産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:23

インスリン療法を行っている妊娠中の糖尿病に、メトホルミンを追加することの意義は?(解説:小川大輔氏)

妊娠前から2型糖尿病と診断されている方でも、妊娠後に糖尿病と診断された方でも、妊娠中の糖尿病の管理は食事療法とインスリン療法が基本となる。日本では妊婦に対するメトホルミンの投与は禁忌とされているが、海外では使用が可能となっている。糖尿病合併妊娠あるいは妊娠糖尿病患者を対象に、インスリン療法に加えてメトホルミンを追加した際の新生児期の有害事象に対する効果を検討した結果がJAMA誌に発表された。米国17ヵ所の医療機関で、妊娠前に2型糖尿病と診断されている、または妊娠23週以前に妊娠糖尿病と診断されたインスリン治療中の被検者831症例を対象に、メトホルミン1,000mgを投与する群(メトホルミン群)と、プラセボを投与する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要アウトカムは周産期死亡、早産、新生児低血糖、在胎不当過大児あるいは在胎不当過少児、光線療法を必要とする高ビリルビン血症といった新生児複合有害事象であった。

妊娠中の大麻使用、有害な妊娠アウトカムが増加/JAMA

 妊娠期間中の継続的な大麻使用により、胎盤機能不全に関連する有害な妊娠アウトカムが増加し、とくに在胎不当過小児が多くなることが、米国・University of Utah HealthのTorri D. Metz氏らが実施した「NuMoM2b試験」の補助的解析で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年12月12日号に掲載された。  NuMoM2b試験は、米国の8つの医療センターで実施したコホート研究であり、2010~13年に参加者を募集し、今回の補助的解析は2020年6月~2023年4月に行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]の助成を受けた)。

既往帝王切開、多面的介入で周産期合併症が減少/Lancet

 帝王切開分娩歴が1回の女性において、分娩方法の選択を支援しベストプラクティスを促進する多面的な介入により、帝王切開分娩や子宮破裂の発生率が増加することなく、主要な周産期合併症および妊産婦合併症の罹患率が有意に減少した。カナダ・ラヴァル大学のNils Chaillet氏らが、多施設共同クラスター無作為化非盲検比較試験「PRISMA試験」の結果を報告した。帝王切開分娩歴のある女性は、次の妊娠で難しい選択に直面し、再度帝王切開分娩を行うにしても経膣分娩を試みるにしても、いずれも母体および周産期合併症のリスクがあった。Lancet誌2024年1月6日号掲載の報告。

緊急避妊薬、新年直後に販売数が増加/BMJ

 米国のドラッグストアや量販店で、レボノルゲストレル緊急避妊薬の販売数について調べたところ、新年の祝日後に顕著に増加することが、米国・テキサス工科大学のBrandon Wagner氏らが行った時系列分析で示された。そのほか、バレンタインデー、セントパトリックスデー、米国の独立記念日の後にも、新年の祝日後ほどではないが増加が認められたという。結果を踏まえて著者は、「新年の祝日後の緊急避妊薬の売上増加は、この時期が他の休日と比べて、無防備な膣性交のリスクが高いことを示唆している」と述べ、「行動リスクをターゲットとした性暴力を軽減するための予防戦略と、休日前後の避妊薬へのアクセスを改善することで、無防備な膣性交のリスクを制限できる可能性がある」とまとめている。BMJ誌2023年12月20日号クリスマス特集号「ANNUAL LEAVE」掲載の報告。

妊娠によって明らかになった将来の健康ハイリスク女性に対する、効果的な産後介入の可能性(解説:三戸麻子氏)

妊娠高血圧症候群に罹患した女性は、将来の生活習慣病や脳心血管病のハイリスクであることが知られている。しかし、現行の診療ガイドラインでは、産後にそのリスクを周知し、健康的なライフスタイル指導を推奨しているのみで、フォローアップの方法は確立していない。本研究では、産後の血圧自己モニタリングと医師による降圧薬調整の遠隔指導を行うことで、通常の産後管理と比較して、産後9ヵ月時の拡張期血圧が低下したことが示され、将来の疾病予防につながる可能性が示唆された。

ドキシサイクリンPEP、シスジェンダー女性では予防効果なし/NEJM

 シスジェンダー女性において、ドキシサイクリンの曝露後予防(PEP)は標準治療と比較し性感染症(STI)の発生率を有意に低下しなかった。また、毛髪試料の分析の結果、ドキシサイクリンPEPの服用率は低かったという。米国・ミネソタ大学のJenell Stewart氏らdPEP Kenya Study Teamが無作為化非盲検試験の結果を報告した。ドキシサイクリンPEPは、シスジェンダー男性およびトランスジェンダー女性のSTIを予防することが示されているが、シスジェンダー女性を対象とした試験のデータは不足していた。著者は、「生物医学的な予防効果を得るためには、予防薬服用アドヒアランスに対する理解を深めてもらうこと、および支援を行う必要がある」とまとめている。NEJM誌2023年12月21日号掲載の報告。

10代での妊娠とうつ病~JECS研究

 10代での妊娠は、さまざまな要因によりうつ病リスクを増加させる可能性がある。若年成人期の妊娠は、高齢期の妊娠と比較し、複数のうつ病リスク因子に影響を及ぼすと考えられる。しかし、若年成人期の妊娠におけるうつ病関連のデータは不足している。国立成育医療研究センターの石塚 一枝氏らは、10代および若年成人期の妊娠とうつ病との関連を調査した。その結果、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクが高いことが示唆された。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2023年11月22日号の報告。

妊娠糖尿病、インスリン+メトホルミン vs.インスリン単独/JAMA

 2型糖尿病を有するまたは妊娠初期に2型糖尿病と新規に診断された妊婦において、インスリン療法にメトホルミンを追加しても新生児の複合有害アウトカムは減少しなかった。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のKim A. Boggess氏らが、米国の17施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「MOMPOD試験」の結果を報告した。既往または妊娠初期に診断された2型糖尿病を有する妊婦には、インスリンの投与が推奨されるが、インスリンへのメトホルミンの追加により新生児の有害アウトカムが改善する可能性が示唆されていた。JAMA誌2023年12月12日号掲載の報告。  研究グループは2017年6月~2021年11月に、単胎妊娠10週0日~22週6日で2型糖尿病を有する、または23週より前にインスリンを必要とする糖尿病と診断された、18~45歳の成人女性を対象とした。施設、妊娠週数(18週未満、18週以上)、糖尿病診断時期(既往、妊娠初期)で層別化し、メトホルミン(1,000mg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。全例がインスリンの投与を受け、それぞれ割り付けられた試験薬を出産まで1日2回経口投与した。

Hybrid closed loop(HCL)療法は1型糖尿病合併妊娠においても有効である(解説:住谷哲氏)

CGMが一般的になってTIR time in rangeも日頃の臨床でしばしば口にするようになってきた。TIRは普通70 -180mg/dLが目標血糖値とされているが、より厳格な血糖管理が要求される妊婦の場合は、これが63-140mg/dLに設定されている。1型糖尿病患者におけるHCL療法の有用性はほぼ確立されているが、1型糖尿病合併妊娠患者におけるエビデンスは、これまで存在しなかった。本試験によって、ようやくエビデンスがもたらされたことになる。HCLシステムはCGM、インスリンポンプおよびそれを統合管理するアルゴリズムから構成される。

FRα高発現プラチナ抵抗性卵巣がん、FRα標的ADC MIRVがOS・PFS改善(MIRASOL)/NEJM

 葉酸受容体α(FRα)高発現プラチナ製剤抵抗性の高異型度漿液性卵巣がん患者において、mirvetuximab soravtansine-gynx(MIRV)は、化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および客観的奏効率(ORR)を有意に改善したことが、米国・オクラホマ大学ヘルスサイエンスセンターのKathleen N. Moore氏らにより21ヵ国253施設で実施された無作為化非盲検第III相試験「MIRASOL試験」の結果で示された。MIRVは、FRα抗体に微小管阻害剤を結合させたFRαを標的とするファーストインクラスの抗体薬物複合体で、米国では2022年11月14日に「SORAYA試験」の結果に基づき、1~3レジメンの前治療のあるFRα高発現プラチナ製剤抵抗性卵巣がんの治療薬として、迅速承認されている。NEJM誌2023年12月7日号掲載の報告。