内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:264

マスク・手洗いでコロナ発症率がどの程度下がるのか~メタ解析/BMJ

 新型コロナウイルスへの感染、発症、死亡に関して、感染対策はどの程度有効だったのだろうか。オーストラリア・Monash UniversityのStella Talic氏らの系統的レビューとメタ解析から、手洗い、マスク着用、対人距離保持などがCOVID-19発症率の減少と関連することが示唆された。BMJ誌2021年11月17日号に掲載。  本研究では、Medline、Embase、CINAHL、Biosis、Joanna Briggs、Global Health、World Health Organization COVID-19データベース(プレプリント)において、COVID-19発症率、SARS-CoV-2感染率、COVID-19死亡率の減少における感染対策の有効性を評価した観察研究と介入研究を検索した。主要評価項目はCOVID-19発症率、副次評価項目はSARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率などであった。マスク着用、手洗い、対人距離保持がCOVID-19発症率に及ぼす影響をDerSimonian Lairdのランダム効果メタ解析で評価した。

反復性片頭痛に対するスマホベース音楽介入

 片頭痛は、世界中で多くの患者が苦しんでいる疾患の1つである。従来の予防薬や行動に基づく介入は、片頭痛発作の予防的治療として用いられてきた。しかし、原発性頭痛障害患者に対する代替介入のベネフィットについては、十分に調査されていなかった。フランス・CHU La Reunion-GHSRのGuilhem Parlongue氏らは、反復性片頭痛に対する患者の自己管理による音楽介入の影響について調査するため、パイロット研究を実施した。Complementary Therapies in Medicine誌オンライン版2021年9月30日号の報告。

妊娠高血圧腎症pre-eclampsiaとメトホルミン(解説:住谷哲氏)

筆者は内科医で産科は専門外なのではじめに用語を整理したい。2018年に発表された日本産科婦人科学会の「妊娠高血圧症候群の定義分類」によると、「妊娠時に高血圧を認めた場合、妊娠高血圧症候群とする。妊娠高血圧症候群は妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧、加重型妊娠高血圧腎症、高血圧合併妊娠に分類される」とあり、病型分類から子癇eclampsiaを除外し、高血圧に母体の臓器障害や子宮胎盤機能不全を認める場合は蛋白尿がなくても妊娠高血圧腎症とする、とされている。妊娠高血圧腎症が以前の妊娠中毒症であり、本論文のpre-eclampsiaと同一概念である。HELLP(Hemolysis, Elevated Liver enzymes, and Low Platelet count)症候群のような腎症を伴わない病態を妊娠高血圧腎症の訳語に含めるのは何となく違和感があるが、本稿でもpre-eclampsiaの訳語として妊娠高血圧腎症を使用する。 妊娠高血圧腎症の病態は現在も明らかではないが、何らかの胎盤機能異常が存在するとされている。胎盤機能異常があるので、最も確実な治療法は分娩または中絶による妊娠終了であるが現実的には妊娠継続を選択する場合がほとんどである。妊娠高血圧腎症の高リスク妊婦に対する低用量アスピリン投与が発症予防に有効であるとのエビデンスがあるが、発症した妊娠高血圧腎症に対する治療薬は現在存在しない。そこでこれまで、drug-repurposingの観点から、プラバスタチン、プロトンポンプ阻害薬、それとメトホルミンなどの投与が試みられてきた。本論文はメトホルミンの有効性を検証するためのproof-of-concept trialである。

エアロゾル感染への対応、ワクチン後の対応などを改訂/医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版

 ⽇本環境感染学会は「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第4版」を2021年11月22日に公開した。第3版からの主な改訂項目は、エアロゾル(微⼩⾶沫)による感染への対応、新型コロナウイルスのワクチン接種後の対応、積極的な検査の導⼊を含めた対応、である。  本ガイドの第1版は2020年2⽉12 ⽇に公開され、その後の状況の変化に応じて改訂し、2020年5月8日に第3版を公開していた。

エンパグリフロジンの慢性心不全への承認取得/日本ベーリンガーインゲルハイム・日本イーライリリー

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は、11月25日付でSGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)錠10mgについて、日本ベーリンガーインゲルハイムが、慢性心不全に対する効能・効果および用法・用量に係る医薬品製造販売承認事項一部変更承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。SGLT2阻害薬の慢性心不全への適応拡大では2剤目となる。  今回の製造販売承認(一部変更)は、エンパグリフロジンが心血管死または心不全による入院の複合リスクをプラセボと比較して有意に25%低下させることを示した“EMPEROR-Reduced試験”の結果に基づく。  本試験の主要評価項目に関する結果では、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、サブグループ間で同様の結果を示した。また、試験の重要な副次評価項目の解析から、エンパグリフロジンは心不全による入院の初回および再発のリスクをプラセボと比較して30%低下させると共に、腎機能の低下を有意に遅らせることが明らかになった。安全性プロファイルは、これまでに確立されたエンパグリフロジンの安全性プロファイルと同様だった。

ワクチン接種の目的は“次世代の健康”/EFPIA Japan

 EFPIA(欧州製薬団体連合会)Japanは、2021年11月22日に感染症領域のエキスパートである岡部 信彦氏(川崎市健康安全研究所 所長)を講師に迎え、ワクチンに関するオンラインプレスセミナーを開催した。セミナーでは、ワクチンが人類に果たしてきた役割について、その軌跡をたどるとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の盾を担うmRNAワクチンにも触れて講演が行われた。  岡部氏を講師に「生涯を通じての感染症予防(Life Course Immunization)-COVID-19の経験を含めて-」をテーマにレクチャーが行われた。

2型DMの新規発症リスクを低下・増加させる降圧薬は?/Lancet

 降圧治療は2型糖尿病の新規発症予防に効果的な戦略であるが、その効果は降圧薬のクラスにより異なっており、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)で良好な結果が得られることが、英国・オックスフォード大学のMilad Nazarzadeh氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメタ解析で示された。降圧治療は、糖尿病の細小血管および大血管合併症を予防する戦略として確立されているが、糖尿病そのものの予防に寄与するかは不明であった。著者は、「降圧薬のクラスによる差はおそらくオフターゲット作用の違いによるものと考えられる。今回のエビデンスは、糖尿病発症予防のために降圧薬のクラスを選択する必要があることを支持するものであり、個々の臨床的な糖尿病リスクに応じた薬剤選択の改善に結び付くだろう」と述べている。Lancet誌2021年11月13日号掲載の報告。

新型コロナとインフルワクチンの同時接種は安全か/Lancet

 新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種できれば、医療現場の負担減少につながる。米国ではワクチン接種率を高めるために同時接種も可としているが、日本では現時点で互いに片方のワクチンを受けて2週間後に接種可となっている。今回、英国のComfluCOV Trialグループによる多施設共同無作為化第IV相試験で、新型コロナウイルスへのアストラゼネカ製ワクチン(ChAdOx1)もしくはファイザー製ワクチン(BNT162b2)とインフルエンザワクチンの同時接種により安全性の懸念は引き起こされなかったことが示された。また、両ワクチンに対する抗体反応も維持されていた。英国・University Hospitals Bristol and Weston NHS Foundation TrustのRajeka Lazarus氏らが、Lancet誌オンライン版2021年11月11日号で報告した。

AZの新規抗体カクテル療法、発症および重症化抑制で良好な結果

 英・アストラゼネカは11月24日付けのプレスリリースで、進行中の2つの第III相試験(PROVENT試験・TACKLE試験)の新たな解析により、長時間作用型抗体AZD7442(tixagevimab・cilgavimab併用療法)の単回筋肉内投与が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する高い有効性と長期予防効果を示したことを発表した。同社は10月5日、米国食品医薬局(FDA)に対し、AZD7442のCOVID-19予防に対する緊急使用許可を申請したことも同時に公表した。  PROVENT試験では、SARS-CoV-2に感染していない高リスクおよび免疫不全の被験者を対象に、COVID-19発症予防に対するAZD7442 300mg単回筋肉内投与の安全性と有効性を評価した。米国、英国をはじめとする5ヵ国87施設で実施され、5,197例の被験者をAZD7442投与群とプラセボ投与群に2:1の割合で無作為に割り付けた。中央値6ヵ月の追跡期間で評価した結果、AZD7442群はプラセボ群に比べ、症候性COVID-19の発症リスクを83%低減した。

HPVワクチン接種行動は変わったか?

 HPVワクチンは2010年の接種開始以降、副反応忌避が続き接種率1%未満が続いていたが、昨年自治体から接種対象者への個別通知が再開し、今年は積極的受診勧奨再開に向けた検討会が開かれるなど動きが出てきた。  現在どのように接種行動や意識は変化しているのだろうか。HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)が、現在のHPVワクチンに対する意識・実態調査を行った。  調査はインターネット上で行われた。9,219名の回答者から無料接種対象年齢の本人として高校1年生の女子473名を抽出しHPVワクチン接種の有無を尋ねたところ、接種した、もしくは接種中が14.4%だった。