感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:85

医療従事者への3回目接種、コロナ感染リスク99%減/JAMA

 イスラエルの医療従事者を対象に行った試験で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)の3回接種者は2回接種者に比べ、中央値39日の追跡期間における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染リスクが有意に低かったことが示された(補正後ハザード比:0.07)。イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのAvishay Spitzer氏らが医療従事者1,928例を対象に行った前向きコホート試験の結果で、著者は「今回の所見が永続的なものかを確認するために、サーベイランスを続行することが求められる」と述べている。先行研究で、60歳以上へのBNT162b2の3回目接種(ブースター接種)がSARS-CoV-2感染のリスクおよび疾患の重症化を有意に低減することは示されていたが、若年者や医療従事者についてはデータが不足していた。JAMA誌オンライン版2022年1月10日号掲載の報告。

塩野義製コロナワクチンの国内第III相試験開始、年度内実用化目指す

 塩野義製薬は1月17日付のプレスリリースで、開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン(S-268019)について、国内で第III相中和抗体価比較試験を開始したことを発表した。2回接種後の免疫原性を指標として、S-268019と既承認ワクチンの比較検証が目的。国内における最終段階の臨床試験となる。同社は、本ワクチンについて3月末までの実用化を目指すとしている。  本試験では、成人および高齢者1,000例を対象に、開発中のワクチンまたは対照薬のアストラゼネカ社の既承認ワクチン(バキスゼブリア筋注)の2回目接種から28日後のSARS-CoV-2に対する中和抗体価について比較検証する。

イチゴ腫根絶に向けたアジスロマイシン集団投与3回の効果/NEJM

 イチゴ腫(yaws、framboesia)の治療において、アジスロマイシンの集団投与を6ヵ月間隔で3回行う方法は、標準治療である集団投与を1回行ってからイチゴ腫様病変がみられる集団に標的治療を2回行う方法に比べ、地域有病率が大幅に低下し、小児の潜在性イチゴ腫の有病率も低くなることが、パプアニューギニア保健省のLucy N. John氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年1月6日号に掲載された。イチゴ腫は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の亜種であるpertenueに起因する感染症で、主に熱帯地方の貧しい農村に住む子供の皮膚や長骨が侵される。撲滅キャンペーンを行わなければ、2015~50年の間に160万の障害調整生存年数が失われるとされる。

抗原検査による偽陽性、どのくらい検出される?/JAMA

 抗原検査が一般市民でも手軽にできるようになった今、懸念されるのは偽陽性の発生割合ではないだろうかー。今回、カナダ・トロント大学のJoshua S Gans氏らが調査した結果、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に対しカナダ国内で使用されているすべての迅速抗原検査では、全体的に“偽陽性”の割合が非常に低く、その結果はほかの研究結果とも一致していたと示唆された。ただし、抗原検査のタイミング(感染段階で早すぎる/遅すぎる)や抗原検査キットの品質問題が原因で正しくない結果が報告される可能性もあることから、1つの集団から偽陽性がクラスターとして発生するには、実装ではなく製造上の問題もあるのではとも言及している。JAMA誌2022年1月7日号オンライン版のリサーチレターでの報告。

新型コロナウイルス感染におけるDOACの意味:ランダム化比較試験か観察研究か?(解説:後藤信哉氏)

観察研究にて、新型コロナウイルス感染による入院中の血栓イベント予防におけるDOACの価値は限定的とされた。血栓イベントリスクは退院後も高いと想定される。退院後の低分子ヘパリンの継続の根拠も確立されていない。本研究ではVTE risk 2~3以上、あるはD-dimer 500以上の症例を対象として抗凝固療法なしと1日10mgのrivaroxabanを比較するオープンラベルのランダム化比較試験である。退院後の抗凝固薬として標準治療は確立されていない。しかし、無治療と10mg rivaroxabanの比較試験の施行根拠を明確に説明することも難しい。本研究はブラジルの14の施設にて施行された。

経口コロナ治療薬の国内製造販売承認を申請/ファイザー

ファイザーは1月14日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に対する経口抗ウイルス薬候補「PF-07321332/リトナビル錠」(米国での商品名:Paxlovid)の製造販売承認を厚生労働省に申請したことを発表した。日本も参加した国際共同第II/III相試験(EPIC-HR)の結果に基づくもので、特例承認による迅速な使用開始を目指す。  EPIC-HR試験は、重症化リスクが高く、入院していないCOVID-19成人患者を対象としたランダム化二重盲検試験。

N95マスク、医療従事者が知っておきたいこと

 オミクロン株の急拡大が進み、早くも医療現場の逼迫が見えている中、マスクは最も重要な個人防護具の1つである。わが国では、マスクの品質管理の一環として、日本産業規格(JIS)が2021年6月に制定された。しかし、適切な基準を満たさない製品も多く流通していることが懸念され、医療機関それぞれが対策しなければならない。そこで、N95マスクについて医療従事者が知っておくべき基本事項をまとめた。  国立感染症研究所が作成した「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年6月2日改訂版)」では、N95マスクはエアロゾルが発生する可能性のある手技(気道吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)を行う際に装着し、使用に際しては、事前のフィットテストと着用時のシールチェックが推奨されている。正しい着用方法はN95マスクを開発したスリーエム(3M)作成の「医療従事者のためのN95マスク適正使用ガイド」が参考になる。

コロナワクチンの感染抑制効果、デルタ株では低下/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)へのワクチン接種について、アルファ変異株と比較してデルタ変異株のほうが感染減少が少なく、ワクチンの有効性は経時的に低下したことが示された。また、感染発端患者の診断時PCRサイクル閾値(Ct)値は、感染減少を部分的に説明するのみであることも明らかにされた。英国・オックスフォード大学のDavid W. Eyre氏らが、後ろ向き観察コホート研究の結果を報告した。SARS-CoV-2のデルタ(B.1.617.2)変異株の出現以前は、ワクチン接種によりウイルス量が減少し、感染したワクチン接種者からのSARS-CoV-2の伝播が抑制したとみなされていた。ワクチン接種により感染リスクはさらに低下しているが、デルタ変異株に感染したワクチン接種者と未接種者のウイルス量は同程度であることが判明し、ワクチン接種が感染をどの程度予防するのか疑問視されていた。NEJM誌オンライン版2022年1月5日号掲載の報告。

3回目接種でオミクロン株への中和抗体が大きく増加/NEJM

 新型コロナウイルスのmRNAワクチン2回接種から6ヵ月以降に3回目の接種を受けると、オミクロン株に対する中和抗体価が大きく上昇することが、米国・ロックフェラー大学のFabian Schmidt氏らの研究で示された。また、ワクチン未接種の既感染者においても、mRNAワクチンの接種によりオミクロン株に対する中和抗体価が大きく上昇した。NEJM誌オンライン版2021年12月30日号のCORRESPONDENCEに掲載。  著者らは、新型コロナウイルスのワクチン接種または感染、もしくはその両方で曝露された47人における169の血漿検体において、武漢株とオミクロン株に対する中和抗体価を測定した。

単回投与の中国製コロナワクチン、予防効果は57.5%~第III相試験/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルス5型ベクターワクチン「Ad5-nCoV」(中国・カンシノ・バイオロジクス[康希諾生物]製)の単回投与について、健康な18歳以上成人における有効性および安全性が示された。接種後28日以降のPCR検査確定・症候性COVID-19の予防効果は57.5%であり、また、重篤有害事象の発生率は0.1%でプラセボと同等であったという。カナダ・ダルハウジー大学のScott A. Halperin氏らが、第III相の国際二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2021年12月23日号掲載の報告。  試験は、アルゼンチン、チリ、メキシコ、パキスタン、ロシアの試験センターで18歳以上を登録して行われた。被験者は、不安定または重度の内科的・精神的基礎疾患がなく、検査確定の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染歴が認められず、妊娠または授乳中でない、アデノウイルス・ベクター、コロナウイルス、またはSARS-CoV-2ワクチンの未接種者だった。