日本語でわかる最新の海外医学論文|page:490

COVID-19、水際対策のあるべき姿とは

 “検疫における水際対策を一層徹底する”という内閣総理大臣からの指示がなされ、報道でも水際対策の強化が取り上げられている。2月13日に開催されたメディア・市民向けセミナー「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応」において、加來 浩器氏(防衛医科大学校防衛医学研究センター 広域感染症疫学・制御研究部門教授)がその対策の真意を語った(主催:日本感染症学会、日本環境感染学会、FUSEGU2020)。

ドウベイト配合錠の未治療HIV感染症患者に対する2剤治療は患者負担を軽減させるか

 2020年1月31日、ヴィーブヘルスケア株式会社は、同日発売となった抗ウイルス化学療法剤「ドウベイト配合錠」(一般名:ドルテグラビルナトリウム・ラミブジン)に関するメディアセミナーを開催した。その中で、ヒトレトロウイルス学共同研究センター熊本大学キャンパスの松下 修三氏が、「HIV/AIDS いまどうなっている?」と題して講演を行った。  ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に対する、多剤併用療法(ART)は、異なる機序の薬剤を併用してHIVの量を減少させる。これまで未治療のHIV感染症患者には、一般的に、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)、プロテアーゼ阻害薬(PI)、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)の中から「キードラッグ」として1剤と、「バックボーン」として核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤とを組み合わせた3剤を併用し、治療を実施していた。

SCRUM-Japan第三期プロジェクト、FoundationOne Liquidの利用契約/中外・FMI

 ファウンデーションメディシン社(FMI)および中外製薬は、国立がん研究センターと、国内最大規模の産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」の第三期プロジェクトにおいて、リキッドバイオプシー検査FoundationOne Liquidの利用に関する契約を締結したと発表。国内およびアジアを対象とした幅広い地域で、医療機関と連携しゲノムスクリーニングを行うことで、革新的なバイオマーカーを用いたがん治療における個別化医療の高度化の促進を目指す。

【延期:日時未定】ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2020 in 東京~

【開催延期のお知らせ】 2020年2月18日付で案内いたしました大腸がん疾患啓発に係る市民公開講座 「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと 2020 in 東京」 につきまして、今般の新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、開催が<延期>されることになりました。今後の開催予定につきましては、随時、下記ホームページ等にてお知らせします。(2月21日) https://www.cancernet.jp/28277

統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識欠如との関係~メタ解析

 最近の研究では、統合失調症患者において、顔の感情認識の欠如が一般的に認められていると報告されているが、その理由についてはよくわかっていない。英国・ブリストル大学のDavid Martin氏らは、統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月11日号の報告。  統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連についての研究を、システマティックにレビューした。利用可能で十分なデータを有する研究のメタ解析を行い、それ以外の研究はナラティブレビューを行った。一般化および特定の顔の感情認識の欠如に対してメタ解析を実施した。

AIによる大腸がん転帰の予測マーカーを開発/Lancet

 ノルウェー・オスロ大学病院のOle-Johan Skrede氏らは、ディープラーニング(深層学習)を用いて、従来の病理組織画像から大腸がんの転帰を予測するバイオマーカー(DoMore-v1-CRC)を開発し、その臨床的有用性を確認した。研究の成果は、Lancet誌2020年2月1日号に掲載された。早期大腸がん患者を層別化して補助療法を適切に選択できるようにするには、より優れた予後マーカーが必要とされる。この研究で確立されたマーカーは、StageII/IIIの患者を十分に明確な予後グループに層別化した。これにより、きわめて低リスクのグループの治療を回避し、より強力な治療レジメンから利益を得る患者を特定することで、補助療法の選択の指針として有用となる可能性があるという。

静注鉄剤による鉄欠乏性貧血治療、IIM vs.FCM/JAMA

 経口鉄剤に不耐・不応の鉄欠乏性貧血患者における静注鉄剤による治療では、iron isomaltoside(IIM、現在はferric derisomaltoseと呼ばれる)はカルボキシマルトース第二鉄(FCM)と比較して、低リン血症の発生が少ないことが、米国・デューク大学のMyles Wolf氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月4日号に掲載された。静注鉄剤は、鉄欠乏性貧血の迅速な改善を可能にするが、これらの製剤は線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に関連する低リン血症を誘発する場合があるという。

日本人COVID-19の特徴、診療第一線医師が語る

 2月13日、「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応」と題したメディア・市民向けセミナーが開催された。感染症専門医4名が対応策について講じ、そのなかで、忽那 賢志氏(国立国際医療研究センター 国際感染症対策室医長)は、今回の日本で明らかにされた臨床像の特徴として、「発症から数日~1週間くらい『かぜ』のような症状が続き7割くらいの症例で肺炎を伴う、肺炎症例では胸膜下のすりガラス影~浸潤影が見られる」などの特徴を述べた(主催:日本感染症学会、日本環境感染学会、FUSEGU2020)。

新型肺炎は母子感染するのか?妊婦9例の後ろ向き研究/Lancet

 中国・武漢市を中心に世界規模で広がっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。これまでの研究では一般集団における感染ルートの検証が行われてきたが、妊婦のデータは限定的だ。武漢大学中南医院産婦人科のHuijun Chen氏らは、新型コロナウイルス陽性と確認された妊産婦について、臨床的特徴と垂直感染の可能性について検証した。Lancet誌オンライン版2月12日版に掲載。  本研究では、2020年1月20日~31日、武漢大学中南医院に入院した患者のうち、COVID-19と診断された妊産婦9例について、臨床記録、検査結果および胸部CT画像を後ろ向きにレビューした。垂直感染を裏付ける根拠として、羊水、臍帯血、新生児の咽頭スワブおよび母乳サンプルが採取された。

最適な抗うつ薬投与量~システマティックレビュー

 固定用量で行われる抗うつ薬の試験では、承認された用量の中でも低用量で有効性と忍容性の最適なバランスが実現されている。副作用が許容される範囲内での抗うつ薬の増量がベネフィットをもたらすかについて、京都大学の古川 壽亮氏らが検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年12月31日号の報告。  急性期うつ病治療に対するSSRI、ベンラファキシン、ミルタザピンを検討したプラセボ対照ランダム化試験をシステマティックにレビューした。主要アウトカムは治療反応とし、うつ病重症度の50%以上減少と定義した。副次アウトカムは、有害事象による脱落および何らかの理由による脱落とした。

低脂肪食で乳がん死亡リスクは減るか~無作為化比較/JCO

 食事による脂肪摂取量と乳がんの関連について、観察研究では結果が一貫していない。米国・Harbor-UCLA Medical CenterのRowan T. Chlebowski氏らは、乳がん発症における低脂肪食の影響を検討したWomen's Health Initiative(WHI)Dietary Modification(DM)試験の追加解析で、乳がん後の死亡リスクとの関連を検討した。その結果、閉経後女性において、野菜、果物、穀物の摂取を増やした低脂肪の食事パターンが、乳がんによる死亡リスクを減らす可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年2月7日号に掲載。

“勤務医の労働時間通算”に、現場の半数が反対

 厚生労働省は、医師の働き方改革の推進に関する検討会において、複数の医療機関で勤務する医師の労働時間を通算し、上限を規制する取りまとめ案を出している。これを受け、日本医師会は「医師の副業・兼業と地域医療に関する日本医師会緊急調査」を行った。アンケートは、全国の病院8,343施設を対象にWebで行われ、3,713施設(44.5%)から回答を得た。

COPD、在宅呼吸器療法と臨床転帰との関連は?/JAMA

 高二酸化炭素血症を伴う慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、在宅での二相性気道陽圧(BPAP)による非侵襲的陽圧換気(NIPPV)はデバイスなしと比較して、死亡リスク、全入院および挿管リスクの低下と関連し、QOLについて有意差はなかったことが、また非侵襲的在宅人工呼吸(HMV)はデバイスなしと比較して、入院リスク低下と有意に関連し、死亡リスクに有意差はなかったことが示された。米国・メイヨー・クリニックEvidence-based Practice CenterのMichael E. Wilson氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。COPD増悪に対する院内NIPPVの使用は確立されているが、高二酸化炭素血症を伴うCOPDにおける在宅NIPPVとアウトカムの関連については不明であった。JAMA誌2020年2月4日号掲載の報告。

日焼けマシンの論文、業界と関連あると肯定的?/BMJ

 日焼けマシンに関する論文の大半は業界の資金提供を受けていないが、日焼けマシン業界と経済的関係が認められる論文は、日焼けマシンを支持する傾向が認められるという。米国・スタンフォード大学のLola Adekunle氏らが、日焼けマシン業界との経済的関係および日焼けマシンに関する論文の結論との関連性を検証したシステマティックレビューの結果を報告した。日焼けマシンに関する科学的論文で、危険性や有益性に注視したものはあるが、資金源と論文の結論との関連性については十分検証されていなかった。結果を踏まえて著者は、「公衆衛生専門家や研究者は、日焼けマシンに関するエビデンスを解釈する際、業界からの資金提供を考慮する必要がある」と提言している。BMJ誌2020年2月4日号掲載の報告。

日本環境感染学会が「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド」公開

 新型コロナウイルスの感染者は世界的に増加しており、わが国でも行政や民間の連携の下、さまざまな感染防止、封じ込めに向けて施策が行われている。  こうした状況の中、日本環境感染学会(理事長:吉田正樹)は、医療機関に向けて「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」を2月12日に発表し、日本環境感染学会のサイトで公開を始めた(現在は第2版を公開中)。  本ガイドは、今回の新型コロナウイルスが拡大した場合の国内の医療現場の混乱を防ぎ、適切な対応が取られることを目的に作成され、一般の医療機関のほか、高齢者介護施設でも感染対策として参考にできるとしている。ただ、本ガイドの内容は日本環境感染学会が示した1つの目安であり、各施設の状況に応じ具体的な対応を決めることが重要である。ガイドの内容は随時アップデートされる予定。

長期透析中AF患者へのDOAC、臨床的メリットは

 脳卒中リスク低減のため、心房細動(AF)には直接経口抗凝固薬(DOAC)が推奨されているが、長期間に渡って透析治療を受けている患者は出血リスクが高く、臨床的メリットは不明である。米国・マウントサイナイ・ベスイスラエル病院の工野 俊樹氏らは、長期透析中のAF患者に対するDOACの有効性および安全性についてネットワークメタ解析の手法を用いて調査を行った。Journal of American College of Cardiology誌オンライン版2020年1月28日号に掲載。

治療抵抗性統合失調症を予測するための症状

 治療抵抗性統合失調症(TRS)を予測する症状を早期に発見することができれば、クロザピンなどによる治療の早期開始に役立つ可能性がある。ブラジル・サンパウロ連邦大学のBruno B. Ortiz氏らは、TRSを予測する症状パターンを特定するため、探索/複製研究デザインを用いて、調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月16日号の報告。  統合失調症入院患者のコホート研究より164例をフォローアップした。ロジスティック回帰を用いて、TRS患者のベースライン時の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の中で最も影響を及ぼす項目を特定した。特定された症状の複数の組み合わせ予測パターンをテストするため、Receiver Operating Characteristic(ROC)解析を用いた。同項目の組み合わせについて、統合失調症外来患者207例の独立した複製サンプルとのテストを行った。

成人後に5kg増えると閉経前乳がんリスクは?~63万人のプール解析

 女性は成人初期以降に体重が大きく増減することがある。これまでに体の大きさと閉経前乳がんリスクとの関係は報告されているが、体重変化と閉経前乳がんリスクとの関係は不明である。今回、英国・The Institute of Cancer ResearchのMinouk J. Schoemaker氏らが、17件の前向き研究の個人データをプール解析したところ、成人初期の体重に関係なく、成人初期から45〜54歳までの体重増加が閉経前乳がんリスクの低下と関連することが示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年2月3日号に掲載。

米国2019-nCoV感染1例目、発熱・咳症状9日目に肺炎/NEJM

 中国・湖北省武漢市でアウトブレークが始まった新型コロナウイルス「2019-nCoV」は、瞬く間に拡大し複数の国で新たな感染例の確認が報告されている。米国疾病管理予防センター(CDC)のMichelle L. Holshue氏らは、2020年1月20日に米国で確認された1例目の感染例について、疫学的および臨床的特徴の詳細をNEJM誌オンライン版2020年1月31日号で発表した。その所見から、「本症例で鍵となるのは、パブリックな注意喚起を見た後に患者が自発的に受診をしたこと、患者の武漢市への渡航歴を地域の医療提供者および郡・州・連邦の公衆衛生担当官が共有し、感染拡大の可能性を認識して、患者の迅速な隔離と検査および入院を許可したことだ」と述べ、「本症例は、急性症状を呈し受診したあらゆる患者について、臨床家が最近の渡航歴または病人との接触曝露歴を聞き出し、そして2019-nCoVのリスクがある患者を適切に識別し迅速に隔離して、さらなる感染を抑制する重要性を強調するものである」とまとめている。