日本語でわかる最新の海外医学論文|page:721

ニボルマブ、頭頸部扁平上皮がんにおける患者報告アウトカムを安定化:CheckMate-141

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、プラチナ製剤による治療歴を有する再発または転移性頭頸部扁平上皮がん患者を対象に、ニボルマブと治験担当医師が選択した治療法(メトトレキサート、ドセタキセルまたはセツキシマブの1つ)を比較評価したピボタル第III相 CheckMate-141 試験の評価項目から、患者報告による生活の質に関する新たなデータを発表した。アウトカムの評価では、ニボルマブによる患者の症状と、異なる3種類の評価方法による身体機能、役割機能および社会的機能を含む機能評価に安定化が認められた。PD-L1 発現および非発現の両患者群において、治験担当医師が選択した治療法群では、ニボルマブ群と比較して、ベースライン時から15週目までの患者報告アウトカムに、統計学的に有意な悪化が認められた。さらに、ニボルマブは、治験担当医師が選択した治療法と比較して、大半の機能評価において悪化までの期間を2倍以上延長し、また、疲労、呼吸困難および不眠症の症状悪化までの期間を有意に遅延させた。これらは、欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2016)にて発表された。また、New England Journal of Medicine誌にも掲載された。

ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJM

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)で50%以上の腫瘍細胞がPD-L1陽性の患者に対し、PD-1受容体阻害薬ペムブロリズマブは、プラチナベース化学療法に比べ、無増悪生存期間を有意に延長することが示された。ドイツ肺疾患研究センターのMartin Reck氏らが、305例の患者を対象に行った第III相無作為化非盲検比較試験の結果、明らかにした。全生存期間も有意に延長し、有害事象は有意に少なかった。NEJM誌オンライン版2016年10月8日号で発表した。

HR+/HER2-乳がん、ribociclib+レトロゾールでPFS延長/NEJM

 ホルモン受容体(HR)陽性でHER2陰性の閉経後女性の進行乳がんに対して、初回全身治療として、選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害薬ribociclibとレトロゾールの併用が、レトロゾール単剤に比べて無増悪生存期間を延長することが報告された。米国・テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのGabriel N Hortobagyi氏らが、668例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、発表したもので、NEJM誌オンライン版2016年10月7日号に掲載された。

GLP-1受容体作動薬は心血管イベントを抑止しうるか(解説:吉岡 成人 氏)-603

いくつもの大規模臨床試験により、糖尿病治患者の心血管イベントを抑制するためには、発症早期からの集約的な代謝管理が有用であることが確認されている。一方、罹病期間が長く、心血管イベントを発症するリスクが高い患者やすでに心血管疾患の既往がある患者では、インスリンを中心とした薬剤で厳格な血糖管理を目指すことは、低血糖のリスクが高まり、心血管イベントを抑止しえないことも広く知られている。

安全性情報(2016年10月18日改訂指示分)

2016年10月18日改訂指示分 【成分名】 ・フルバスタチンナトリウム ・プラバスタチンナトリウム ・シンバスタチン ・アトルバスタチンカルシウム水和物 ・ ピタバスタチンカルシウム水和物 ・ ロスバスタチンカルシウム ・アムロジピンベシル酸塩・ アトルバスタチンカルシウム水和物 ・ワルファリンカリウム ・ ミコナゾール(ゲル剤・注射剤) ・イトラコナゾール ・フルコナゾール ・ホスフルコナゾール ・ボリコナゾール ・ウステキヌマブ(遺伝子組換え) ・ニボルマブ(遺伝子組換え) ・ダプトマイシン ・ペラミビル水和物

毎日5杯の緑茶で認知症予防:東北大

 生物学的研究では、緑茶の特定の構成要素が、認知神経の保護効果を有することが示唆されている。しかし、ヒトを対象とした疫学研究が十分でないため、認知症発症率に対する緑茶消費量の影響は確認されていない。東北大学の遠又 靖丈氏らは、緑茶消費量と認知症発症との関連を明らかにするため、コホート研究を行った。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年10月号の報告。

慢性腰痛患者が医師に診せない理由

 2016年10月17日(月)、塩野義製薬株式会社/日本イーライリリー株式会社主催のプレスセミナー「慢性腰痛治療の現状と課題―患者と医師の対話の中で見えてくること―」が開催された。まず、日本イーライリリー株式会社 臨床開発医師 榎本 宏之氏より、慢性腰痛に伴う痛みが患者の日常生活に及ぼす影響に関するインターネット全国調査の結果が発表された。その結果を受け、慢性腰痛治療に造詣の深い浜松医科大学 整形外科 教授の松山 幸宏氏より、慢性腰痛治療の現状や患者コミュニケーションの重要性、治療ゴール設定のポイントなどが語られた。

緑内障発症に関連するリスクアレルを特定

 原発開放隅角緑内障(POAG)は失明や視覚障害の主な原因で、POAGと視神経機能に関連するいくつかの遺伝的リスク因子が確認されている。米国・アイオワ大学のTodd E. Scheetz氏らは、Ocular Hypertension Treatment Study(OHTS)の参加者を対象に、それら遺伝的リスク因子が緑内障発症に及ぼす影響について検討した。その結果、非ヒスパニック系白人集団においてはTMCO1遺伝子型が、既知の臨床的な予測因子と同程度に緑内障と関連していることを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月1日号の掲載の報告。

子宮頸がん検診の間隔、5年以上でも安全か/BMJ

 ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性女性では、子宮頸がんおよびGrade 3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)の長期的なリスクはきわめて低いが、陽性女性ではCIN3+の長期的リスクがかなり高いことが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのMaaike G Dijkstra氏らが進めるPOBASCAM試験で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2016年10月4日号に掲載された。HPV検査およびHPV検査+細胞診の組み合わせによる子宮頸がん検診は、細胞診のみの検診よりも早期に、Grade 3のCINを検出することが示されているが、5年以上の間隔を置いた検診の安全性のエビデンスは不十分とされる。オランダでは、2017年に、HPVベースの検診プログラムにおける40歳以上のHPV陰性女性のHPVの検診間隔が、5年から10年に延長される予定だという。

統合失調症患者の性機能障害、ミルタザピンで改善

 統合失調症における性的機能不全は、抗精神病薬(とくに第1世代抗精神病薬)やSSRIなどの抗うつ薬により悪化する。ミルタザピンは、他の多くの抗うつ薬と比較し、異なる作用機序を有する抗うつ薬であり、うつ病患者のSSRI誘発性性機能障害を改善することが期待される。しかし、ミルタザピンが統合失調症患者の性機能を改善させるかは不明である。フィンランド・ヘルシンキ大学のViacheslav Terevnikov氏らは、この疑問に対し、検討を行った。Nordic journal of psychiatry誌オンライン版2016年10月5日号の報告。

低体温療法、院内心停止例に有用か/JAMA

 院内心停止蘇生後患者に対する低体温療法の施行は、通常ケアと比較して生存退院率および良好な神経学的予後について、いずれも低い可能性が、米国・Saint Luke's Mid America Heart InstituteのPaul S. Chan氏らによるコホート研究の結果、示唆された。低体温療法は、院外および院内の心停止蘇生後患者に対して施行されるが、院内心停止患者に関する無作為化試験は行われておらず、有効性に関するデータは限定的である。JAMA誌2016年10月4日号掲載の報告。

カフェイン摂取で認知症リスク低下か

 認知機能に対するカフェインの保護効果は、ヒト以外の報告で認められている。ヒトに対する研究では一貫性は示されていないが、レビューによると、カフェインの摂取と認知障害や認知症との間に良好な関係がある可能性が示唆されている。米国・ウィスコンシン大学ミルウォーキー校のIra Driscoll氏らは、65歳以上の女性を対象としたThe Women's Health Initiative Memory Studyより、カフェイン摂取と認知障害または認知症疑いの発生率との関連を調査した。The journals of gerontology誌オンライン版2016年9月27日号の報告。

6割が現在の年収額に満足―医師1,000人へのアンケート

 ケアネットでは、9月9日(金)~12日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に「医師の年収に関するアンケート」を行った。その中で、ご自身の年収額が妥当と思うかと尋ねたところ、25.1%が「そう思う」、36.4%が「ややそう思う」と回答し、6割以上の医師が、現在の年収におおむね満足していることがわかった。

医師の燃え尽き症候群、既存の治療戦略は有効か/Lancet

 医師の燃え尽き症候群(burnout)の治療では、これまでに実施された個々人に焦点を当てた介入や組織的な介入によって、臨床的に意味のあるベネフィットが得られていることが、米国・メイヨークリニックのColin P West氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年9月28日号に掲載された。米国の研修医および開業医の全国的な調査では、医師の燃え尽き症候群は流行の域に達していることが示されている。その帰結として、患者ケア、専門家気質、医師自身のケアや安全性(精神的健康への懸念や交通事故を含む)、保健医療システムの存続性への悪影響が確認されているという。

高リスク抜管後患者への高流量酸素療法、NIVに非劣性/JAMA

 高リスクの抜管後患者に対する高流量鼻カニューレ酸素療法は、再挿管および呼吸不全の予防に関して非侵襲的人工呼吸器療法(NIV)に非劣性であることが、スペイン・Hospital Virgen de la SaludのGonzalo Hernandez氏らが行った3施設604例対象の多施設共同無作為化試験の結果、示された。両療法とも再挿管の必要性を減じるが、高流量鼻カニューレ酸素療法のほうが、快適性、利便性、低コスト、付加的な生理学的機構の面で優っていた。今回の結果を踏まえて著者は、「高リスクの抜管後患者には、高流量鼻カニューレ酸素療法のほうが有益のようだ」とまとめている。JAMA誌オンライン版2016年10月5日号掲載の報告。

新しいセンサー式血糖測定器、血糖コントロールを悪化させずに低血糖を減少(解説:小川 大輔 氏)-601

糖尿病合併症の発症、進展の阻止には良好な血糖コントロールの維持と同時に低血糖の回避が重要である。とくに1型糖尿病の場合は、血糖管理のために頻回に指先を穿刺し血糖値を測定することが多いが、新しいセンサー式血糖測定器は1型糖尿病患者の福音となるかもしれない。そのような研究結果が最近Lancet誌に報告された。

双極性障害や統合失調症のバイオマーカー検出の試み:理研BSI

 双極性障害と統合失調症の診断マーカーは必要とされている。バイオマーカーの発見の遅れは、薬物治療の効果を混乱させる。理化学研究所 脳科学総合研究センターの影山 祐紀氏らは、薬物治療を行っていない双極性障害と統合失調症患者における血清バイオマーカーを同定するため、メタボローム解析を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2016年9月27日号の報告。

A群レンサ球菌咽頭炎に最良の抗菌薬は?

 咽頭スワブでのA群β溶血性レンサ球菌(GABHS)陽性者において、咽頭痛に対する抗菌薬のベネフィットは限られ、抗菌薬が適応となる場合にどの薬剤を選択するのが最良なのかは明らかになっていない。今回、オーストラリア・クイーンズランド大学のMieke L van Driel氏らが19件の無作為化二重盲検比較試験を評価し、GABHSによる扁桃咽頭炎の治療におけるセファロスポリンとマクロライドをペニシリンと比較したところ、症状消失には臨床関連の差が認められなかったことが示された。著者らは、「今回の結果から、コストの低さと耐性のなさを考慮すると、成人・小児ともにペニシリンがまだ第1選択とみなすことができる」と記している。The Cochrane database of systematic reviews誌オンライン版2016年9月11日号に掲載。