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GLP-1受容体作動薬の服用での一工夫(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師新しい薬(経口セマグルチド)の方はいかがですか?(開いた質問で尋ねる)患者 あの薬を飲んでいると、残り物とか余分なものを食べなくなりました。医師 それは、よかったですね。体重とHbA1c値も徐々に下がってきています。患者 けど、…(困った顔)医師 けど?患者 あの薬は起きたらすぐに飲まないといけないんですが…それを忘れて、飲んだり朝ごはんを食べたりしてしまって…。画 いわみせいじ医師 なるほど。確かに、あの薬の飲み方は難しいですね。けど、うまく飲む習慣を付けている人もいますよ!患者 えっ、どんな風にされているんですか?(興味津々)医師 薬を飲み物よりも先に目につく所に置いておいて、飲んだらすぐにシャワーを浴びているそうです。患者 なるほど。そうすれば、忘れずに、時間もすぐに経ちますね。ポイント「1日の最初の食事・飲水の前にコップ半分(約120mL以下)の水で服用。服用後30分は飲食を避ける」必要があります。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1RA vs.DPP-4i vs.SU薬

 65歳以上の2型糖尿病患者9万例弱を最長10年間追跡した結果、GLP-1受容体作動薬を服用する患者では、スルホニル尿素(SU)薬やDPP-4阻害薬を服用する患者よりも認知症の発症リスクが低かったことが、スウェーデン・Karolinska InstitutetのBowen Tang氏らによって明らかになった。eClinicalMedicine誌オンライン版2024年6月20日号掲載の報告。 これまでの研究により、2型糖尿病患者は認知症の発症リスクが高いことが報告されている1)。一部の血糖降下薬は、プラセボまたはほかの血糖降下薬との比較において、2型糖尿病患者の認知障害および認知症のリスクを低減させる可能性が示唆されているが、相反する報告もあり、さらなる研究が求められていた。そこで研究グループは、糖尿病を有する高齢者の認知症リスクに対する3つの薬剤クラス(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SU薬)の影響を比較するため、スウェーデンの全国登録から取得したリアルワールドデータを用いて、2010年1月1日~2020年6月30日に臨床試験を模した逐次試験エミュレーション(sequential trial emulation)を実施した。 対象は、65歳以上で2型糖尿病を有し、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬またはSU薬の投与を開始したスウェーデン居住者であった。認知症の既往や過去1年間に研究対象の薬剤クラスを服用したことがある参加者は除外した。基準を満たした参加者を、最初の月をベースラインとして試験に毎月組み入れた。 主な結果は以下のとおり。●ベースラインでGLP-1受容体作動薬(1万2,351例)、DPP-4阻害薬(4万3,850例)、SU薬(3万2,216例)が処方された8万8,381例が含まれた。平均年齢はそれぞれ71.62歳、74.78歳、74.21歳であった。●平均追跡期間は4.3年で、追跡期間中に4,607例が認知症を発症した。GLP-1受容体作動薬開始群では278例(発症率は1,000人年当たり6.7)、DPP-4阻害薬開始群では1,849例(11.8)、SU薬開始群では2,480例(13.7)であった。●ITT解析において、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の開始群では、SU薬開始群と比較して認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のハザード比(HR):0.69(95%信頼区間[CI]:0.60~0.79、p<0.000) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:0.89(95%CI:0.82~0.97、p=0.0069)●GLP-1受容体作動薬開始群は、DPP-4阻害薬開始群と比較しても認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.77(95%CI:0.68~0.88、p<0.0001)●パー・プロトコル解析において、GLP-1受容体作動薬開始群は、SU薬およびDPP-4阻害薬の開始群と比較して認知症リスクが有意に低かったが、DPP-4阻害薬開始群とSU薬開始群との間には有意な差は認められなかった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のHR:0.41(95%CI:0.32〜0.53、p<0.0001) ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.38(95%CI:0.30〜0.49、p<0.0001) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:1.07(95%CI:0.98〜1.17、p=0.13)

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2型糖尿病薬で高K血症リスクが低いのは?/BMJ

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症のリスクが低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のEdouard L. Fu氏らによる同国内の3つの医療保険請求データベースを用いた解析結果で示された。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬は、2型糖尿病の治療においてますます用いられるようになっているが、日常臨床における高カリウム血症の予防に関して、これらの薬剤の相対的な有効性は不明であった。著者は、「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の各クラスにおける個々の薬剤で結果は一貫していることから、クラス効果が示唆される。このことは2型糖尿病患者、とくに高カリウム血症のリスクがある患者へのこれらの薬剤の使用を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2024年6月26日号掲載の報告。傾向スコアマッチングでSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬の高K血症の発症を比較 研究グループは、2013年4月~2022年4月の3つの米国医療保険請求データベース(メディケア、Optum’s deidentified Clinformatics Data Mart、MarketScan)を用い、1対1の傾向スコアマッチングにより、新たに治療を開始したSGLT2阻害薬vs.DPP-4阻害薬(コホート1:77万8,908例)、GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬(コホート2:72万9,820例)、SGLT2阻害薬vs.GLP-1受容体作動薬(コホート3:87万3,460例)の3つのコホートを同定し解析した。 解析対象は、2型糖尿病と診断され、過去365日間に比較対象である2種類の薬剤のいずれかを使用しておらず、年齢18歳以上(メディケアの場合は65歳以上)、コホート登録前に12ヵ月以上継続して保険に加入していた患者であった。 主要アウトカムは、入院または外来における高カリウム血症の診断、副次アウトカムは、外来での追跡中における高カリウム血症(血清カリウム値5.5mmol/L以上)の発症、および入院または救急外来における高カリウム血症の診断とした。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬よりリスクが低い SGLT2阻害薬による治療開始は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低く(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.73~0.78)、GLP-1受容体作動薬との比較でも発症率がわずかに低下した(HR:0.92、95%CI:0.89~0.95)。GLP-1受容体作動薬の使用は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低かった(HR:0.79、95%CI:0.77~0.82)。 3年間の絶対リスクは、SGLT2阻害薬(4.6%)がDPP-4阻害薬(7.0%)より2.4%(95%CI:2.1~2.7)低く、GLP-1受容体作動薬(5.7%)がDPP-4阻害薬(7.5%)より1.8%(95%CI:1.4~2.1)低く、SGLT2阻害薬(4.7%)がGLP-1受容体作動薬(6.0%)より1.2%(95%CI:0.9~1.5)低かった。 これらの結果は、副次アウトカム、および年齢、性別、人種、併存疾患、他の薬剤の使用、HbA1c値によって定義されたサブグループ間で一貫していた。SGLT2阻害薬ならびにGLP-1受容体作動薬のDPP-4阻害薬に対する絶対スケールでの有益性(率差)は、心不全、慢性腎臓病、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を使用している患者で最も大きかった。 DPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症の発症率が低いことは、SGLT2阻害薬(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)およびGLP-1受容体作動薬(デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド)の個々の薬剤で一貫して観察された。

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メトホルミンに追加すべき薬剤はSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬それともSU薬?(解説:住谷哲氏)

 GRADE(Glycemia Reduction Approaches in Diabetes: A Comparative Effectiveness Study)研究1)は、メトホルミン単剤で血糖管理目標を達成できない患者に追加する血糖降下薬としてインスリン(グラルギン)、SU薬(グリメピリド)、GLP-1受容体作動薬(リラグルチド)またはDPP-4阻害薬(シタグリプチン)の有用性を比較検討したランダム化比較試験である。その結果は、HbA1c低下作用はグラルギンとリラグルチドが他の2剤に比べて優れており、体重減少効果はリラグルチドが最も優れていた。 米国が国家予算を投入したGRADE研究であるが、メトホルミンに追加する2剤目として経口血糖降下薬ではなく注射薬(グラルギンまたはリラグルチド)を選択することは実臨床においてそれほど多くない。さらに2剤目の追加薬剤の選択肢にSGLT2阻害薬が含まれていないのが、この研究の結果を実臨床に反映しにくい理由の1つである。 本研究は新しい解析手法であるtarget trial emulation(標的試験模倣と訳すべきか。概要については過去の本連載を参考されたい2])を用いて、メトホルミンに追加する薬剤としてSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬およびSU薬のいずれが優れているかを英国CPRD(Clinical Practice Research Datalink)のデータを対象にして検討したものである。結果は、HbA1c低下作用、BMI減少作用、収縮期血圧低下作用においてSGLT2阻害薬が他の2剤に比較して優れていた。さらにSGLT2阻害薬は、心不全による入院抑制はDPP-4阻害薬に比較して優れており、腎疾患の進行抑制はSU薬に比較して優れていた。 臓器保護薬としてのSGLT2阻害薬の有用性は、高リスク患者を対象としたランダム化比較試験で明らかにされてきた。したがって多くのガイドラインでは、心不全または慢性腎臓病を有する2型糖尿病患者への積極的投与が推奨されている。しかし、われわれが通常外来で診察している低リスク患者に対する有用性はこれまで不明であった。本研究の結果は、低リスク患者においても血糖降下作用、BMI減少作用、収縮期血圧低下作用においてSGLT2阻害薬がDPP-4阻害薬、SU薬と比較して優れていることを示した点でインパクトが大きい。ただし本研究はメトホルミン投与患者への追加薬剤としての検討であり、この点には留意する必要がある。

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GCG/GLP-1作動薬survodutide、MASHの改善に有望/NEJM

 線維化の進行を伴わないmetabolic dysfunction-associated steatohepatitis(MASH)の改善に、グルカゴン(GCG)受容体+GLP-1受容体の二重作動薬であるsurvodutideはプラセボとの比較において優れることが、米国・バージニア・コモンウェルス大学のArun J. Sanyal氏らが行った第II相無作為化試験の結果で示された。著者は、「第III相試験でさらなる評価を行う必要がある」と述べている。GCG受容体+GLP-1受容体の二重作動薬はGLP-1受容体作動薬単独よりも、MASHの治療において有効であることが示されているが、肝線維化を伴うMASH患者におけるsurvodutideの有効性と安全性は明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2024年6月7日号掲載の報告。線維化ステージF1~F3のMASH成人を対象に第II相試験 第II相試験は48週間にわたり、生検でMASHが確認された線維化ステージF1~F3の成人を1対1対1対1の4群(survodutide 2.4mg群、同4.8mg群、同6.0mg群、プラセボ群)に無作為に割り付け、週1回皮下投与した。 試験は、24週間の急速用量漸増期、続く24週間の維持期の構成で実施された。 主要エンドポイントは、線維化の進行を伴わない(線維化ステージのあらゆる進展が認められない)MASHの組織学的改善(NAFLD活動性スコアが2ポイント以上減少し、小葉内炎症または肝細胞の風船様変性が1ポイント以上減少)とした。副次エンドポイントは、肝脂肪量が30%以上低下かつ生検評価による1ステージ以上の線維化の改善(軽減)などとした。MASH改善、survodutide 2.4mg群47%、4.8mg群62%、6.0mg群43%、プラセボ群14% 2021年4月27日~2023年12月21日に1,153例が適格性についてスクリーニングを受け、計293例が無作為化されsurvodutideまたはプラセボを少なくとも1回投与された。ベースラインの被験者特性は試験群間(survodutide 2.4mg群73例、4.8mg群72例、6.0mg群74例、プラセボ群74例)で類似しており、全被験者における平均値は、年齢50.8±12.8歳、体重100.84±22.37kg、BMI 35.81±6.41、女性は53%、2型糖尿病罹患者39%、線維化ステージはF2が41%、F3が35%などであった。 線維化の進行を伴わないMASHの組織学的改善は、survodutide 2.4mg群47%、4.8mg群62%、6.0mg群43%で認められたのに対し、プラセボ群では14%であった(最適適合モデルとしての二次線量反応曲線のp<0.001)。 肝脂肪量の30%以上低下が認められたのは、survodutide 2.4mg群63%、4.8mg群67%、6.0mg群57%、プラセボ群14%であった。また1ステージ以上の線維化の改善は、それぞれ34%、36%、34%、22%で認められた。 survodutide群で発現頻度がプラセボ群より高かった有害事象は、悪心(66% vs.23%)、下痢(49% vs.23%)、嘔吐(41% vs.4%)などであった。重篤な有害事象の発現率は、survodutide群8%、プラセボ群7%であった。

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慢性腎臓病を伴う2型糖尿病に対するセマグルチドの腎保護作用 -FLOW研究から何を学ぶ-(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しいか? GLP-1受容体作動薬は、LEADER/SUSTAIN-6/REWINDなど2型糖尿病の大規模研究において心血管主要アウトカムのリスク軽減が報告されている。一方、これらの研究で腎イベントは副次項目として設定されており、肯定論はあるものの正確な評価はされていない。今回のFLOW研究は、セマグルチドの効果を、腎疾患イベントを主要評価項目として評価した初の腎アウトカム研究である。FLOW試験のデザインと経緯 慢性腎疾患(CKD)を有する2型糖尿病の成人を対象として、腎臓を主要評価項目とした。標準治療の補助療法として追加したセマグルチド1.0mg週1回皮下注とプラセボを比較した、無作為割り付け、二重盲検、並行群間、プラセボ対照試験のデザイン。両群のベースラインeGFRは、47mL/min/1.73m2である。複合主要評価項目は、eGFRのベースラインから持続的50%以上の低下、持続的なeGFR 15mL/min/1.73m2未満の発現、腎代替療法(透析または腎移植)の開始、腎死、心血管死、の5項目。本計画書では、事前に規定した数の主要評価項目イベントが発生した時点で中間解析を行うこととした。試験は2019年に開始、28ヵ国、387の治験実施施設で3,533人が組み入れられた。そして、経過中セマグルチドの腎アウトカムの改善効果が明確になったため、2023年10月独立データモニタリング委員会の勧告に基づき試験の早期終了が決定された。FLOW試験の主たる結果 早期終了勧告の際の中間観察期間は3.4年。主要評価項目において、セマグルチド群でのリスク低下は24%(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.66~0.88、p=0.0003)であった。この結果は、主要評価項目の中で腎に特異的な複合項目(HR:0.79、95%CI:0.66~0.94)と心血管死(HR:0.71、95%CI:0.56~0.89)においても同様であった。サブグループ解析において、セマグルチド群のHRが低い要因として、欧州地域、UACRが多い、BMIが大、糖尿病歴が長い、などが挙げられた。以上、本試験から「CKDを有する2型糖尿病患者においてセマグルチドは腎アウトカムを改善し、心血管死を抑制する」、と結論された。GLP-1受容体作動薬による腎保護の想定機序 FLOW試験は、GLP-1受容体作動薬の腎保護の作用機序を議論する研究ではない。しかし、この点は万人にとって興味の的である。GLP-1受容体作動薬には食欲抑制作用がある。その機序には、胃排出遅延作用と中枢における食欲抑制が知られている。食欲抑制は、糖負荷とNa負荷を軽減し、糖代謝や高血圧などを改善し、腎保護に寄与する。さらに腎保護作用のメカニズムには、Na利尿作用、抗酸化作用、抗炎症作用、血管拡張作用など複合的に想定される。腎臓におけるGLP-1受容体は、糸球体、近位尿細管、輸入細動脈、緻密斑(MD)などに分布する。GLP-1受容体作動薬は、近位尿細管でNHE3やNHE3-DPP4複合体の活性化を抑制しNa利尿を亢進させる。GLP-1受容体作動薬が、MDへのNa流入増加から、尿細管・糸球体フィードバック(TGF)を介して糸球体内圧低下を惹起するか否かに関しては、一定の見解は得られていない。本論文の日本での意義付けと注意点 FLOW研究の成果は、糖尿病や腎臓病専門医の日常診療にとってもインパクトは高い。日本糖尿病学会の「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)」において、ステップ1でGLP-1受容体作動薬が、ステップ3でCKD合併2型糖尿病ではSGLT2阻害薬と共に選択薬剤として推奨されている。また、ADA/KDIGOにおける糖尿病性腎臓病(DKD)に対する腎保護管理2022の推奨においても、GLP-1受容体作動薬はリスクに応じた追加治療としてARB/ACE阻害薬、SGLT2阻害薬、MRAと共に推奨されている(Kidney Int. 2022;102:S1-S54.)。一方、本論文を直接日本人に外挿できるか、には注意が必要である。FLOW研究は、アジア人が20%と少なく、さらにHRが低下した患者層は、BMI>30でUACR≧300であった。このことは、同剤は肥満度が高い顕性蛋白尿を有するDKDで効果が高い可能性を示唆する。さらに、本試験で使用されたセマグルチドは、注射製剤(オゼンピック)であることも注意すべきである。現在、本邦では経口セマグルチド(リベルサス)も使用可能であるが、両者は薬物動態学/薬力学の面で同一ではない。したがって、注射製剤セマグルチドで得られたFLOW試験の腎保護効果を、経口セマグルチドには直接外挿はできない。心血管イベント抑制や腎アウトカム改善を目標とするなら、経口薬ではなく注射薬を選択すべきであろう。慢性腎臓病を伴う2型糖尿病における腎保護療法の未来展望 近年、心不全治療ではファンタスティックフォー(fantastic four:ARNI、SGLT2阻害薬、β遮断薬、MRA)なる4剤の組み合わせが注目され、臨床現場で実践されている。これに追随しDiabetic Kidney Disease(DKD)治療において推奨される4種類の腎保護薬(RAS阻害薬、SGLT2阻害薬、非ステロイド型・MRA[フィネレノン]、GLP-1受容体作動薬)の組み合わせを、新たに腎臓病ファンタスティックフォー(The DKD fantastic four)とする治療アルゴリズムが一部に提唱されている(Mima A. Adv Ther. 2022;39:3488-3500.)。また、腎臓の酸素化や炎症を評価する試験(TREASURE-CKD[NCT05536804]、REMODEL[NCT04865770])が進行中であり、GLP-1受容体作動薬の作用機序の一部が解明される期待がある。今後、「GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬など早期から使用することにより、さらなる腎予後改善が望めるかもしれない」、との治療上の作業仮説も注目されつつある。この観点に立ち、将来的にはGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬は、糖尿病性腎臓病の早期から開始する「Foundational drug:基礎薬」となり得るのではとの意見もある(Mark PB, et al. Lancet. 2022.400;1745-1747.)。

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肥満へのチルゼパチド、9割弱が5%以上の減量達成/JAMA

 中国の肥満または過体重成人を対象に行われた第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド10mgまたは15mgの週1回投与は、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある体重減少をもたらし、安全性プロファイルは許容できるものであったことを、中国・復旦大学のLin Zhao氏らが報告した。肥満は世界的な公衆衛生上の懸念事項であり、なかでも中国の肥満者の数は世界で最も多いとされる。JAMA誌オンライン版2024年5月31日号掲載の報告。10mg/15mg投与の52週時点の体重変化率、5%以上の体重減少を評価 肥満または過体重で体重に関連した疾患を有する中国成人を対象に、体重減少に対するチルゼパチド治療の有効性と安全性を評価するSURMOUNT-CN試験は、2021年9月~2022年12月に中国の29医療施設で行われた。BMI 28以上、またはBMI 24以上で少なくとも1つの体重に関連した疾患を有する、18歳以上の成人(糖尿病患者は除く)を対象とした。 研究グループは被験者を1対1対1の割合で、チルゼパチド10mgを投与する群、同15mgを投与する群、プラセボを投与する群に割り付け、全例に生活習慣の介入を行いながら週1回52週間皮下投与した。 主要エンドポイントは2つで、52週時点で評価したベースラインからの体重変化率(%)と少なくとも5%以上の体重減少とした。有効性および安全性の解析はITT集団で行われた。体重変化率、10mg群-13.6%、15m群-17.5%、プラセボ-2.3% 無作為化された被験者は210例(女性103例[49.0%]、平均年齢36.1[SD 9.1]歳、平均体重91.8[16.0]kg、平均BMI 32.3[3.8])で、チルゼパチド10mg群70例、同15mg群71例、プラセボ群69例であった。このうち201例(95.7%)が試験を完了した。 52週時点の平均体重変化率は、チルゼパチド10mg群-13.6%(95%信頼区間[CI]:-15.8~-11.4)、同15mg群-17.5%(-19.7~-15.3)、プラセボ群-2.3%であった。 チルゼパチドの両用量群ともプラセボより体重減少効果が優れており、対プラセボの推定治療群間差は10mg群が-11.3%(95%CI:-14.3~-8.3、p<0.001)、15mg群が-15.1%(-18.2~-12.1、p<0.001)であった。 5%以上の体重減少達成者は、チルゼパチド10mg群87.8%、同15mg群85.8%に対し、プラセボ群は29.3%であった(対プラセボのp<0.001)。 チルゼパチドの治療中に発現した有害事象で最も多くみられたのは消化器系イベントで、ほとんどが軽度~中程度であった。治療中止に至った有害事象はわずかであった(<5%)。

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セマグルチド、CKDを伴う2型DMの腎機能低下や心血管死亡を抑制/NEJM

 慢性腎臓病(CKD)を伴う2型糖尿病患者は、腎不全、心血管イベント、死亡のリスクが高いが、GLP-1受容体作動薬セマグルチドによる治療がこれらのリスクを軽減するかは知られていない。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のVlado Perkovic氏らFLOW Trial Committees and Investigatorsは「FLOW試験」において、プラセボと比較してセマグルチドは、主要腎疾患イベントの発生が少なく、腎特異的イベントや心血管死、全死因死亡のリスクを低減することを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月24日号に掲載された。28ヵ国387施設の無作為化プラセボ対照試験 FLOW試験は、28ヵ国387施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2019年6月~2021年5月に参加者を募集した(Novo Nordiskの助成を受けた)。 対象は、2型糖尿病とCKDを有する患者とし、推算糸球体濾過量(eGFR)が50~75mL/分/1.73m2で尿中アルブミン-クレアチニン比(アルブミンはミリグラム、クレアチニンはグラムで測定)が>300~<5,000、またはeGFRが25~50mL/分/1.73m2で尿中アルブミン-クレアチニン比が>100~<5,000と定義した。 被験者を、セマグルチド1.0mgを週1回皮下投与する群、またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、主要腎疾患イベント(major kidney disease event)であり、腎不全(透析、移植、eGFR<15mL/分/1.73m2)の発生、eGFRのベースラインから50%以上の低下、腎臓関連の原因または心血管関連の原因による死亡の複合と定義した。主要アウトカムの相対リスクが有意に低下 3,533例(平均[±SD]年齢66.6±9.0歳、女性30.3%)を登録し、セマグルチド群に1,767例、プラセボ群に1,766例を割り付けた。中間解析の結果に基づき、独立データ安全性監視委員会は有効性について試験の早期終了を勧告し、試験終了時の追跡期間中央値は3.4年だった。 主要アウトカムのイベント発生の頻度は、セマグルチド群で低く(初回イベント:セマグルチド群331件[5.8/100人年]vs.プラセボ群410件[7.5/100人年])、主要アウトカムの相対リスクはセマグルチド群で24%低かった(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.66~0.88、p=0.0003)。 また、主要アウトカムの腎特異的構成要素の複合(HR 0.79、95%CI 0.66~0.94)および心血管死(0.71、0.56~0.89)についても、結果は主要アウトカムと同様であった。eGFR年間変化率の勾配、主な心血管イベント、全死因死亡も良好 3つの確認のための主な副次アウトカムは、いずれもセマグルチド群で良好だった。eGFRの無作為化から試験終了までの平均年間変化率の傾きの程度(eGFR slope)は、プラセボ群に比べセマグルチド群で1.16mL/分/1.73m2(95%CI:0.86~1.47)低く、減少の仕方が緩徐であった(p<0.001)。主な心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死の複合)のリスクは、セマグルチド群で18%低く(HR:0.82、95%CI:0.68~0.98、p=0.029)、全死因死亡のリスクは20%低かった(0.80、0.67~0.95、p=0.01)。 重篤な有害事象の報告は、プラセボ群に比しセマグルチド群で少なかった(49.6% vs.53.8%)。一方、試験薬の恒久的な投与中止の原因となった有害事象の頻度はセマグルチド群で高かった(13.2% vs.11.9%)。 著者は、「これらの知見に基づくと、2型糖尿病とCKDを有する患者に対するセマグルチドの使用は、腎保護作用とともに、心血管リスクの低減に有効である可能性がある」としている。

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2型DMへのGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬、併用vs.単剤/BMJ

 2型糖尿病患者では、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の併用は、これらの薬剤クラスの単剤投与と比較して、主要有害心血管イベント(MACE)および重篤な腎イベントのリスクを低減することが、英国・バーミンガム大学のNikita Simms-Williams氏らが実施したコホート研究で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年4月25日号に掲載された。英国のコホート研究 本研究では、2013年1月~2020年12月に集積した英国の2型糖尿病患者の2つのコホートのデータを使用した(カナダ保健研究機構[CIHR]の助成を受けた)。 1つは、GLP-1受容体作動薬で治療を開始し、SGLT2阻害薬を追加した6,696例(平均年齢56.7歳、男性54.5%)、もう1つはSGLT2阻害薬で治療を開始し、GLP-1受容体作動薬を追加した8,942例(57.6歳、52.3%)のコホートであった。併用群は、個々の基礎治療薬(GLP-1受容体作動薬またはSGLT2阻害薬の単剤投与)とその投与期間が同じ患者と、傾向スコアでマッチングを行った。 主要アウトカムは、MACE(心筋梗塞、脳梗塞、心血管死)および重篤な腎イベントとし、GLP-1受容体作動薬+SGLT2阻害薬の併用と2つの基礎治療薬単剤をそれぞれ比較した。併用により、単剤に比べMACEリスクが約3割低下 GLP-1受容体作動薬単剤と比較して、GLP-1受容体作動薬+SGLT2阻害薬の併用では、MACEのリスクが30%低下(1,000人年当たりのイベント数:併用群7.0件vs.単剤群10.3件、ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.49~0.99)し、重篤な腎イベントのリスクは57%減少(2.0件vs.4.6件、0.43、0.23~0.80)した。 また、SGLT2阻害薬単剤に比べ、GLP-1受容体作動薬+SGLT2阻害薬の併用では、MACEのリスクが29%低下(1,000人年当たりのイベント数:併用群7.6件vs.単剤群10.7件、HR:0.71、95%CI:0.52~0.98)したのに対し、重篤な腎イベントのリスクのCIは範囲が広かった(1.4件vs.2.0件、0.67、0.32~1.41)。MACEの各項目には大きな差はない MACEの各項目については、GLP-1受容体作動薬単剤との比較では、心筋梗塞(HR:0.73、95%CI:0.45~1.17)、脳梗塞(0.90、0.48~1.67)に併用群との差はなく、心血管死(0.35、0.15~0.80)は併用群で良好であったもののCIの範囲が広かった。心不全(0.57、0.35~0.91)も併用群で良好だったが、CIの範囲は広く、全死因死亡(0.71、0.49~1.02)には差を認めなかった。 また、SGLT2阻害薬単剤との比較では、併用群で心筋梗塞(HR:0.73、95%CI:0.48~1.12)、脳梗塞(0.86、0.46~1.59)、心血管死(0.54、0.29~1.01)に差はなく、心不全(0.70、0.40~1.23)、全死因死亡(0.73、0.52~1.01)にも差を認めなかった。 著者は、「これらの知見は、2型糖尿病の治療における、心血管イベントおよび腎イベントの予防において、これら2つの有効な薬剤クラスの併用の潜在的な有益性を強調するものである」としている。

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第210回 GLP-1製剤の品薄状態、危惧する人と安堵する人

以前、こちらで取り上げたGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1製剤)のダイエット目的の濫用とそれが原因の1つであると思われる供給不安問題。品薄はダイエット目的で使いやすいであろう週1回製剤のセマグルチド(商品名:オゼンピックなど)、デュラグルチド(商品名:トリルシティ)、チルゼパチド(商品名:マンジャロ)に集中していたが、今年1月15日にセマグルチド、4月22日にデュラグルチドが限定出荷から通常出荷に切り替わり、残すはチルゼパチドのみが品薄状態となっている。そして2023年のメガファーマ各社の決算内容が明らかになっているが、この3製剤の中で最も売上高が高いセマグルチドの2型糖尿病に適応をもつ注射薬「オゼンピック」の2023年売上高は138億ドル(日本円換算で2兆1,126億円、ノボ ノルディスク社の決算はデンマーク・クローネでの発表のため、ドル・円の売上高は現行レートで換算)となった。ちなみに同じセマグルチドを成分とし、同じく2型糖尿病の適応をもつ経口薬「リベルサス」は27億ドル(同4,204億円)、肥満症の適応をもつ注射薬「ウゴービ」は45億ドル(同7,025億円)。セマグルチド成分括りにした2023年総売上高は210億ドル(同3兆2,355億円)である。2023年の医療用医薬品の製品別売上高は、世界第1位が免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の250億ドル(同3兆8,911億円)、世界第2位が新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン「コミナティ」の153億ドル(同2兆3,814億円)で、オゼンピックが世界第4位。だが、セマグルチド括りでの売上高は世界第2位となる。日本の製薬企業で考えると、国内第2位のアステラス製薬と第3位の第一三共の2024年3月期決算で発表された売上高の合算を1成分の売上高で超えてしまっているのだ。なんとも驚くべきことである。オゼンピックは2017年末のアメリカでの発売から1年強で、全世界売上高10億ドル以上のブロックバスター入りを果たし、過去4年ほどで全世界売上高は9倍以上に急伸長している。糖尿病治療薬は患者数の多さゆえにブロックバスター入りしやすいが、オゼンピックは糖尿病治療薬としては、ほぼ史上最高売上高を記録している。糖尿病治療薬の売上高を更新、“注射製剤”のなぜこの背景には、これまでブロックバスター入りした糖尿病治療薬がほぼ経口薬であり、それと比べて注射薬のオゼンピックは薬価が高いという事情はあるだろう。しかし、それだけではないはずだ。余計な一言を言えば、オゼンピックの売上高が2型糖尿病患者への処方のみで形成されていると思うウブな関係者はいないだろう。たぶんここには世界的に見ても、ダイエット・美容目的の適応外処方による売り上げが含まれていると考えられる。さて、供給不安はかなり解消されたとは言え、現場ではまださまざまな不都合が生じている模様だ。たとえば薬局薬剤師に話を聞くと、実際の週1回GLP-1製剤の処方箋は1ヵ月分、すなわち製剤としては注射キット4本の処方が多いという。しかし、市中の保険薬局では今でも入庫がスムーズではなく、処方箋受け取り時には2本のみを患者に渡し、残り2本は後日に再来局をお願いするか、配送するケースも目立つという。この背景には通常出荷になっても供給が綱渡りということもあれば、自由診療クリニックへの横流しを警戒して必要量を医薬品卸が適宜配送しているという事情もあるらしい。このようなケースで薬局側が患者宅に配送をする際は、人が直接届けるかクール便を使うという。ある薬剤師は「(薬局への)納入価に配送の人件費やクール便費用を上乗せしたら赤字になる」とため息をついていた。この現状は患者にとっても薬局にとっても迷惑千万な話だろう。この状況の解消まで考えると、完全な通常流通まではまだ時間がかかりそうだ。しかし、あまのじゃくな私は、危惧すべきは完全な通常流通が実現した後ではないか? と考えてしまう。少なくとも現状はGLP-1製剤を必要とする2型糖尿病や肥満症の患者に薬が届かないという最悪の状況は避けられている。ただ、前述のように受け取りに多少の手間暇がかかっている。その一方で、いわば「メディカルダイエット」と称したダイエット・美容目的の自由診療でのGLP-1製剤の適応外処方が極端に廃れたなどという話は、少なくとも私個人はまったく耳にしていない。ネット広告では今でもこの手の広告がじゃんじゃん表示される。余談になるが、どうやら年齢・性別の属性では中高年男性もGLP-1製剤のターゲットにされているらしく、最近は私に対してもこの種の広告と薄毛治療の広告が頻繁に表示される。そして、ご存じのように自由診療での適応外処方を法令で取り締まることはできない。つまるところGLP-1製剤で完全な通常流通が実現するということは、本当に必要な患者が困らないだけではなく、適応外処方の自由診療も栄えるということだ。通常流通を危惧する理由こんなことを考えてしまったのは、先日ある開業医と話をしていて、ため息が出るような事例を聞いてしまったからだ。この医師は都内の繁華街近くで内科クリニックを開業している。そのクリニックに昨春、強い吐き気で路上にうずくまっていたという若い女性が通行人に付き添われて来院したという。「場所柄もあり『昨夜、かなり飲みましたか?』と尋ねても本人は元々飲めないと答えるし、昼時だったので食中毒を疑って直近の食事状況を聞いたら、朝からお茶を飲んだのみで、とくに何かを食べたわけでもないと言うんですよ。そこでピンと来ました」結局、問診の結果、オンラインの自由診療でGLP-1製剤の処方を受けていたことがわかった。医師は女性にGLP-1製剤では悪心・嘔吐の副作用頻度が高いことなどを伝え、中止を促すとともに、最低限の対症療法の処方箋を発行。女性は「こんなに副作用がひどいとは思わなかった。すぐに止めます」と応じたという。ちなみに問診時に身長、体重を尋ねたところBMIは18にも満たなかったとのこと。その後、女性は来院していないため、本当に彼女がGLP-1製剤を止めたかどうかは定かではない。この医師は私に「自由診療の副作用で苦しんでいる患者でも助けなければならないとは考える。でもね、それを保険診療で対応しなければならないのはねえ…」とぼやいた。至極真っ当な指摘である。この話を聞いて私が反応してしまったのは、「朝から何も食べていない」という話だった。痩身願望のある人が我流の食事制限などを行っていることは少なくない。GLP-1製剤は、その性格上、低血糖になりにくいことがウリの一つである。しかし、それはごく普通の食生活を送っていることが前提で、その場合でもほかの血糖降下薬を併用している場合には低血糖は発生している。ということは、今後、自由診療が野放しのまま完全流通が実現すれば、この医師が経験した副作用の悪心・嘔吐レベルだけではなく、重大な低血糖発作の報告事例が増加してしまうのではないだろうか?そしてオンライン診療でかなりの適応外処方が行われている実態を考えれば、車社会である地方都市在住者でも適応外で使われることが増えるだろう。運転の最中に低血糖発作が起きたらどうなるのだろうと考えてしまった。これは私の妄想だろうか? それとも考え過ぎだろうか?

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早期パーキンソン病へのGLP-1受容体作動薬、進行抑制効果を確認/NEJM

 診断後3年未満のパーキンソン病患者を対象とした糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬リキシセナチド療法について、第II相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験で、プラセボと比較して12ヵ月時点での運動障害の進行を抑制したことが示された。ただし、消化器系の副作用を伴った。フランス・トゥールーズ大学病院のWassilios G. Meissner氏らLIXIPARK Study Groupによる検討結果で、NEJM誌2024年4月4日号で発表された。リキシセナチドは、パーキンソン病のマウスモデルで神経保護特性を示すことが報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「より長期かつ大規模な試験により、パーキンソン病患者に対するリキシセナチドの有効性および安全性を確認することが必要である」とまとめている。リキシセナチドを1日1回皮下投与、1年後のMDS-UPDRSパートIIIスコア変化を評価 試験は、パーキンソン病患者の運動障害進行に対するリキシセナチドの有効性を評価するため、パーキンソン病診断後3年未満で、対症薬の服用量が安定しており、運動合併症のない患者を無作為に2群に割り付け、一方にはリキシセナチドを1日1回皮下投与(当初14日間は10μg/日、その後は20μg/日)、もう一方にはプラセボを、それぞれ12ヵ月投与し、2ヵ月休薬した。 主要エンドポイントは、運動障害疾患学会・改訂版パーキンソン病統一スケール(MDS-UPDRS)のパートIIIスコア(範囲:0~132点、スコアが高いほど運動障害が大きい)のベースラインからの変化量で、12ヵ月時点で試験薬服薬中の患者を対象に評価した。 副次エンドポイントは、6ヵ月、12ヵ月、14ヵ月時点のMDS-UPDRSのその他のサブスコアや、レボドパ換算投与量などだった。スコア変化の群間差は3.08ポイントで有意な差 試験登録のスクリーニングは2018年2月~2020年3月に行われ、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、計156例(各群78例)が登録された時点で組み入れ中止となった。ベースラインの両群の人口統計学的および臨床的特性は類似しており、典型的な早期パーキンソン病の被験者像であった。平均年齢はリキシセナチド群59.5±8.1歳、プラセボ群59.9±8.4歳、男性被験者は同56%、62%、平均診断後期間は1.4±0.8年、1.4±0.7年で、MDS-UPDRSパートIIIスコアは両群とも約15点(14.8±7.3点、15.5±7.8点)だった。 12ヵ月時点で、MDS-UPDRSパートIIIスコアの変化量は、リキシセナチド群では-0.04ポイント(障害の改善を示す)、プラセボ群では3.04ポイント(障害の悪化を示す)だった(群間差:3.08、95%信頼区間[CI]:0.86~5.30、p=0.007)。 2ヵ月の休薬期間後14ヵ月時点で、非服薬状態でのMDS-UPDRSパートIIIスコアの平均値は、リキシセナチド群17.7点(95%CI:15.7~19.7)、プラセボ群20.6(18.5~22.8)だった。 副次エンドポイントに関するその他の結果は、両群で大きな差は認められなかった。 リキシセナチド群の46%で悪心が、13%で嘔吐が報告された。

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2型糖尿病患者に対する肥満外科手術bariatric surgeryの長期有効性が示された(解説:住谷哲氏)

 2型糖尿病の寛解diabetes remissionは、これまで夢物語であったが、近年は現実のものとなっている。寛解の定義は疾患により異なるが、2型糖尿病においては血糖降下薬を使用せずにHbA1c<6.5%が3ヵ月以上維持できた状態を寛解と定義している1)。契機となったのはDiRECT(Diabetes Remission Clinical Trial)研究で、15kg以上の減量により肥満2型糖尿病患者の86%が寛解したと報告されたことである2)。この報告はかなりの衝撃であり、付属論評のタイトルも”Remission of type 2 diabetes: mission not impossible”であった3)。 DiRECT研究は、超低カロリー食very low calorie diet VLCDを基本とした生活習慣改善プログラムを使用していた。カロリー制限が減量において最重要であるのは当然であるが、現実的にはなかなか難しい。そこで従来から減量目的で実施されていたのが肥満外科手術bariatric surgeryである。2型糖尿病患者における肥満外科手術の有効性を検討したRCTは複数あるが、すべて単施設からの報告であり、症例数、観察期間も限られていた。そこで本研究グループは、Alliance of Randomized Trials of Medicine versus Metabolic Surgery in Type 2 Diabetes (ARMMS-T2D) consortiumを立ち上げ、統合解析を実施した。追跡開始3年後の解析結果は、すでに報告されており4)、本論文はその7年または12年後の追跡結果である。主要評価項目であるベースラインからのHbA1cの変化量は薬物療法・生活習慣改善群に比較して肥満外科手術群で有意に大であった。さらに副次評価項目である2型糖尿病の寛解率も、薬物療法・生活習慣改善群vs.肥満外科手術群で、7年後で6.2% vs.18.2%(p=0.02)、12年後で0.0% vs.12.7%(p<0.001)であり肥満外科手術群で有意に大であった。 本統合解析に含まれた4つのRCTが実施されたのは2007年から2013年にかけてであり、当時はGLP-1受容体作動薬のセマグルチドもチルゼパチドも市場に登場していなかった。両薬剤の体重減少効果は肥満外科手術に匹敵するものがあり、仮りに同様のRCTを現時点で実施すれば結果は異なったかもしれない。しかし両薬剤共に薬剤中止後ほぼ1年で体重が元に戻ることが明らかにされており5,6)、体重減少を維持するためには継続使用が必要である。一部の患者ではあるが、肥満外科手術後10年以上にわたり2型糖尿病の寛解が維持できることが示されたのは大きな一歩といえるだろう。■参考文献1)Riddle MC, et al. Diabetes Care. 2021;44:2438-2444.2)Lean ME, et al. Lancet. 2018;391:541-551.3)Uusitupa M. Lancet. 2018;391:515-516.4)Kirwan JP, et al. Diabetes Care. 2022;45:1574-1583.5)Rubino D, et al. JAMA. 2021;325:1414-1425.6)Aronne LJ, et al. JAMA. 2024;331:38-48.

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第189回 紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省

<先週の動き>1.紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省2.オンライン初診での麻薬、向精神薬の処方制限強化へ/厚労省3.医療広告をさらに規制強化、事例解説書を更新/厚労省4.当直明けの手術を7割が実施、遅れる消化器外科医の働き方改革/消化器外科学会5.看護師の離職率は依然として高水準、タスクシフトや業務効率化を進めよ/看護協会6.未成年への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)、専門家から倫理性に疑問/児童青年精神医学会1.紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省厚生労働省は、小林製薬の紅麹原料を含む機能性表示食品に関連する健康被害について、入院者数が延べ196人、受診者数が1,120人を超えたと発表した。この問題は国内で広がりをみせており、相談件数は約4万5,000件に上っている。厚労省は、無症状の人でも医師が必要と判断すれば、保険診療での診察や検査を許可する措置を講じた。立憲民主党は、このような健康被害があった場合に迅速な報告義務を課す制度改正を政府に要請する方針を明らかにした。また、小林製薬は、製品が安全に摂取できると言えないとの見解を示し、紅麹原料の製造過程で温水が混入するトラブルがあったことも公表したが、健康被害との直接的な関連は不明としている。この一連の問題に対し、消費者庁や厚労省は、紅麹を含む製品による健康被害の原因究明と、被害拡大防止のための対策を強化している。参考1)健康被害の状況等について[令和6年4月4日時点](厚労省)2)疑義解釈資料の送付について[その65](同)3)「紅麹を含む健康食品等を喫食した者」、無症状でも、医師が喫食歴等から必要と判断した場合には、保険診療で検査等実施可-厚労省(Gem Med)4)小林製薬「紅麹」、受診1,100人超 健康被害どこまで(日経新聞)5)健康被害で報告義務を=機能性食品、政府に要請へ-立民(時事通信)6)報告義務の法制化「必要あれば迅速に」 紅麹サプリ問題で武見厚労相(朝日新聞)7)紅麹製造タンクで温水混入トラブル、小林製薬「健康被害との関係不明」…公表2週間で受診1,100人超(読売新聞)2.オンライン初診での麻薬、向精神薬の処方制限強化へ/厚労省厚生労働省は、オンライン診療の適切な実施に関する新たな指針を公表し、特定の医薬品の処方に関する制限を明確にした。これにより、オンライン診療の初診では麻薬・向精神薬、抗がん剤、糖尿病治療薬などの特定薬剤の処方が禁止され、これらの情報を過去の診療情報として扱うこともできなくなる。この措置は、患者の基礎疾患や医薬品の適切な管理を確保するため、および不適切な処方を防ぐために導入された。オンライン診療では、患者から十分な情報を得ることが困難であり、医師と患者の本人確認が難しいため、安全性や有効性を保証するための規制が設けられている。厚労省は、新たな課題や医療・情報通信技術の進展に伴い、オンライン診療指針およびその解釈のQ&Aを更新し続けている。また、オンライン診療で糖尿病治療薬をダイエット薬として処方するなどの不適切な事例にも対処。これにより、医療機関はオンライン診療の際に、医師法や刑事訴訟法に基づく適切な手続きを踏むことが強く求められる。とくに、医師のなりすましや患者情報の誤りが疑われる場合は、警察との連携を含む厳格な対応が促されている。さらにオンライン診療では、基礎疾患の情報が不明な患者に対しては、薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤の処方を避け、8日分以上の薬剤処方を行わないことで、一定の診察頻度を確保し、患者観察を徹底することを求めている。参考1)「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A[令和6年4月改訂](厚労省)2)オンライン初診では麻薬や抗がん剤、糖尿病薬などの処方不可、オンライン診療の情報を「過去の診療情報」と扱うことも不可-厚労省(Gem Med)3.医療広告をさらに規制強化、事例解説書を更新/厚労省厚生労働省は、医療広告に関する規制をさらに強化を図るため、事例解説書の第4版を公表した。今回の改定では、誤解を招く誇大広告や、いかなる場合でも特定の処方箋医薬品を必ず受け取れるとする広告など、不適切な医療広告に対処する内容の改定となった。新たに追加された内容では、GLP-1受容体作動薬の美容・ダイエットを目的とした適応外使用に関する違反事例が散見されることに対応し、特定の処方箋医薬品を必ず受け取れる旨を広告することを禁止するほか、SNSや動画を含むデジタルメディア上での広告事例が含まれ、ビフォーアフター写真の説明が一切ないままの使用、治療内容やリスクに関する不十分な説明が禁止される事例が明確にされた。また、自院を最適または最先端の医療提供者と宣伝することも禁じられている。これらの更新は、患者が正確な情報に基づいて医療サービスを選択できるようにすることを目的とし、今後ガイドラインの遵守を求めていく。参考1)医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書[第4版](厚労省)2)医療広告「自院が最適な医療提供」はNG 厚労省が事例解説書・第4版(CB news)3)「必ず処方薬が受け取れる」はNG、オンライン診療広告 厚労省、解説書に事例追加(PNB)4)2024年3月 医療広告ガイドラインの変更点まとめ(ITreat)4.当直明けの手術を7割が実施、遅れる消化器外科医の働き方改革/消化器外科学会日本消化器外科学会が、昨年学会員に対して行った調査で、消化器外科医が直面している厳しい労働環境が明らかになった。2023年8月~9月にかけて65歳以下で、メールアドレスの登録がある会員1万5,723名(男性1万4,267名[90.7%]、女性1,456名[9.3%])を対象にアンケート調査を行ったところ、2,923人(18.6%)から回答を得た。その結果、月に80時間以上の時間外労働を報告した医師が全体の16.7%に上り、さらに100時間以上と回答する医師が7.6%と、「医師の働き方改革」で定められた年間960時間の上限を超える勤務をしていることがわかった。また、当直明けに手術を行う医師が7割以上を占め、「まれに手術の質が低下する」と回答した医師が63.3%に達した。この結果は、過酷な勤務条件が医療の質に潜在的なリスクをもたらしていることを示唆している。さらに、医師の働き方改革が導入される直前の調査では、労働環境の改善がみられるものの、賃金の改善が最も求められていることが明らかになった。医師は、兼業が収入の大きな部分を占め、とくに手術技術料としてのインセンティブの導入を望んでいる。また、次世代の医師に消化器外科を勧める会員は少数で、これは消化器外科医を取り巻く環境に対する懸念を反映したものとなった。同学会では、労働環境の改善、とくに賃金体系の見直しは、消化器外科医の減少に歯止めをかけ、消化器外科の将来を守るために積極的に取り組む必要があり、今後も高い品質の外科医療を提供し続けるために不可欠であると結論付けている。参考1)医師の働き方改革を目前にした消化器外科医の現状(日本消化器外科学会)2)消化器外科医の当直明け手術、「いつも」「しばしば」7割超…「まれに手術の質低下」は63%(読売新聞)5.看護師の離職率は依然として高水準、タスクシフトや業務効率化を進めよ/看護協会2022年度の看護職員の離職率が11.8%と高い水準で推移していることが、日本看護協会による病院看護実態調査で明らかになった。正規雇用の離職率は11.8%、新卒は10.2%、既卒は16.6%と報告されている。医療・介護ニーズの増加と現役世代数の減少が見込まれる中、医療機関における看護職員の離職防止が一層重要な課題となっている。また、看護職員の給与に関しては、勤続10年での税込平均給与が32万6,675円となっており、処遇改善評価料を取得した病院では、看護職員の給与アップ幅が大きくなっている。この調査結果は、看護職員の離職率が高い状況を背景に、看護職員のサポートと業務効率化が急務であることを示しており、看護職員から他職種へのタスク・シフトを進めることの重要性を強調している。これにより、医療現場での働きやすさの向上と医療提供体制の確保が求められている。同協会は、看護師の離職防止のために看護業務効率化ガイドを公表し、医療現場での業務効率化の事例を紹介している。この中で、業務効率化のプロセスやノウハウを示し、医師の働き方改革を支える看護職員の業務効率化に焦点を当てている。具体的な業務効率化の取り組みとしては、記録業務のセット化や音声入力機器の導入などが示されている。参考1)「2023年 病院看護実態調査」結果 新卒看護職員の離職率が10.2%と高止まり(日本看護協会)2)「看護業務効率化先進事例収集・周知事業」報告書(同)3)新卒の看護職員10人に1人が離職 23年病院看護実態調査 日看協(CB news)4)看護業務を効率化するガイドを公表、日看協 ホームページなどに掲載(同)5)コロナ感染症の影響もあり、2021年度・22年度の看護職員離職率は、正規雇用11.8%、新卒10.2%、既卒16.6%と高い水準-日看協(Gem Med)6.未成年への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)、専門家から倫理性に疑問/児童青年精神医学会日本児童青年精神医学会は、18歳未満の子供や若年層への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)の使用に対し、「非倫理的で危険性を伴う」との声明を発表し、この治療法の適用に強い倫理的懸念を示した。とくに発達障害を扱う精神科クリニックが、適応外でありながら、専門家の適正使用指針に反して、未成年者への施術を勧めるケースが問題視されている。TMSは、頭痛やけいれん発作などの副作用が報告されており、子供への有効性と安全性については現時点でエビデンスが不十分とされている。日本国内では2017年9月に厚生労働省が医療機器として薬事承認し、治療抵抗性うつ病への対応として帝人のNeuroStarによるrTMSを承認したが、日本精神神経学会は、とくに未成年者への施術にはさらなる臨床研究が必要としている。今回、同学会が指摘した倫理的な問題としては、一部のクリニックが患者の不安を利用し、高額な治療費用のためにローンを組ませる事例がある。今回の声明は、未成年者へのTMS治療の実施に当たっては慎重な検討を求めている。参考1)子どもに対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法に関する声明(日本児童青年精神医学会)2)反復経頭蓋磁気刺激装置適正使用指針(改訂版)(日本精神神経学会)3)「非倫理的で危険」と学会声明 子どもへの頭部磁気治療で(東京新聞)

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血糖値や体重のコントロールに最も有効なGLP-1受容体作動薬は? (解説:小川大輔氏)

 GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病に対して血糖降下作用や体重減少効果のある優れた治療薬である。セマグルチドやチルゼパチドのほか、日本では発売されていないGLP-1受容体作動薬も含めて、数多くあるGLP-1受容体作動薬の中で血糖コントロールや体重減少効果に対して、最も有効な製剤は何か? その問いに答える論文がBMJ誌に発表された1)。 著者らは成人2型糖尿病患者を対象とし、12週間以上プラセボあるいは他のGLP-1受容体作動薬と比較した無作為化対照試験を抽出した。そのうちクロスオーバー試験、非劣性試験、現在使用されていない薬剤との比較試験などは除外し、基準を満たした76試験のネットワークメタ解析を行った。 血糖コントロールに関しては、15種類のGLP-1受容体作動薬の中でHbA1c、空腹時血糖値の低下はチルゼパチドが最も大きく、最も有効なGLP-1受容体作動薬であると述べている。ただし、日本ではチルゼパチド2.5~5mgを使用しているのに対し、この論文ではチルゼパチド5~15mgを使用した試験の解析を行っている。そのため私たちのチルゼパチドに対する印象とは、やや異なる結果となっており、その解釈には注意が必要である。 体重管理に関しては、いずれのGLP-1受容体作動薬も効果があるが、なかでもCagriSema(セマグルチドとcagrilintideの合剤)が最も体重減少が大きかったと報告している。しかし以前に本コラムでコメントしたが2)、CagriSemaは日本では発売されていないので、日本で現在使用できるGLP-1受容体作動薬の中では、チルゼパチドやセマグルチドが効果の高い製剤となる。 GLP-1受容体作動薬の脂質に対する効果については、これまでにあまり報告がない。この論文で、LDLコレステロール値と総コレステロール値にセマグルチドが唯一有効なGLP-1受容体作動薬であった、と述べている点は興味深い。また中性脂肪の低下に対しては、ITCA 650(日本未発売)とチルゼパチドが有効であった。 今回の解析で、有害事象についてはいずれのGLP-1受容体作動薬においても悪心、嘔吐や下痢などの消化器系の有害事象が認められた。予想通りの結果ではあるが、血糖値や体重の減少を期待して高用量のGLP-1受容体作動薬を投与する際には、消化器症状の発現に注意する必要があると言えよう。

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週1回投与の肥満症治療薬「ウゴービ」を発売/ノボ ノルディスク

 ノボ ノルディスク ファーマは、肥満症を適応症としたヒトグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチド(商品名:ウゴービ皮下注)を2024年2月22日に発売した。 セマグルチドは、週1回皮下投与のGLP-1受容体作動薬で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることで、食事量を減らし、カロリー摂取量を抑え、体重減少を促す。 本剤は約4,700例の過体重または肥満の成人が参加した「STEP臨床試験プログラム」の結果に基づき、2023年3月27日に製造販売承認を取得した。 STEP臨床試験プログラムは、肥満の成人を対象としたセマグルチド皮下注2.4mgSDの週1回皮下投与による第III相臨床開発プログラム。過体重または肥満の成人約4,700例を登録した4つの試験で構成される第IIIa相グローバル臨床プログラムに加え、肥満症の成人を登録した東アジア試験(STEP6試験)などが実施された。 とくに日本人585例が参加したSTEP6試験では、生活習慣の改善(食事療法および運動療法)だけでは十分な減量効果が得られない過体重または肥満の成人において、投与68週時に13%以上の体重減少を達成した。また、肥満に関連する合併症(2型糖尿病、高血圧、脂質異常症)についても、セマグルチド皮下注2.4mgSDの投与による血糖、血圧および脂質パラメータの改善が認められた。 現在、わが国には約1,600万例の肥満症患者が推定される一方、医師により肥満症と診断されている人は、そのうちの2.1%(33万例)に止まっており、今後の医療現場での活用が期待されている。 そのほか、同社は、糖尿病の治療で使用されているGLP-1製剤が、近年、美容目的で不適正使用されていることに関し、注意を喚起するとともに、本剤は厚生労働省の最適使用推進ガイドラインに従い、確実な適正使用の推進を目指し、活動するとしている。【製品概要】一般名:セマグルチド(遺伝子組換え)販売名:ウゴービ効能または効果:肥満症ただし、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する・BMIが35kg/m2以上用法および用量:通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として0.25mgから投与を開始し、週1回皮下注射する。その後は4週間の間隔で、週1回0.5mg、1.0mg、1.7mgおよび2.4mgの順に増量し、以降は2.4mgを週1回皮下注射する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。薬価:ウゴービ皮下注0.25mg:1,876円/キットウゴービ皮下注0.5mg:3,201円/キットウゴービ皮下注1.0mg:5,912円/キットウゴービ皮下注1.7mg:7,903円/キットウゴービ皮下注2.4mg:1万740円/キット薬価収載日:2023年11月22日発売日:2024年2月22日製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社

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GLP-1受容体作動薬、血糖値や体重減少効果が高いのは?~76試験メタ解析/BMJ

 中国・北京中医薬大学のHaiqiang Yao氏らが成人の2型糖尿病患者を対象としたGLP-1受容体作動薬の76試験をネットワークメタ解析した結果、プラセボと比べ、チルゼパチドによるヘモグロビンA1c(HbA1c)と空腹時血糖値の低下が最も大きく、血糖コントロールの有効性が最も高いGLP-1受容体作動薬であることが示された。また、GLP-1受容体作動薬は体重管理も大幅に改善することが示され、なかでも体重減の効果が最も大きかったのはCagriSema(セマグルチドとcagrilintideの合剤)だった。一方で、GLP-1受容体作動薬は、とくに高用量の投与で消化器系の有害事象がみられ、安全性について懸念があることも明らかになったという。BMJ誌2024年1月29日号掲載の報告。2023年8月までの試験をシステマティックレビューとネットワークメタ解析 研究グループは、2型糖尿病成人患者において、GLP-1受容体作動薬による血糖コントロール、体重、脂質プロファイルの有効性と安全性を比較評価することを目的とし、システマティックレビューとネットワークメタ解析を行った。 PubMed、Web of Science、Cochrane CENTRALおよびEmbaseを、データベース発刊から2023年8月19日まで検索し、GLP-1受容体作動薬治療を受けた2型糖尿病成人患者を登録しプラセボまたはほかのGLP-1受容体作動薬と比較した、追跡期間12週間以上の無作為化対照試験を適格とし特定した。クロスオーバーデザインの試験、GLP-1受容体作動薬と他クラスの薬剤をプラセボ群なしで比較した非劣性試験、販売が中止された薬剤を使用したもの、英語以外で記述された試験などは除外した。体重減は対プラセボでCagriSemaが-14kg、チルゼパチドが-8kg 適格基準を満たしたのは76試験で、15種のGLP-1受容体作動薬と被験者総数3万9,246例が、ネットワークメタ解析に組み入れられた。プラセボとの比較において、15種すべてのGLP-1受容体作動薬が、HbA1cと空腹時血糖値を低下させた。 なかでもチルゼパチドは、HbA1c濃度(対プラセボの平均差:-2.10%、95%信頼区間[CI]:-2.47~-1.74、SUCRA:94.2%、信頼性のエビデンス:高)、空腹時血糖値(-3.12mmol/L、95%CI:-3.59~-2.66、97.2%、高)の低下が最も大きく、血糖コントロールについて最も有効なGLP-1受容体作動薬であることが示された。 さらに、GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病成人患者の体重管理に強力なベネフィットを有することが示された。なかでもCagriSemaは体重減少が最も大きく(対プラセボの平均差:-14.03kg、95%CI:-17.05~-11.00、信頼性のエビデンス:高)、チルゼパチド(-8.47kg、-9.68~-7.26、高)がそれに続いた。 セマグルチドは、LDL値の低下(対プラセボの平均差:-0.16mmol/L、95%CI:-0.30~-0.02)と総コレステロール値の低下(-0.48mmol/L、-0.84~-0.11)に有効であった。 また今回の解析では、GLP-1受容体作動薬による消化器系の有害事象、とくに高用量投与の安全性について懸念があることが示唆された。

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GLP-1受容体作動薬、従来薬と比較して大腸がんリスク低下

 グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬は、2型糖尿病の治療薬として日本をはじめ海外でも広く承認されている。GLP-1受容体作動薬には、血糖低下、体重減少、免疫機能調節などの作用があり、肥満・過体重は大腸がんの主要な危険因子である。GLP-1受容体作動薬が大腸がんリスク低下と関連するかどうかを調査した研究がJAMA Oncology誌2023年12月7日号オンライン版Research Letterに掲載された。 米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のLindsey Wang氏らの研究者は、TriNetXプラットフォームを用い、米国1億120万人の非識別化された電子カルテデータにアクセスした。GLP-1受容体作動薬と、インスリン、メトホルミン、α-グルコシダーゼ阻害薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、スルホニル尿素薬、チアゾリジン系薬剤(ただし、SGLT2阻害薬は2013年、DPP-4阻害薬は2006年が開始年)の7薬剤を比較する、全国規模の後ろ向きコホート研究を実施した。 コホートは、人口統計、社会経済的な健康決定要因、既往症、がんや大腸ポリープの家族歴および個人歴、生活習慣要因などで調整され、ハザード比(HR)および95%信頼区間[CI]を用いた解析を行った。次いで、肥満・過体重、性別で層別化した患者を対象にした解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・2005~2019年に2型糖尿病を理由に医療機関を受診し、それまでに抗糖尿病薬の使用歴がなく、受診後に抗糖尿病薬を処方された、大腸がんの診断歴がない122万1,218例が対象となった。・追跡期間15年時点で、GLP-1受容体作動薬はインスリン(HR:0.56、95%CI:0.44~0.72)、メトホルミン(HR:0.75、95%CI:0.58~0.97)と比較して、大腸がんのリスク低下と有意に関連していた。この有意差は男女でも一貫しており、肥満・過体重の患者ではインスリン(HR:0.50、95%CI:0.33~0.75)、メトホルミン(HR:0.58、95%CI:0.38~0.89)と、さらなるリスク低下が見られた。・SGLT2阻害薬、スルホニル尿素薬、チアゾリジン系薬剤との比較でもリスク低下は見られたが、インスリン、メトホルミンほどではなかった。α-グルコシダーゼ阻害薬とDPP-4阻害薬との比較では、統計学的有意差は見出されなかった。 研究者らは、本研究の限界として「未測定または未制御の交絡因子、自己選択、逆因果、観察研究に特有のその他のバイアスの可能性があるため、本試験の結果は他のデータや研究集団による検証が必要である。また、抗糖尿病治療歴のある患者における効果、基礎となる機序、GLP-1受容体作動薬がほかの肥満関連がんに及ぼす効果についても、さらなる研究が必要である」としている。

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第180回 ダブル改定、病床機能分化で急性期病院の在院日数16日に短縮/厚労省

<先週の動き>1.ダブル改定、病床機能分化で急性期病院の在院日数16日に短縮/厚労省2.救急出動件数増加、コロナ感染拡大で救急医療体制に余波/消防庁3.製薬会社の医師への接待費の公表を義務化、今年4月から/厚労省4.糖尿病薬ダイエット乱用問題、医療広告の厳格化で対応/厚労省5.利用率の低迷するマイナ保険証、現場の懸念の中、利用促進のため支援金を交付/厚労省6.県立病院で医師の高圧的な指導が問題に、救命士へのパワハラが発覚/鳥取1.ダブル改定、病床機能分化で急性期病院の在院日数16日に短縮/厚労省厚生労働省は、1月31日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、2024年度の診療報酬改定で急性期一般入院料1の平均在院日数を現行の18日から16日に短縮することを決定した。この決定は診療側と支払側の意見は大きく分かれていたため、公益裁定により行われた。これまで厚労省が進めてきた病床機能分化推進を目的としている。また、重症度や医療・看護必要度の基準も見直され、とくにB項目は廃止される方向で固まった。今回の改定では、急性期入院治療が必要な患者の集約化を進め、医療資源の適切な配分を促すために行われる。公益委員は、地域包括医療病棟の新設や入院基本料の見直しを踏まえ、該当患者割合の基準を高く設定することが将来の医療ニーズに応える上で重要だと指摘した。一方、診療側は、新型コロナウイルス感染症の特例終了後の経営の厳しさを理由に、平均在院日数の基準変更に反対し、影響の小さい見直しを求めた。また、支払側は、急性期病床の適切な集約を進めるために、より厳しい基準の採用と該当患者割合の引き上げを主張した。最終的に、公益裁定により平均在院日数の「16日以内」への短縮と、重症度・医療看護必要度の基準見直しが決定された。今回の改定により、地域医療の質の向上と効率化を目指し、急性期病床の機能分化と連携強化を推進することが望まれている。参考1)中医協 個別改定項目(その2)について(厚労省)2)1月31日の中医協の公益裁定で決定 急性期一般入院料1の平均在院日数は「16日」に短縮(日経ヘルスケア)3)24年度診療報酬改定 急性期の機能分化推進へ 急性期一般入院料1の平均在院日数「16日」に短縮(ミクスオンライン)2.救急出動件数増加、コロナ感染拡大で救急医療体制に余波/消防庁新型コロナウイルス感染症の長期化により、わが国の救急医療体制が逼迫していることが総務省消防庁の2023年版「救急・救助の現況」から明らかになった。救急出動件数と搬送人数は共に増加傾向にあり、救急車の要請から病院受け入れまでの時間が延長し、搬送先病院をみつけるまでの照会件数も増加している。この状況は、救急現場の負担増加とともに、国民の健康や生命に重大な影響を及ぼす可能性がある。2022年中の救急出動件数は723万2,118件で前年比16.7%の増加、搬送人員は621万9,299人で13.2%増加した。搬送は救急自動車が大部分を占め、消防防災ヘリによる搬送もわずかに増加していた。救急出動の主な原因は急病で、とりわけ呼吸器系、消化器系、心疾患、脳疾患のケースが多くみられた。また、軽症者の割合も増加しており、救急搬送の要請が重症患者や重篤患者に限定されるべきであるとの国民意識のシフトが必要とされている。救急搬送の過程で、119番通報から救急自動車が現場に到着するまでの時間は全国平均で10.3分、病院に収容されるまでの時間は47.2分となり、コロナ禍の影響で時間が延伸している。医療機関への受け入れ照会回数の増加や、搬送先病院のみつけにくさは、コロナ禍における救急医療提供体制の逼迫を示している。この状況に対応するため、厚生労働省は発熱外来や相談体制の強化、かかりつけ医を持つことの重要性を自治体に要請している。また、救急隊による応急処置の重要性が高まっており、医師の現場出動も広がっている。さらに、救急救命士が、病院前で重度傷病者に対して実施可能な救急救命処置を救急外来でも実施できるよう法律改正が行われている。参考1)新型コロナ感染症の影響で救急医療体制が逼迫、搬送件数増・病院受け入れまでの時間延伸・照会件数増などが顕著―総務省消防庁(Gem Med)2)「令和5年版 救急・救助の現況」(総務省消防庁)3.製薬会社の医師への接待費の公表を義務化、今年4月から/厚労省厚生労働省は、2024年4月より製薬会社による医師への研究資金提供に関する規制を強化する。製薬会社が、自社製品の臨床研究を大学病院などで行う医師に対して提供する資金の公表を義務付ける臨床研究法の施行規則を改正することにより、透明性を高めることを目的としている。改正後は、製薬企業が提供する研究資金のほか、医師への接待費用や説明会、講演会にかかった費用と件数も公表対象となる。これにより、医師が所属する大学などへの寄付金、講演会の講師謝金、原稿執筆料に加え、これまで公表対象外だった接待費用なども含めた透明性の確保が図られる。今回の規制強化は、高血圧治療薬「ディオバン」を巡る臨床研究データ改ざん事件を受けて制定され、2018年に施行された臨床研究法に基づくもの。この法律は、製薬会社から研究を実施する大学側に寄付金が提供されていた事実を背景に、研究の透明性を高めることを目的としている。また、日本製薬工業協会は、2011年に「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」を策定し、2022年にも改定している。このガイドラインでは、製薬企業と医療機関、医療関係者の産学連携における透明性と信頼性の向上を目指し、製薬企業の活動が倫理的かつ誠実なものとして信頼されるための取り組みを強調している。臨床研究法との関係においても、ガイドラインは臨床研究に関連する資金提供の情報公開を義務付け、国民の信頼確保に寄与することを目指している。今回の規制強化により、製薬企業と医療機関の資金提供について透明性を高め、医療機関・医療関係者が特定の企業・製品に深く関与することによる利益相反の問題を解消し、患者の健康を最優先にした倫理的かつ誠実な医療の提供を目指している。参考1)医師への接待費、公表義務化へ…研究資金提供の製薬会社に対し4月から(読売新聞)2)企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドラインについて(日本製薬工業協会)4.糖尿病薬ダイエット乱用問題、医療広告の厳格化で対応/厚労省糖尿病治療薬をダイエット目的で使用する不適切な医療広告が増加している問題に対し、厚生労働省は医療広告ガイドラインの見直しを行うことを決めた。とくに、GLP-1受容体作動薬を「ダイエット薬」として処方する事例が問題視され、関係学会から有効性や安全性が確認されていないとの警鐘が鳴らされている。GLP-1受容体作動薬は、食欲や胃の動きを抑える効果があるため、糖尿病治療以外にもダイエット目的で使用されている。厚労省は、1月29日に医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会を開催し、未承認の医薬品や医療機器を自由診療で使用する場合、公的な救済制度の対象外であることを明示するなど、ガイドラインの「限定解除要件」に新たに項目を追加する方針を明らかにした。また、美容医療サービスなどの自由診療でのインフォームド・コンセントの留意事項も見直される。ダイエット目的での不適切な医療広告によって、糖尿病患者が必要とする薬が手に入らない事態を引き起こしており、健康被害の報告も増加している。ダイエット目的で使用した場合の副作用には、吐き気、気分の低下、頭痛、胃のむかつきなどがあり、使用者からは苦しんだとの声が上がっている。厚労省は、不適切な医療広告に対処する都道府県に対して、実施手順書のひな形を提供し、指導、対応を促す方針。さらにネットパトロール事業を通じて違反が確認された医療機関には通知され、多くは6ヵ月以内に改善されているが、一部では改善が遅れているケースもあるため、厳格な対応が求められており、医療広告に関する全国統一ルールの検討や、医療機関のウェブサイトだけでなく、SNSや広告への対処も検討されている。また、一般国民への正しい情報提供と理解促進の強化が必要とされている。参考1)第2回 医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会(厚労省)2)医療広告ガイドライン改正へ 厚労省「未承認薬は救済制度の対象外」明示、限定解除要件に(CB news)3)「糖尿病治療薬を用いたダイエット」などで不適切医療広告が目に余る、不適切広告への対応を厳格化せよ-医療機能情報提供制度等分科会(Gem Med)4)「糖尿病治療薬」“ダイエット目的”での使用相次ぎ健康被害が続出 薬不足で糖尿病患者が薬を手にできないケースも…(FNNプライムオンライン)5.利用率の低迷するマイナ保険証、現場の懸念の中、利用促進のため支援金を交付/厚労省2024年12月に現行の健康保険証が廃止され、マイナ保険証への完全移行が予定されている。この移行に向けて、厚生労働省は医療機関や薬局に対してマイナ保険証の利用促進策を通知した。支援策には、利用促進、顔認証付きカードリーダーの増設、再来受付機・レセプトコンピューターの改修コストの補助が含まれる。利用促進に関しては、利用率の上昇に応じて1件当たり最大120円の支援金が提供される予定。具体例として、国家公務員の利用率は4.36%と低迷し、とくに防衛省では2.50%と最も低い利用率を記録している。同様に電子処方箋の普及も伸び悩んでおり、導入率は約6%に留まっている。これには、システム導入費の負担が大きな障壁となっていることが原因の1つとされている。さらに、マイナ保険証の導入に対する現場の反発も広がっている。大阪府保険医協会のアンケートでは、回答した医療機関の約7割が現行の保険証の存続を支持しており、マイナ保険証の利用に際してのトラブルも多く報告されている。医療現場からは、マイナ保険証の導入による受付業務の負担増や患者の待ち時間の増加が懸念されている。政府はマイナ保険証の利用促進とデジタル化の推進を図っているが、現場の声や患者の不安に十分考慮した取り組みが求められる。専門家は、マイナ保険証のメリットが十分に理解されていない現状を指摘し、デジタル化に適応できない人たちへの配慮や現場の声を反映したスケジュールの見直しが必要だと提言している。参考1)マイナ保険証の利用促進等について(厚労省)2)マイナ保険証、利用増に応じて支援金 厚労省が詳しい運用を通知(CB news)3)マイナ保険証、国家公務員も利用低迷 昨年11月は4.36%(朝日新聞)4)「トラブル多い」「利用は少ない」 マイナ保険証、広まる現場の反発(同)6.県立病院で医師の高圧的な指導が問題に、救命士へのパワハラが発覚/鳥取鳥取県立中央病院の救命救急センターの医師が、消防の救急救命士に対してパワーハラスメント行為を行っていた問題について、病院は6件のパワハラ、またはパワハラの恐れがある行為を認めた。これに対し、12件はパワハラには当たらないと判断された。問題の行為には、救急救命士への高圧的な口調での対応や、一方的に電話を切るなどの行為が含まれている。病院側は、救急救命士からの医療行為に必要な指示を出すよう要請されたにもかかわらず、指示を拒否したり、救急救命士の発言が終わる前に電話を切ったりするなど、救急救命士を指導したいという思いが行き過ぎた行為があったと認めた。この問題について、病院長は記者会見を開き、パワーハラスメントに該当する言動があったことを発表し、今後は研修会などを通じて医師と救急救命士との信頼関係の醸成を図ると述べた。同病院は、消防局に対して謝罪し、関係回復に努めるとしている。また、県病院局はハラスメント防止委員会を立ち上げ、医師らの処分を検討する方針を示している。参考1)県立中央病院医師の救急救命士へのパワハラ6件と発表(NHK)2)救命士に電話ガチャ切りパワハラ 鳥取県立中央病院の救急医(産経新聞)3)「それってぼくが助言しなきゃいけないことですか」「一方的に電話を切られた」医師から救急隊員へのパワハラさらに判明 鳥取県立中央病院(山陰放送)

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GLP-1受容体作動薬の投与には適切な患者をSELECTするのが肝要だろう(解説:住谷哲氏)

 注射薬であるGLP-1受容体作動薬セマグルチド(商品名:オゼンピック)が心血管イベントハイリスク2型糖尿病患者の心血管イベント発症を26%減少させることが、SUSTAIN-6試験で報告されている1)。一方で、経口セマグルチド(同:リベルサス)はPIONEER 6試験において心血管イベントハイリスク2型糖尿病患者の心血管イベント発症を増加させないこと、つまり既存の治療に対する非劣性は示されたが優越性は証明されなかった2)。したがって、同じセマグルチドではあるが、心血管イベント抑制を目標とするのであれば経口薬ではなく注射薬を選択するのが妥当だろう。 肥満症は心血管イベント発症のリスク因子であるが、生活習慣改善のみでは目標とする体重減少を達成することは困難であった。しかし、GLP-1受容体作動薬の登場により状況は一変した。GLP-1受容体作動薬には体重減少作用があり、とくにセマグルチド2.4mg(同:ウゴービ)は肥満症治療薬として欧米およびわが国で承認されている。本試験はセマグルチド2.4mgの心血管イベント既往を有する、糖尿病を合併していない肥満症患者の心血管イベント再発抑制に対する有効性を検討したものである。結果は平均観察期間40ヵ月で、3-point MACEの発症を20%抑制することが示された。 RCTの結果を目の前の患者に適用する際には、結果の外的妥当性(generalizability or external validity)の評価が重要となる(EBMのstep 4)。本試験の対象患者は、全例が心血管イベントの既往があり(心筋梗塞が70%)、平均BMI 33kg/m2、糖尿病ではないが70%以上の患者はprediabetes(HbA1c≧5.7%)を合併していた。本文には記載がないが、表3から主要評価項目のNNTを計算すると67/40ヵ月になる。肥満症の有病率を考慮すると、このNNTはこの薬剤の有用性を示唆すると思われるが、やはりリスクとベネフィットとを考慮して適切な患者をSELECTすることが肝要だろう。

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