総合診療科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

オベポレクストン、ナルコレプシータイプ1の眠気・覚醒を改善/NEJM

 ナルコレプシータイプ1患者において、経口オレキシン2受容体(OX2R)選択的作動薬オベポレクストンは12週間にわたり、覚醒状態、眠気および情動脱力発作(カタプレキシー)の評価尺度を有意に改善したことが、フランス・Centre Hospitalier UniversitaireのYves Dauvilliers氏らが行った2つの第III相試験「First Light試験」「Radiant Light試験」の結果で報告された。オベポレクストン群では最も一般的な有害事象として、頻尿および一過性の不眠が認められた。ナルコレプシータイプ1は、日中の過度の眠気、カタプレキシー、睡眠分断、および入眠時や覚醒時の幻覚などで特徴付けられる。オベポレクストンは第II相試験で、ナルコレプシータイプ1の症状を軽減することが示されていた。NEJM誌オンライン版2026年9月9日号掲載の報告。

収益率が高い?ゴミ屋敷は困る?在宅医療、医師1,000人アンケート結果

 今後、本邦では医療・介護の複合ニーズを有する85歳以上の高齢者の増加が見込まれ、2020~40年にかけて、85歳以上の救急搬送は75%増加し、在宅医療需要は62%増加すると推計されている。CareNet.comでは会員医師1,027人を対象に、在宅医療への従事状況・従事意向、魅力やハードルと感じる点について聞くアンケートを実施した(2026年7月23~24日実施)。  現在、または過去の在宅医療(訪問診療または往診)への従事状況について聞いた質問では、「主たる業務として従事している(週4日以上)」が6.5%、「外来診療の合間などに、定期的に従事している」が15.9%、「かかりつけ患者の急変時など、不定期に行っている(往診のみなど)」が7.4%、「過去に従事していたが、現在は行っていない」が23.3%と、従事経験のある医師が53.1%を占めた。

大腸がん検診60%目標、2028年達成は困難か

日本では大腸がん検診の受診率向上が公衆衛生上の課題であり、2028年までに受診率60%を達成する目標が掲げられている。一方で、都道府県や性別による受診率の差が目標達成に及ぼす影響は十分に定量化されていない。そこで、一橋大学のHasan Jamil氏らは、2013~22年の全国データを用いて、2028年に大腸がん検診受診率が60%目標に到達する可能性を都道府県別に予測した。その結果、全国の受診率は2028年時点で60%に届かず、多くの都道府県で目標達成確率が低いと推定された。本研究結果は、International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年7月27日号に掲載された。

PSSA菌血症治療の常識は変わるか?(解説:栗原宏氏)

現在のPSSA(Penicillin-Susceptible Staphylococcus aureus)を取り巻く環境は10年前とはかなり変化している。欧米を中心に、かつては稀とされていたPSSAの割合が再増加傾向であることが本研究の背景となっている。PSSAであれば、治療としてペニシリンGは、最も狭域で抗菌活性が高く、内服アモキシシリンへの移行が容易、腎障害・肝障害・静脈炎が少ない可能性があるなど利点が多い。その一方で、低レベルペニシリナーゼ産生菌がPSSAと誤判定されていた場合の治療失敗リスクを踏まえて、抗ブドウ球菌ペニシリン系薬が第一選択とされていた。本研究はPSSAに対して「念のために抗ブドウ球菌ペニシリンを使う」という従来の治療戦略に再考を促す結果となった点で意義が大きい。

敗血症患者に対する30mL/kg以上の初期輸液、30日死亡率低下と関連

 大規模コホート研究で、市中発症敗血症患者に対する初期輸液療法として、来院6時間以内に30mL/kg以上の輸液を実施した場合、30日死亡率の低下と関連することが示された。とくに低灌流例だけでなく、中等度乳酸上昇例でも死亡率低下が認められ、従来は輸液過剰が懸念され十分な輸液が控えられてきた重度心・腎疾患併存例でも有害性を示す結果は得られず、むしろ輸液量の増加に伴い死亡率が低下する可能性が示唆された。Intermountain Medical Center(米国・ユタ州)のElizabeth S. Munroe氏らによる本研究はJAMA Network Open誌2026年6月12日号に掲載された。

猛暑への長期曝露、認知症発症リスクを高める可能性

 猛暑は熱中症や心血管イベントのリスク因子として知られているが、認知症発症に対する長期的影響については十分なエビデンスが蓄積されていない。日本の大規模高齢者コホートを用いて、長期にわたる極端な暑熱曝露と認知症発症および全死亡との関連を検討した結果が発表された。東京科学大学・公衆衛生学分野の森田 彩子氏らによる本研究は、Alzheimer's & Dementia誌2026年1月4日号に掲載された。  2016~19年に実施された日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)の縦断データを用いた。

医師確保の新しい選択肢に、「旅当直」サイトオープン

 地方の医療機関にとって、医師確保は長年にわたる大きな経営課題となっている。とくに当直体制の維持は、常勤医の負担軽減や病院機能の継続に直結する一方で、従来の人材紹介や単発アルバイトだけでは、中長期的な関係性づくりにつながりにくいという課題がある。 こうした中、Mediative株式会社は、都市部の医師が地方の医療機関で当直勤務を行いながら、その土地の人や文化、地域医療の現場に触れる新しい地域医療体験「旅当直」のポータルサイトを、2026年5月14日に公開した。本稿では特別寄稿として、Mediative代表で医師の畑 拓磨氏が本サービスの特徴を紹介する。

高齢者のレボチロキシンは中止できるか?(解説:田村嘉章氏)

 高齢者では甲状腺機能低下症の有病率が高く、甲状腺ホルモン製剤が投与されている者が多い。近年、高齢者におけるポリファーマシーの弊害が叫ばれるようになり、不要な薬剤の減量や中止が推奨されているが、甲状腺ホルモン薬中止についてのエビデンスは不足しており、判断がつかぬまま薬剤が長期継続されているケースも多い。  オランダで行われた本研究は、60歳以上(中央値70歳)の高齢者でレボチロキシン(LT4)を≦150μg/日で投与中の370例のうち、TSH<10mIU/Lの者に対し、LT4の減量、中止が可能かを1年間にわたり検討したものである。

インフルエンザmRNAワクチンの予防効果を臨床症状で判定(解説:栗原宏氏)

本調査は、50歳以上を対象とした4万人規模のインフルエンザmRNAワクチン(モデルナの開発製品mRNA-1010)の第III相試験である。効果判定を抗体価ではなく、RT-PCRでインフルエンザ陽性に加え、全身症状(37.2℃超の発熱、悪寒、発熱感、倦怠感、頭痛、筋肉痛)および呼吸器症状(咽頭痛、咳、喀痰、喘鳴、呼吸困難)を有するという実臨床に即した症候を基準としてその発症予防に設定しており、臨床的な意義が大きいものとなっている。

特定健診の「2cm2kg減」は適切? 3万人の代謝指標との関連を検討

 日本の特定健診・特定保健指導では、生活習慣改善の目安として「腹囲2cm・体重2kgの減少(2cm2kg)」が推奨されている。しかし、この目標達成が実際に代謝指標の改善と結びついているか検討した研究は乏しい。そこで、笠原 健矢氏(京都府立医科大学)らの研究グループは、健診コホートデータを用いて2cm2kg目標の妥当性を検討した。その結果、2cm2kg達成は、血糖、血圧、脂質、肝機能といった代謝指標の改善と有意に関連し、実務上の目安としておおむね妥当であることが示唆された。本研究結果は、Obesity誌オンライン版2026年4月4日に掲載された。