消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:162

胆嚢摘出後の腹痛、オッディ括約筋切除も緩和せず/JAMA

 胆嚢摘出後に腹痛を伴う患者について、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)による内圧測定後にオッディ括約筋を切除しても痛みは軽減しなかったことが、米国・サウスカロライナ医科大学のPeter B. Cotton氏らによる多施設共同シャム対照無作為化試験の結果、示された。胆摘後の腹痛は頻度が高く、米国では毎年70万人以上が胆摘を受け、そのうち10%超で術後の痛みが報告されている。痛みはオッディ括約筋の機能不全が原因である可能性があり、ERCP内圧測定とオッディ括約筋切除が行われる頻度が高い。しかし今回の結果を踏まえて著者は「これらの患者に対する、ERCP内圧測定とオッディ括約筋切除の関連の裏付けは得られなかった」とまとめている。JAMA誌2014年5月28日号掲載の報告より。

C型慢性肝炎に対するIFN-freeの治療法に関する検討 ―レディパスビル・ソホスブビル療法の期間短縮は可能か―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(211)より-

C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現在の標準治療はペグインターフェロン(PEG-IFN)・リバビリン・シメプレビル(第2世代Protease阻害薬)の3剤併用療法(24週)である。治療効果の向上、患者の負担軽減を目指した治療法として、IFN freeの経口薬併用療法の開発が進められている。HCVを減らす経口薬として、(1)NS3 Protease阻害薬、(2)NS5B Polymerase阻害薬(核酸型・非核酸型)、(3)NS5A阻害薬が挙げられる。このうち、核酸型のNS5B Polymerase阻害薬に属するソホスブビルは、耐性ウイルスの出現率が低いことが知られ、さらに、ソホスブビルとNS5A阻害薬であるレディパスビルの12週間の内服併用治療は、有効性が高く、副作用が低いことが報告されている。

機能性ディスペプシアの診療ガイドライン~プライマリケアでの対応も掲載

 今年4月の日本消化器病学会総会において、「機能性消化管疾患診療ガイドライン-機能性ディスペプシア(FD)」(日本消化器病学会編)が発表された。6月6日に開催されたメディアセミナー(ゼリア新薬工業・アステラス製薬共催)では、本ガイドラインのポイントや、国内で唯一FDに適応を持つアコファイド(一般名:アコチアミド)の有用性について、兵庫医科大学内科学消化管科 主任教授 三輪 洋人氏が講演した。

H.pyloriの除菌治療、アジア人胃がん発生を低下/BMJ

 ヘリコバクター・ピロリ(以下、H.pylori)の除菌治療が、健康な無症候性感染者の胃がん発生を予防するのかについて検討した、英国・セントジェームズ大学病院のAlexander C Ford氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、アジア人については減少するという限定的で中程度のエビデンスが示されたことを報告した。理論上では、除菌治療により胃がんの発生率は低下するが、報告されているエビデンスは相反するものだった。BMJ誌オンライン版2014年5月20日号掲載の報告より。

これでC型肝炎を安全に完全に治せる?(コメンテーター:溝上 雅史 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(206)より-

今まで、C型慢性肝炎や肝硬変における根本的治療法としてはインターフェロン(IFN)ベースの治療しかなかったが、その持続的なウイルス消失(sustained virological response:SVR )は約50%で、さらに各種の高率な副作用で十分な治療を施すことができないという問題点があった。そこでHCVを直接叩く薬剤(directly acting antivirals (DAAs))が開発されたが、新規副作用や耐性株の出現があるにも関わらずそのSVRはそれほど改善されなかった。

潰瘍性大腸炎の新たな抗体製剤、臨床的寛解率達成/Lancet

 抗α4β7/αEβ7インテグリン抗体エトロリズマブ(etrolizumab)は、潰瘍性大腸炎の治療において良好な臨床的寛解率をもたらし、忍容性も優れることが、ベルギー・ルーベン大学のSeverine Vermeire氏らの検討で明らかとなった。潰瘍性大腸炎は腸管内の微生物抗原に対する異常な免疫応答で特徴づけられる慢性炎症性疾患である。α4β7インテグリンとそのリガンドであるMAdCAM-1の相互作用を阻害することで、免疫細胞の腸への移動が阻止され、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療法として有効であることが示されている。本薬は、α4β7およびαEβ7インテグリンのヘテロダイマーのβ7サブユニットに選択的に結合するヒト化モノクローナル抗体である。Lancet誌オンライン版2014年5月9日号掲載の報告。