日本語でわかる最新の海外医学論文|page:562

幼児期のペットはアレルギーにどう影響

 ここ数年、わが国では猫ブームが続いている。2月22日は「猫の日」として認知され、全国で猫に関するイベント、グッズの販売などが行われている。こうしたペットは、私たちの健康にどのような効果をもたらしてくれるのだろうか。  スウェーデン・イエーテボリ大学のBill Hesselmar氏らは、幼児期からのペット飼育がその後のアレルギーリスクを軽減するか、また、ペット数とどう関係するか検討を行った。PLOS ONE誌2018年12月19日号の報告。

ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用、腎細胞がんで継続的な生存ベネフィット示す(CheckMate-214)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2019年2月14日、第III相CheckMate-214試験の最新の結果を発表した。同データでは、未治療の進行または転移のある腎細胞がん(RCC)患者において、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と低用量イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法が、引き続き長期生存ベネフィットを示した。  CheckMate-214試験は、未治療の進行または転移のあるRCC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法をスニチニブと比較評価した無作為化非盲検試験。併用療法群の患者は、ニボルマブ3mg/kgおよびイピリムマブ1mg/kgを3週間間隔で計4回投与され、その後ニボルマブ3mg/kgを2週間間隔で投与された。対照群の患者は、スニチニブ50mg/日を4週間投与後2週間休薬を病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続した。試験の主要評価項目は、中~高リスク患者における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、および奏効率(ORR)。

統合失調症患者におけるプラセボ効果~RCT複合分析

 慶應義塾大学の久保 馨彦氏らは、統合失調症患者におけるプラセボ効果を予測するため、プラセボ反応患者の特徴を調査し、プラセボによる早期改善の最適基準について探索を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌2019年2月号の報告。  抗精神病薬の二重盲検試験9件において、プラセボ群にランダム化された統合失調症患者672例のデータを分析した。6週目のプラセボ効果(PANSSスコア25%以上低下)と年齢、性別、学歴、ベースライン時のPANSS合計スコアまたはMarder 5項目スコア、1週目のPANSSスコア減少率との関連を調査するため、多重ロジスティック回帰分析を行った。また、プラセボ効果に対する1週目改善の予測力を調査した。

女性医師、外科研修の中途離脱を回避するには/Lancet

 外科医の研修プログラムを途中で辞めた女性医師を対象に、その理由を調査したところ、「休暇を取るのが困難」「同じ専門医の女性同士の交流が少ない」「支援体制の欠如」など6つの要因が浮き彫りになった。オーストラリア・Gold Coast Hospital and Health ServiceのRhea Liang氏らが、女性医師12人へのインタビューで明らかにしたもので、Lancet誌2019年2月9日号で発表した。英国とオーストララシアでは、外科専門医のうち女性医師の占める割合はわずか11%で、外科研修プログラムを途中で辞めてしまう割合も女性医師が男性医師より高いという。

MRSA保菌者、衛生教育+除菌指導で退院後感染リスク3割減/NEJM

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の保菌患者に対し、病院や介護施設を退院・退所する際、衛生教育に加えてクロルヘキシジンによる口腔洗浄や入浴などの除菌指導を行うことで、退院後1年のMRSA感染リスクが約3割減少したことが示された。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のSusan S. Huang氏らが、2,000例超を対象に行った多施設共同無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年2月14日号で発表した。MRSA保菌入院患者は、退院後の感染リスクが高いことが知られている。  研究グループは、病院や介護施設に入院・入所し、MRSA保菌が確認された被験者を無作為に2群に分け、退院・退所時に、一方には衛生管理に関する教育を、もう一方には衛生教育と除菌指導を行い、1年間追跡した。除菌指導のレジメンは、クロルヘキシジンによる口腔洗浄と入浴またはシャワー浴、ムピロシンの鼻腔内塗布(5日間を月2回、6ヵ月)だった。

感染性心内膜炎の静注抗菌薬による治療を部分的に経口抗菌薬に変更できるか(解説:吉田敦氏)-1007

感染性心内膜炎の静注抗菌薬による治療は長期にわたる。中には臨床的に安定したため、抗菌薬の静注が入院の主な理由になってしまう例もある。安定した時期に退院とし、外来で静注抗菌薬の投与を続けることも考えられるが、この場合、患者本人の負担は大きく、医療機関側の準備にも配慮しなければならない。このような背景から、今回デンマークにおいて左心系の感染性心内膜炎を対象とし、静注抗菌薬による治療を10日以上行って安定した例において、そのまま静注抗菌薬を継続・完遂するコントロール群と(治療期間中央値19日)、経口抗菌薬にスイッチして完遂する群(同17日)について、死亡率、(あらかじめ想定されていない)心臓手術率、塞栓発生率、菌血症の再発率が比較された(プライマリーアウトカム指標)。

16県が医師少数、改正医療法で是正となるか?

 全国からの「医師不足」の声に対し、医師確保計画を通じた医師偏在の解消は喫緊の課題である。医師偏在の度合いを示す新たな指標として「医師偏在指標」の導入が決まっている。2019年4月に施行される改正医療法では、都道府県が二次医療圏単位で医師偏在指標に応じ、医師少数区域・医師多数区域を設定する。医師多数/少数区域の基準値として、医師偏在指標の上位/下位33.3%が定められる方針だ(三次医療圏においても同様の基準を使用)。また、医師少数区域以外で医師の確保をとくに図るべき区域(離島、へき地など)を、別枠の「医師少数地区」として省令で定めるという。医師確保計画の終了時点である2036年までに、最も医師偏在指標が小さい医療圏においても医療需要を満たすことが目標とされる。

内科医不足、2030年には推計1万6,226人になる恐れ

 厚生労働省は2019年2月、診療科ごとに将来必要な医師数の見通しと、都道府県ごとに将来時点で推測される不足医師数の推計を公表した。  資料によると、2016年時点での不足医師数は内科で9,275人、外科で5,656人、産婦人科で2,179人、小児科で2,033人、脳神経外科で1,309人、整形外科で1,153人であり、6つの科で1,000人以上不足している状況だった。このまま医師の数が変わらない場合、5年後の2024年に不足する内科医は1万4,468人、外科医は5,831人、2030年に不足する内科医は1万6,226人、外科医は5,520人となる恐れがあるという。

高齢者うつ病発症率の潮流、10年間で減少

 うつ病の発症率における出生コホート差やそれらの説明要因に関する研究は、うつ病の病因を明らかにする可能性があり、世界的なうつ病負担を軽減するための予防戦略を最適化する一助となる。オランダ・アムステルダム自由大学のH. W. Jeuring氏らは、高齢者におけるうつ病の発症率について調査を行った。Epidemiology and Psychiatric Sciences誌オンライン版2019年1月26日号の報告。

細菌性皮膚感染症に新規抗菌薬、MRSAにも有効/NEJM

 新規抗菌薬omadacyclineの急性細菌性皮膚・軟部組織感染症への効果は、リネゾリドに対し非劣性で、安全性プロファイルはほぼ同等であることが、米国・eStudySiteのWilliam O’Riordan氏らが行ったOASIS-1試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年2月7日号に掲載された。急性細菌性皮膚・軟部組織感染症は合併症の発症率が高く、高額な医療費を要する。omadacyclineは、抗菌薬耐性株を含め、この種の感染症を高い頻度で引き起こす病原菌に活性を有する。本薬は、1日1回の経口または静脈内投与が可能なアミノメチルサイクリン系抗菌薬で、テトラサイクリン系薬剤由来の抗菌薬だが、テトラサイクリン耐性の機序である薬剤排出およびリボソーム保護を回避するという。

たった一晩の絶食が筋力低下のリスクに

 入院時の夜間絶食は、患者の筋力にどの程度影響を及ぼすのか。今回、ブラジル・Universidade Federal de Mato GrossoのWesley Santana Correa-Arruda氏らにより、成人患者を対象とした前向き臨床試験が行われた。その結果、入院中の夜間絶食により、とくに低栄養、栄養失調および高齢の患者における筋肉機能が損なわれる可能性が示された。Einstein誌2019年1月14日号に掲載。

メトトレキサート、乾癬性関節炎のない乾癬にも有用

 乾癬患者では、乾癬性関節炎の有無においてもメトトレキサートの反応性を考慮することが必要である。中国・復旦大学のKexiang Yan氏らは、メトトレキサートの乾癬治療に対する有効性と忍容性について、乾癬性関節炎を有していない乾癬患者では有害事象が少なく有効であることを明らかにした。著者は「メトトレキサートは、関節炎のない乾癬に対する1次治療として推奨される」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年1月30日号掲載の報告。  研究グループは、乾癬患者の乾癬性関節炎の有無におけるメトトレキサートの有効性と安全性を評価する目的で、2015年4月1日~2017年12月31日の期間に前向き単群試験を行った。対象者は中国の大学病院に外来通院中の乾癬患者235例で、乾癬性関節炎なし群107例、あり群128例を登録。

ネコ型ロボット、せん妄に有効

 せん妄は入院患者に多く発症し、入院期間、死亡率、および長期的な認知の転帰など負の予測因子に強く一貫している。せん妄に関連する症状としては、集中力の低下、睡眠障害、精神運動興奮、および情緒障害が含まれる。また、せん妄による行動障害の管理は困難であり、せん妄の持続期間または重症度を軽減するために、初期の身体離床、方向転換、自然な睡眠パターンを高めるための試み、およびベッドサイドのシッターなどの非薬理学的手段が提唱されているが、それらを超える確立された治療は限られている。今回、米国・Albany Medical CenterのJoshua S-M氏らは、ペット型ロボットによるICUでのせん妄患者による行動障害軽減の可能性を明らかにした。The American Journal of Medicine誌2月7日号掲載の報告。

喫煙で子宮頸がんリスクが2倍~日本人女性

 喫煙による子宮頸がんのリスク上昇を示唆するエビデンスは多いが、日本人女性における関連の強さを調べた研究はない。今回、東北大学の菅原 由美氏らは「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」において、日本人女性における喫煙と子宮頸がんリスクとの関連を系統的レビューにより評価した。その結果から、喫煙が日本人女性における子宮頸がんリスクを高めるエビデンスは確実であると結論している。Japanese Journal of Clinical Oncology誌2019年1月号に掲載。

職業レベルの高さとうつ病治療への反応率との関係

 うつ病は、就業における問題を引き起こす主な原因となる。職業的問題がうつ病の発症を促進し、回復プロセスを妨げる可能性があることを示唆するエビデンスも報告されている。イタリア・ボローニャ大学のLaura Mandelli氏らは、以前の研究において、職業レベルが高い人ほど、うつ病治療後の転帰が悪化することを報告している。今回著者らは、うつ病患者の独立したサンプルを用いて、職業レベルとうつ病治療に対する治療反応についてさらなる調査を行った。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年1月28日号の報告。

脳波に基づく麻酔薬の調節、術後せん妄を抑制せず/JAMA

 大手術を受けた高齢患者の術後せん妄の予防において、脳電図(EEG)ガイド下麻酔薬投与は、通常治療と比較して有効ではないことが、米国・セントルイス・ワシントン大学のTroy S. Wildes氏らが行ったENGAGES試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年2月5日号に掲載された。術中EEGにおける脳波の平坦化(suppression)は過剰に深い全身麻酔を示唆することが多く、術後せん妄と関連するとされる。  本研究は、EEGの脳波図に基づき麻酔薬の投与を調節するアプローチによる、術後せん妄の抑制効果の評価を目的に、単施設(米国、セントルイス市のBarnes-Jewish病院)で行われたプラグマティックな無作為化臨床試験である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。

腎疾患・CKDも遺伝子診断の時代へ!(解説:石上友章氏)-1006

本邦でも、ミレニアム・プロジェクトと題した国家プロジェクトがあり、ヒト疾患ゲノム解析が、その中の1つのプロジェクトとして採用されていた。当時は、キャピラリー・シークエンサーの時代で、逐次処理的に塩基配列を解読するため、膨大な設備と長時間の解析が必要であった。当時筆者が勤務していた米国・ユタ大学エクルズ人類遺伝学研究所には、国際的なヒトゲノムコンソーシアムの拠点があり、広いフロア一面を占めるキャピラリー・シークエンサーに感動を覚えた記憶がある。技術は進歩し、1,000ドルゲノムの時代を迎えて、個別化した全ゲノム解析が視野に入ってきた。現在では、いわゆる次世代シークエンサー(NGS)が汎用化し、これまで研究レベルであった分子遺伝学の成果が、臨床医にも手が届く時代を迎えている。今では、がんクリニカルシークエンス検査が、原発不明がんや、既存の治療に応答しない難治性がんの診療に応用されている。米国・コロンビア大学のEmily E. Groopman氏は、エクソーム解析を既知のCKDコホート計3,315例に対して行い、腎疾患・CKDにおける遺伝子診断の可能性について検討した1)。その結果は、307例(9.3%)に遺伝子診断をつけることができた。既知の原因遺伝子と疾患表現型が、必ずしも一致しない症例も少なからず認められた。

低侵襲血腫除去は保存的治療を上回るか:ランダム化試験 "MISTIE III"

 現在、欧州脳卒中協会(ESO)ガイドラインは、非外傷性の頭蓋内出血に対するルーチンな外科的介入を推奨していない。支持するエビデンスが存在しないためだという。しかし2016年に報告されたMISTIE(Minimally Invasive Surgery Plus rt-PA for Intracerebral Hemorrhage Evacuation)II試験を含むランダム化試験のメタ解析からは、保存的治療を上回る機能自立度改善作用が示唆されている。そのような状況下、2019年2月6~8日に米国・ハワイで開催された国際脳卒中会議(ISC)では、頭蓋内出血例に対する、低侵襲手術を用いた血腫除去術と保存的療法の機能自立度改善作用を直接比較したランダム化試験“MISTIE III”が報告された。両治療間に改善作用の有意差は認めなかったが、血腫縮小に奏効した例では保存的治療に勝る改善作用が示唆される結果となった。7日のMain Eventセッションにて、Daniel F. Hanley氏(ジョンズ・ホプキンス大学、米国)とIssam A. Awad氏(シカゴ大学、米国)が報告した。

白内障手術に新たなデバイス、国内初の技術で負担軽減に期待

 2019年2月4日、日本アルコン株式会社は、同日正式発売となった自動プリロード眼内レンズデリバリーシステム「Clareon AutonoMe」に関する、メディアセミナーを開催した。その中で、医療法人社団ライト 理事長の荒井 宏幸氏は「国内初導入!最先端白内障治療用眼内レンズのすべて」と題して、白内障手術における術式の歩みや、眼内レンズの挿入を自動化することのメリットなどについて講演を行った。  白内障を発症すると、角膜内の水晶体が濁ってくることで光が通りにくくなり、最終的に失明に至るため、水晶体の交換が必要となる。その際、角膜を切開し、眼内レンズ(IOL)を挿入する必要があるが、IOLおよびIOLを挿入するのに用いるインジェクターの進歩に伴い、必要となる切開創の長さが年々短くなってきている。20年前は角膜を半周程度切開して、IOLを挿入する必要があったが、現在では2~3mm程度の切開創から折りたたまれたIOLを挿入する術式が主流となっており、日帰り手術の施行も可能となっている。

医療機関の働き方改革に関するセミナー開催のご案内

 昨年成立した「働き方改革関連法」では、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の年5日の取得義務化などが盛り込まれ、今年4月以降順次施行される。法改正により医療機関の経営者・管理者に求められる対応や、労基署による医療機関への勧告の状況など、勤務環境改善に関わる最新の動向を紹介する2つのセミナーが開催される。  両セミナーでは厚労省「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員を務める馬場 武彦氏(馬場記念病院病院長、社会医療法人ペガサス理事長)や、福島 通子氏(塩原公認会計士事務所特定社会保険労務士)らが登壇し、「医療従事者の働き方改革」をテーマとした講演、事例発表などが予定されている。概要は以下の通り。