日本語でわかる最新の海外医学論文|page:181

天候や天気の変化で身体の不調を感じる人は6割超/アイスタット

 梅雨の時期や台風、季節の変わり目では、気圧や天気の変化により頭痛や関節痛など身体に不調を起こす「気象病(天気痛)」が知られ、次第に市民権を得つつある。最近では天気予報でも気圧予報がレポートされ、身近なものとなっている。  こうした気象病の実態と日常生活での関連を調査するためにアイスタットは、「気象病(天気痛)に関するアンケート」を6月に行った。

感情認識・表現療法はCBTよりも慢性疼痛の軽減に効果的

 高齢者の慢性疼痛に対する治療法として、新しいタイプの心理療法が現行の標準的な治療法である認知行動療法(CBT)よりも効果的な可能性のあることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部精神医学・生物行動科学のBrandon Yarns氏らが実施したランダム化比較試験(RCT)で示された。米国の退役軍人を対象とした同試験では、CBTを受けた人と比べて感情認識・表現療法(EAET)と呼ばれる治療を受けた人では慢性疼痛が有意に軽減し、軽減効果がより長期にわたって持続したという。詳細は、「JAMA Network Open」に6月13日掲載された。

低用量コルヒチン、脳梗塞の再発を予防せず/BMJ

 軽症~中等症の非心原性脳梗塞または一過性脳虚血発作の急性期患者の治療において、プラセボと比較して抗炎症薬コルヒチンの低用量投与は、90日以内の脳卒中再発リスクを減少させず、重篤な有害事象の発生にも差はないことが、中国・首都医科大学のJiejie Li氏らCHANCE-3 Investigatorsが実施した「CHANCE-3試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2024年6月26日号に掲載された。  CHANCE-3試験は、中国の244の病院で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照試験であり、2022年8月~2023年4月の期間に患者を登録した(中国国家重点研究開発計画などの助成を受けた)。

チルゼパチド、閉塞性睡眠時無呼吸の肥満者の睡眠アウトカムを改善/NEJM

 中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満のある患者の治療において、プラセボと比較してチルゼパチド(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド[GIP]とグルカゴン様ペプチド1[GLP-1]の受容体作動薬)は、無呼吸低呼吸指数(AHI)の改善とともに体重減少をもたらし、良好な睡眠関連の患者報告アウトカムを示すことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAtul Malhotra氏らSURMOUNT-OSA Investigatorsが実施した「SURMOUNT-OSA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月21日号で報告された。

分散型治験スタート、説明・同意もオンラインで/アムジェン・MICIN・聖マリアンナ医大

 オンライン診療等を手掛けるMICINとアムジェン、聖マリアンナ医科大学病院は、分散型臨床試験(DCT)で協業している。6月、MICINが提供するDCTプラットフォーム「MiROHA(ミロハ)」の「eConsent」(オンライン同意システム機能)を使用し、初めて遠隔で患者への治験の説明を行い、参加同意を得たことを発表した。  がんの治験は、実施する医療機関ががんセンターや大学病院など中核病院に限られ、通院の負担から遠方の患者が参加できない、という問題があった。今回「MiROHA」を使用するのは、アムジェンが実施する未治療の進行がんに対する企業治験。発現頻度が低いバイオマーカーを対象としているため対象患者の絶対数が少なく、スクリーニングでの脱落率も高いことが予想されるため、広いエリアから患者を集める必要がある。DCTシステムで治験実施医療機関と関連病院をつなぎ、遠隔でインフォームド・コンセントを実施。患者は治験実施医療機関を直接受診することなく、紹介元の病院にいながら治験の説明を受け、参加同意までオンラインで行うことができるようになった。

未治療統合失調症患者におけるメタボリックシンドローム有病率と関連因子

 メタボリックシンドローム(MetS)は、心血管疾患特有のいくつかのリスク因子を含む疾患であり、統合失調症患者では頻繁に発症する。中国・Wuhan Mental Health CenterのSuoya Hu氏らは、抗精神病薬未使用の統合失調症患者におけるMetSの発症と重症度に影響を及ぼす因子を明らかにするため、本研究を実施した。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2024年5月22日号の報告。  対象は、2017年2月〜2022年6月に中国中部最大の精神科専門施設に入院した抗精神病薬未使用の18〜49歳の統合失調症患者668例。対象患者の社会人口統計学的および一般臨床データを収集した。精神病理スコアおよび重症度の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および臨床全般印象度の改善度(CGI-I)をそれぞれ用いた。MetSスコアは、重症度を判断するため算出した。

熱中症も白内障リスクを高める可能性~紫外線対策も重要

 今夏も高温の日が続くことが予想されている。紫外線が眼病リスクを高めるという報告はこれまでも多くされてきたが、紫外線だけでなく、環境温度や熱中症の既往も白内障リスクを高める可能性があるという。2024年6月にジョンソン・エンド・ジョンソンが行ったプレスセミナーにおいて、金沢医科大学 眼科学講座 主任教授 佐々木 洋氏が「紫外線と高温環境が目に与える影響と対策」と題した講演を行い、これまで佐々木氏らの研究グループが行った調査データをまとめて報告した。

肺の中を泳ぐマイクロロボットが抗がん薬を効率的に投与

 肺の中を泳いで進み、抗がん薬をがん細胞に直接投与できる、極めて微小なロボット(マイクロロボット)の開発に関する研究成果が報告された。肺転移のあるメラノーマのマウスを用いた初期の試験で、このマイクロロボットによる治療によりマウスの平均生存期間が延長することを確認できたという。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)化学・ナノ工学教授のLiangfang Zhang氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に6月12日掲載された。Zhang氏は、「マイクロロボットは、命に関わるさまざまな肺の病気と闘うために、肺組織全体に治療薬を積極的かつ効率的に送達できるプラットフォーム技術だ」と話している。

座位時間を減らすことが健康的な老化につながる

 テレビは、ついだらだらと見てしまうものだが、健康的な老化のためにはソファーに座っている時間は短い方が良いことを明らかにした研究結果がまた1件報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院疫学分野のMolin Wang氏らによる研究で、詳細は「JAMA Network Open」に6月11日掲載された。  この研究は、Nurses' Health Studyに参加した4万5,176人の女性の20年間の追跡データを用いて、座位行動および低強度の運動(light-intensity physical activity;LPA)と健康的な老化との関連を調査したものである。全参加者が1992年時点で50歳以上であり(平均年齢59.2歳)、慢性疾患は持っていなかった。座位行動の指標として、座位でテレビを見ている時間、座位で仕事をしている時間、その他の家庭での座位時間、LPAの指標として、家庭(LPA-HOME)と仕事(LPA-WORK)でそれぞれ立ったり歩いたりして過ごす時間を調べた。健康的な老化とは、主要な慢性疾患に罹患しておらず、主観的認知機能・身体機能・メンタルヘルス障害がない状態で70歳以上に達している場合と定義された。

2型糖尿病薬で高K血症リスクが低いのは?/BMJ

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症のリスクが低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のEdouard L. Fu氏らによる同国内の3つの医療保険請求データベースを用いた解析結果で示された。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬は、2型糖尿病の治療においてますます用いられるようになっているが、日常臨床における高カリウム血症の予防に関して、これらの薬剤の相対的な有効性は不明であった。著者は、「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の各クラスにおける個々の薬剤で結果は一貫していることから、クラス効果が示唆される。このことは2型糖尿病患者、とくに高カリウム血症のリスクがある患者へのこれらの薬剤の使用を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2024年6月26日号掲載の報告。

中等度~重度の外傷性脳損傷アウトカム、非制限輸血vs.制限輸血/NEJM

 貧血を伴う重度の外傷性脳損傷患者において、非制限輸血戦略は制限輸血戦略と比較して6ヵ月後の不良な神経学的アウトカムのリスクを改善することはなかった。カナダ・ラヴァル大学のAlexis F. Turgeonらが、無作為化比較試験「Hemoglobin Transfusion Threshold in Traumatic Brain Injury Optimization pragmatic trial(HEMOTION試験)」の結果を報告した。重度の外傷性脳損傷患者のアウトカムに対する制限的輸血戦略と非制限輸血戦略の有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版、2024年6月13日号掲載の報告。

日本BDが血培ボトル出荷調整、学会が対応を注意喚起

 日本ベクトン・ディッキンソンは7月3日のリリースにて、「BDバクテック血液培養ボトル」8製品を出荷調整することを発表した。米国本社より、供給元からの同製品の原材料であるプラスチックボトルの供給に3ヵ月程度の遅延が発生したため、今後の製造と出荷が通常時の50%程度に制限される見込みであるとの報告があり、当面の間、世界的にすべての需要を満たすことが困難な状況となった。本報告を受けて、日本臨床微生物学会と日本感染症学会は同日、医療機関側でも出荷調整の数ヵ月間を大きな混乱なく診療ができるように、対応について告知した。

小児期の睡眠障害、若年期の精神病リスクにつながる可能性

 短時間睡眠は、短期・中期・長期的に子どもの発達に有害な影響を及ぼす可能性があることがこれまでも報告されているが、新たな報告によると、小児期に持続的に睡眠時間が短いと、若年期の精神病発症リスクが上がる可能性があるという。英国・バーミンガム大のIsabel Morales-Munoz氏らによる本研究結果は、JAMA Psychiatry誌オンライン版2024年5月8日号に掲載された。  研究者らは小児期における持続的な夜間睡眠時間の短さと、24歳時点での精神病体験(PE)および/または精神病性障害(PD)との関連、および炎症マーカー(C反応性蛋白[CRP]およびインターロイキン6[IL-6])が関連するかを検討するコホート研究を実施した。

AKT阻害薬カピバセルチブ、使用のポイントと今後への期待/AZ

 アストラゼネカは、カピバセルチブ(商品名:トルカプ)について、「トルカプ 上市メディアセミナー ~進行再発乳がんへの有効性を示した世界初のAKT阻害薬~」と題したメディアセミナーを2024年6月21日に開催した。  本セミナーでは、がん研有明病院 乳腺センター センター長の上野 貴之氏より、カピバセルチブの臨床成績および遺伝子検査の現状について語られた。  閉経後ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性転移・再発乳がんに対する1次内分泌療法として、非ステロイド性アロマターゼ阻害薬とCDK4/6阻害薬の併用が標準的に使用されているが、2次内分泌療法の最適な治療選択は確立されていない。そこでAKT阻害薬カピバセルチブなどの新たな治療選択肢が期待されている。

セフトリアキソンとランソプラゾールの併用リスク、日本人では?

 セフトリアキソン(CTRX)とランソプラゾールの併用は、心室性不整脈、心停止、院内死亡を増加させることが示唆されるという研究結果が、2023年にカナダの研究グループから報告され、話題となった。そこで、三星 知氏(下越病院)らの研究グループは、医療データベースを用いた後ろ向きコホート研究により、日本人におけるこれらのリスクを検討した。その結果、日本人においてもCTRXとランソプラゾールの併用は、心室性不整脈や心停止のリスクを上昇させることが示唆された。本研究結果は、Journal of Infection誌オンライン版2024年6月17日号で報告された。  本研究は、2014年4月~2022年8月の期間に日本のJMDCデータベースから取得したデータを用いて実施した。対象は、CTRXまたはスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用する20歳超100歳未満の患者10万5,301例とした。主要評価項目は、心室性不整脈・心停止の発生率とした

統合失調症の診断、治療、モニタリングおける酸化バイオマーカーの重要性

 統合失調症は、非常に複雑な疾患であり、その病因は多面的である。これまでに、統合失調症の病態生理学と酸化ストレスとの関連を示唆する報告がされている。ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのElzbieta Cecerska-Heryc氏らは、統合失調症と酸化ストレスとの関連を明らかにするため、本研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2024年6月7日号の報告。  対象は、慢性期統合失調症患者および発症しやすい状態(初回エピソード精神疾患、超高リスク)の患者150例。統合失調症を発症しやすい状態の患者は、4つのサブグループ(欠損型統合失調症、非欠損型統合失調症、初回エピソード精神疾患、超高リスク)に分類した。対照群は、健康ボランティア34例とした。酸化ストレスマーカーと脳由来神経栄養因子(BDNF)の測定には、分光光度法、ELISA法を用いた。

脳梗塞発症後4.5~24時間、tenecteplase vs.標準治療/NEJM

 大血管閉塞による脳梗塞で、ほとんどが血管内血栓除去術を受けていない中国人患者に対する発症後4.5~24時間のtenecteplase投与は、標準治療と比較して、90日後に機能障害を有する患者の割合が少なく生存率は同程度であった。中国・首都医科大学のYunyun Xiong氏らが、同国58施設で実施した第III相無作為化非盲検評価者盲検試験「TRACE-III試験」の結果を報告した。tenecteplaseは、脳梗塞発症後4.5時間以内の脳梗塞急性期に対する有効な血栓溶解薬であるが、発症後4.5時間以降の有効性に関するデータは限られていた。NEJM誌オンライン版2024年6月14日号掲載の報告。

再発/転移上咽頭がんの1次治療、nab-TPC vs.GC/BMJ

 再発または転移のある上咽頭がんの1次治療において、nab-パクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン(nab-TPC)療法はゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法と比較し優れた抗腫瘍効果と良好な安全性プロファイルを示したことを、中国・中山大学がんセンターのGuo-Ying Liu氏らが中国の4施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験の結果で報告した。著者は、「nab-TPC療法は再発または転移のある上咽頭がんに対する1次治療の標準治療と考えるべきであるが、全生存期間(OS)に対する有益性の確認には、より長期間の追跡調査が必要である」とまとめている。BMJ誌2024年6月19日号掲載の報告。

早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、QOLの評価(KEYNOTE-522)

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への術前・術後のペムブロリズマブ追加を検討したKEYNOTE-522試験で、主要評価項目の病理学的完全奏効と無イベント生存期間の有意な改善はすでに報告されている。今回、副次評価項目の患者報告アウトカムにおいてペムブロリズマブ追加による実質的な差は認められなかったことを、シンガポール・国立がんセンターのRebecca Dent氏らがJournal of the National Cancer Institute誌オンライン版2024年6月24日号で報告した。

コロナ罹患後症状、中年層や女性に高頻度/NCGM

 国立国際医療研究センターは7月1日付のプレスリリースにて、オミクロン株BA.5流行期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(Long COVID)の頻度や関連要因について、同センターの射場 在紗氏らの研究グループが、東京都品川区、筑波大学、大阪大学と共同で行った調査の結果を発表した。本結果によると、40~49歳の中年層、女性、基礎疾患のある人、COVID-19の重症度が高かった人で罹患後症状の頻度が高かったが、感染前にワクチンを接種していた人では罹患後症状の頻度が低かったことなどが明らかとなった。罹患後症状がある人において、感染から約半年経過後も8.5%が日常生活に深刻な支障があるという。本結果は、Emerging Infectious Diseases誌2024年7月号に掲載された。