日本語でわかる最新の海外医学論文|page:178

日本のリアルワールドデータから考える高リスクmHNPCの治療選択(J-ROCK)

 転移を有するホルモン療法未治療前立腺がん(mHNPC)に対しては、アンドロゲン除去療法(ADT)+アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)やADT+ドセタキセル併用療法が登場し標準治療となっているが、日本の実臨床では従来のホルモン療法が依然として使われるケースも多い。高リスクmHNPCに対する日本での治療実態と臨床転帰を明らかにすることを目的に、多施設共同の前向き観察研究(J-ROCK試験)が実施され、3年時の第2回中間解析結果がEuropean Urology Oncology誌2024年6月号に報告された。本論文の筆頭著者である三宅 秀明氏(神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野)に、今回の結果を踏まえたmHNPCの治療選択の考え方について話を聞いた。

小児・青年に対する抗精神病薬の生理学的影響の比較〜ネットワークメタ解析

 小児および青年における各抗精神病薬に対する生理学的反応の程度は、よくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMaria Rogdaki氏らは、神経精神疾患および神経発達障害を伴う小児および青年における各種抗精神病薬の生理学的変数への影響を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。The Lancet. Child & Adolescent Health誌2024年7月号の報告。  2023年12月22日までに公表された神経精神疾患および神経発達障害を伴う18歳未満の小児または青年を対象に抗精神病薬とプラセボを比較したランダム化比較試験(RCT)をMedline、EMBASE、PsycINFO、Web of Science、Scopusより検索し、ネットワークメタ解析を実施した。主要アウトカムは、体重、BMI、空腹時血糖、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、プロラクチン、心拍数、収縮期血圧(SBP)、補正QT時間(QTc)のベースラインから急性期治療終了までの平均変化とした。複数の用量で検討されたマルチグループ試験では、すべての用量について各生理学的変数のサマリ値を算出した。Kilimプロットを用いて、すべての治療とアウトカムの結果を要約し、p値を用いて、治療効果と統計学的エビデンスの強さに関する情報を評価した。異質性はτ、バイアスリスクはCochrane Collaborationバイアスリスク評価ツール、ネットワークメタ解析の信頼性はConfidence in Network Meta-Analysis(CINEMA)appで評価した。

片頭痛の予防薬は薬物乱用頭痛も減らす?

 慢性片頭痛に苦しんでいる人は、鎮痛薬を飲み過ぎると薬物乱用頭痛に襲われるという悪循環に陥ることがある。こうした中、片頭痛の予防薬として広く使用されているカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬のatogepant(商品名Qulipta、日本国内未承認)が、薬物乱用頭痛の回避にも役立つ可能性のあることが、英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のPeter Goadsby氏らの研究で示された。CGRPは、片頭痛を誘発するタンパク質の1つである。この研究の詳細は、「Neurology」に6月26日掲載された。  慢性片頭痛とは、頭痛が月に15日以上の頻度で起こり、そのうち8日以上が片頭痛の診断基準を満たしている状態と定義されている。今回の研究には、755人の慢性片頭痛患者が参加した。参加者の平均的な1カ月当たりの片頭痛の日数は18.6~19.2日、頭痛薬の使用日数は14.5~15.5日だった。また、頭痛薬の使用歴について報告があった参加者の3分の2に当たる500人(66.2%)が頭痛薬の使用過多の基準を満たしていた。この基準は、頭痛薬の種類がアスピリンやアセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の場合は月に15日以上、トリプタン製剤やエルゴタミン製剤の場合は月に10日以上、複数の頭痛薬を併用した場合は月に10日以上使用した場合と定義された。

オーラルフレイルは死亡リスクと独立して関連

 1万人以上の日本人高齢者を対象に、オーラルフレイルと死亡リスクの関連を調べる前向きコホート研究が行われた。その結果、オーラルフレイルのある人はない人と比べて、身体的フレイルや心理的フレイルとは独立して、死亡リスクが高いことが明らかとなった。早稲田大学スポーツ科学学術院の渡邉大輝氏らによる研究であり、「Experimental Gerontology」6月15日号に掲載された。  口の健康は食事や会話において重要であり、口の機能を維持するためのオーラルフレイル対策が注目されている。また、オーラルフレイルは高齢者の死亡や障害のリスク上昇と関連することが報告されている。しかし、オーラルフレイルと死亡リスクとの関連について、身体的フレイルの影響を取り除いて解析した研究は少ない。

腎移植後の抗体関連型拒絶反応、抗CD38抗体felzartamabが有望/NEJM

 移植腎廃絶の主な原因である抗体関連型拒絶反応を呈した患者において、抗CD38モノクローナル抗体felzartamabは、許容可能な安全性および副作用プロファイルを示した。オーストリア・ウィーン医科大学のKatharina A. Mayer氏らが第II相二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究で、移植腎障害を引き起こす同種抗体とナチュラルキラー(NK)細胞を抑制するため、CD38を標的とすることが治療選択肢となる可能性が示唆されていた。NEJM誌2024年7月11日号掲載の報告。

産後VTE予防のエノキサパリン、より高リスク例へ限定可能?/JAMA

 妊娠に関連した静脈血栓塞栓症(VTE)予防のためのヘパリン(エノキサパリン)ベースのプロトコルに、より選択的なリスク層別化アプローチを追加することで、産後VTEが増加することなく血腫が減少したことを、米国・アラバマ大学のMacie L. Champion氏らが報告した。著者らのアラバマ大学では、2016年に米国産科婦人科学会のガイドラインに基づく妊娠関連VTE予防プロトコルを導入したが、血腫の発生確率が2倍以上となり(補正後オッズ比[aOR]:2.34)、VTEは減少しなかったため、2021年に、より選択的なリスク層別化アプローチを取り入れたという。JAMA誌オンライン版2024年6月27日号掲載の報告。  研究グループは、ヘパリンベースの産科学的血栓予防プロトコル(エノキサパリンプロトコル)に対する、より選択的なリスク層別化アプローチのアウトカムを後ろ向き観察研究で評価した。

オミクロン対応2価コロナワクチン、半年後の予防効果は?/感染症学会・化学療法学会

 第98回日本感染症学会学術講演会 第72回日本化学療法学会総会 合同学会が、6月27~29日に神戸国際会議場および神戸国際展示場にて開催された。本学会では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する最新知見も多数報告された。長崎大学熱帯医学研究所の前田 遥氏らの研究チームは、2021年7月から国内での新型コロナワクチンの有効性を長期的に評価することを目的としてVERSUS研究を開始しており、これまで断続的にその成果を報告している。

日本における頭痛障害、片頭痛の有病率調査の正確性は

 疫学データを収集するために実施されるアンケート調査は、誤分類を起こす可能性がある。大阪・富永病院の竹島 多賀夫氏らは、頭痛に関するアンケートを分析し、どの質問が片頭痛以外の分類につながっているかを評価した。BMC Neurology誌2024年5月25日号の報告。  19〜74歳の個人医療請求データと組み合わせた匿名調査をDeSCヘルスケアより入手し、一次性頭痛障害(片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛、その他の頭痛障害)の患者割合を調査した。片頭痛を判定する6つの基準を用いて、その他の頭痛障害を有する人が、アンケートにどのように回答したかを調査した。

運動が化学療法による末梢神経障害の回避に有効か

 化学療法を受ける患者の多くが発症する化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の回避に運動が有効である可能性が、新たな研究で示唆された。この研究では、運動をしなかった患者でCIPNを発症した者は、運動をした患者の約2倍に上ることが示されたという。バーゼル大学(スイス)のFiona Streckmann氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に7月1日掲載された。  研究グループによると、化学療法を受ける患者の70〜90%は、痛みやバランス感覚の問題、しびれ、熱感、ピリピリ感やチクチク感などのCIPNの症状を訴え、半数の患者は、がんの治療後もこのような症状が持続するという。

マルチビタミンに寿命延長効果はある?

 米国では、成人の3人に1人が疾患予防を目的にマルチビタミンを摂取している。しかし、約40万人の成人を20年以上にわたって追跡調査した研究で、マルチビタミンの摂取が長生きに役立つというエビデンスは得られなかったことが報告された。米国立がん研究所(NCI)がん疫学・遺伝学部門のErikka Loftfield氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に6月26日掲載された。   毎日のマルチビタミンの摂取がもたらす有益性と有害性については明確になっていない。マルチビタミンの摂取と死亡との関連についての過去の研究では一貫した結果が得られていない上に、追跡期間も短かった。

夜勤とギャンブル利用の関係

 日本人の労働者2万人以上を対象とした横断研究の結果、夜勤はギャンブルの利用と関連しており、夜勤のある人ほど、ギャンブルから生活や健康などの問題が発生する可能性が高いことが明らかとなった。慶應義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学教室 HTA公的分析研究室の吉岡貴史氏らによる研究であり、「Addictive Behaviors」に5月23日掲載された。  夜勤を含むシフト勤務者の睡眠に関する問題は、「交代勤務睡眠障害」と呼ばれる。睡眠の質が悪いとアルコールや睡眠補助薬の多用につながる可能性があり、反対に、覚醒を維持するためにカフェインやタバコなどの物質を常用してしまうこともある。

tisotumab vedotin、再発子宮頸がんの2次・3次治療に有効/NEJM

 再発子宮頸がんの2次または3次治療において、化学療法と比較してtisotumab vedotin(組織因子を標的とするモノクローナル抗体と微小管阻害薬モノメチルアウリスタチンEの抗体薬物複合体)は、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し、新たな安全性シグナルの発現はないことが、ベルギー・Universitaire Ziekenhuizen LeuvenのIgnace Vergote氏らが実施した「innovaTV 301/ENGOT-cx12/GOG-3057試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年7月4日号で報告された。  本研究は、日本を含む27ヵ国168施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、前治療後に病勢が進行した再発子宮頸がん患者におけるtisotumab vedotinの有効性と安全性の評価を目的に行われた(GenmabとSeagenの助成を受けた)。

進行期古典的ホジキンリンパ腫の1次治療、BrECADDが有効/Lancet

 進行期の古典的ホジキンリンパ腫の成人患者に対する1次治療において、ブレオマイシン+エトポシド+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プロカルバジン+prednisone(eBEACOPP)療法と比較して、2サイクル施行後のPET所見に基づくbrentuximab vedotin+エトポシド+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ダカルバジン+デキサメタゾン(BrECADD)療法は、忍容性が高く、無増悪生存(PFS)率を有意に改善することが、ドイツ・ケルン大学のPeter Borchmann氏らAustralasian Leukaemia and Lymphoma Groupが実施した「HD21試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月3日号に掲載された。

低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響〜メタ解析

 低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響を調査するため、イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのSepideh Soltani氏らは、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Nutrition Reviews誌オンライン版2024年6月19日号の報告。  2023年6月7日までに公表されたRCTをPubMed、ISI Web of Science、Scopus、CENTRALデータベースより検索し、低脂肪食(脂肪摂取量がエネルギー摂取量の30%以下)がうつ病スコアに及ぼす影響を調査した試験を特定した。低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響のプールされた効果(Hedges g)を推定するため、ランダム効果メタ解析を用いた。

食道がんの術前化学療法前のZn濃度、早期再発に影響

 国立がん研究センター中央病院の久保 祐人氏らは、術前化学療法を受ける食道がん患者において、術前の血清亜鉛(Zn)低値が食道がんの早期再発に悪影響を及ぼすことを明らかにし、術前にZnが欠乏している食道がん患者にはZn補給を行う必要があることを示唆した。Annals of Gastroenterological Surgery誌2024年7月号掲載の報告。

スパイロなしでも胸部X線画像で呼吸機能が予測可能!?

 スパイロメトリーなどを用いた呼吸機能検査は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の管理に不可欠な検査である。しかし、高齢者や小児などでは正確な評価が困難な場合がある。また、新型コロナウイルス感染症流行時には、感染リスクを考慮して実施が控えられるなど、実施が制限される場合もある。そこで、植田 大樹氏(大阪公立大学大学院医学研究科人工知能学 准教授)らの研究グループは、14万枚超の胸部X線画像をAIモデルの訓練・検証に使用して、胸部X線画像から呼吸機能を推定するAIモデルを開発した。その結果、本AIモデルによる呼吸機能の推定値は、実際の呼吸機能検査の測定値と非常に高い一致率を示した。本研究結果は、Lancet Digital Health誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。

重要性を増すゲノム診療科、その将来ビジョン/日本動脈硬化学会

 2023年に議員立法として成立した“良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律”、通称「ゲノム医療推進法」。詳細についての議論はこれから進んでいく模様だが、循環器領域においては、2022年度の診療報酬改定により動脈硬化に関連する難病への遺伝学的検査の対象疾患が拡大され、4疾患(家族性高コレステロール血症、原発性高カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、家族性低βリポタンパク血症1[ホモ接合体])の遺伝学的検査を含む複数の脂質異常症疾患が保険適用された。

新型コロナの抗原検査は発症から2日目以降に実施すべき

 今や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザなどの迅速抗原検査はすっかり普及した感があるが、検査は、症状が現れてからすぐに行うべきなのだろうか。この疑問の答えとなる研究成果を、米コロラド大学ボルダー校(UCB)コンピューターサイエンス学部のCasey Middleton氏とDaniel Larremore氏が「Science Advances」に6月14日報告した。それは、検査を実施すべき時期はウイルスの種類により異なるというものだ。つまり、インフルエンザやRSウイルスの場合には発症後すぐに検査を実施すべきだが、新型コロナウイルスの場合には、発症後すぐではウイルスが検出されにくく、2日以上経過してから検査を実施するのが最適であることが明らかになったという。

脳卒中後の血圧コントロール不良、看護師電話管理で改善/JAMA

 コントロール不良の高血圧で主に低所得の黒人およびヒスパニックの脳卒中生存者では、家庭血圧遠隔モニタリング(HBPTM)単独と比較して、電話を用いた看護師による患者管理(NCM)をHBPTMに追加することで、1年後の収縮期血圧(SBP)が有意に低下し、2年後の脳卒中の再発には差がないことが、米国・ニューヨーク大学ランゴーン医療センターのGbenga Ogedegbe氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年7月2日号で報告された。  本研究は、ニューヨーク市の合計8つの脳卒中センターと外来診療施設で実施した臨床ベースの無作為化試験であり、2014年4月~2017年12月に参加者を登録した(米国国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]の助成を受けた)。

EGFR陽性NSCLCの1次治療、amivantamab+lazertinibがPFS延長/NEJM

 未治療の上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、標準治療であるオシメルチニブ(第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬[TKI])と比較して、amivantamab(EGFRと間葉上皮転換因子[MET]を標的とする二重特異性抗体)+lazertinib(活性化EGFR変異とT790M変異を標的とする第3世代EGFR-TKI)の併用療法は、無増悪生存期間(PFS)が有意に長く、安全性のデータは既報の第I、II相試験と一致することが、韓国・延世大学校医科大学のByoung C. Cho氏らMARIPOSA Investigatorsが実施した「MARIPOSA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月26日号に掲載された。