日本語でわかる最新の海外医学論文|page:972

ネシーナほか2剤、米国FDAより販売許可を取得

 武田薬品工業と同武田ファーマシューティカルズUSA Inc.は26日、2型糖尿病治療剤NESINA(一般名:アログリプチン)、OSENI(アログリプチンとピオグリタゾン塩酸塩の合剤)、KAZANO(アログリプチンとメトホルミン塩酸塩の合剤)について、米国食品医薬品局(FDA)から、食事療法・運動療法で効果不十分な成人2型糖尿病の治療薬として販売許可を取得したと発表した。

糖質制限食に警鐘?-20万人以上のメタアナリシスの結果がPLoS ONE誌に発表-

 血糖を上昇させる主たる栄養素は糖質であることから、糖質制限(低炭水化物)食が流行している。これまで糖質制限食が長期予後に及ぼす影響について不明であったが、糖質制限食が死亡リスクを上昇させる危険性を示唆するメタアナリシスの結果を国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋氏らの研究グループがPLoS ONE誌に発表した。

ACL損傷患者、3年以内に再建術を受ける人は約4人に1人

 米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJamie E. Collins氏らは、膝前十字靭帯(ACL)損傷後の再建術を受けた人の臨床的特性や手術の頻度などについて調べた。これまで、厳密な調査は行われていなかったという。調査の結果、ACL損傷患者の約4人に1人が診断後3年以内に再建術を受けていることなどが明らかになった。American Journal of Sports Medicine誌オンライン版2013年1月9日号の掲載報告。

難治性双極性障害患者への併用療法は?

 双極性障害に適応を有する薬剤はいくつか承認されているが、薬物治療に奏功しないケースも少なくない。A González Isasi氏らは、難治性双極性障害患者に対し、標準的薬物治療に心理教育や認知行動療法を併用することの有用性に関して、5年間の追跡調査を行い評価した。European psychiatry : the journal of the Association of European Psychiatrists誌オンライン版2012年12月28日号の報告。

メディケアプランの5つ星評価、加入動機に反映されているのか?/JAMA

 米国のメディケア・メディケイドサービスセンターは、Medicare Advantage(民間保険会社がサービスを代行運営するプラン、通称:メディケアパートC)加入の判断指標とするために、5つ星評価プログラムを実施している。これまで同評価が加入者の判断指標として反映されているのかは調べられていなかったことから、同センターのRachel O. Reid氏らが調査を行った。JAMA誌2013年1月16日号掲載より。

降圧薬2剤併用にNSAIDsを追加併用、30日間は急性腎不全に注意が必要/BMJ

 利尿薬、ACE阻害薬あるいはARB、NSAIDsの組み合わせによる3剤併用制法は、急性腎不全リスクを増大することが、カナダ・Jewish General HospitalのFrancesco Lapi氏らによるコホート内症例対照研究の結果、報告された。リスクは、治療開始から30日間が最も強かったという。著者は、「降圧薬は心血管系にベネフィットをもたらすが、NSAIDsを同時併用する場合は十分に注意をしなければならない」と結論している。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載報告より。

アリピプラゾールの聴覚認知機能改善に対する影響は?

 これまでに、認知障害は統合失調症の中心的な症状とみなされ、認知機能は症状レベルよりも機能性アウトカムの、より良好な予測因子であることは明らかであった。また、聴覚に関する認知機能の早期異常には、ミスマッチ陰性電位(MMN)が関連することがわかっていた。中国・南京医科大学のZhenhe Zhou氏らは、これまで明らかになっていなかった統合失調症患者におけるMMNへのアリピプラゾールの効果について検討した。PLoS Oneオンライン版2013年1月号の掲載報告。

無作為化試験の報告データは、試験で得られた全データのごく一部/BMJ

 米国・カリフォルニア大学医学部のDavid L Schriger氏らは、無作為化試験における連続アウトカムの割合について調査した。臨床研究報告は、高度に選択されたデータサブセットが発表され、ジャーナルの読者に対して全部のデータセットはめったに示されない。Schriger氏らは断面研究の手法にて調査を行い、その結果、無作為化試験の連続主要アウトカムは、獲得したデータのごくわずか(<5%)しか示されていないことが確認されたという。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載の報告。

エビデンスに基づく鎌状ヘモグロビン保有新生児の推定数が明らかに

 2010年の世界の鎌状ヘモグロビン(HbS)保有患児数は、ヘテロ接合型(AS)が約547万6,000人、ホモ接合型(SS)は約31万2,000人と推算されることが、英国オックスフォード大学のFrederic B Piel氏らの検討で示された。保健医療資源の効率的な割り当てを行うには信頼性の高い罹患数の予測値を要する。鎌状赤血球症の原因であるHbSは、最も高頻度にみられるヘモグロビンの病的な遺伝子変異であり、臨床的に重要な構造的ヘモグロビン異常だが、罹患数予測値は明らかではなく、AS型およびSS型の新生児の正確な数も不明だったという。Lancet誌2013年1月12日号(オンライン版2012年10月25日号)掲載の報告。

統合失調症患者の再発を予測することは可能か?

 統合失調症は再発を繰り返すことで重症化する。もし、再発を予期することができれば、重症化を防ぐことが可能かもしれない。フランス・エクス=マルセイユ大学のLaurent Boyer氏らは、SF36やQOLIで評価したQOLにより統合失調症患者の再発を予測できるかどうかを検討した。BMC psychiatry誌2013年1月9日号の報告。

患者が語る病状にみる、線維筋痛症と慢性腰痛症の特性の違い

 スイス・ジュネーブ大学のChristine Cedraschi氏らは、患者が語る病状にみられる線維筋痛症と慢性腰痛症の特性の違いについて質的研究を行った。その結果、線維筋痛症患者の話では、高い精神的な負荷、著しい言外の暗示、理に適った問題が特徴であるのと対照的に、慢性腰痛症患者の話は、身体的なつらさや消耗、治療の無効性が強調されていたという。Pain Medicine誌2012年12月の掲載報告。

喫煙女性の死亡率は非喫煙女性の約3倍、寿命は11年短い:Million Women Study/Lancet

 英国の中高年女性喫煙者の死亡原因の3分の2が喫煙に起因し、喫煙女性の死亡率は非喫煙女性の約3倍で、寿命は10年以上短いことが、英国・オックスフォード大学のKirstin Pirie氏らが実施したMillion Women Studyで示された。喫煙はいまだに予防可能な主要死因であり、英国や米国で1940年頃に生まれた女性は、成人以降の生涯を通じて多量の喫煙をした最初の世代である。それゆえ、21世紀のいまこそが、長期の喫煙や禁煙が英国人女性の死亡率に及ぼす影響を直接的に観察可能な時だという。Lancet誌2013年1月12日号(オンライン版2012年10月)掲載の報告。

過多月経に対するレボノルゲストレル-IUS vs. 従来薬物療法/NEJM

 過多月経の治療について、レボノルゲストレル放出子宮内避妊システム(商品名:ミレーナ)(以下、レボノルゲストレル-IUS)は、トラネキサム酸などの従来薬物療法よりも、長期的な改善幅が有意に高かったことが示された。英国・ノッティンガム大学のJanesh Gupta氏らが、600人弱の女性を対象とした無作為化試験の結果、報告したもので、「重度の月経出血によるQOLへの影響を低減する効果が高かった」と結論している。過多月経はよくある問題症状だが、これまで有効な治療に関するエビデンスは限られていたという。NEJM誌2013年1月10日号掲載報告より。

うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

 うつ病では悲哀感、希望喪失、易刺激性、身体機能障害などの特徴がみられ、数週間にわたり重症の症状を呈する。また、気分変調症は軽度の抑うつ気分が漫然と続いた状態である。うつ病の治療には、精神療法、薬物療法、光線療法などがあるが、これまでの臨床的および経験的エビデンスから、適切な食事が抑うつ症状を軽減しうることが示唆されている。オランダ領アンティル・Saint James School of MedicineのFaisal Shabbir氏らは、食事が抑うつに及ぼす影響について考察した。神経伝達物質であるセロトニンの低下はうつ病の一因であるが、セロトニンの前駆体であるトリプトファンを多く含む食事の摂取が抑うつ症状の軽減に有用であることを示唆した。Neurochemistry international誌オンライン版2013年1月7日号の報告。

上部消化管出血への輸血、ヘモグロビン値7g/dL未満の制限輸血で死亡リスク半減/NEJM

 急性上部消化管出血への輸血戦略では、ヘモグロビン値7g/dL未満で輸血をする「制限輸血」のほうが、同値9g/dL未満での輸血戦略よりも、死亡リスクが約半減するなどアウトカムが良好であることが明らかにされた。スペイン・Hospital de Sant PauのCandid Villanueva氏らが900人超について行った無作為化試験の結果、報告したもので、NEJM誌2013年1月3日号で発表した。急性消化管出血への輸血について、ヘモグロビン値を基準に実施を判断する治療法については議論が分かれていた。