内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:126

出勤とテレワークの反復による時差ぼけで心理的ストレス反応が強まる可能性

 出勤日とテレワークの日が混在することによって生じる時差ぼけによって、心理的ストレス反応が強くなる可能性を示唆するデータが報告された。久留米大学の松本悠貴氏らをはじめとする産業医で構成された研究チームによるもので、詳細は「Clocks & Sleep」に10月16日掲載された。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックとともに、新たな働き方としてテレワークが急速に普及した。テレワークによって、仕事と私生活の区別がつきにくくなることや孤独感を抱きやすくなることなどのため、以前の働き方にはなかったストレスが生じることが報告されている。また、テレワークの日と出勤日が混在している場合には睡眠時間が不規則になり、「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)」が発生しやすくなるとの指摘もある。

米国の包括的プライマリケア+、手挙げ診療所は増収/JAMA

 包括的プライマリケアプラス(Comprehensive Primary Care Plus:CPC+)は、サービス利用率の低下および急性期入院医療費の減少と関連していたが、5年間の総支出額の減少とは関連していなかったことが、米国・MathematicaのPragya Singh氏らによる検討で示された。CPC+は米国の18地域で導入された最大の検証済みプライマリケア提供モデル。その健康アウトカムとの関連を明らかにすることは、将来の転換モデルを設計するうえで重要とされていた。JAMA誌オンライン版2023年12月15日号掲載の報告。

大腸がんスクリーニングのための多標的便RNA検査―便潜血反応と比較して(解説:上村直実氏)

大腸がんは肺がんの次にがん死亡者数が多い疾患であり、世界的に早期発見のための検診が盛んに行われている。通常、1次検診では免疫学的便潜血検査(FIT)を用いた判定法が頻用されているが、さらに精度の高い検査法が探求されている今回、大腸内視鏡検査を行った症例8,000人以上を対象として、便中の多標的RNA検査(ColoSense)とFIT両群の感度と特異度を比較した無作為比較試験の結果が、2023年11月のJAMA誌に掲載された。大腸がんおよび進行腺腫に対するColoSenseの感度がFITに比べて有意に高い結果であり、著者らは、今後、通常のFITに代わりうる検査法として期待されると結論付けている(*欧米と日本における大腸がんの定義は少し異なっており、日本における病理診断では粘膜内がんと診断される病変は、欧米ではがんではなく進行腺腫とされることに注意が必要である)。

心房細動アブレーション後に抗凝固薬を中止できる患者は?

 心房細動に対するカテーテルアブレーション後に抗凝固薬を継続することの有効性および安全性を評価する臨床試験は実施されておらず、抗凝固薬の継続の意義は明らかになっていない。そこで、金岡 幸嗣朗氏(奈良県立医科大学/国立循環器病研究センター)らの研究グループは、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、抗凝固薬の継続の有無別に血栓塞栓症と大出血のリスクを検討した。その結果、抗凝固薬の継続はCHADS2スコア2点未満の患者では大出血のリスクを上昇させ、CHADS2スコア3点以上の患者では血栓塞栓症リスクを低下させることが示された。本研究結果は、European Heart Journal誌オンライン版2023年12月20日号で報告された。

会話の時間が短いと非高齢者でも嚥下機能が低下?

 50~60歳代という誤嚥性肺炎が生じるにはまだ早い年齢層であっても、人と会話をする時間が短い人は、嚥下機能が低下している可能性のあることを示すデータが報告された。大分大学医学部呼吸器・感染症内科学の小宮幸作氏らの研究によるもので、詳細は「Cureus」に10月29日掲載された。  日本人の死亡原因の上位の一角は毎年、肺炎が占めている。死因としての肺炎の多くは高齢者の誤嚥性肺炎と推測されるが、その誤嚥性肺炎につながる嚥下機能の低下は高齢者に特有のものではなく、より若い年齢から加齢とともに徐々に進行していくと考えられる。ただし、どのような因子が嚥下機能の低下に関連しているのかは明らかにされていない。

喫煙+受動喫煙で身体的フレイルのリスクがより上昇

 タバコを吸うことで身体的フレイルのリスクが有意に上昇し、受動喫煙が加わるとさらにリスクが高くなることを示すデータが、国内の地域在住高齢者を対象とする縦断研究から示された。国立長寿医療研究センター研究所老年学・社会科学研究センター老化疫学研究部の西田裕紀子氏、台中栄民総医院(台湾)の朱為民氏らの共同研究によるもので、詳細は「Geriatrics & Gerontology International」に10月26日掲載された。  喫煙や受動喫煙が有害であることについては、膨大な研究によって強固なエビデンスが確立されており、近年ではフレイル(要介護予備群)との関連も報告されている。ただし受動喫煙とフレイルとの関連を示した研究の大半は横断研究であり因果関係は確認されておらず、また喫煙と受動喫煙が重なった場合にフレイルリスクがどのように変化するのかは明らかにされていない。西田氏らは、同研究所による「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」のデータを用いてこれらの点を検討した。

病室ベッド横に椅子、医師の着席増え患者満足度アップ/BMJ

 米国・University of Texas Southwestern Medical SchoolのRuchita Iyer氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、病室内の椅子の配置を工夫することで、ベッドサイドでの診察中に医師が着席する可能性が有意に高くなり、患者の満足度も高くなることが明らかになった。著者は、「椅子の配置は、簡単でコストがかからずローテクな介入であり、医師に不利益を与えることはない。医療現場でのケアの提供を改善するため、今後は行動的介入戦略を活用すべきである」とまとめている。BMJ誌2023年12月15日クリスマス特集号「MARGINAL GAINS」掲載の報告。

処方薬の片頭痛治療効果は市販のイブプロフェンより高い?

 片頭痛に苦しんでいるなら、イブプロフェンを買いに行くのではなく、処方薬の使用についてかかりつけの医師に相談する方が良いかもしれない。米メイヨー・クリニックの神経専門医Chia-Chun Chiang氏らは、トリプタン製剤やエルゴタミン製剤、制吐薬などの処方薬は、イブプロフェンと比べて急性期の片頭痛に対する効果が高いことが示されたとする研究結果を、「Neurology」に11月29日発表した。Chiang氏は、「片頭痛の治療では、トリプタン製剤を重度の頭痛発作に対する使用にとどめておくよりも早期の段階から使用を考慮すべきことが確認された」と説明している。

テレワークでの育児ストレス、出社より高い

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。  主な結果は以下のとおり。

日本の片頭痛治療におけるフレマネズマブのリアルワールドエビデンス

 抗CGRP抗体であるフレマネズマブのみに焦点を当てたアジアにおけるリアルワールド研究は、これまでほとんど行われていなかった。慶応義塾大学の大谷 星也氏らは、日本のリアルワールドにおけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果から、日本人の片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性および安全性が確認され、フレマネズマブ治療により約半数の患者において片頭痛関連症状の改善が認められたことを報告した。BMC Neurology誌2023年11月14日号の報告。