内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:81

抗菌薬は咳の持続期間や重症度の軽減に効果なし

 咳の治療薬として医師により抗菌薬が処方されることがある。しかし、たとえ細菌感染が原因で生じた咳であっても、抗菌薬により咳の重症度や持続期間は軽減しない可能性が新たな研究で明らかにされた。米ジョージタウン大学医学部家庭医学分野教授のDaniel Merenstein氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of General Internal Medicine」に4月15日掲載された。  Merenstein氏は、「咳の原因である下気道感染症は悪化して危険な状態になることがあり、罹患者の3%から5%は肺炎に苦しめられる」と説明する。同氏は、「しかし、全ての患者が初診時にレントゲン検査を受けられるわけではない。それが、臨床医がいまだに患者に細菌感染の証拠がないにもかかわらず抗菌薬を処方し続けている理由なのかもしれない」とジョージタウン大学のニュースリリースの中で述べている。

片頭痛患者における睡眠障害併存が中枢性感作に及ぼす影響

 片頭痛患者では、睡眠障害が見られることが多く、このことがQOLに影響を及ぼす。また、中枢感作は、片頭痛の重症度や慢性化と関連している可能性がある。獨協医科大学の鈴木 圭輔氏らは、併存する睡眠障害の数が中枢感作の影響を介して頭痛関連障害に及ぼす影響を調査した。Frontiers in Neurology誌2024年2月26日号の報告。  連続した片頭痛患者215例を対象に、横断的研究を実施した。不眠症の定義は、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)総スコア5超とした。レム睡眠行動障害の可能性は、RBDスクリーニングスコア5以上と定義した。日中の過度な眠気の定義は、エプワース眠気尺度(ESS)スコア10以上とした。睡眠時無呼吸症候群の疑いの定義は、いびきまたは睡眠時無呼吸症候群の症状が3夜/週以上とした。中枢感作の評価には、Central Sensitization Inventory(CSI)を用いた。

少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍/横浜市大

 わが国で高血圧は、脳・心血管疾患の死因の第2位であり、働き盛りの健康リスクともなっている。この一方で、若年から中年における血圧分類と心血管疾患(CVD)イベントとの関連に関するエビデンスは乏しかった。そこで、桑原 恵介氏(横浜市立大学 医学部公衆衛生学・大学院データサイエンス研究科)らの研究グループは、関東・東海地方に本社のある企業など10数社による職域多施設共同研究“Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study”(J-ECOHスタディ)に参加した高血圧の治療中ではない就労者8万1,876例を9年間追跡調査した。その結果、「少し高い血圧」の段階から脳・心血管疾患の発症リスクが高まることが確認された。この結果は、Hypertension Research誌オンライン版2024年4月8日に掲載された。

減量の鍵は摂取時間帯の制限ではなく摂取カロリーの減少

 減量のためのダイエット法の一つとして近年「時間制限食」が人気だが、減量にとって重要なのは摂取時間帯を制限することではなく、摂取カロリーの減少であることを示すデータが報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部のNisa Maruthur氏らの研究結果であり、米国内科学会年次総会(ACP2024、4月18~20日、ボストン)で4月19日に発表されるとともに、論文が「Annals of Internal Medicine」に同時掲載された。  時間制限食(time-restricted eating;TRE)が減量に役立つとする報告が増えているが、その効果が、摂取時間帯を制限することに伴う摂取カロリーの減少から独立したものであるのかどうかは依然として明らかになっていない。そこでMaruthur氏らは、摂取カロリーを一定にした上で、TREと通常の食事パターン(usual eating pattern;UEP)の減量効果を比べる無作為化比較試験を行った。なお、研究背景として述べられているところによると、肥満成人が食事摂取の時間帯を1日4~10時間に制限すると、摂取カロリーが自然に約200~550kcal減少して、2~12カ月間にわたって体重低下が続くというエビデンスがあるという。

超加工食品、摂取量が多いと死亡リスク増大~30年超の調査/BMJ

 超加工食品の摂取量が多いほど、がんおよび心血管疾患以外の原因による死亡率がわずかに高く、その関連性は超加工食品のサブグループで異なり、肉/鶏肉/魚介類をベースとした調理済みインスタント食品のサブグループでとくに強い死亡率との関連性が認められたという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のZhe Fang氏らによる、追跡期間30年超のコホート研究で示された。超加工食品は健康に悪影響を及ぼすことが示唆されているが、長期間にわたり食事評価を繰り返し行う大規模コホートでの超加工食品摂取による死亡率への影響に関するエビデンスは限られていた。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。

取り過ぎた塩分を出す「排塩コントロール」と具体的な指導方法

 10年ほど前に話題になったDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食。それが今、塩分を排出させる食事として再注目されているようだ。DASH食とは、飽和脂肪とコレステロールの少ない果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を豊富に摂取することで降圧効果が期待される“塩分の排出に重点を置いた食事療法”で、米国・国立衛生研究所(NIH)などが考案したのを契機に、国内の高血圧治療ガイドライン2019年版でも推奨されている。また、この食事療法に減塩を組み合わせたものはDASH-sodium食と呼ばれ、これまでに十分なエビデンスが報告されている。

マヨネーズをオリーブ油にすると認知症死亡が14%低下

 オリーブ油の摂取と認知症関連死亡との関連はわかっていない。今回、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのAnne-Julie Tessier氏らが、9万人超の前向きコホート研究を実施したところ、オリーブ油を1日7g超摂取する人は、まったく/ほとんど摂取しない人と比べて、食事の質によらず認知症関連死亡リスクが3割近く低いことがわかった。また、1日5gのマヨネーズを同量のオリーブ油に置き換えると、認知症関連死亡リスクが14%低下すると推定された。JAMA Network Open誌2024年5月6日号に掲載。

2型DM、メトホルミンに追加するなら?/BMJ

 日常診療における2型糖尿病患者の2次治療として、メトホルミンに追加する3種の一般的な経口血糖降下薬(SU薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬)の有効性を比較する検討が、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のPatrick Bidulka氏らにより行われた。SGLT2阻害薬は、SU薬およびDPP-4阻害薬と比較してHbA1c、BMI、収縮期血圧を低下させ、心不全による入院(対DPP-4阻害薬)および腎臓病の進行による入院(対SU薬)のリスクを抑制した。なお、その他の臨床エンドポイントでは差があるとのエビデンスは示されなかった。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。

多くの死亡患者が電子カルテに生存者として記載

 死亡患者の5人に1人近くが電子カルテに生存者と記載されており、80%が死亡後にプライマリケアのアウトリーチを受けていることを示した研究レターが、「JAMA Internal Medicine」に12月4日掲載された。  米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のNeil S. Wenger氏らは、医療機関が死亡を認識していない患者の割合を調査した。1つの学術医療システムの41の診療所を対象に、継続的に受診していた18歳以上の重症プライマリケア患者(過去1年に2回以上受診していた患者)1万1,698人の電子カルテデータを解析した。

AGA治療薬ミノキシジル、経口vs.外用

 男性型脱毛症(AGA)治療薬ミノキシジルについて、経口ミノキシジル5mg(1日1回)は外用ミノキシジル5%(1日2回)と比較し、24週間の治療において優越性を示さなかったことが、無作為化比較試験で示された。低用量経口ミノキシジルへの関心が高まっているが、これまでその有効性は比較試験で検証されていなかった。本研究結果は、ブラジル・サンパウロ大学のMariana Alvares Penha氏らによってJAMA Dermatology誌オンライン版2024年4月10日号で報告された。  研究グループは、ブラジルの専門クリニック単施設において、経口ミノキシジル5mg(1日1回)の有効性および安全性を外用ミノキシジル5%(1日2回)との比較で検証する二重盲検無作為化比較試験を行った。