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リバーロキサバン、PCI施行心房細動患者の出血減らす:バイエル

 Bayer AGは2016年11月14日、第III相試験PIONEER AF-PCIの結果から、経口Xa阻害薬リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)の2つの治療戦略が、冠動脈ステントを留置した心房細動患者の出血リスクを、ビタミンK拮抗薬(以下、VKA:Vitamin K Antagonist)に比べ有意に減少させたと発表した。とくに、リバーロキサバン15mg/日と抗血小板薬剤の併用は、VKAと抗血小板2剤療法(以下、DAPT:Dual AntiPlatelet Therapy)の併用に比べ、臨床上著明な出血を41%減少させた。また、リバーロキサバン2.5mg×2/日とDAPTの併用は、VKAとDAPTの併用に比べ、臨床的に著明な出血を37%減少させた。これらの結果は、いずれも統計学的に有意であった。同様の結果が効果評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症)でもみられたが、この試験は統計学的に有意を示すにはパワー不足であった。 この米国で初めてのNOACとVKAとの無作為化比較試験であるPIONEER AF-PCIの結果は、2016年米国心臓学会議(AHA)学術集会のLate Breaking Clinical Trialセッションで発表され、同時にThe New England Journal of Medicine誌に掲載された。PIONEER AF-PCI試験について PCIによる冠動脈ステント留置を行った非弁膜症性心房細動患者2,124例を対象に、リバーロキサバンとVKAの効果と安全性を評価した世界26ヵ国による非盲検無作為化比較試験。主要評価項目は臨床的に著明な出血(TIMI major bleeding)。被験者は以下の3群に割り付けられた。・リバーロキサバン15mg/日+クロピドグレル(またはプラスグレル、チカグレロル)12ヵ月投与・リバーロキサバン2.5mg×2/日+DAPT(主治医の判断により1ヵ月、6ヵ月または12ヵ月)の後、リバーロキサバン15mg/日+低用量アスピリン投与、計12ヵ月・VKA+DAPT(主治医の判断により1ヵ月、6ヵ月または12ヵ月)の後、VKA+低用量アスピリン投与、計12ヵ月(ケアネット 細田 雅之)参考バイエル社(ドイツ):ニュースリリースPIONEER AF-PCI試験(ClinicalTrials.gov)原著論文Gibson CM, et al. N Engl J Med. 2016 Nov 14.[Epub ahead of print]

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エドキサバンは電気的除細動時の抗凝固療法として有用/Lancet

 エドキサバンは、心房細動(AF)患者への電気的除細動施行時の抗凝固療法として、エノキサパリン+ワルファリンと同等の高度な安全性と有効性を発揮することが、ドイツ・St Vincenz病院のAndreas Goette氏らが実施したENSURE-AF試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。経口第Xa因子阻害薬エドキサバンは、AF患者の抗凝固療法において、エノキサパリン+ワルファリンと比較して、脳卒中や全身性塞栓症の予防効果が非劣性で、出血は少ないことが知られている。一方、AFへの電気的除細動の試験の事後解析では、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の良好な安全性プロファイルが示されているが、エドキサバンの安全性データは十分ではないという。電気的除細動施行AFでの有用性を無作為化試験で評価 ENSURE-AF試験は、電気的除細動および抗凝固療法が予定されている非弁膜症性AF患者において、エドキサバンとエノキサパリン+ワルファリンの有用性を比較する無作為化第IIIb相試験(Daiichi Sankyo社の助成による)。 被験者は、エドキサバン(60mg/日)またはエノキサパリン+ワルファリンを投与する群に無作為に割り付けられた。エドキサバンは、クレアチニンクリアランスが15~50mL/分、体重≦60kg、P糖蛋白阻害薬併用例では30mg/日に減量することとした。 初回の薬剤投与は、電気的除細動施行の前に行われ、施行後28日間の治療が実施された。その後、30日間のフォローアップを行った。 有効性の主要評価項目は、脳卒中、全身性塞栓イベント、心筋梗塞、心血管死の複合エンドポイントとした。安全性の主要評価項目は、重大な出血および重大ではないが臨床的に問題となる出血(CRNM)であった。 2014年3月25日~2015年10月28日までに、欧米19ヵ国239施設に2,199例が登録され、エドキサバン群に1,095例が、エノキサパリン+ワルファリン群には1,104例が割り付けられた。安全性の解析は、それぞれ1,067例、1,082例で行われた。両群とも良好な有効性と安全性を達成 全体の平均年齢は64歳で、約3分の2が男性であり、平均CHA2DS2-VAScスコアは2.6(SD 1.4)であった。経口抗凝固薬の投与歴がない患者は27%であった。エドキサバン群の47%がビタミンK拮抗薬の投与を受けており、エドキサバンに変更された。 有効性のエンドポイントは、エドキサバン群が5例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は11例(1%)に認められた(オッズ比[OR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.12~1.43)。 脳卒中はエドキサバン群が2例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は3例(<1%)(OR:0.67、95%CI:0.06~5.88)にみられ、頭蓋内出血は両群ともに認めず、全身性塞栓イベントは1例(<1%)、1例(<1%)、心筋梗塞は2例(<1%)、3例(<1%)(OR:0.67、95%CI:0.06~5.88)、心血管死は1例(<1%)、5例(<1%)(OR:0.20、95%CI:0~1.80)に発現した。 安全性のエンドポイントは、エドキサバン群が16例(1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は11例(1%)にみられた(OR:1.48、95%CI:0.64~3.55)。 重大な出血はエドキサバン群が3例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は5例(<1%)(OR:0.61、95%CI:0.09~3.13)に認め、CRNMはそれぞれ14例(1%)、7例(1%)(OR:2.04、95%CI:0.77~6.00)にみられた。生命を脅かす出血は1例ずつに認められた。すべての出血の発現数は32例(3%)、35例(3%)(OR:0.93、95%CI:0.55~1.55)であった。 これらの結果は、電気的除細動における経食道心エコー(TEE)ガイドの有無や、抗凝固薬の投与状況の違いによって差が生じることはなかった。また、エドキサバン群は99%以上というきわめて良好な服薬遵守(アドヒアランス)が達成された。 著者は、「エドキサバンは安全に投与でき、患者にとって使用しやすく、電気的除細動施行時に経口抗凝固療法を迅速に開始するのに有用であり、従来のヘパリン+ワルファリンの代替療法として使用可能と考えられる」としている。

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心房細動へのNOAC3剤とワルファリンの有用性を比較/BMJ

 すべての非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(新規経口抗凝固薬;NOACs)は、日常診療において安全かつ有効なワルファリンの代替薬になりうる。デンマーク・オールボー大学病院のTorben Bjerregaard Larsen氏らが、デンマーク国内の大規模観察コホート研究の結果、報告した。NOACsとワルファリンとで虚血性脳卒中の発症に有意差はなく、死亡・出血・大出血はワルファリンに比しアピキサバン(商品名:エリキュース)およびダビガトラン(同:プラザキサ)で有意に低いことが示されたという。NOACsの使用は導入以来増加し続けているが、リアルワールドでNOACsの有効性と安全性をワルファリンと比較した研究は限られていた。BMJ誌オンライン版2016年6月16日号掲載の報告。心房細動患者約6万例を平均約2年追跡、ワルファリンとNOACs 3剤を比較 研究グループは、デンマークの3つのデータベースを用い、弁膜症性心房細動または静脈血栓塞栓症の既往がない非弁膜症性心房細動患者で、2011年8月1日以降に初めて経口抗凝固薬(NOACsは標準用量のみ)が投与された6万1,678例について解析した。 投与薬剤は、ワルファリン3万5,436例(57%)、ダビガトラン150mg 1日2回1万2,701例(21%)、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)20mg 1日1回7,192例(12%)、アピキサバン5mg1日2回6,349例(10%)であった。 主要評価項目は、有効性が虚血性脳卒中、虚血性脳卒中/全身性塞栓症、死亡、または虚血性脳卒中/全身性塞栓症/死亡。安全性が全出血、頭蓋内出血および大出血で、2015年11月30日まで追跡し、Cox回帰解析を用いワルファリンを対照として治療群間のイベント発生率を比較した。 追跡調査期間は、平均1.9年(アピキサバンは他剤より発売が遅いため平均0.9年)であった。虚血性脳卒中は同程度、死亡および出血はアピキサバンとダビガトランで低下 虚血性脳卒中に限れば、NOACsとワルファリンとで有意差は認められなかった。 投与開始後最初の1年間において、虚血性脳卒中/全身性塞栓症の発症率は、ワルファリン(3.3%)との比較において、リバーロキサバン(3.0%)は低かったが(ハザード比[HR]:0.83、95%CI:0.69~0.99)、ダビガトラン(2.8%)とアピキサバン(4.9%)については有意な差はみられなかった。一方、死亡リスクは、ワルファリン(8.5%)と比較してアピキサバン(5.2%)(HR:0.65、95%CI:0.56~0.75)、ならびにダビガトラン(2.7%)(HR:0.63、95%CI:0.48~0.82)で有意に低かったが、リバーロキサバン(7.7%)では差は認められなかった。 投与開始後1年間におけるあらゆる出血の累積発生率は、ワルファリン(5.0%)よりアピキサバン(3.3%)とダビガトラン(2.4%)で有意に低かったが(HR:0.62、95%CI:0.51~0.74)、リバーロキサバン(5.3%)は同程度であった。 これらの結果について著者は、「今後、NOACs間の有効性や安全性の比較や、NOACsを減量した場合のワルファリンとの比較についてさらに検証する必要がある」と述べている。

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一神教的ランダム化比較試験と多神教的観察研究の基本的相違を理解してね(解説:後藤 信哉 氏)-557

 日本は多神教の国である。先日、興福寺、東大寺周囲を歩き、寺の境内ないし直近に複数の神社を見出して、一神教の信者が多い世界における日本の特殊性を再認識した。一神教を支えているのは、Yes/Noの明確な欧米の言語と考える。われわれは、発想Aと発想Bの成否を生命を懸けて争う宗教戦争の歴史を持たない。耶蘇教が弾圧されたのは、国の富を奪われる現実的リスクを重視した為政者の判断であった。われわれは、世界でもまれな弾力的な、現実重視の民族である。 ランダム化比較試験は、clinical trialである。trialは、英国における公開の裁判と同意である。ランダム化比較試験は、薬剤Aと薬剤Bの有効性、安全性について公開の場にて判決を下すイメージにて施行される。判決のルールは、法律と同じように事前に制定されている。ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンは、従来治療ワルファリンとの比較試験が施行され、試験の結果は従来治療ワルファリンに劣らないとされて世に出た。ランダム化比較試験に基づいて標準治療を転換するEvidence Based Medicineのルールでは、勝者と判断されたNOACがワルファリンを完全に駆逐しても不思議はない。しかし、判決は薬剤の有する複数の重要な特性の一部においてのみ下されたことを公衆は理解した。標準治療とされたワルファリンは、INR 2~3と人工的に狭められ、勝ったとはいえunfairな判決という危惧を残した。評価の対象とならなかった価格もNOACは著しく高価である。裁判のようなランダム化比較試験を行っても、標準治療を完全に転換することができない時代になったことを、NOACの試験は明確に示した。 ランダム化比較試験を無限に繰り返せば「正しい1つの医療介入」を見出せるとの欧米人の発想は、一神教的である。この一神教的発想が、現在までのEBMの世界の基本原理であった。しかし、中世の暗黒時代の徹底した宗教論争をもってしても、一神教の世界での唯一神の存在を人類の普遍原理にはできなかった。世の中には「正しい1つの医療介入」は存在せず、人類は互いに相互作用し合って決して1つに抽出することのできない「複雑な調節原理」に依存しているのかもしれない。 とりあえず、神を信じるヒトも仏を信じるヒトも、誰も信じないヒトもいるとして、実態を観察しようというのが観察研究の発想である。多神教的日本人であれば、バイアスを受けずに「実態を観察」することに抵抗がない。この論文を読むと、「実態を観察」しつつも、「正しい1つの医療介入」探索を目指したランダム化比較試験の影響を断ち切れていない。「実態を観察」結果がランダム化比較試験と大きく乖離していないようにとの配慮が見られる。やはり、一神教的欧州人には祖先崇拝と御仏を同時に受け入れる基本発想はないようだ。 一神教的原理によれば、ワルファリンとの対比ののち、NOAC間での優劣が話題となる。特許と独占的販売権が消失した後には、NOAC間のランダム化比較試験も行われるであろう。われわれ柔軟な頭の日本人からみると、EBMにこだわり過ぎる欧米人は少し原理主義的にみえる。論文を出版するサイドの、過去の結果との整合性のとれた論文を出版しがちな傾向は理解できるが、寺を作る時には、神社を祭る心のゆとりを持ち続けたいものである。

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CVIT 2016(第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会)会長インタビュー

第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT 2016)が本年(2016年)7月7日~9日開催される。今大会の開催への思いと見どころについて、会長である東邦大学医療センター 大橋病院 中村正人氏に聞いた。今回の大会は公募演題を広く集められたそうですね?従来の大会のシンポジウム、パネルディスカッションなどは指定演題がほとんどだったのですが、日常臨床で遭遇する課題を取り上げるため、今回は公募演題を数多く採用しました。それもあって、演題数は当初の予定以上に増え、1,000題以上となりました。最近は循環器系の学会でもインターベンションを取り上げる機会が減っており、インターベンションを専門とする若い医師の発表の場が少なくなってきました。そういうこともあり、今大会は若い先生方がドキドキしながら発表するチャンスをたくさん作っています。大会テーマ「The road to Professional」の意味を教えていただけますか?それぞれの道は違えども、皆さんがプロフェッショナルという同じ目的地を目指してほしい、という思いでこのテーマにしました。ただ技術や知識があるだけではプロフェッショナルとはいえません。知識を持ったうえで、それを上手に活用してこそプロフェッショナルです。そのためには、チームワークや、自分たちができないことをできるようにするものづくりの工夫が必要となります。そのような考えから、今回は特別公演を3名にお願いしています。エディンバラ大学のKeith Fox先生には全般的なエビデンスの話を、早稲田大学で介護ロボットを作っておられる藤江 正克先生には“ものづくり”とイノベーションについて、サッカー日本代表元監督の岡田 武史氏にはチームワーク作りの話をしていただく予定です。●特別講演Unmet need of NOAC7月7日(木)16:00~17:00、第1会場 ホールCチームマネージメント~今治からの挑戦~7月8日(金)10:20~11:20、第1会場 ホールCヘルスケアロボティクスにおけるイノベーション7月9日(土)11:00~12:00、第1会場 ホールC“ものづくり”についてですが、今回の学会では「“ものづくり”のセッション」を設けていらっしゃいますね?この企画は今大会の新しい取り組みの1つで、経済産業省関東経済産業局の後援で開催します。これからは日本のインターベンションも新しいシーズを見つけて形にしていくという考え方が必要になります。そのため、日本での医療機器開発の成功例を講演していただくとともに、医療機器開発の海外との違いを議論したいと思います。また、技術展示ブースに日本のものづくり企業に出展いただき、医療側のニーズを知っていただくとともに、技術相談コーナーで開発アイデアを持つ医師との接点を持っていただければと思います。●医工産連携ものづくり企画シンポジウム「医療機器開発の成功例を知ろう」7月7日(木)13:00~16:00、展示会場(地下2階「展示ホール内」)パネルディスカッション「医療機器開発で、世界の競合に勝てるにはどうしたらよいか?」7月8日(金)9:00~12:30、展示会場(地下2階「展示ホール内」)技術相談コーナー「ホールE」内(地下2階)http://www2.convention.co.jp/cvit2016/contents/event.html産官学連携のセッションもあるそうですね?今後多くのデバイスが出てきますが、それらを無制限に使うことは医療費の観点から考えると不可能です。どのように市場に導入していくか検討し工夫していく必要があります。また今後、新規性のあるデバイスを早期に導入しようとすると未知のリスクが伴います。それを踏まえ、アカデミア、関連企業、PMDA、FDAそれぞれのスタンスを明らかにして議論したいと考え、産官学の連携セッションを企画しました。Harmonization by doing(HBD)のセッションでは、米国と日本の共同試験による早期承認の取り組みについての今までの経験を説明します。次に、近々上市が予定される話題の新デバイス生体吸収性ステント(BRS)について取り上げます。BRSは、そのベネフィットとともに血栓症リスクも議論されていますが、データは依然として限られています。このデバイスを日本にどう導入するかを議論します。さらに、CT-FFRについても取り上げます。日本にはEU全土と同じ台数のCTがあります。非侵襲的な検査としての大きなメリットがありますが、すべての施設で使うと大変なことになります。医療経済の点からマッチできるシナリオを議論したいと思います。もう1つ、近年注目されている出血合併症についても取り上げます。とくに、ハイリスクサブセットの定義は論文によってまちまちです。このサブセットの定義をどう考えるか企業とアカデミアの合意を形成していきたいと思います。日米欧 産官学共催セッション:最新テクノロジー(デバイス)の福音とリスク7月7日(木) 13:30~19:00、第14会場 G610Controversyセッションではどのようなテーマを取り上げるのですか?ここでは、DAPTの投与期間、心房細動合併患者の抗血小板薬の扱い、イメージングモダリティ(CT、FFR、OCTなど)をどのように適切に使っていくか、という従来から議論されていたテーマについて取り上げます。また、インターベンションの適切な実施については世界的に議論されており、欧米でもAUC(Appropriate Use Criteria)やハートチームといった取り組みが始まっています。しかし、それをそのまま日本に当てはめることは難しいと思います。どのように日本版のStandardized PCIを作っていくか、学会として取り上げています。Optimal Medication Following PCI Duration of DAPT after DES7月7日(木)10:30~12:00、第3会場 ホールB7-2Optimal Medication Following PCI Patients with Atrial Fibrillation7月8日(金)13:10~14:40、第3会場 ホールB7-2Imaging Appropriate Use of Multimodalities in Ischemic Heart Disease7月7日(木)17:20~18:50、第3会場 ホールB7-2日本におけるPCIの標準的適応7月8日(金)17:30~19:00、第3会場 ホールB7-2今年(2016年)4月に発生した熊本地震についても取り上げていますか?被災地である熊本の済生会熊本病院の中尾 浩一先生に、この地震での循環器医としての体験をお話しいただきます。あまり報道されませんが、この地震では多くの方が肺血栓塞栓症を発症しています。さらに、搬送の途中で亡くなる方も少なくなかったそうです。中尾先生の体験を通し、われわれ医師および医療者は、どういうことを知っておくべきかを学んでいきたいと思います。緊急企画 熊本地震の経験 現況報告7月7日(木) 18:30~19:00、第15会場 ホールE内40歳未満の参加者のための「Under 40」セッションではどのようなことが行われるのですか?このセッションの副題は「10年後のカテーテル治療を語ろう」です。インターベンションの適応はどう変わっていくか? CVITはどう変わっているか? といったテーマを事前に設定し、5名の代表演者に発表いただきます。40代未満の先生に、自分たちが携わっているインターベンションが将来どうなっているか予想していただき、自由闊達に意見交換をしていただきたいと思います。会長企画1 Under 40 ~10年後のカテーテル治療を語ろう7月7日(木)17:00~18:30、ポスター会場 ホールE教育セッションについても工夫されたそうですね?教育セッションは、従来は並列で行われていましたが、見たいものが重複してしまうという声を聞いていました。そこで今回は見たいテーマが重ならないよう、1部屋を教育セッション用に充て、3日間通して開催することにしています。教育セッション7月7日(木)16:00~18:00、第10会場 G4097月8日(金)8:30~18:00、7月9日(土)8:30~14:10、第8会場 G701その他にも興味深い取り組みがあるそうですね?「子ども体験コーナー」を作ります。このコーナーでは、CT、MRI、心電図、血圧計測を子供たちに体験してもらい、医療に興味を持ってもらいたいとの思いで企画しました。子ども体験コーナー7月8日(金)10:00~18:00、7月9日(土)10:00~18:00、地下2F セミナー室1http://www2.convention.co.jp/cvit2016/contents/kodomo.html企業展示については、参加者が楽しめ出展企業にもベネフィットがあるよう工夫しました。各ブースでアンケート調査を用意していただき、スタンプラリーを行います。集まったスタンプの数で賞品をお渡しする仕組みです。参加者の息抜きになりますし、出展企業も使用者の声を聞き、マーケティングに利用していただくことができます。また、展示ブースは格子戸などをアレンジし江戸時代の街並みを演出します。ポスター会場についても、領域ごとに照明を色分けし、わかりやすくしています。こちらは、近代的デザインにして、同じフロアにある江戸時代風の展示会場との対比を楽しんでいただけるようにします。ケアネット会員の方へメッセージをお願いします。これからは日本からエビデンスを発信する時代ですから、若い世代にはリサーチマインドを持ってほしいと思います。そういう意味でも、たくさんの若い先生に参加していただきたいと考えています。今大会は、私が思い描くこと、興味のあることを企画として取り上げました。この大会を通じて皆が同じ方向を向いて歩んでいってほしいと願っています。CVIT 2016 ホームページhttp://www2.convention.co.jp/cvit2016/index.html

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Vol. 4 No. 4 心房細動患者におけるDAPTを考える

掃本 誠治 氏熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学はじめに高齢化で増加している心房細動には、抗凝固薬が必須である。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行症例、心筋梗塞、それぞれに合併する心房細動頻度は、海外では約10%、本邦では6~8%程度と報告されている1-3)。心房細動とステントを伴うPCIを合併すれば、DAPT+抗凝固薬の3剤併用と考えるが、出血リスクが上昇する4-6)。心房細動合併PCIあるいは急性冠症候群(ACS)患者に対する抗凝固薬と抗血小板薬の組み合わせは、原疾患による血栓塞栓症リスクと抗血栓薬による出血リスクの有効性と安全性を考慮することが重要である。WOEST試験WOEST試験7)は、心房細動や機械弁留置後に抗凝固薬を服用する患者で、冠動脈ステント挿入後、クロピドグレルと抗凝固薬の2剤併用群[経口抗凝固薬(ワルファリン)+クロピドグレル284例]と、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)と抗凝固薬の3剤併用群(ワルファリン+クロピドグレル+アスピリン289例)で、安全性と有効性を比較した試験で、平均年齢70歳、男性80%、抗凝固薬投与の理由として、心房細動が2剤併用群で69.5%、3剤併用群では69.2%、機械弁はそれぞれ10.2%と10.7%だった。結果として、1年間の出血イベントは、3剤併用群が有意に高値だった(3剤44.4% vs. 2剤19.4%)。また心血管イベントは、2剤併用群が有意に低かった(複合エンドポイント;1次エンドポイント+脳卒中+全死亡+心筋梗塞+ステント血栓症+標的血管再血行再建術;3剤併用群17.6% vs. 2剤併用群11.1%)。抗凝固薬を服用している患者でステント留置術を受けたとき、アスピリンを止めてチエノピリジン系抗血小板薬単剤と抗凝固薬の合計2剤にするというこれまでの発想とは異なることが不可能ではないことを示した意義は大きい。また、心房細動合併のステント留置術後の患者において、CREDO-Kyoto PCI/CABG Registryコホート2が日本の実情を表している3)。2005年~2007年、26施設、1,057例、退院時ワルファリン群506例(48%)、非ワルファリン群551例(52%)を5年間フォローし、脳卒中(虚血性、出血性)、全死亡、心筋梗塞、大出血を評価。非ワルファリン群は、高齢、急性心筋梗塞、頭蓋内出血、貧血が多く、男性、薬剤溶出性ステント(DES)、末梢動脈疾患(PAD)が少なかった。そもそも、心房細動があってもDAPTで上記の因子が複数あれば、臨床現場においてはワルファリンを躊躇するのかもしれない。脳卒中は、ワルファリン群と非ワルファリン群で有意差がなく、虚血性、出血性でも有意差はみられず、心筋梗塞は、ワルファリン群で少なかった。プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)治療域内時間(TTR)が65%以上群では、65%未満群に比し脳卒中発症率が低値だった。非弁膜症性心房細動(NVAF)ACSやPCI直後ではない非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象として、本邦からJAST試験においてNVAF患者へのアスピリン150~200mg/日投与は、大出血が多く、無効と報告されている8)。海外では、ACTIVE W試験において、脳卒中リスクの高い心房細動患者に対し(17.4%に心筋梗塞既往)、DAPT(クロピドグレル+アスピリン)は、OAC(経口抗凝固薬)に比し心血管イベント抑制効果を示せなかった9)。さらに、NVAFでワルファリン不適合者に対するアスピリンとクロピドグレルのDAPTはアスピリン単独に比し脳梗塞抑制効果がみられたが、心筋梗塞死、血管死は差がなく、大出血イベントが多かった10)。以上の結果は、心房細動には抗血小板薬より抗凝固薬が必要であることを示している。ワルファリンのエビデンス冠動脈疾患には低用量アスピリンを終生投与するのが現在のガイドラインであるが、ワルファリンは50年以上日常臨床で使用されている薬剤で、急性心筋梗塞後のワルファリン vs. プラセボの大規模臨床研究でワルファリンの有効性が示されている11)。さらに心筋梗塞後、アスピリン vs. ワルファリン vs. アスピリン+ワルファリンの3群での比較研究では、アスピリン+ワルファリン併用群、ワルファリン群、アスピリン群の順に心血管イベント抑制効果が優れていた12)。しかし、この試験でのPT-INRは2.8~4.2と現在の実臨床より高値で設定されており、出血合併症が多かったこともあり推奨されなかった。安定冠動脈疾患を合併した心房細動患者のデンマークでのコホート研究では、ワルファリンに抗血小板薬を追加しても心血管イベントリスクは減少せずに出血リスクが増加した13)。以上は、出血リスクが低ければ、抗凝固薬が冠動脈疾患にも有効であることを示唆するものである。実臨床においては、本来抗凝固療法の適応でありながら、あえてコントロール不要の抗血小板薬を投与して、ワルファリンが躊躇される症例が存在した。そのようななかで、脳出血が少なく、PT-INRのコントロールが不要なNOACの登場は実臨床においては魅力的である。心房細動患者におけるACS合併またはステント留置時のガイドライン欧州心臓病学会からACS合併あるいはPCI施行の心房細動患者での抗血栓薬のjoint consensus documentが2014年に発表された14)。(1)脳卒中リスク CHA2DS2-VAScスコア(2)出血リスク HAS-BLEDスコア(3)病態 安定冠動脈疾患か急性冠症候群(待機的か緊急か)(4)抗血栓療法 どの抗血栓薬をどのくらい使用するか基本的には、出血リスクの高い3剤併用(DAPT+抗凝固薬)の期間を上記の条件にしたがって層別化し、可能なら抗血小板薬単剤+抗凝固薬に減量し、12か月以上では、左冠動脈主幹部病変などを除き可能なら抗凝固薬単剤への切り替えが推奨されている。また、VKAはTTR70%以上が推奨されており、VKAとクロピドグレルand/orアスピリンの症例ではINRは2.0~2.5が推奨されている。また、アクセス部位は橈骨動脈穿刺が推奨されている。AHA/ACC/HRSの心房細動ガイドライン2014でも、PCI後CHA2DS2-VAScスコアが2点以上では、慢性期にはアスピリンを除いて、抗凝固薬+抗血小板薬単剤が合理的であると記載されている15)。現在進行中の試験ACSあるいはPCIを受けた心房細動患者に対するNOACの臨床試験が進行中である(本誌p16の表を参照)16)。 RE-DUAL PCI試験は、ステント留置を伴うPCIを受けた非弁膜性心房細動患者を対象に、ダビガトランの有効性および安全性を評価する試験である。PIONEER AF-PCI試験は、ACS合併心房細動患者において、抗血小板薬に追加するリバーロキサバンの用量を検討する試験で、アピキサバンでも同様の試験が進行している。これらはステント留置術後急性期からの試験だが、本邦ではステント留置術後慢性安定期の心房細動合併患者を対象としたOAC-ALONE試験やAFIRE試験が進行しており、結果が待たれるところである。今後現在進行中の試験から新たなエビデンスが創出されるが、個々の患者において最適な治療法を見つけ出す努力は常に必要とされる(表)。表 ステント留置AF患者における抗血栓療法画像を拡大する文献1)Kirchhof P et al. Management of atrial fibrillation in seven European countries after the publication of the 2010 ESC Guidelines on atrial fibrillation: primary results of the PREvention oF thromboemolic events--European Registry in Atrial Fibrillation (PREFER in AF). Europace 2014; 16: 6-14.2)Akao M et al. Current status of clinical background of patients with atrial fibrillation in a community-based survey: the Fushimi AF Registry. J Cardiol 2013; 61: 260-266.3)Goto K et al. Anticoagulant and antiplatelet therapy in patients with atrial fibrillation undergoing percutaneous coronary intervention. Am J Cardiol 2014; 114: 70-78.4)Toyoda K et al. Dual antithrombotic therapy increases severe bleeding events in patients with stroke and cardiovascular disease: a prospective, multicenter, observational study. Stroke 2008; 39: 1740-1745.5)Uchida Y et al. Impact of anticoagulant therapy with dual antiplatelet therapy on prognosis after treatment with drug-eluting coronary stents. J Cardiol 2010; 55: 362-369.6)Sørensen R et al. Risk of bleeding in patients with acute myocardial infarction treated with different combinations of aspirin, clopidogrel, and vitamin K antagonists in Denmark: a retrospective analysis of nationwide registry data. Lancet 2009; 374: 1967-1974.7)Dewilde WJ et al. Use of clopidogrel with or without aspir in in patients taking oral anticoagulant therapy and under going percutaneous coronary intervention: an openlabel, randomised, controlled trial. Lancet 2013; 381: 1107-1115.8)Sato H et al. Low-dose aspirin for prevention of stroke in low-risk patients with atrial fibrillation: Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial. Stroke 2006; 37: 447-451.9)Connolly S et al. Clopidogrel plus aspirin versus oral anticoagulation for atrial fibrillation in the Atrial fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for prevention of Vascular Events (ACTIVE W): a randomised controlled trial. Lancet 2006; 367: 1903-1912.10)Connolly SJ et al. Effect of clopidogrel added to aspirin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2009; 360: 2066-2078.11)Smith P et al. The effect of warfarin on mortality and reinfarction after myocardial infarction. N Engl J Med 1990; 323: 147-152.12)Hurlen M et al. Warfarin, aspirin, or both after myocardial infarction. N Engl J Med 2002; 347: 969-974.13)Lamberts M et al. Antiplatelet therapy for stable coronary artery disease in atrial fibrillation patients taking an oral anticoagulant: a nationwide cohort study. Circulation 2014; 129: 1577-1585.14)Lip GY et al. Management of antithrombotic therapy in atrial fibrillation patients presenting with acute coronary syndrome and/or undergoing percutaneous coronary or valve interventions: a joint consensus document of the European Society of Cardiology Working Group on Thrombosis, European Heart Rhythm Association (EHRA), European Association of Percutaneous Cardiovascular Interventions (EAPCI) and European Association of Acute Cardiac Care (ACCA) endorsed by the Heart Rhythm Society (HRS) and Asia-Pacific Heart Rhythm Society (APHRS). Eur Heart J 2014; 35: 3155-3179.15)January CT et al. 2014 AHA/ACC/HRS Guideline for the Management of Patients With Atrial Fibrillation: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines and the Heart Rhythm Society. Circulation 2014; 130: 2071-2104.16)Capodanno D et al. Triple antithrombotic therapy in atrial fibrillation patients with acute coronary syndromes or undergoing percutaneous coronary intervention or transcatheter aortic valve replacement. EuroIntervention 2015; 10: 1015-1021.

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リアルワールドの成績はどう読み解くべき?

 無作為化比較試験(RCT)の結果を基に承認された薬剤が、実臨床でも開発試験と同様の成績が得られるかを確認するためのリアルワールド・エビデンス。その特性や限界、結果を読み解く際の注意点について、井上 博氏(富山県済生会富山病院 院長/富山大学名誉教授)が、6月8日都内にて、バイエル薬品株式会社主催の会合で講演した。リアルワールド・エビデンスの特性と限界 開発試験で行われるRCTはエビデンスレベルの高い試験であり、治験薬の有効性や安全性を検証するために必要である。しかし、開発試験では重篤例や高齢者など複雑な対象は除外され、また周到な監視の下で厳密な経過観察が必要とされているため、一般人口や日常診療に常に当てはめることはできない。そこで、治験薬承認後にも、レジストリ等の前向き観察研究や後ろ向きデータベース研究などで、リアルワールドでの安全性・有効性を確認することが重要である。 リアルワールド(実臨床)で得られたエビデンスの特性として、自然歴、危険因子、治療の実施状況、長期予後、真の患者集団での治療方針のリスク、広範な患者集団でのニーズとギャップ、開発試験では見つからない低頻度の有害事象が明らかになるということが挙げられる。 一方、リアルワールド・エビデンスの限界として、年齢などの交絡因子を調整できない、単一施設であることが多い、追跡期間が比較的短い、非投与群や他の治療という対照を設定しにくい、データベース解析では得られる情報に限りがある、他のリアルワールド・エビデンスとの比較が難しいといったことのほか、研究資金提供元の影響の可能性、対象集団とRCT参加集団との差なども挙げられる。井上氏は「これらを知ったうえで成績を読み解いてほしい」と述べた。複数のリアルワールド・エビデンスで確認することが重要 井上氏は、実際のリアルワールド・エビデンスの例として、ワルファリンの実臨床における有効性と安全性を検討した2つのレジストリ研究の結果を紹介した。 1つは、参加施設の多くが一般開業医であったFUSHIMI AFレジストリで、この研究では、脳卒中または全身性塞栓症、重大出血のイベントの発生率にワルファリン投与の有無による差が認められなかった。この理由として、井上氏は、ワルファリンの投与量が十分ではなかったためではないかと考察している。もう1つの研究は、主に循環器専門医によるJ-RHYTHMレジストリで、この研究ではワルファリン投与群で有意な血栓塞栓症の低下と重大出血の増加が示された。 このように、市販後、実施される臨床研究では、さまざまな特性や限界があるため、実臨床における薬剤の安全性・有効性については、複数のリアルワールド・エビデンスで確認することが重要であると強調した。DOACにおけるリアルワールド・エビデンス 現在、心房細動患者の塞栓症予防に4剤の直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC、旧名称:NOAC)が承認されており、すでにリアルワールド・エビデンスが報告されつつある。現在も、各領域の抗凝固薬使用に関する“unmet medical needs”の解決を目的として、さまざまな臨床研究が進行中であり、井上氏は「今後、さらにDOACの位置付けが明らかになることが期待される」と結んだ。

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盲目的で残念な研究~出血リスクスコアの意義を考える~(解説:西垣 和彦 氏)-530

抗凝固薬の宿命 抗凝固薬は、心房細動により惹起される重篤な心原性脳血栓塞栓症を予防し、臨床的に有用である。しかし反面、出血という副作用の発生率は確実に助長させる。それは、いわば抗凝固薬の持つ相反性であり、宿命でもある。このことは、ワルファリンからNOAC(DOAC)にパラダイムシフトしても、出血イベントを来さない抗凝固薬はない。たとえ、ワルファリンより出血頻度がきわめて低下したアピキサバンやダビガトランであっても、やはり出血イベントを払拭できない。血栓塞栓症と出血という、まさに表裏一体の関係は、もはや抗凝固薬の性質として素直に認めざるを得ない。 そこで多くの研究者が、抗凝固薬投与前に事前に出血イベントを予測できないものかと、出血リスクスコアを開発してきた。これは一見自然な成り行きとも思えるが、はたして出血リスクスコアの開発自体は本質的に重要なことであろうか。 本論文は、バイオマーカーを取り入れたABC出血リスクスコアを提唱しているが、これを検証することで改めて出血リスクスコアの持つ意義について考えてみる。本論文のポイントは? 本論文のポイントをまとめる。心房細動患者の重大出血予測を改善するために、新たにバイオマーカーを取り入れた出血リスクスコアを、アピキサバン vs.ワルファリンの比較試験であるARISTOTLE試験患者1万4,537例(抽出コホート)を用いて開発、併せて内的妥当性検証も行った。さらに、ダビガトラン vs.ワルファリンのRE-LY試験患者8,468例(検証コホート)を用いて、外的妥当性も検証した。 新たな出血リスクスコアは、最も予測が強力であった5つの変数(cTnT-hs、GDF-15、ヘモグロビン、出血歴、年齢)を含んだABC出血リスクモデルとして構築された。また、代替バイオマーカー(cTnT-hsをcTnI-hs、ヘモグロビンをヘマトクリット、GDF-15をシスタチンCまたはeGFRにそれぞれ置換)を用いた修正ABC出血リスクスコアも構築し検証した。 その結果、抽出コホートにおいて、ABC出血リスクスコアのC統計量は0.68(95%信頼区間[CI]:0.66~0.70)であり、HAS-BLEDスコアの0.61(0.59~0.63)、ORBITスコアの0.65(0.62~0.67)と比較し、ABC出血リスクスコアの予測が有意に優れていた。検証コホートでも、ABC出血リスクスコアのC統計値は0.71(0.68~0.73)で、HAS-BLEDスコア0.62(0.59~0.64)、ORBITスコア0.68(0.65~0.70)より相互に有意差が認められた。さらに、代替バイオマーカーを用いた修正ABC出血リスクスコアも同様な結果であった。 出血リスクスコアが実臨床で使用されるのに必要な要件 出血リスクスコアを実臨床に使用するために必要な要件は、以下の3つである。 第1に、簡便なスコアで、計算しやすいものであることである。ただし、それぞれの項目に対する加重が一概に1点だの2点だのといえないところに、そもそもの問題がある。現在、よく使われているHAS-BLEDスコアは、この点を度外視し簡便性だけを追求して簡単に総得点を導き出すものである。一方、本論文にあるABC出血リスクスコアはまったくこの対極で、簡便性よりも予測能を上げることに専念している(が、後述するようにこれも十分ではない)。ABC出血リスクスコアは、スコアをノモグラムで算出する“らしい”が、どう算出すればよいのか丁寧な説明もされておらず、とても普及を目的にしているとは思えない。 第2に、予測能に優れているとの根拠であるC統計量が決して高くないことである。C統計量は、連続変数である独立変数と二分変数であるアウトカムとの関係の強さを評価するROC曲線から求められる、ROC曲線面積(AUC)に相当する。このAUC値は0.5~1.0までの値をとるが、1.0に近いほど予測能が高いといえる。現実的には、せめて0.8はほしい値である。AUC 0.5 ~0.7ではLow accuracyと呼ばれ、この値から予測することは問題外である。本論文のC統計量は、抽出コホートでABC出血リスクスコア0.68であり、HAS-BLEDスコア0.61、ORBITスコア0.65よりは少しは高いが、いずれも決して予測能が高いとはいえない値である。蛇足だが、最近はこの手の無理矢理な解析やら解釈が横行しており憂慮している。たとえば、PRASFIT-ACSで発表された心血管イベントを予測するPRUのカットオフ値262のAUCは0.58しかなく、PRUはまったく有用ではない指標であると考えられるのに、今や企業の販売促進戦略の原動力となっている。 最後に、たとえ良いスコアであっても、臨床に還元される臨床研究でなければその意義はない。われわれにこのスコアをどう利用しろというのであろうか。出血リスクスコアを利用して明確にリスクの層別化ができ、それが抗凝固薬ごとに減量する基準となり、投与後の出血イベントを抑制できた後に、晴れてその有用性を語れるものである。結論として 論文著者は、「ABC出血リスクスコアを抗凝固薬治療の意思決定支援に活用すべき」といっているが、盲目的で残念な研究である。そもそも、塞栓症リスクと出血リスクの項目が重複している以上、塞栓症リスクが高い症例は出血リスクも当然高くなり、出血リスクスコアを算出する意義すら希薄であるのが現実といわざるを得ない。

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PCI後DAPTにCHADS2-VASc/HAS-BLEDは成立するか?~抗血小板剤も個別化の時代に~(解説:中野 明彦 氏)-519

【はじめに】 PCI(ステント留置)後の、適正DAPT期間の議論が続いている。多くの、とくに新しいDESが(おそらくメーカーの思惑も手伝って)、short DAPTに舵を切るべくその安全性検証に躍起になっているが、そこに水を差したと騒がれているのが「DAPT試験」1)である。しかし、考えてみればナンセンスな話で、前者はステント留置直後からの検討、後者は1年間MACEや出血性合併症・TLRを免れた症例のみをエントリーしている。例えは悪いが、1次災害と2次災害に対して同じ対処法で優劣を競うようなものである。 PCI後のDAPT継続期間を考える際には、2つの視点が必要ではないかと思う。1つは対象病変局所の安全性確保(ステント血栓症の予防)、もう1つは冠動脈疾患を含めた動脈硬化性疾患(polyvascular disease)の2次予防という視点である。DESが進化し、ステント血栓症のリスクが低減されている現状においては、長期DAPT継続の議論には後者の視点が重視されるべきである。実際「DAPT試験」では、ステント血栓症以外の心筋梗塞や虚血性脳卒中が実薬群で30~40%減少していた。【本論文について】 「DAPT試験」の2次解析である本論文は、PCI後のDAPT継続による虚血・出血リスクを予測するモデル“DAPT score”を提唱した。さながらPCI版CHADS2-VASc/HAS-BLEDスコアである。PCI後12~30ヵ月間の虚血イベント(ステント血栓症と心筋梗塞)、出血性イベントの有意なリスク因子を抽出しポイント化したが、相反する事象を同一の方程式で解こうとしたため、一般的には高齢者ほど発症頻度が高いと予想される虚血イベントへのポイントが、“マイナス”に振り分けられるなど奇妙な点もある。 また、AFに関するスコアと異なり、特定のDES(今は亡きPaclitaxel-eluting stent)やステント径、SVGへのPCIなどの局所因子が含まれているのが特徴的である。有意差のあるリスク因子を並べ、中央値である2点をカットオフに設定した「後出しジャンケン」なだけに、算出されたポイントで線引きできるのは当然の結果ともいえるが、問題はその精度である。 虚血イベント・出血性イベントに関するC-統計量・NNTは各々0.70・34、0.68・64だった。これは、CHADS2-VASc/HAS-BLEDスコアの0.62/0.61、NOACにおけるCHADS2-VAScスコア≧2のNNT;78~87を上回る2)。しかし、繰り返しになるが、これはあくまで自作自演のスコアである。論文では、同時にPROTECT試験を用いてその信憑性を検証しているが、より低リスク症例を対象とした同試験に適応すると、虚血イベントのC-統計量は0.64だったがNNTは125、出血性イベントでは有意差がつかず、汎用性にはいささか疑問が残る。 さらに本スコアは、カットオフ値を示したに過ぎず、CHADS2-VASc/HAS-BLEDスコアのようにポイントによるリスクの増減を示していない、虚血性イベントと出血性イベントを同じ比重で扱っている、予後に結び付くスコアではないなどの点は、臨床現場で適用する際に留意すべきであろう。【本論文の位置付け】 折しも、ここにきて第1世代以降のDES留置後のDAPT期間に関するシステマティックレビュー3)が発表され、DAPT期間にフォーカスしたACC/AHAのガイドライン改訂4)が行われた。システマティックレビューは、12ヵ月DAPT群と3~6ヵ月DAPT群との間に死亡・心筋梗塞・ステント血栓症・大出血での差がないこと、prolonged DAPT(18~48ヵ月)はbasic DAPT(6~12ヵ月)に比して心筋梗塞・ステント血栓症は低減し大出血は増加させるがその差は軽微で、全死亡には影響しないことを示した。また、改訂ガイドラインでは安定型虚血症例に対するDES留置後の推奨DAPT期間を12ヵ月から6ヵ月に短縮するとともに、本“DAPT score”を取り上げ、虚血/出血リスク層別化の重要性も示唆している。 われわれは、一例一例のPCIに際し、患者背景や既往歴・リスク因子・心機能を検討し、病変局所もIVUSやOCTで細かく観察して、そのstrategyを決定している。一方、術後のDAPT期間は、EBMやガイドラインがACSか安定虚血か? /DESかBMSか? だけでバッサリと容易(安易?)に決めてくれる。これってどうなんだろうか? 他の領域にもそうした動きがあるが、PCI後DAPT期間もガイドライン一辺倒ではなく個別化の時代に入るべき、と思う。short DAPTは、出血リスク回避や医療経済的側面からは意義深いが、polyvascular diseaseの2次予防という観点からはprolonged DAPTが選択されるべき症例も少なくないはずである。 もちろん、DES(stent)の場合は、malappositionやneoatherosclerosisなどの局所的要因が遠隔期のステント血栓症(VLST)の要因となる5)ため、AFの塞栓予防ほど、事は単純ではないし、新世代DESや生体吸収スキャフォールド(BVS)が登場すれば、さらに局所リスク因子が変わってくるかもしれない。また、併用する抗血小板剤も様変わりしていくかもしれない。したがって、方程式(スコア)の中身はさらに吟味されることになろうが、まずは、層別化・個別化の議論が盛り上がれば、それこそが本論文の1番の意義になる。参考文献1)Mauri L, et. al. N Engl J Med. 2014;371;2155-21662)Banerjee A, et al. Thromb Haemost. 2012;107;584-5893)Bittl JA, et al. J Am Coll Cardiol. 2016 Mar 22. [Epub ahead of print] 4)Levine GN, et al. J Am Call Cardiol. 2016 Mar 23. [Epub ahead of print]5)Taniwaki M, et al. Circulation. 2016;133;650-660

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「処方箋を書く」医師の行為は「将棋」か「チェス」か?(解説:後藤 信哉 氏)-511

 医師の処方は、重要な治療行為である。「処方箋」が必要ということは、専門家が正確な知識に基づいて使用しなければ「危険」という意味もある。処方箋を書くときには、患者と危険を共有する勇気が必要である。 筆者の専門とする抗血栓薬では、薬剤使用のメリットとリスクが明確である。少量アスピリンでも年間0.2%程度は消化管、頭蓋内などの重篤な出血イベントを惹起する。ワルファリンでもPT-INRのコントロールに相応して重篤な出血が起こるし、いわゆるNOACsによる重篤な出血イベントリスクは、アスピリンの10倍である。 筆者は、自らの「処方」選択は、過去の世界の経験を踏まえた高速スパコンと情報技術に負けない「質」であると自信を持っている。しかし、今回の論文は、英国のGPのNSAIDs、アスピリンの処方は、コンピュータより「質」が低い可能性を示した。「将棋」において名人に常勝するコンピュータを聞かない。しかし、チェスではコンピュータに常勝できる名人はいなくなった。専門家としての医師の「処方選択」には「将棋」の複雑性があるか? 今回の研究は、NSAIDsとアスピリンの選択において、コンピュータの能力が標準的な医師を超える可能性を示した。 われわれはEvidence Based Medicineによる「標準治療」向上を選択して以来、個別患者を診る専門家としての長所を失ってきた。医師にしか捉えることのできない「個別患者の特性」に基づいて、「個別化医療」を実践していると主張し続ければ、われわれがコンピュータに負けることはなかった。対象とする個別患者は1人しかおらず、ランダム化比較試験による有効性、安全性の科学的検証は患者集団においてのみ可能であることが理由である。 しかし、われわれはEBMを志向した。行政、患者、企業にも専門的行為である「医療」の「質」の客観的評価が可能となった。過去の情報に基づいて未来を決めるEBMの世界では、過去の膨大な情報を一気に扱えるコンピュータは、個別医師の頭脳よりも有利である。個別のコンピュータも高速化したが、webを用いればコンピュータの情報ハンドル能力は一気に加速する。本研究では「薬剤師」が医師を教育し、医師には年収の0.6%に相当する「お小遣い」をくれるかわりに、医師の処方の妥当性がwebにより評価される。医師よりコンピュータがNSAIDs、アスピリンの処方が効率的であることを示しても、年収の0.6%に相当する「お小遣い」をもらえば損ではないと、試験の参加医師は考えたのかもしれない。 電子カルテにアクセスして、NSAIDs、アスピリンを処方した過去8週間の症例のうち、出血リスクの高い症例に「危険フラグ」を立てる。「危険フラグ」はEBMに基づいて科学的に立てられる。EBMの世界では、「この患者にはNSAIDs、アスピリンが危険な匂いがする」といっても価値はない。過去の文献をサーチして、高齢、2次予防群などをhigh risk群としてコンピュータが同定すれば、個別の医師には対抗する論理がない。 「危険フラグ」を消すためには、(1)医師が処方の理由を明確に記載する、(2)処方を中止する、(3)PPI、H2拮抗薬を処方する、などの対応が必要となる。このような「処方への介入」により、危険処方が3.7%から2.2%に減少した。また、消化管などの出血による入院率も、55.7/1万人年から37.0/1万人年へ減少した。医師に対して多少インセンティブを与えても、システムに基づく教育を導入することにより危険処方が減少し、全体としての医療費が削減されるとなれば、今回の方法は、他の領域にも積極的に導入されると予想している。 NSAIDsやアスピリンなどは、米国ではスーパーで売っている。薬局のパソコンとweb、スマホに自分の情報を入力し、low riskであれば販売許可票が出る仕組みを作ることは困難ではない。GPの教育者が本試験では「薬剤師」であることを考えると、情報端末の教育対象はGPでなく、薬剤師でなく、直接患者でもよいかもしれない。正確な知識に基づいて使用しなければ「危険」とされる薬剤の一部では、「危険」の判断はコンピュータができる。医師が患者と共に「危険」を共有する必要がある薬剤は、ワルファリンなどの「難しい薬剤」に限局される時代は近い。 エビデンスに基づいて「医療を標準化」すれば、コンピュータ医師がヒト医師を超える時代は必ず来る。医師が「自らは専門家である」と専門性を主張できる分野は、コンピュータ、人工頭脳が取って代わることのできない職人的領域に限局される。IT革命の影響が医学、医療に及ぶ時代が来た。専門職としての「ヒトの医師」には「コンピュータの医師」に取って代わることのできない役割があると筆者は信じたいが…。関連コメント高リスク処方回避の具体的方策が必要(解説:木村 健二郎 氏)診療所における高リスク処方を減らすための方策が立証された(解説:折笠 秀樹 氏)ステップウェッジ法による危険な処方を減らす多角的介入の効果測定(解説:名郷 直樹 氏)診療の現場における安全な処方に必要なものは何か…(解説:吉岡 成人 氏)

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アピキサバンのVTE再発予防 効果と安全性に加え利便性に期待

 ブリストル・マイヤーズ株式会社とファイザー株式会社は2016年1月27日、プレスセミナー「静脈血栓塞栓症(VTE)治療の変遷と最新動向」を開催した。その中で、中村真潮氏(三重大学 客員教授、村瀬病院 副院長/肺塞栓・静脈血栓センター長)は下記のように述べた。 本邦における静脈血栓塞栓症(以下、VTE)は増加しており、今後もさらに増加すると予測される。しかしながら、VTEの認知度は欧米に比較して低い。さらに診断の難易度が高いこともあり、診断率も低い。 VTE治療の基本は薬物療法である。従来の標準療法は、迅速に効果を発揮する未分画へパリンを発症後から投与し、5日目からワルファリンを追加、その後ワルファリンの単独治療に移行する。しかし、薬物療法を行っても、VTEの再発は経時的に一定に起こる、とくに急性期の発現は顕著であり、それには急性期に投与する未分画ヘパリンのコントロールの難しさが一因となっている可能性もある。一方、ワルファリンの抗血栓効果は高く、投与を中止するとVTEの発症率は上昇する。長期間継続したいが、その場合、出血合併症が問題となっている。とくにアジア人の脳出血の発生率は高い。そのため、投与期間は個々の患者状態で判断しているのが現状である。このように課題が残る中、導入がシンプルで、出血が少なく長期間使える薬剤の登場が望まれてきた。 近年、NOAC(非ビタミンK阻害経口抗凝固薬)によるVTE2次予防のエビデンスが集積され、保険適応も追加されてきた。FXa阻害薬であるアピキサバン(商品名:エリキュース)も2015年12月、「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制」の適応が追加承認された。 アピキサバンのVTEに対する効果と安全性は、海外第III相試験「AMPLIFY」で確認されている。AMPLIFYは急性症候性VTE患者を対象に、アピキサバン単独投与群と低分子ヘパリン/ワルファリン投与群を比較した試験である。主要有効性評価項目である、症候性VTE再発またはVTE関連死については、低分子ヘパリン/ワルファリン投与群に対して非劣性を示し(2.3%対2.7%、HR:0.84、95%CI:0.60~1.18)、主要安全性評価項目である大出血発現率については、優越性を示している(0.6%対1.8%、HR:0.31、95%CI:0.17~0.55)。また、本邦で行われたAMPLIFY-J試験においても、例数は少ないながらも、主要評価項目である大出血または臨床的に重篤な非大出血発現率は、未分画ヘパリン/ワルファリン投与群と比較して少ないという結果が出ている。 中村氏はまとめとして、アピキサバンはVTE治療において、標準療法と同等の効果を示し、出血に関する安全性を向上させた。また、内服のみで治療できることから、外来症例や軽症例についても介入しやすくなるであろう、と述べた。

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鋭い論文解説が勢ぞろい!【CLEAR!ジャーナル四天王 2015年トップ30発表】

臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、日本の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しているNPO法人です。本企画『CLEAR!ジャーナル四天王』では、CareNet.comで報道された海外医学ニュース『ジャーナル四天王』に対し、鋭い視点で解説します。コメント総数は約450本(2015年11月時点)。今年掲載された150本以上のコメントの中から、アクセス数の多かった解説記事のトップ30を発表します。1位高齢者では、NOACよりもワルファリンが適していることを証明した貴重なデータ(解説:桑島 巖氏)(2015/5/20)2位LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊氏)(2015/1/9)3位FINGER試験:もしあなたが、本当に認知症を予防したいなら・・・(解説:岡村 毅氏)(2015/3/20)4位降圧は「The faster the better(速やかなほど、よし)」へ(解説:桑島 巖氏)(2015/4/3)5位MRIが役に立たないという論文が出てしまいましたが…(解説:岡村 毅氏)(2015/7/22)6位DAPT試験を再考、より長期間(30ヵ月)のDAPTは必要か?(解説:中川 義久氏)(2015/1/8)7位やはり優れたワルファリン!(解説:後藤 信哉氏)(2015/8/19)8位ヘパリンブリッジに意味はあるのか?(解説:後藤 信哉氏)(2015/7/8)9位市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博氏)(2015/2/18)10位CKD合併糖尿病患者では降圧治療は生命予後を改善しない?(解説:浦 信行氏)(2015/6/9)11位ワルファリン出血の急速止血に新たな選択肢?(解説:後藤 信哉氏)(2015/4/6)12位SPRINT試験:厳格な降圧が心血管発症を予防、しかし血圧測定環境が違うことに注意!(解説:桑島 巖氏)(2015/11/13)13位なんと!血糖降下薬RCT論文の1/3は製薬会社社員とお抱え医師が作成(解説:桑島 巖氏)(2015/7/14)14位COSIRA試験:血管を開けるのか?それとも、閉じるのか? 狭心症治療に新たな選択肢(解説:香坂 俊氏)(2015/3/27)15位SORT OUT VI試験:薬剤溶出性ステント留置は成熟した標準治療となった!(解説:平山 篤志氏)(2015/2/10)16位心血管リスクと関係があるのはHDL-C濃度ではなくその引き抜き能(解説:興梠 貴英氏)(2015/1/21)17位SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行氏)(2015/11/18)18位鼻腔から集中治療を行える時代へ:ハイフロー鼻腔酸素療法(解説:倉原 優氏)(2015/6/3)19位働き過ぎは、脳卒中のリスク!(解説:桑島 巖氏)(2015/8/31)20位CLEAN試験:血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコール(解説:小金丸 博氏)(2015/10/30)21位IMPROVE-IT試験:LDL-コレステロールは低ければ低いほど良い!(解説:平山 篤志氏)(2015/6/22)22位なぜ心房細動ばかりが特別扱い?(解説:後藤 信哉氏)(2015/10/5)23位LDL-コレステロール低下で心血管イベントをどこまで減少させられるか?(解説:平山 篤志氏)(2015/4/21)24位EMPA-REG OUTCOME試験:試験の概要とその結果が投げかけるもの(解説:吉岡 成人氏)(2015/10/1)25位DPP-4阻害薬の副作用としての心不全-アログリプチンは安全か…(解説:吉岡 成人氏)(2015/4/14)26位食後血糖の上昇が低い低glycemic index(GI)の代謝指標への影響(解説:吉岡 成人氏)(2015/1/6)27位抗うつ薬、どれを使う? 選択によって転帰は変わる?(解説:岡村 毅氏)(2015/3/3)28位治療抵抗性高血圧の切り札は、これか?~ROX Couplerの挑戦!(解説:石上 友章氏)(2015/2/20)29位デブと呼んでごめんね! DEB改めDCB、君は立派だ(解説:中川 義久氏)(2015/9/30)30位問診と自己申告で全死亡が予測できる?(解説:桑島 巖氏)(2015/7/6)今回ご紹介しました「CLEAR!ジャーナル四天王」とは他にも、人気のランキングはこちらをどうぞ

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2015年、人気を集めた記事・スライド・動画は?【2015年コンテンツ閲覧ランキング TOP30】

2015年も、日常診療に役立つ情報を、記事やスライド、動画などで多数お届けしてまいりました。その中でもアクセスの高かった人気コンテンツは、何だったのでしょうか?トップ30をご紹介いたします。1位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション1 生存率を算出する方法2位特集:アナフィラキシー 症例クイズ(1)3回目のセフェム系抗菌薬静注後に熱感を訴えた糖尿病の女性3位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(3)知っておくべき初期治療4位1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより~第16回 犬猫咬傷~傷は縫っていいの? 抗菌薬は必要なの?5位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(1)誘因と増悪因子を整理6位CLEAR!ジャーナル四天王高齢者では、NOACよりもワルファリンが適していることを証明した貴重なデータ(解説:桑島 巖 氏)7位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ9.急性腎盂腎炎の標準的治療期間、10~14日の根拠を教えてください。8位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(2)診断のカギ9位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ1.急性上気道炎での抗菌薬投与は本当に不要なのでしょうか?10位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ20.尿路感染症にアンピシリン・スルバクタム、正しいですか?11位臨床に役立つ法的ケーススタディ【ケース1】「入院拒否後、自宅で死亡。家族対応はどうすべき?」(後編)12位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション2 よくあるオッズ比の間違った解釈13位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション2 カプランマイヤー法で累積生存率を計算してみる14位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション3 オッズ比の使い道15位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(4)再発予防と対応16位特集:アナフィラキシー 症例クイズ(2)海外出張中に救急搬送されたアレルギー体質の35歳・男性の例17位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション1 分割表とリスク比18位Dr.倉原の“おどろき”医学論文第45回 急性心筋梗塞に匹敵するほど血清トロポニンが上昇するスポーツ19位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ7.抗菌薬を投与する際、内服・点滴のどちらにするか悩むことがたびたびあります。20位診療よろず相談TV シーズンII第10回「脂質異常症」(回答者:寺本内科歯科クリニック / 帝京大学臨床研究センター長 寺本 民生氏)Q3.LDL、下げ過ぎによるリスクは?21位特集:成人市中肺炎 症例クイズ(2)「何にでも効く薬」は本当に「何にでも効く」のか?22位CLEAR!ジャーナル四天王LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊 氏)23位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ5.インフルエンザ感染で、WBCやCRPはどのように変化するか?24位斬らレセプト ―査定されるレセプトはこれ!事例61 「初診料 休日加算」の査定25位Cardiologistへの道@Stanford第6回 会員からのリクエスト「米国医師の給与について」26位アリスミアのツボQ22. 発作性心房細動はやがてどうなるの?27位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション4 カプランマイヤー法の生存曲線を比較する28位スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草五十五の段 責任とってねテレビ局29位Dr.小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~テレビなど健康番組を見る患者さんへの説明用資料30位患者向けスライド期外収縮の患者さんへの説明

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静脈血栓塞栓症が経口剤単剤で治療可能に

 深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)は密接に関連するため、総称して静脈血栓塞栓症(VTE)と呼ばれる。このVTEの治療および再発抑制に対して、選択的直接作用型第Xa因子阻害薬のイグザレルト(一般名:リバーロキサバン)が9月24日に適応追加承認を取得したことを受け、プレスセミナーが10月28日、都内で開催された(主催:バイエル薬品株式会社)。そのなかで、三重大学医学部附属病院 循環器内科科長 山田 典一氏が、日本初の経口シングルドラッグアプローチの有効性と、治療戦略の変化について解説した。VTE治療戦略のパラダイムシフト VTEの発症初期3週間は、PEまたはDVT再発の危険性が高く、初期治療をしっかり行うことが重要である。 従来の治療では、初期治療期にヘパリンなどを静注し、維持治療期から慢性期(長期2次予防)に、唯一の経口抗凝固薬であったワルファリンを投与していた。しかし、ワルファリンの効果発現には5~7日かかるため、投与開始時はヘパリンと併用(ブリッジング)しなければならないことから、山田氏はこの治療について「投与方法が煩雑で、また納豆など食事における注意も必要」と指摘した。 現在、経口剤はワルファリン以外に非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)が発売され、血中濃度の立ち上がりが早いエドキサバンとリバーロキサバンの2剤が、VTEの治療および再発抑制に使用可能となっている。 先にVTEに承認されたエドキサバンの投与スケジュールは、初期治療期にヘパリンなどを投与した後、エドキサバンにスイッチする。一方、リバーロキサバンは初期治療期にヘパリンなどを投与せず、最初からリバーロキサバンのみを投与するという、日本で初めての「経口シングルドラッグアプローチ」を可能にした。経口シングルドラッグアプローチの臨床成績 海外で実施されたEINSTEIN PE/DVT試験は、PE 4,833例とDVT 3,449例を、リバーロキサバン群4,150例と標準療法群(エノキサパリンとビタミンK拮抗薬併用)4,131例の2群に無作為化割り付けした非劣性試験である。この試験で、リバーロキサバン群は、有効性主要評価項目である「症候性VTEの累積再発率」において非劣性を示し(HR 0.89、95%CI:0.66~1.19、p<0.001)、また、安全性主要評価項目である「重大な出血または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」の累積事象発現率について、HR 0.93(95%CI:0.81~1.06)で、リバーロキサバンの有効性と安全性が示された。 なお、本試験におけるリバーロキサバンの用法・用量は、初期強化療法では15mg 1日2回、維持療法では20mg 1日1回であった。しかし、PE/DVT患者での推定曝露量は、白人20mg 1日1回と日本人15mg 1日1回が同程度であることから、日本人のPE/DVT患者におけるJ-EINSTEIN PE/DVT試験での維持療法は15mg 1日1回で実施されている。 このJ-EINSTEIN PE/DVT試験では、投与3週間後および予定期間終了時の血栓消失した患者の割合が、リバーロキサバン群で標準療法群の約2倍であったことから、山田氏は、「症例数は限られているが、より高い血栓消失効果が期待できる」と強調した。経口シングルドラッグアプローチにより外来治療が増加 近年、海外ではDVT患者の外来治療が増加しており、現在は半数以上が外来で治療されている。山田氏は「わが国でも、経口シングルドラッグアプローチが可能になり、DVT治療については外来治療が増えていくだろう。入院期間が短縮され入院費用も削減できる」と新しい治療戦略に期待を示し、講演を締めくくった。

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なぜ心房細動ばかりが特別扱い?(解説:後藤 信哉 氏)-424

 脳卒中予防は重要である。Framingham研究は、地域住民の34年間という長期の観察により、脳卒中のリスク因子として、心房細動、心不全、冠動脈疾患、高血圧などの重要性を示した。近未来の脳卒中発症予測法は、近未来の心筋梗塞発症予測法よりも信頼性が高い。 実際、「非弁膜症心房細動」症例の、近未来の脳卒中リスク予測に用いるCHA2DS2-VASc scoreを構成する、心不全、高血圧、高齢、糖尿病、脳卒中の既往、血管病、性差のうち、心不全、血管病、高血圧が心房細動の有無にかかわらず脳卒中発症の独立した危険因子であることは、Framingham研究からも明らかにされていた。実際、脳卒中発症に関わる「心不全」の寄与は、「心房細動」の寄与に匹敵する。CHA2DS2-VASc scoreが心房細動を合併した症例の脳卒中予防のみでなく、一般的な脳卒中発症予測にも利用価値があるのではないかと考えるのは、きわめて自然である。Framingham研究が、脳卒中の発症における心房細動の重要性をすでに示しているので、予測因子に「心房細動」を含まないCHA2DS2-VASc scoreの脳卒中予測能力は、非心房細動例では心房細動例よりも不安定であろうという仮説も論理的である。 本研究は、およそ20%の心房細動例を含む4万2,987例の心不全症例を対象とした。抗凝固療法を受けている症例は除外されている。心不全発症後1年以内における虚血性脳卒中、全身塞栓症、死亡率と CHA2DS2-VASc scoreの関係が、心房細動例と非心房細動例において検証された。予想のとおりであるが、いずれのエンドポイントも心房細動の有無にかかわらず、CHA2DS2-VASc scoreの高い症例におけるイベント発症率が高かった。本研究は、新規発症の「心不全例」のうち、抗凝固療法を受けていない症例を対象としているが、CHA2DS2-VASc scoreは、脳卒中、全身塞栓症、死亡率の予測に、心房細動の有無にかかわらず役立つことを示して興味深い。 われわれは以前、日本において、心筋梗塞後、脳卒中後、心房細動の症例を登録して8,000例を超えるデータベースを構築した。CHADS 2 scoreは、1年間の観察期間内の心筋梗塞の発症予測には役立たなかったが、脳卒中、死亡率の予測には有用であることを示した1)。CHA2DS2-VASc scoreにしてもCHADS 2 scoreにしても、心房細動症例に限局せず、近未来の脳卒中、死亡率と関連していることは、臨床医は再認識すべきである。今回のJAMA誌の論文は、CHA2DS2-VASc scoreにかかわらず、脳卒中イベントよりも死亡率が近未来のイベントとしてインパクトが大きいことを示した。実際、過去のRE-LY試験、ENGAGE TIMI 48試験など、心房細動を対象としたNOAC開発試験においても、脳卒中発症率よりも近未来の死亡率が高かったことを再認識すべきである。新規開発された経口抗凝固薬が過剰宣伝されると「CHA2DS2-VASc scoreは心房細動症例以外の症例でも脳卒中予防に役立つ」、「CHA2DS2-VASc scoreは近未来の死亡予測に役立つ」など、いわゆるNOAC販売に繋がらない重要な臨床情報が十分に伝達されない。 ヒトの一生は「心房細動」の有無で大きな影響を受けるものではないことを再認識すべきである。

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新規経口抗凝固薬の眼内出血リスク、従来薬との比較

 新しい経口抗凝固薬(NOAC)は、ほとんどの血栓形成予防において標準療法に対し非劣性であることが認められているが、安全性プロファイルには差があり、とくに眼内出血のリスクについてはほとんどわかっていない。ポルトガル・分子医学研究所のDaniel Caldeira氏らは、NOACに関連した重大な眼内出血のリスクを評価する無作為化比較試験のメタ解析を行った。その結果、NOACと他の抗血栓薬とで重大な眼内出血のリスクに差はないことを報告した。ただしイベント数が少ないため、「NOACの安全性プロファイルをよりよく特徴づけるためには、眼科の日常的な臨床診療下で患者をモニターする大規模なデータベースから追加の研究がなされるべきである」とまとめている。JAMA Ophthalmology 2015年7月号の掲載報告。 研究グループは、MEDLINE、Cochrane Library、SciELO collectionおよびWeb of Science databasesを用いて2014年11月までの論文を検索するとともに、他のシステマティックレビューや規制当局の資料も調べた。 対象は、NOACのすべての第III相無作為化比較試験(RCT)で眼内出血イベントについて報告されているものとし、2人の研究者が独立してデータを抽出した。 メタ解析にはランダム効果モデルを用い、試験の異質性はI2統計量で評価するとともに、重大な眼内出血については統合リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・17件のRCTがメタ解析に組み込まれた。・心房細動患者において、NOACはビタミンK拮抗薬と比較し重大な眼内出血のリスクに差はないことが確認され(RR:0.84、95%CI:0.59~1.19、I2=35%、RCT5件)、アセチルサリチル酸と比較してもリスクの増加は認められなかった(RR=14.96、95%CI:0.85~262.00、RCT1件)。・静脈血栓塞栓症患者において、NOACは低分子ヘパリン+ビタミンK拮抗薬と比較し重大な眼内出血のリスクは増加しないことが確認された(RR=0.67、95%CI:0.37~1.20、I2=0%、RCT5件)。・整形外科手術を受けた患者においても、NOACと低分子ヘパリンとで差はなかった(RR=2.13、95%CI:0.22~20.50、I2=0%、RCT5件)。

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