産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

PCOS、体外受精前のビタミンD補充で出生率は向上せず/BMJ

 体外受精を予定している多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者において、ビタミンD補充(4,000 IU/日)の最長90日間の継続は、プラセボと比較して血清中25-ヒドロキシ(OH)ビタミンD濃度(25-OHD)を上昇させるものの、初回胚移植後の出生率は改善しなかった。中国・浙江大学のKai-Lun Hu氏らVitD-PCOS trial groupが、同国の不妊治療センター24施設において実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。観察研究では、PCOSの女性におけるビタミンD欠乏と生殖アウトカム不良との関連が一貫して示されており、先行研究でビタミンD補充が体外受精に有益な効果をもたらす可能性があることが小規模な検出力不足の臨床試験において示唆されていた。今回の結果は、体外受精を受けるPCOSの女性における補助療法としてのビタミンD補充の日常的な使用に疑問を投げ掛けるものである。BMJ誌2026年2月17日号掲載の報告。

更年期のホルモン補充療法、死亡は増加せず/BMJ

 45歳以降に初めて更年期ホルモン補充療法を受けた女性は、受けなかった女性と比較して死亡リスクは増加しないことが、デンマーク・Copenhagen University Hospital HerlevのAnders Pretzmann Mikkelsen氏らの調査で示された。これまでの研究では、更年期ホルモン補充療法後の死亡率は減少または変化なしと報告されていたが、方法論的な限界が指摘されていた。BMJ誌2026年2月18日号掲載の報告。

睡眠薬、抗コリン薬を処方中の患者を受け持つプライマリケア医に、電子カルテを介し減薬を勧める介入は、不適切処方を減らす効果があるが、死亡リスクを高めるかもしれない(解説:名郷直樹氏)

高齢者の不適切処方は日本においても大きな問題の1つだが、本研究は米国のプライマリケア医を対象として、65歳以上の高齢者でベンゾジアゼピン、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗コリン薬が処方されている患者の不適切処方に対し、電子カルテを通し、前もって介入する群、診察後減薬を検討させる群と標準的な診療を比較し、1剤以上の減薬の効果を検討したクラスターランダム化比較試験である。ランダム化はプライマリケア医ごとに行われ、結果は患者ごとで解析されている。2つの介入方法であるが、診療前群では、医師が電子カルテを開くと、初回には薬剤継続のリスクの患者との共有、患者向け説明資料、代替治療や減薬アルゴリズムへのリンクが表示され、2回目以降は、前回の情報提供を想起させ、具体的な減薬のお勧めが表示される。

更年期症状のほてりや動悸、心血管リスクのアラートに/日本循環器協会

日本循環器協会が主催するGo Red for Women Japan健康セミナー「赤をまとい女性の心臓病を考えるin東京」が2月7日に一橋大学の一橋講堂で開催された。今回で3回目を迎える本イベントは、循環器疾患の診断・治療における性差などを患者自身が学ぶための機会として、米国心臓協会(AHA)のサポートのもとで行われている。今回、副島 京子氏(杏林大学 循環器内科)と塚田(哲翁)弥生氏(日本医科大学武蔵小杉病院 総合診療科)が心疾患好発年齢の女性らに向け、受診が必要な症状などについて解説した。

妊婦へのベンゾジアゼピン使用が妊娠アウトカムに及ぼす影響

 妊娠中のベンゾジアゼピン(BZD)使用は、流産、死産、早産、在胎不当過小など、妊娠アウトカムへの潜在的なリスクに対する懸念がある。しかし、依然としてその使用は増加している。これまでのエビデンスは、不明確な臨床解釈と方法論的バイアスによって限定的であった。台湾・National Cheng Kung UniversityのBrian Meng-Hsun Li氏らは、BZD使用と早産および在胎不当過小のリスクとの関連を、流産と死産のリスクを競合事象として考慮しながら評価した。JAMA Internal Medicine誌2026年2月1日号の報告。  2011~21年の台湾国民健康保険研究データベースを用いて、妊娠0~36週までの妊婦を対象にオープンラベルランダム化試験を実施した。

月経血によるHPV検査、子宮頸がん検診に有望/BMJ

 Grade2/3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN2+/CIN3+)の検出において、ミニパッドで採取した月経血を用いたヒトパピローマウイルス(HPV)検査は、医師が採取した子宮頸部検体による検査との比較において同等の診断精度であることが、中国・華中科技大学のXun Tian氏らによる地域住民を対象とした研究で示された。月経血を用いたHPV検査は子宮頸がん検診の非侵襲的な代替手段として有望視されており、パイロット研究では医師が採取した子宮頸部検体とHPV遺伝子型の高い一致率が報告されているが、エビデンスは限定的であった。著者は、「本研究の結果は、月経血検体によるHPV検査を子宮頸がん検診ガイドラインに組み込むことを支持するものである」とまとめている。BMJ誌2026年2月4日号掲載の報告。

妊娠前・妊娠初期におけるGLP-1受容体作動薬の中止による影響(解説:小川大輔氏)

 妊娠中に初めて発見または発症した糖代謝異常である「妊娠糖尿病」と、妊娠前から糖尿病を患っている「糖尿病合併妊娠」は、どちらも高血糖が胎児の発育に影響を与えるため妊娠中の血糖管理が非常に重要になる。そして妊娠中の糖尿病の薬物療法はインスリン療法が原則となる。妊娠前から経口血糖降下薬などで治療していた場合でも、妊娠する前、あるいは妊娠が判明した時点でインスリンへの変更が必要となる1)。これは、経口血糖降下薬が胎盤を通して胎児に運ばれ、低血糖を引き起こす可能性があるためである。  GLP-1受容体作動薬に関しては、ラットやラビットを用いた動物実験でGLP-1受容体作動薬の投与により胎児の構造異常、子宮内での発育制限、胎児の死亡などが報告されており、妊娠中はGLP-1受容体作動薬の使用を避けるべきとされている1)。

政府主導の現金給付プログラムが死亡率に関連する行動および健康決定要因に与える影響:差の差研究(解説:名郷直樹氏)

ランダム化比較試験で検討困難な疑問に関して、ビッグデータを用いた観察研究によって検討しようという流れの中にある研究である。37の低~中所得国家を対象とし、政府主導の現金給付プログラムを提供している国と提供していない国を比較し、また提供された国における提供前と提供後を比較して、死亡に関連する17のアウトカムを検討している。 解析方法は、“difference-in-differences study”とあるように、少し特殊である。具体的には、現在現金給付を行っている国の行っていない時期とのアウトカムの差から、行っていない国の現在のアウトカムと行っている国の行っていないのと同時期のアウトカムの差を差し引いたものを効果の指標としている。

閉経前女性における卵巣がんの診断に最適な指標は?/BMJ

 閉経前女性の卵巣がんのリスク予測モデルの研究は、主に専門の超音波検査技師がいる2次検査以降の環境下で行われており、非専門医、プライマリケアまたは地域設定で一般化するには限りがある。すべての検査を直接比較した研究も見当たらないことから、英国・Sandwell and West Birmingham Hospitals NHS TrustのSudha Sundar氏らは、閉経前女性の卵巣がんの診断に寄与する最適なリスク予測モデルを特定する前向きコホート研究「ROCkeTS研究」を行った。現在、英国の国民保健サービス(NHS)の3次医療のトリアージで使用されているRisk of Malignancy Index 1(RMI 1)(閾値250)と比較して、他のほとんどの検査指標は、特異度は低いが感度が高く、なかでもInternational Ovarian Tumour Analysis(IOTA)のADNEXモデル(閾値10%)の感度が最も高く、特異度の低さは他の検査と同程度であることが示された。

妊娠中の血圧上昇は早産・低出生体重リスクと関連

 妊娠から出産までの健康を良好に保つ上では、妊婦の血圧を管理することが重要となりそうだ。新たな研究で、遺伝的要因に基づき収縮期血圧(SBP)が10mmHg高いと予測される妊婦では、母子双方の有害な妊娠・周産期アウトカムのリスクが高いことが示された。ノルウェー公衆衛生研究所・生殖・健康センターのMaria Magnus氏らによるこの研究結果は、「BMC Medicine」に1月14日掲載された。  Magnus氏は、「本研究の結果は、母体の血圧上昇が、早産、低出生体重児の出産、分娩誘発の必要性、妊娠糖尿病の発症、新生児集中治療室(NICU)への入室など、複数の有害な妊娠アウトカムのリスク上昇と関連することを示している」とニュースリリースで述べている。