日本語でわかる最新の海外医学論文|page:126

若年者の健康問題、自閉症がトップ10にランクイン

 2021年の世界での自閉スペクトラム症(以下、自閉症)の患者数は約6200万人に上ったことが、新たな研究で明らかにされた。米ワシントン大学健康指標評価研究所のDamian Santomauro氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Psychiatry」に12月19日掲載された。  この研究は、世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study;GBD)2021に基づき、自閉症の有病率と健康負担(障害調整生存年〔DALY〕)の最新の世界的な推定値を提示したもの。有病率の推定では、受動的な患者の発見に依存した研究を除外し、新たなシステマティックレビューに基づきデータを更新した。また、障害による重み付けの推定方法も修正された。最終的に、33カ国における自閉症の有病率に関する105件の研究データが統合された。

甲状腺疾患と円形脱毛症の間に遺伝的関連がある可能性

 甲状腺機能低下症、慢性甲状腺炎(橋本病)、亜急性甲状腺炎と円形脱毛症(AA)の間には有意な関連性があることを示す研究結果が、「Skin Research & Technology」に9月27日掲載された。  Heping Hospital Affiliated to Changzhi Medical College(中国)のYue Zhao氏らは、2標本のメンデルランダム化解析を用いた研究で、AAと甲状腺疾患の潜在的な因果関係を検証した。甲状腺機能低下症、橋本病、甲状腺機能亢進症、亜急性甲状腺炎、バセドウ病が曝露因子として選択され、AAが結果変数とされた。データはゲノムワイド関連解析(GWAS)から取得された。

切除不能HCC、TACEにデュルバルマブ+ベバシズマブ併用でPFS改善(EMERALD-1)/Lancet

 肝動脈化学塞栓療法(TACE)対象の切除不能な肝細胞がん(HCC)患者において、TACE+デュルバルマブ+ベバシズマブの併用療法が新たな標準治療となりうることが、スペイン・Clinica Universidad de Navarra and CIBEREHDのBruno Sangro氏らEMERALD-1 Investigatorsによる国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「EMERALD-1試験」の結果で示された。TACEは20年以上前に標準治療として確立されたが、TACEに関するガイドラインの記載は世界各地域で異なり、病期や腫瘍の大きさ、肝機能、合併症などが異なる多様な患者がTACEを受けている。無増悪生存期間(PFS)中央値は依然として約7ヵ月であり、研究グループは、ベバシズマブ併用の有無を問わずデュルバルマブの併用によりPFSを改善可能か評価した。著者は「最終的な全生存期間(OS)の解析および患者報告のアウトカムなども含むさらなる解析は、塞栓術が可能なHCCにおける、デュルバルマブ+ベバシズマブ+TACEの潜在的な臨床ベネフィットを、さらに特徴付けるのに役立つだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年1月8日号掲載の報告。

認知症診断後の余命と施設入所までの期間~メタ解析/BMJ

 認知症と診断された人々の平均余命は、男性では5.7(診断時65歳)~2.2年(診断時85歳)であり、女性は同年齢で8.0~4.5年であった。また、余命の約3分の1はナーシングホームで過ごしており、半数以上の人が認知症の診断後5年以内でナーシングホームに移っていた。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのChiara C. Bruck氏らが、認知症の人々の生存またはナーシングホーム入所に関する追跡調査研究を対象に、認知症の人々のナーシングホーム入所および死亡までの期間に関するエビデンスを要約し、予後指標を探ることを目的として実施したシステマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「このシステマティックレビューでは、認知症診断後の予後は、患者、疾患、研究の特性に大きく依存していた。これらの知見から、個別化された予後情報とケアプランを提供できる可能性が示唆された。今後の研究では、診断時の患者を対象として、個別的要因、社会的要因、疾患ステージ、併存疾患を考慮し、生存だけでなく関連する機能的アウトカム指標を評価する必要がある」と述べている。BMJ誌2025年1月8日号掲載の報告。

統合失調症に対するルラシドン投与量は80mg/日へ増量すべきか

 慶應義塾大学の竹内 啓善氏らは、統合失調症患者に対するルラシドンの投与量を40mg/日から80mg/日に増量した場合の有効性および安全性を評価するため、本検討を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2025年1、2月号の報告。  対象は、6週間のルラシドン二重盲検プラセボ対照試験を完了し、その後12週間の非盲検延長試験に移行した統合失調症患者。二重盲検期間中に、ルラシドン群(40mg/日)またはプラセボ群に割り当てられた患者には、延長試験期間中にルラシドン40mg/日投与を行った。臨床医による判断に基づきルラシドン80mg/日への増量を可能とした。有効性アウトカムには、ルラシドン80mg/日の治療開始から終了までの陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの変化を含めた。安全性アウトカムは、新たに発生した有害事象の発現率とした。

日本人男性のNa/K比、全死亡・NAD早期死亡・がん死亡と関連

 ナトリウム(Na)は、食塩そのものや高塩分食品の高血圧による心血管系疾患(CVD)や消化管がんへの影響を介して、非感染性疾患(NCD)リスクを高めると考えられている。 また、CVDの相対リスクはNa摂取量単独よりもNa摂取量/カリウム(K)摂取量(Na/K比)と密接に関連していると報告されているが、これらがNCDによる早期死亡リスクに及ぼす影響を調べた研究はほとんどない。今回、奈良女子大学の高地 リベカ氏らが前向きコホート研究であるJPHC研究で検討した結果、Na摂取量とNa/K比の両方が、中年男性における全死亡およびNCDによる早期死亡リスク上昇と関連し、さらにNa/K比はがん死亡とも関連していることが示された。The Journal of Nutrition誌オンライン版2024年12月27日号に掲載。

変形性膝関節症の新たな検査法を開発

 変形性膝関節症(OA)は、関節内の軟骨が劣化して骨同士が擦れ合うことで生じる。しかし、OAは軟骨の劣化が進行した末期段階で診断されることが多いため、それが軟骨の摩耗により生じたOA(一次性OA)なのか、あるいは炎症性疾患により生じた炎症性関節炎なのかを判断するのは難しいとされる。こうした中、関節内の潤滑液に含まれる2種類の成分を指標として用いた新たな検査法により、これら2種類の関節炎を正確に区別できる可能性のあることが明らかになった。米Zimmer Biomet社の一部門であるCD DiagnosticsのDaniel Keter氏らによるこの研究結果は、「Journal of Orthopaedic Research」に12月18日掲載された。

慢性疾患の増加は腎機能を低下させる

 高齢者における多疾患併存は腎機能低下と強く関連しており、慢性疾患の数が増えるほど腎機能の低下度も大きくなることが、新たな研究で明らかになった。研究論文の筆頭著者であるカロリンスカ研究所(スウェーデン)のGiorgi Beridze氏は、「われわれの研究結果は、高齢者の腎機能低下のリスクを評価する際に、慢性疾患の全体的な負担だけでなく、疾患間の複雑な相互作用も考慮した包括的な評価の重要性を強調するものだ」と述べている。この研究の詳細は、「Journal of the American Geriatrics Society(JAGS)」に12月17日掲載された。

てんかん患者は網膜の神経軸索脱落が速い

 てんかんは、光干渉断層撮影(OCT)で観察される網膜神経軸索の脱落と関連しており、若年患者でも明らかな網膜の変化が見られることが知られている。また、てんかん患者における網膜神経軸索脱落の程度が、発作頻度や多剤併用療法と関連するとの報告もある。しかし縦断的研究が少ないことから、網膜変化の進行速度や発作頻度が与える影響については不明な点が多かった。ミュンヘン大学病院(ドイツ)のLivia Stauner氏らは、てんかん患者と健常者を対象に網膜の神経軸索脱落に関する追跡調査を実施。その結果の詳細が10月9日、「Epilepsia」に掲載された。

多剤耐性結核の家庭内曝露小児、予防的レボフロキサシン投与は有効か/NEJM

 多剤耐性(MDR)結核に家庭内で曝露した小児は、レボフロキサシンによる予防的治療を受けた集団で、プラセボと比較し結核の発症率が低いもののその差は有意ではなく、Grade3または4の有害事象の頻度は同程度であることが、南アフリカ共和国・ステレンボッシュ大学のAnneke C. Hesseling氏らが実施した「TB-CHAMP試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年12月19・26日号で報告された。  TB-CHAMP試験は、南アフリカ共和国の5施設が参加した二重盲検クラスター無作為化プラセボ対照試験であり、2017年9月~2023年1月に行われた(Unitaidなどの助成を受けた)。

qSOFAによる敗血症アラートで院内死亡率が低下/JAMA

 病棟入院患者では、敗血症スクリーニングを行わない場合と比較して、quick Sequential Organ Failure Assessment(qSOFA)スコアを用いた電子的敗血症スクリーニングは、90日院内死亡率を有意に低下させ、昇圧薬治療や多剤耐性菌の発現を減少させることが、サウジアラビア・Ministry of National Guard-Health Affairs(MNG-HA)のYaseen M. Arabi氏らが実施した「SCREEN試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年12月10日号に掲載された。

日本初、認知症診療支援のための神経心理検査用プログラム発売

 大塚製薬とアイ・ブレインサイエンスは、認知症の診療支援のための神経心理検査用プログラム(商品名:ミレボ)について、2025年1月1日付で認知症領域のSaMD(Software as a Medical Device、プログラム医療機器)として初めて保険適用を取得し、1月14日より販売を開始した。  ミレボは、アイトラッキング(視線計測)技術を用いて行う神経心理検査用プログラムである。タブレット端末にインストールしたアプリ「ミレボ」を用いることにより、約3分で簡便に検査を行い、客観的な検査結果を得ることができる。また、画面に表示される質問に沿って被検者が正解の箇所を見つめることにより、データが自動的にスコア化され、定量的かつ検査者の知識や経験に依存せず客観的に評価することが可能になる。

コーヒーを飲むなら朝が良い?/Eur Heart J

 コーヒーの適度な摂取は、全死亡や心血管疾患などのリスク低下と関連することが報告されている。しかし、摂取のタイミングの影響は明らかになっていない。そこで、米国・テュレーン大学のXuan Wang氏らの研究グループは、コーヒーを摂取する時間帯(朝、終日)と全死亡および原因別死亡リスクとの関連を検討した。その結果、朝のコーヒー摂取が全死亡および心血管死のリスク低下と関連したが、終日にわたってコーヒーを摂取する場合はその関連はみられなかった。本研究結果は、European Heart Journal誌オンライン版2025年1月8日号で報告された。

自閉スペクトラム症と歯ぎしりとの関連〜エコチル調査

 自閉スペクトラム症(ASD)患者では、咀嚼筋の不随意運動による歯ぎしりがしばしばみられる。歯ぎしりは睡眠障害とも関連しており、乳児の睡眠時間が、歯ぎしりの発症に関連しているかは、よくわかっていない。東北福祉大学の土谷 昌広氏らは、新生児期の短時間睡眠と歯ぎしりとの関連を評価するため、調査を行った。PLOS ONE誌2024年12月6日号の報告。  全国的な出生コホート研究である「子どもの健康と環境に関する全国調査(JECS)」より、8万3,720人のデータを用いて、検討を行った。母親と子どもに関連するいくつかの変数を調整したロジスティック回帰分析を用いて、多重代入法を行った。新生児期の短時間睡眠と母親が報告したASDの子どもの歯ぎしりの有病率との関連を評価した。

2025年に医師会が掲げる4つの課題/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、2025年の医師会の課題を語った。  新年の挨拶として松本氏は、年末年始にインフルエンザの患者の診療対応にあたった診療所の医師、医療者などに感謝の意を示すとともに、地域によっては予想を超えるインフルエンザ患者が来院したことを明らかにした。また、依然としてインフルエンザの検査キット、注射薬、治療薬などが不足していること、引き続き厚生労働省と協議し、各メーカーに増産用を要請していることを述べるとともに、引き続き、マスクの着用や手指衛生など感染対策の実施と医療機関にはなるべく診療時間内に診療を受診するように述べた。

高腫瘍量濾胞性リンパ腫1次治療に対するモスネツズマブ皮下注の評価(MITHIC-FL1)/ASH2024

 高腫瘍量濾胞性リンパ腫(HTB-FL)の1次治療に対する、CD20/CD3二重特異性抗体モスネツズマブ皮下注射の多施設第II相試験の結果が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表された。  初発進行期のHTB-FLでは、抗CD20抗体併用化学療法が行われる。一方、近年の研究で、FLは深い免疫抑制状態を特徴とし、腫瘍内のT細胞の機能不全が臨床経過に影響するとの報告もある。そのような中、CD3陽性T細胞に、CD20陽性FL細胞を認識させ排除させるCD20/CD3二重特異性抗体が、FL治療の鍵を握る選択肢として期待される。

ヘモクロマトーシス、HFE C282Yホモ接合体は糖尿病リスク高い/BMJ

 トランスフェリン飽和度またはフェリチンが正常、あるいはこれら両方が正常のヘモクロマトーシス患者は、ほとんどのガイドラインでHFE遺伝子型の判定が推奨されていないという。デンマーク・コペンハーゲン大学のMathis Mottelson氏らが、HFE遺伝子C282Yホモ接合体を有するヘモクロマトーシス患者は糖尿病のリスクが増加しており、糖尿病でC282Yホモ接合体の非保有者と比較して、糖尿病でC282Yホモ接合体の保有者は死亡率が高く、この集団の死亡の3割近くは糖尿病に起因する可能性があることを示した。研究の成果は、BMJ誌2024年12月9日号で報告された。

多剤耐性結核の家庭内感染予防、レボフロキサシンは有効か/NEJM

 ベトナムの多剤耐性(MDR)結核患者の家庭内接触者の感染予防において、プラセボと比較してレボフロキサシンの連日投与は、30ヵ月の時点での結核の発生率が低いものの、その差は有意ではなく、有害事象はレボフロキサシンで多かったがGrade3/4の頻度は同程度であることが、オーストラリア・シドニー大学のGreg J. Fox氏らが実施した「VQUIN MDR試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年12月19・26日合併号に掲載された。  VQUIN MDR試験は、ベトナムの都市部と農村部を含む10の省で行われた二重盲検無作為化対照比較試験であり、2016年3月~2019年8月に参加者のスクリーニングを実施した(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。

SBTの最適な頻度と手法は?(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

本研究は、人工呼吸器の離脱に最適な自発呼吸トライアル(SBT)の施行頻度とその手技の方法について検討された。人工呼吸管理されている患者の状態が改善し、人工呼吸器が必要とされた原因が解決したときにウィーニングが開始される。一般的には長期間人工呼吸器で管理された症例は慎重かつ徐々にウィーニングを行い、短期間であれば早期に離脱が可能である。本研究では患者が自発的に呼吸を開始し、人工呼吸器をトリガーできる能力があること、動脈血酸素分圧(PaO2)と吸入酸素濃度(FiO2)の比が200mmHg以上であること、呼吸数が35回/分以下、心拍数が140回/分以下であること、呼吸数と1回換気量の指標(Rapid Shallow Breathing Index:RSBI)が105回/分/L未満であること、人工呼吸器設定のPEEPが10cmH2O以下であることが挙げられている。

統合失調症患者の推定死亡率、男女間での違いは?

 統合失調症患者の早期死亡リスクに対する性差の影響は、不明である。カナダ・オタワ大学のMarco Solmi氏らは、統合失調症患者と性別で層別化した複数の対照群を比較し、すべての原因による死亡リスクおよび特定の死因での死亡リスクの違いを評価した。European Neuropsychopharmacology誌2025年2月号の報告。  統合失調症患者の死亡相対リスク(RR)を性別で比較するため、PRISMA 2020ガイドラインに従い、システマティックレビューおよびランダム効果メタ解析を実施した。出版バイアスの評価には、ニューカッスル・オタワ尺度(NOS)を用いた。