以上の治療で病勢が進行した局所再発進行または転移を有する胃・食道胃接合部がんの患者の治療において、ペムブロリズマブの迅速承認を認可している。

臨床試験も「中国の時代!」(解説:後藤信哉氏)-874

1990年代は日本の時代であった。経済は躍進し、医学研究も積極的であった。日本は長期の経済停滞の時代に入り医学者も内向きとなって論文数も減少した。筆者は国際雑誌CirculationのEditorをしているので、中国の臨床医学研究の量と質の改善に日々圧倒されている。かつて、日本が「世界の奇跡」とされ注目されたが、今は中国が「世界の中心」として注目されつつある。

若者の約4割がネット依存…精神症状との関連は?:日本の大学生

 日本の大学生の約4割は、インターネットによって生活に問題がもたらされているという研究結果が、慶應義塾大学の北沢 桃子氏らによって報告された。筆者らは、その予測要因として、女性であること、年齢が高いこと、睡眠不足、ADHD傾向、うつ病、不安傾向が挙げられるとした。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2018年4月13日号に掲載。

小児のアトピー性皮膚炎、重症例で白内障のリスク増加

 小児のアトピー性皮膚炎(AD)患者における白内障の発症リスクに関するデータは不足している。韓国・ソウル大学のHyun Sun Jeon氏らは10年間にわたり集団ベースの後ろ向きコホート研究(縦断研究)を行った。その結果、白内障の絶対リスクはADの有無にかかわらず非常に低かったが、ADを有する小児は手術を要する白内障のリスクが高く、とくに重症の場合は白内障の発症と白内障手術の両方のリスクが高まる可能性が示唆された。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年6月7日号掲載の報告。

カフェインの早期曝露と喫煙やアルコール使用障害との関連

 小児・思春期でのカフェイン摂取は、悪影響を伴うにもかかわらず、中学生の間で広まっている。横断的研究によると、カフェイン摂取と他の物質使用障害との関連が明らかになっている。しかし、カフェイン摂取によって物質使用障害に対する脆弱性が高まる可能性については、プロスペクティブな調査が行われていない。米国・ウエストバージニア大学のAlfgeir L. Kristjansson氏らは、ベースライン時のカフェイン摂取は、アルコール摂取、酩酊、喫煙、電子タバコ使用の増加と正の相関があるとの仮説を検証した。Addiction誌オンライン版2018年4月30日号の報告。

メポリズマブは難病EGPAの治療を変えるか

 2018年6月6日、グラクソスミスクライン株式会社は、同社のメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)が、5月25日に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下「EGPA」と略す)の適応追加の承認を取得したことを期し、本症に関するメディアセミナーを都内で開催した。  セミナーでは、EGPAの診療概要ならびにメポリズマブの説明が行われた。

扁平上皮肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法でPD-L1発現問わずOS、PFS改善(KEYNOTE-407)/ASCO2018

 転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、ペムブロリズマブ単剤治療は、PD-L1発現50%以上において、化学療法と比較して、有意に全生存期間(OS)を延長した。この有効性は扁平上皮、非扁平上皮ともに認められている。一方、ペムブロリズマブと化学療法の併用は、PD-L1発現状況にかかわらず、化学療法単独に比べ、有意なOS延長効果が認められている。この有効性が確認されているのは非扁平上皮においてのみであり、扁平上皮がんにおける、ペムブロリズマブと化学療法の併用の評価は次の課題といえる。

非扁平上皮肺がんの1次治療、アテゾリズマブ追加でPFS、OS延長/NEJM

 前化学療法歴のない転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(non-Sq NSCLC)の治療において、標準治療のベバシズマブ+化学療法にアテゾリズマブを追加すると、標準治療単独に比べ、PD-L1の発現やEGFR変異、ALK変異の有無にかかわらず、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)が改善することが、米国・フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏らが実施した「IMpower150試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年6月14日号に掲載された。抗PD-L1抗体製剤アテゾリズマブは、前化学療法歴のない患者において、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法との組み合わせで有望な有効性と許容可能な安全性プロファイルを有することが報告されている。また、アテゾリズマブのがん細胞殺傷特性は、ベバシズマブによる血管内皮増殖因子(VEGF)介在性の免疫抑制の遮断作用によって増強される可能性があるという。

Stage IV胃がん2次治療、ペムブロリズマブ対パクリタキセル(KEYNOTE-061)/ASCO2018

 現在、Stage IV胃がんでは、国際的には1次治療としてフッ化ピリミジン系抗がん剤と白金製剤の併用、2次治療ではタキサン系抗がん剤のパクリタキセルと分子標的治療薬のラムシルマブの併用、あるいはパクリタキセル、ドセタキセル、塩酸イリノテカンの単剤が用いられている。

統合失調症の精神病理および認知機能障害に対する抗認知症薬に関するメタ解析

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、統合失調症に対する抗認知症薬と抗精神病薬の併用(ADD+AP)に関する二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年5月14日号の報告。

EGFR変異陽性NSCLCへのエルロチニブ、ベバシズマブ併用でOS 4年(JO25567)/ASCO2018

 EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるエルロチニブ+ベバシズマブの併用が、エルロチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、第II相試験JO25567のこれまでの解析により確認されている。同試験の生存追跡調査結果を、国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科の山本 昇氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。