日本語でわかる最新の海外医学論文|page:931

スタチン薬による糖尿病発症リスクの検討/BMJ

 スタチン薬について示唆されていた糖尿病の新規発症リスクについて、格差があることが明らかにされた。カナダ・トロント総合病院のAleesa A Carter氏らが、オンタリオ住民150万人以上の医療記録をベースとした研究の結果、プラバスタチン(商品名:メバロチンほか)と比較して、より効力の高いスタチン薬、とくにアトルバスタチン(同:リピトールほか)とシンバスタチン(同:リポバスほか)でリスクが高い可能性があることを報告した。BMJ誌オンライン版2013年5月23日号掲載の報告より。

糖質コルチコイド短期投与、COPD増悪例の急性再増悪を抑制/JAMA

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪例に対する糖質コルチコイド全身療法の5日間投与は、再増悪の抑制効果に関して14日投与に対し非劣性であり、ステロイド曝露量は有意に低下することが、スイス・バーゼル大学病院のJorg D Leuppi氏らが実施したREDUCE試験で示された。COPDでは頻回の増悪により死亡率が上昇し、スイスのプライマリ・ケア医ベースのCOPDコホートの検討では約23~25%が1年以内に薬物療法を要する増悪を経験することが知られている。COPDの国際的ガイドラインは、急性増悪時の糖質コルチコイドによる全身療法の治療期間は7~14日を推奨しているが、至適な用量や治療期間は不明だという。JAMA誌オンライン版2013年5月21日号掲載の報告。

H.pylori血清学的動態に関連する遺伝子座の同定(コメンテーター:上村 直実 氏、溝上 雅史 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(104)より-

 Julia Mayerle氏らは、欧米人集団を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)およびexpression-QTL(eQTL)解析により、TLR-1遺伝子がヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)感染に対する抵抗性と関連することを明らかにした(rs10004195、p=1.42×10-18、オッズ比:0.70)。本報告では、はじめに抗ヘリコバクターピロリ血清抗体価が高い群2,623検体と低い群7,862検体を用いて2つのGWASを独立に実施した上で、メタ解析によりTLR遺伝子を含む遺伝子領域(4p14)を同定した。

統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター

 統合失調症患者に対し抗精神病薬は、単剤かつ適切な用量で使用されるべきである。国立精神・神経医療研究センターの藤田 純一氏らは、抗精神病薬を必要に応じて追加することで、過量投与や多剤併用リスクを増加させるかを検討した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年5月28日号の報告。

性格特性の主要5因子と痛覚感受性の関連について

 痛みに対する反応には個人差があり、その要因として年齢、性別、人種などの人口統計学的特性や性格を含む心理的要因に加え、痛覚感受性における遺伝的影響が考えられるが、まだ十分に解明されていない。ノルウェー・オスロ大学のOlav Vassend氏らは、双生児を対象とした研究で、熱痛覚強度より寒冷昇圧疼痛強度のほうが表現型的にも遺伝的にも性格素因との関連が示唆されることを明らかにした。Pain誌2013年5月号(オンライン版2013年1月29日号)の掲載報告。

脱毛症が糖尿病・心臓病による死亡の予測因子に?

 男性型脱毛症(AGA)は、男女共に、糖尿病や心臓病による死亡の独立した予測因子であることが、住民ベースの前向きコホート研究の結果、明らかにされた。Lin-Hui Su氏らが台湾で行った研究の成果を報告したもので、「本所見は、中等度~重度のAGA患者では、糖尿病や心臓病のリスク因子に識別するものとして、メタボリックシンドロームの有無にかかわらず、重大な意味を持つ可能性がある」と結論している。JAMA Dermatology誌2013年5月号の掲載報告。

アレルギーのフェノタイプがCOPDに及ぼす影響は?

 COPDと喘息は、いずれも種々の外来因子(アレルゲン、喫煙など)に肺組織が反応する病態である。オランダ仮説のように、これら2つの疾患は気道組織の傷害に対する感受性が亢進し、気道リモデリングが起こりやすいという共通病態に基づいた症候群であり、両疾患は単に表現型の違いを見ているにすぎないとする考え方もある。

検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク

 南オーストラリア大学のNicole Pratt氏らは、AsPEN (Asian Pharmacoepidemiology Network)の一環として、抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスクを評価した。本研究では、日本を含む世界各国約2億人のデータを用いた。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2013年5月21日号の掲載報告。

若年者への低線量CT検査、発がんリスク増大/BMJ

 CT検査を受けた若年者における発がんの原因のほとんどは、検査による放射線被曝である可能性が、オーストラリア・メルボルン大学のJohn D Mathews氏らの調査で示された。1980年代以降、CT検査の施行率は実質的に上昇している。高線量の電離放射線被曝は発がんの原因となることが知られているが、低線量のCTスキャン(1臓器当たり5~50mGy)の発がんリスクは不明である。最近、英国でCT検査を受けた18万人の若年者の検討で、線量の増加に伴って白血病や脳腫瘍のリスクが増大することが示されていた。BMJ誌オンライン版2013年5月22日号掲載の報告。

dupilumab、好酸球数増多を伴う喘息患者の増悪を抑制/NEJM

 新たな抗体医薬dupilumabは、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2刺激薬(LABA)でコントロール不十分な好酸球増多を伴う中等症~重症の持続型喘息患者の治療において、これらの併用薬を中止後もプラセボに比べ増悪を高度に抑制することが、米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らの検討で示された。dupilumabはインターロイキン(IL)-4受容体のαサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT(Th2)細胞経路の主要なサイトカインであるIL-4およびIL-13双方のシグナル伝達を遮断することから、Th2細胞経路関連疾患の治療薬としての評価が進められている。本報告は第109回米国胸部学会(ATS、5月17~22日、フィラデルフィア)で発表され、NEJM誌オンライン版2013年5月21日号に掲載された。

うつ病や不安障害患者は、季節性の症状変化を実感!

 うつ病や不安障害患者は健常人に比べて季節性の変化を実感しやすく、とくに冬期に“気分の落ち込み”を感じる割合が多いことが、オランダ・フローニンゲン大学のWim H. Winthorst氏らによる調査の結果、明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「医師は、季節が患者の健康 状態に影響を及ぼしうることを考慮に入れるべきである」と結論している。一般集団および精神疾患患者を問わず、気分や行動の季節的な変化は一般的と考えられている。しかしこれまでの研究では、この季節性があまり考慮されていない可能性があることから、Winthorst氏らは、気分や行動の季節性に焦点を絞った検討を行った。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年5月21日号の掲載報告。