特発性後腹膜線維症の寛解維持はステロイド療法が第一選択

提供元:ケアネット

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公開日:2011/08/04

 



特発性後腹膜線維症に対する寛解維持療法として、プレドニゾン(ステロイド療法として)とタモキシフェン(免疫療法として)の有効性を比較したオープンラベル無作為化試験の結果、プレドニゾンのほうが再発予防効果においてより有効であることが明らかにされた。イタリア・パルマ大学病院のAugusto Vaglio氏らが行った試験の結果で、「プレドニゾンを、新規の特発性後腹膜線維症患者への第一選択薬と考えるべきであろう」と結論した。特発性後腹膜線維症は、腹部大動脈や腸骨動脈周囲の線維炎症性組織の存在によって特徴づけられ、尿管にも病変が及ぶ場合が多い稀な疾患である。Lancet誌2011年7月23日号(オンライン版2011年7月5日号)掲載報告より。

患者40例を無作為化し8ヵ月間治療、その後18ヵ月間追跡し再発率を評価




試験は、2000年10月1日~2006年6月30日の間にパルマ大学病院で登録された、新規診断の18~85歳の特発性後腹膜線維症患者40例を対象に行われた。

被験者は導入療法としてプレドニゾン1mg/kg/日を1ヵ月間服用し、寛解が得られた36例が、無作為に8ヵ月にわたる、プレドニゾン漸減投与群(当初は0.5mg/kg/日、18例)かタモキシフェン定量投与群(0.5mg/kg/日、18例)に割り付けられ追跡された。追跡期間は、治療終了後もさらに18ヵ月にわたった。無作為化はコンピュータにて行われ、割り付け情報は患者、治験担当者、データ分析研究者には開示された。CT、MRI担当者にはマスキングされた。

主要エンドポイントは、治療終了時点(8ヵ月)までの再発率とされ、intention to treat解析にて評価が行われた。

再発率は8ヵ月時点、18ヵ月時点ともプレドニゾンのほうが低く33%差




治療終了時点までの再発例は、プレドニゾン群は1例(6%)、タモキシフェン群は7例(39%)であった(格差:-33%、95%信頼区間:-58~-8、p=0.0408)。

群間の再発率の格差は、さらなる追跡18ヵ月時点でも変わらず認められた。26ヵ月時点の推定累積再発率は、プレドニゾン群は17%、タモキシフェン群50%であった(格差:-33%、95%信頼区間:-62~-3、p=0.0372)。

なお、プレドニゾン群のほうがタモキシフェン群よりも一般的にみられた有害事象は、風貌のクッシング様変化(p=0.0116)とグレード2の高コレステロール血症であった(p=0.0408)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)