内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:560

せん妄の早期発見が可能に

 高齢入院患者におけるせん妄発現は患者や家族の苦痛だけでなく、入院期間の延長や医療事故、医療スタッフの負荷増大などさまざまな弊害をもたらす。そのため対応方法の確立が急がれる。せん妄に対応するためには、早期発見が重要である。海外では、せん妄評価法(Confusion Assessment Method:CAM)が一般病棟におけるせん妄の早期発見に用いられている。Thomas氏らは、高リスク患者のせん妄のスクリーニングと診断についてICD-10およびDSM-IVと比較して、CAMアルゴリズムのせん妄判定基準が有用であるかを検討した。J Am Geriatr Soc誌オンライン版2012年8月6日号の報告。

CKDを有する心房細動患者では脳卒中・全身性血栓塞栓症・出血リスクが高い

 デンマーク・コペンハーゲン大学Gentofte病院のJonas Bjerring Olesen氏らが13万人強のデンマークナショナルレジストリデータを解析した結果、心房細動患者において、慢性腎臓病(CKD)は、脳卒中、全身性血栓塞栓症、出血のリスクを増大することが明らかにされた。また、CKD患者では、ワルファリン治療、アスピリン治療は出血リスクを増大するが、脳卒中あるいは全身性血栓塞栓症リスクはワルファリン治療によって低下が認められることも報告された。心房細動およびCKDは、脳卒中や全身性血栓塞栓症リスクを増大することが知られている。しかし、これらのリスクや抗血栓治療の影響について、両疾患を有する患者ではこれまで十分に調査されていなかった。NEJM誌2012年8月16日号掲載報告より。

プライマリ・ケアでの女性へのパートナーの暴力に関するスクリーニング、QOLは改善せず

 プライマリ・ケアで行われている、女性に対するパートナーの暴力に関するスクリーニングや関連プログラムの紹介は、身体的・精神的QOLスコアの改善にはつながらないことが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のJoanne Klevens氏らが、約2,700人の女性について行った無作為化比較試験の結果で、JAMA誌2012年8月15日号で発表された。パートナーの暴力に関するスクリーニングは、多くの医療機関で実施されているが、患者のアウトカムに与える影響についてのエビデンスは乏しかったという。

他SSRI切替、どの程度の効果?:北海道大学

 現在わが国では、うつ病患者に対し複数のSSRIが使用可能である。また、SNRIやNaSSAなど新たな作用機序を有する抗うつ薬も発売され、うつ病の治療選択肢は広がった。うつ病治療においては、寛解を目指すことが求められるが、最初に選択した薬剤で必ずしも寛解を達成できるわけではない。そのような際、第1選択薬のSSRIから同様なセロトニンの再取り込みを阻害作用を有するほかのSSRIへ切り替えることは、臨床的にメリットがあるのだろうか? 北海道大学 井上氏らは未寛解や治療不耐性の大うつ病患者に対し、ほかのSSRIからセルトラリンに切り替えた際の、長期有効性および安全性を検討した。Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry誌2012年8月7日号の報告。

糖尿病発症時に正常体重の人、過体重・肥満の人に比べ死亡リスクが約2倍

 2型糖尿病発症時の体重が正常範囲(BMI 25未満)の人は、過体重や肥満の人に比べ、長期死亡リスクは約2倍に増大することが示された。米国・ノースウェスタン大学のMercedes R. Carnethon氏らが、5つのコホート試験を基に分析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月8日号で発表した。2型糖尿病発症時に正常体重の人は、いわゆる「隠れ肥満(metabolically obese normal-weight)」の代表と考えられている。しかしこれまで2型糖尿病発症時の体重と死亡との関連に関して、心不全や慢性腎臓病、高血圧などの慢性疾患でみられた「肥満パラドックス(obesity paradox:BMIが大きいほうが予後が良好)」が認められるかどうか、明らかでなかった。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(8)〕 結果は正しいが・・・

 無作為化試験のメタ解析で得られたエビデンスのレベルは最も高いとされるが、どの試験を解析対象とするかといった点に解析者の作為が入る余地があることからより注意深い批判的吟味(Critical Appraisal)が必要である。しかしCTT Collaborationは公平、中立な解析を行うグループであり、その点では安心してよい(高血圧領域ではBPLTTCが有名)。

長期の睡眠薬服用、依存形成しない?!

 常用している睡眠薬を急激に減量・中断すると、睡眠薬の服用前よりも強い不眠が出現することがある。このような症状を「反跳性不眠」という。反跳性不眠や退薬症候は睡眠薬の投与を中止する上での弊害となり、漫然と投与を継続する要因となりうる。Roehrs氏らは、慢性的な睡眠薬の投与が反跳性不眠・退薬症候に与える影響を前向きプラセボ対照試験にて検討した。J Psychopharmacol 誌2012年8月号の報告。