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あれは幻だったのか?RA系阻害薬の“降圧を超えた臓器保護作用”(解説:石上 友章 氏)-648

 米国・ニューヨーク大学のBangalore氏らは、“Renin angiotensin system inhibitors for patients with stable coronary artery disease without heart failure: systematic review and meta-analysis of randomized trials.”と題するメタ解析・システマティックレビューで、『改めて』RA系阻害薬に、降圧効果を超えて虚血性心疾患を抑制する効果がないことを明らかにした。 あえて『改めて』と紹介したのは、言うまでもない。一連のディオバン関連の臨床研究不正の不名誉な嚆矢の1つともいえる、KYOTO Heart Studyが発表された2009年ESC Hotline Commentaryとして、本試験に対する慎重な解釈を表明したのが、Bangalore氏ならびに、筆頭著者のMesserli氏であった1)。共著者の1人であるRuschitzka氏にいたっては、学会場で『These "wonderful" results "were almost too good to be true."』と言い放ったと伝えられている2)。  彼らの直感的なコメントは8年の時を経て、科学的に正当な手法によって堂々と証明された。不正を見抜く確かな洞察力と、洞察を洞察のままでおくことなく自らの手で科学的な手法を用いて証明する、真の科学的態度に最大限の敬意を表したい。本研究の成果は、アブストラクトの最後の一文に凝縮されている。“Evidence does not support a preferred status of RASi over other active controls. ” RA系阻害薬の降圧を超えた臓器保護作用は、作られたエビデンスにほかならなかったのではないのか?

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脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減

 精神的な刺激となる活動への取り組みと、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病のオッズ低下との、横断的な関連が報告されている。しかし、70歳以上の高齢者による精神的な刺激となる活動がMCI発症を予測するかについての縦断的アウトカムは、ほとんど知られていない。米国・メイヨー・クリニックのJanina Krell-Roesch氏らは、高齢者における精神的な刺激となる活動とMCI発症リスクとの関連を仮説検証し、アポリポ蛋白E(APOE)ε4遺伝子型の影響を評価した。JAMA neurology誌オンライン版2017年1月30日号の報告。 ミネソタ州オルムステッド郡のメイヨー・クリニック加齢研究の参加者を対象に、コホート研究を行った。ベースライン時に認知機能が正常であった70歳以上の高齢者について、MCI発症アウトカムをフォローアップした。調査期間は、2006年4月~2016年6月とした。ベースライン時、参加者は研究参加1年以内の精神的な刺激となる活動に関する情報を提供した。認知神経学的評価は、ベースライン時に実施し、その後15ヵ月間隔で実施した。認知機能の診断は、公表されている基準に基づき、専門家コンセンサスパネルにより行った。性別、年齢、教育レベルで調整した後、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、ハザード比(HR)および95%CIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・最終的には、認知機能が正常であった1,929人(ベースライン時の年齢中央値:77歳[四分位範囲:74~82歳]、女性率:50.4%[973人])を対象に、MCI発症のアウトカムをフォローアップした。・フォローアップ期間の中央値は4.0年であった。・MCI発症リスク低下と関連していた項目は以下であった。 ●ゲームのプレイ(HR:0.78、95%CI:0.65~0.95) ●手工芸(HR:0.72、95%CI:0.57~0.90) ●コンピュータの使用(HR:0.70、95%CI:0.57~0.85) ●社会活動(HR:0.77、95%CI:0.63~0.94)・APOEε4キャリアステータスによる層別解析では、精神的な刺激となる活動を行ったAPOEε4ノンキャリアのMCI発症リスクが最も低く(例えば、コンピュータの使用あり[HR:0.73、95%CI:0.58~0.92])、精神的な刺激となる活動を行っていないAPOEε4キャリアのMCI発症リスクが最も高かった(例えば、コンピュータの使用なし[HR:1.74、95%CI:1.33~2.27])。 著者らは「精神的な刺激となる活動を行っている認知機能が正常な高齢者は、MCI発症リスクが低下することが示唆された。この関連は、APOEε4キャリアステータスにより異なる可能性がある」としている。関連医療ニュース 米国の認知症有病率が低下、その要因は 認知症予防へのビタミンDや日光曝露、さらなる研究が求められる 魚を食べると認知症は予防できるのか

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Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャー Q37

Q37 ただの「風邪(ウイルスによる上気道感染症)」と言い切れるポイントはありますか? 言い切ることはできませんが、そもそも言い切る必要がありません。その時点で抗菌薬を処方するのとしないのでは、どちらのほうが利益が多そうかを判断します。 鼻症状(鼻汁、鼻閉)、咽頭症状(咽頭痛)、下気道症状(咳、痰)の3系統の症状が「同時」に、「同程度」存在する場合は、非特異的上気道炎、いわゆる普通感冒の可能性が高く、一般的に抗菌薬投与のメリットは極めて小さいです1)。 結果的に診断が間違っていることもあるかもしれません。しかし、間違っていたとしても、再診についての具体的な指示を行い、その後の経過をフォローすることによってリスクヘッジをするようにしています。近年、急性気道感染症における抗菌薬使用削減のための戦略として、Delayed Antibiotics Prescription (DAP:抗菌薬の延期処方)に関する報告が増えてきています。初診時に抗菌薬投与の明らかな適応がない急性気道感染症患者に対して、すぐに抗菌薬を処方した場合と、経過が思わしくない場合に抗菌薬を投与した場合を比べると、合併症や副作用、予期しない受診などの好ましくない転帰を増やすことなく抗菌薬処方を減らすことができるというものです2)3)4)。「抗菌薬を出さずに何かあったらどうするのか?」という疑問をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは「何か」って何なのか?を具体的に言語化することが大切です。言語化することにより対策を立てることができます。漠然と不安を感じているだけで、なんとなく抗菌薬を処方してもリスクをヘッジできているとは限りません。たとえば、風邪だと思ったら実は心筋炎だったとか、実は感染性心内膜炎だったとか、実はマラリアだったとか。診断を推定せずに闇雲に抗菌薬を処方することは、リスクをヘッジするどころかときに有害ですらあります。また、どんな抗菌薬にも副作用はあります。明らかな適応がないにもかかわらず処方した抗菌薬によって重大な副作用が出てしまう可能性もあります。「抗菌薬を出さずに何かあったらどうするのか?」の裏側には「抗菌薬を出して何かあったらどうするのか?」がつきまといます。私の場合は、上気道症状のある患者さんで抗菌薬の適応がなさそうだと思った場合は、「今のところ、抗菌薬が効かないタイプの風邪のようです」と伝え、経過が思わしくないようであればその時点での再評価が必要になることをお話しし、再診についての指示を行うようにしています。説明が面倒だからとりあえず抗菌薬を処方しておけばよいという考え方は、何のリスクヘッジにもなっておらず、ときに患者さんを危険にさらしている可能性すらあるので、お勧めできません。 1)Harris AM, et al. Ann Intern Med. 2016;164:425-434.2)Spurling GKP, et al.Cochrane Database Syst Rev. 2013;4:CD004417.3)Little P, et al. BMJ. 2014;348:g1606.4)de la Poza Abad M, et al. JAMA Intern Med. 2016;176:21-9.

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逃げるは恥だが役に立つ【アサーション】

今回のキーワード契約結婚プレナップ内発的動機付けと外発的動機付け進化心理学攻撃無主張DESC法みなさんが望む結婚は、お見合い結婚? 恋愛結婚? それとも??? 昔はお見合い結婚がほとんどでしたが、今は恋愛結婚がほとんどになってきています。一方で、離婚は、3組に1組の割合にまで増えて、しかもさらに3組に1組は、離婚はしないまでも結婚生活に満足していないと言われています。よって、結婚がうまく行くのは、たった残りの3組に1組だけです。こんな不幸なことがあって良いのでしょうか? そんな中、最近は結婚の新しい形として契約結婚が注目されています。契約結婚とは何でしょう? なぜ注目されるのでしょうか? そもそもなぜ結婚をするのでしょうか? さらには、なぜ結婚は「ある」のでしょうか? 未来の結婚のあり方とはどんなものでしょうか? そして、より良い結婚生活を送るにはどうすれば良いでしょうか? これらの答えのキーワードとなるのは、アサーションという心理療法です。今回、アサーションをテーマに、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を取り上げます。主人公のみくりは25歳。大学院まで卒業するも無職の身で彼氏もいません。そんな中、父親のつてで、独身の会社員の平匡(ひらまさ)、35歳の家で家事代行スタッフとして働き始めることになります。そして、みくりの突拍子もない思い付きから、2人は契約結婚を決めてしまいます。それを周りに秘密にして、普通の結婚として押し通すことで、ストーリーはドラマチックに展開していきます。契約結婚とは?-表1みくりは、無職で家がなくなろうとしているため生活の保障を求めていました。一方、平匡は、家事全般を誰かに任せて、仕事や余暇に専念することを求めています。そして、平匡は、みくりの丁寧で気遣いのできる仕事ぶりに感心します。一方、みくりは、平匡の考え方や言い方が「すばらしいです。合理的です」と感激します。当初2人に恋愛感情はないですが、お互いの望みが一致しています。仕事の関係としての相性は抜群です。2人の契約結婚の画期的なのは、雇用契約に見立てている点です。雇用契約書(結婚契約書)を用意して、雇用主(夫)と従業員(妻)という関係性を明確にしています。そして、平匡はみくりに適切な月給を支払います。寝室は別で、夜はそれぞれの勤務外時間(自由時間)となります。厳密には、契約結婚は、婚姻届を出す場合と出さない場合があります。婚姻届を出す場合は、婚前契約書(結婚契約書)を結んだ通常の結婚となります。この契約書は、海外ではプレナップ(prenuptial agreement )と呼ばれ、フランスで25%、アメリカで20%のカップルがこの契約を結んでいます。一方、婚姻届を出さない場合は、結婚生活のルールを明確にした事実婚となります。まさに、2人がそうです。ちなみに、いわゆるフランス婚は、事実婚に当たります。フランスでは事実婚であっても、社会的なサービスが保障されており、またプレナップを結ぶカップルが多いため、一般的になっています。また、2人は、表向きには夫婦であることを宣言し、共同生活をしています。このように、夫婦であるという意思があり、夫婦としての共同生活の実体があるので、法律的に問題はないです。ちなみに、通常結婚であっても、例えば2年間の期限をあらかじめ設ける婚前契約を結ぶことも法律的に問題ないです。契約結婚はなぜ注目される?-プラス面それでは、なぜ最近に契約結婚が注目されるのでしょうか? まず、そのプラス面を整理してみましょう。プラス面は、主に3つあります。(1)フラットな協力関係2人の意識としては雇用主(夫)と従業員(妻)の関係です。しかし、律儀な平匡は「フラットな職場」を目指していて、限りなく対等なパートナーシップと言えます。そのわけは、契約という形によって役割意識が明確だからです。だからこそ、2人ともお互いに感謝と敬意をきっちり言葉にしています。このように、まず1つ目のプラス面としては、お互いを尊重するフラットな協力関係であることです。一方、通常の結婚はどうでしょうか? もちろん契約がなくても、話し合いによってフラットな関係が築ける夫婦もいるでしょう。しかし、現実的には、亭主関白やかかあ天下などの言葉があるように、多くの夫婦に不安定な力関係が存在しています。ドラマで、みくりの兄嫁が兄の胸ぐらをつかんで壁に叩き付ける「壁ドン」で、兄を震え上がらせています。また、平匡の同僚の男性が「夫婦げんかは負けておけ。家庭ってのは、奥さんが機嫌が良いのが一番だから。お互いに力を誇示して、覇権の奪い合いになったら、どっちかが倒れるまで奪い合うことになるから」とアドバイスしています。このシーンから気付くことは、実は、夫婦関係においてはものごとの決定の方法に明確なルールがない、もともと無法状態であるということです。このような状況では、感情的になった方が有利になるという力関係が生まれやすいです。「言ったもん勝ち」「騒いだもん勝ち」「ゴネ得」です。DV、モラハラなどのリスクもあり、雇用関係で言えば、それはブラック企業です。このような力関係に悩まされることに、男性も女性もうんざりしています。だからこそ、夫婦になる前に、契約というルールを設けることが必要なのです。(2)いっしょにいる目的が明確2人は、会社と同じように、夫婦を運営するという視点を持っています。そして、会社に企業理念があるのと同じように、2人にはお互いのはっきりした目的があります。それは、みくりにとっては生活の保障、平匡にとっては家事の代行です。さらには2人には「僕たちの罪悪感は僕たちで背負う」という秘密を守る目的もできてしまっています。このように、2つ目のプラス面は、いっしょにいる目的が明確であることです。そして、目的以外のことでは、お互いを干渉しないということです。一方、通常の結婚はどうでしょうか? 確かに、結婚式の誓いでは、お互いの幸せを誓います。これが目的となります。しかし、相手を幸せにするとはどういうことなのか具体的にしていない点では、何も言っていないのと同じです。自分が思うお互いの幸せが、必ずしも相手が思うお互いの幸せにならないかもしれないからです。特に、恋愛結婚では、いっしょにいること自体が目的となってしまい、結婚するというゴール(目的)にばかり目が向いてしまいます。その後にもともと生活背景の違う相手と共同生活をするという現実に目が向きにくくなります。また、お見合い結婚は、結婚生活がうまく行かなくても、親などの周りへの体裁を気にして我慢していっしょにいる傾向があります。しかし、それは、個人主義化した現代では、昔ほどではなくなったようです。だからこそ、夫婦になる前に、夢や理想だけでなく、現実的で具体的な自分たちの未来像を描く必要があるのです。そして、事前に相手の考えや意見を知り、すり合わせ、形にする必要があるのです。(3)自己決定への責任意識平匡は、みくりに「話し合いたいことは遠慮せず何でも言ってください」と促します。そして、契約内容以外に「必要な項目はそのつど話し合って決めましょう」と言います。そして、平匡もみくりも、自分の提案について、相手に向かって「自由意志です」と言い、相手の判断に委ねます。とても冷静で穏やかな話し合いです。協力関係を維持するために、常に合意形成の段取りを踏む理性的な努力をしています。そして、相手の提案に対して自分が決めたことに責任を持ち、納得をしています。このように、3つ目のプラス面は、自己決定への責任意識が高いことです。そして、この意識によるルール作りの積み重ねが、お互いへの尊重となり、夫婦の信頼関係を育みます。一方、通常の結婚はどうでしょうか? 特にお見合い結婚では、親などの周りからの強い勧めで結婚する場合、その決定への責任意識はとても低いものになります。結婚生活での話し合いは難航しそうです。なぜなら、受け身だからです。自分で努力して決めたわけではないので、その結婚生活は自分のせいではなくなるからです。また、恋愛結婚では、愛があるから全て分かり合えるという発想になりやすくなります。このような心理により一方的に話を決めてしまったり、逆に気遣いから仕方なく折れてしまいます。やはり、決定への責任意識は低いものになります。なぜなら、理性的に決めたわけではないので、納得はしていないからです。また、結婚生活がうまく行かなくなったのは相手の愛が足りなくなったからだという論理のすり替えが起りやすくなります。こうして、男女がちょっとずつ疲れていくのです。だからこそ、夫婦になった後も、お互いの自己決定を尊重して、責任意識を高めるのです。そして、お互いが納得することにより、理性的な結婚生活を維持するのです。契約結婚は、世間的には離婚した時にお互いの権利を守るという点に目が行きやすいです。しかし、最も大事な点は、契約をすることでお互いが結婚という決定に責任を持つこと、その結果として、結婚生活が維持されるのです。それは、雇用契約でも全く同じです。契約結婚の課題は?-マイナス面逆に、契約結婚の課題は何でしょうか? そのマイナス面を考えてみましょう。みくりと平匡は、当初、恋人を演じるというスタンスで、「出しましょう親密感。かもしましょう新婚感」を合い言葉に、「毎週火曜日はハグの日」を決めるなど本人たちなりに努力します。契約結婚には、契約という言葉からも分かるように、水くさい、冷たいという無機的なイメージがあります。つまり、最初の信頼関係が乏しく、信頼関係を育む努力が必要になります。その後に、2人は、いっしょに生活をする中、お互いの良さに気付き、だんだんと恋愛感情が芽生えていきます。しかし、契約という関係性が頭の中によぎり、「ハグの前借り」「ハグの貯金」などの形で感情が抑えられてしまい、「好きな時にハグしよう」というストレートな本音をなかなか言えません。そのもどかしくてぎこちなくも、お互いがお互いを思う気持ちは、ほのぼのとして牧歌的で、このドラマの魅力になっています。理性的な関係を保つということは、力関係を生むなど感情的になりにくいというプラス面がありますが、裏を返せば、自由にポジティブな感情も伝えにくいというマイナス面があります。やがて、みくりは「平匡さんに何かあったら、私は平匡さんの味方です」と思いを告げます。また、平匡は最終的には「僕たちに必要なのは、・・・本当の気持ちを伝え合うこと」と気付きます。そこには、契約の関係を超えた連帯感があります。お見合い結婚であれ恋愛結婚であれ契約結婚であれ、結婚に必要なことは、愛と契約、つまり信頼関係と協力関係であることです。これは、心理学的に言えば、内発的動機付けと外発的動機付けに当たります。愛があるから契約はいらないと思い込むのも、契約があるから愛はいらないと安心するのも危ういということです。どちらが先かの違いで、どちらも必要であるということです。そして、力関係は不要であるということです。なぜ結婚をするの? なぜ結婚は「ある」の?なぜ結婚をするのでしょうか? もちろん「お互いに愛しているから」と答えるのが正解でしょう。もっと具体的に言えば、「好きな人といっしょにいたいから」「子どもがほしいから」「一人だと寂しいから」「生活を安定させたいから」「親から言われたから」など様々な理由があるでしょう。それでは、そもそもなぜ結婚は「ある」のでしょうか? 両家顔合わせのシーンで、みくりと平匡が結婚式は挙げないと言ったことに対して、みくりの兄が「(結婚)式っていうのは、周りの人のためにやるもんなんだよ」と説いたセリフがヒントになります。そこから、進化心理学的に考えてみましょう。まず、私たちがヒトとなり体と心(脳)を適応させていった数百万年前の原始の時代の狩猟採集社会に目を向けてみましょう。なぜなら、この時代に私たちの心(脳)の原型が形作られたからです。一方、現代の農耕牧畜社会から始まる文明社会は、たかだか1万数千年の歴史しかなく、体や心(脳)が進化するにはあまりにも短いからです。原始の時代、男性(父親)は日々食糧を確保し、女性(母親)は日々家事と子育てをして、性別で役割を分担し、家族をつくりました。さらに、これらの家族が血縁によっていくつも集まって100人から150人の大家族の生活共同体(村)をつくり、つながって協力しました。そして、そうする種、そうしたいと思う種が生き残りました。その子孫が現在の私たちです。逆に、そうではない種は、子孫を残さないわけですから、理屈の上ではこの世にほぼ存在しないと言えます。このような進化心理によって、特定の男性と特定の女性が家族という単位で共同生活をするというシステムが、現代までに結婚制度として全世界に普遍的に確立したのでした。つまり、結婚は、もともと本人たちのためではなく、社会の維持のためにしていたのでした。そして、社会の目によって、離婚をとどまらせていたのです。未来の結婚のあり方とは?それでは、原始の時代と違う現代の社会構造ではどうでしょうか? 個人主義化が進んだ中、結婚は、社会の問題ではなく、個人の問題になってしまいました。よって、社会の目によって、離婚をとどまらせるというシステムが成り立たなくなったです。さらに、現代は、個人主義化から価値観の多様化、複雑化が起きています。もはや、昔のように、夫は仕事、妻は家事と子育てという単純な役割分担が成り立たなくなってしまいました。それは、例えば、男性の家事分担や育児分担、女性の仕事の継続、子どもの教育方針、お金の使い方、余暇の過ごし方、親との同居の有無、そして介護など様々になってしまいました。もはや全ての価値観が一致していることはほとんどないでしょう。離婚の最も多い理由が「価値観の違い」と言われています。その現実を踏まえると、今後にますます離婚のリスクが高まります。離婚は、経済的にも時間的にも心理的にもダメージは大きく、男女ともになるべく避けたいです。だからこそ、社会の目の代わりのシステムとなるのが、契約というお互いの「目」なのです。未来の結婚のあり方とはどんなものでしょうか? 契約結婚を雇用契約に見立てると、それは試用期間です。つまり、まず共同生活をするということです。この共同生活は、同棲との違いが3つあります。1つ目は、期限があるということです。例えば、半年から1年です。2つ目は、その間に夫婦としての共同生活のルール作りをすることです。それを契約書としてどの程度の形に残すかはそれぞれの夫婦の裁量でしょう。そして、3つ目は、期限が来てもお互いに共同生活を続ける意思があれば正式契約、つまり婚姻届を出すということです。より良い結婚生活を送るには?-アサーション夫婦が、前もっていっしょに結婚生活の大枠のルールを決めつつも、実際に結婚生活を送るなかでは、その日その瞬間で日常生活の些細なことについての話し合いはどうしても必要になります。そこで、より良い結婚生活を送るスキルとして、どんなものがあるでしょうか? それが、アサーションという心理療法です。アサーションとは、英語で直訳すると「主張」ですが、意訳すると「ほど良い言い方」「折り合うコミュニケーション」です。例えば、先ほど紹介した兄嫁の「叩き付ける方の壁ドン」というコミュニケーションは、感情的に相手を威嚇するという攻撃に当たります。これは、言いすぎ、やりすぎです。一方、平匡の同僚の「夫婦げんかは(夫が)負けておけ」というコミュニケーションは、相手に気を遣って我慢するという無主張に当たります。これは、言わなさすぎ、やらなさすぎです。このどちらのコミュニケーションも、パターン化されれば力関係を生み出してしまいます。よって、このような攻撃でもなく無主張でもなく、自分の気持ちや思いを大切にして率直に伝えると同時に、相手の気持ちや思いも大切にして耳を傾けるアサーティブなコミュニケーションが重要です。その手順は、DESC法と呼ばれます。これには、4つのステップがあります。みくりと平匡のやりとりのシーンを例にとってみましょう。(1)描写(Describe)みくりは平匡に「生活費の中から電気炊飯器を買いたいんです」「(今のは)容量が少ないし、白米しか炊けません」と申し出ます。これは具体的な状況を客観的に描写しています。まずは、事実を確認して、共有するステップです。(2)表現(Express)みくりは「(白米以外に)玄米とか雑穀米とか炊き込みご飯とか(炊きたいんです)」と続けます。これは、「ちょっと困っています」「変わると助かります」なども含め、自分の気持ちを冷静に表現しています。また、「お金を節約したい気持ちはとてもよく分かりますが」と添えるなど、相手の気持ちを配慮も良いでしょう。お互いに共感するステップです。逆に言えば、単純に相手に感情をぶつけないことがポイントです。「あなたはケチだから」などのようにあなたはどうかを全面に出す「あなたメッセージ」ではないことです。あくまで「困っている」「心配している」「何とかしたい」という私の思いを全面に出す「私メッセージ」であることです。(3)提案(Specify)みくりは、最後に「購入を検討してくださいませんか?」と尋ねます。これは、具体的で特定の提案をしています。「自分はこうしたい」「あなたにはこうしてほしい」という解決策や妥協点の提案をこちらからすることがポイントです。特に恋愛結婚では、お互いが分かり合っていることが前提になってしまうので、提案をしないまま、「おれを怒らせたおまえが悪い」「察しないあなたが悪い」という感情的な思考パターンに陥りやすくなってしまいます。そこには、話し合いの努力をするという理性的な責任意識はないです。(4)選択(Choose)平匡は「炊飯器は好きにしてください」と言い、みくりは大喜びします。みくりは、その後に「必要最低限のスペックで使い勝手を重視」したお手頃の炊飯器を購入します。一方、平匡が難色を示したら、「いくらなら購入可能か」「いつからなら購入可能か」などのみくりの再提案や、平匡の逆提案があるでしょう。このように、同意が得られればその通りにして、同意が得られなければ代替案や一旦その提案から身を引く選択肢を用意しておくことです。もっと広げて言えば、相手が感情的になっている時は、あえて話し合いをしない、一旦引っ込んで相手にしないというのもアサーションの1つです。その選択肢を持つことも大切です。例えるなら、お酒に酔っ払っている人と同じように、感情的に「酔っ払っている」人といくら話し合いをしようとしてもうまく行かないということです。あえてコミュニケーションをしないというのも重要なコミュニケーションスキルの1つです。このスキルは、まさにこのドラマのタイトル「逃げるは恥だが役に立つ」に通じるものがあります。このタイトルは、もともと「ハンガリーのことわざで」「逃げるのは恥だったとしても、生き抜くことの方が大切」と平匡が説明しています。「恥」などの感情ばかりではなく、「逃げる」などの選択肢も含めて、結婚生活の維持に「役に立つ」かどうかという理性的な発想を持つことの大切さを教えてくれます。より良い結婚生活を送るには?-アサーションみくりの母はみくりに「(お父さんを)愛してるわよ。お互いに努力して。無償の愛なんて注げないわよ。赤の他人なんだし」「私、運命の相手なんていないと思うの。運命の相手に、するの」「意志がなきゃ続かないのは仕事も家庭も同じじゃないかな」と言います。夫婦は、けっきょくは運命共同体です。お互いに好きだという単純な気持ちだけでなく、それを維持するためのお互いの努力も必要です。結婚生活は、やがてどちらかが先に死んで終わりを迎える時が来ます。その時、「この人で良かった」「生まれ変わっても今の相手を選ぶ」と思えた時、相手が運命の人になるのでしょう。お互いがお互いの運命の人になりたいと思った時、契約結婚という結婚生活の新しいモデルを参考にして、アサーションを初めとした夫婦のより良いコミュニケーションをすることができるのではないでしょうか?1)海野つなみ:逃げるは恥だが役に立つ、講談社、20132)大淵愛子:婚前契約書、マガジンハウス、20123)平木典子:アサーション 自分の気持ちの伝え方、主婦の友社、2012

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左冠動脈主幹部病変、PCIよりCABGが予後良好/Lancet

 左冠動脈主幹部病変の治療では、冠動脈バイパス術(CABG)が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも良好な予後をもたらす可能性があることが、フィンランド・オウル大学病院のTimo Makikallio氏らが行ったNOBLE試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年10月31日号に掲載された。欧州では、従来、非保護左主幹部病変の標準的な血行再建術はCABGであるが、最近はPCIの使用が急増している。欧州心臓病学会(ESC)の現行ガイドラインでは、左主幹部病変や非複雑病変、非びまん性病変にはPCIが推奨されているが、その論拠とされる試験は症例数が少なく、最良の治療を決めるには検出力が十分でないという。約1,200例が参加したPCIの非劣性試験 NOBLEは、非保護左主幹部病変を有する患者において、薬剤溶出ステントを用いたPCIのCABGに対する非劣性を検証する非盲検無作為化試験(デンマーク・オーフス大学病院などの助成による)。 対象は、冠動脈造影で視覚的な狭窄度≧50%または冠動脈の入口部、midshaft、分岐部の冠血流予備量比≦0.80の病変を有する安定狭心症、不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞の患者であった。 主要評価項目は、主要な心脳血管有害事象(MACCE)の複合エンドポイント(全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術、脳卒中)であった。非劣性マージンは1.35とした。 2008年12月9日~2015年1月21日までに、欧州9ヵ国36施設に1,201例が登録され、PCI群に598例、CABG群には603例が割り付けられた。両群とも592例ずつがITT解析の対象となった。全死因死亡に差はないが、5年MACCE発生率が高い ベースラインの平均年齢は、PCI群が66.2歳(SD 9.9)、CABG群は66.2歳(9.4)で、女性がそれぞれ20%、24%(p=0.0902)を占め、糖尿病を有する患者が両群とも15%含まれた。logistic EUROSCOREは両群とも2(IQR:2~4)、SYNTAXスコアはそれぞれ22.4(SD 7.8)、22.3(7.4)であった。 Kaplan-Meier法による5年MACCE発生率は、PCI群が29%(121イベント)、CABG群は19%(81イベント)で、HRは1.48(95%CI:1.11~1.96)であり、CABG群のPCI群に対する優越性が確認された(p=0.0066)。 全死因死亡の5年発生率には有意な差はなかった(PCI群:12% vs.CABG群:9%、HR:1.07、0.67~1.72、p=0.77)が、手技に伴わない心筋梗塞(7 vs.2%、2.88、1.40~5.90、p=0.0040)および血行再建術(16 vs.10%、1.50、1.04~2.17、p=0.032)はPCI群で有意に多く、脳卒中(5 vs.2%、2.25、0.93~5.48、p=0.073)はPCI群で多い傾向がみられた。 1年MACCE発生率は、2つの群で同じであり(7 vs.7%、リスク差:0.0、95%CI:-2.9~2.9、p=1.00)、両群間の差は1年以降に生じていた。1年時の全死因死亡(p=0.11)、手技に伴わない心筋梗塞(p=0.49)、血行再建術(p=0.27)、脳卒中(p=0.16)にも差は認めなかった。 著者は、「これらの知見は、SYNTAX試験の左主幹部病変例とPRECOMBAT試験のメタ解析の結果(5年MACCE発生率、PCI群:28.3% vs. CABG群:23.0%、p=0.045)を追認するものである」としている。

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失神入院患者は肺塞栓症有病率が高い?/NEJM

 失神の初回エピソードで入院した患者は、約6例に1例の割合で肺塞栓症を有することが、イタリア・パドヴァ大学のPaolo Prandoni氏らが行ったPESIT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年10月20日号に掲載された。失神は、急激に発症し短時間(<1分)で自然に解消する一過性の意識消失と定義され、一時的な脳の低灌流に起因すると考えられている。多くの教科書では、肺塞栓症は失神の鑑別診断に含まれるが、厳格な試験デザインで有病率を検証した研究はなく、欧州心臓病学会(ESC)や米国心臓協会(AHA)などの現行のガイドラインでは、これらの患者で肺塞栓症の診断を確定するための精査にはほとんど注意が払われていないという。失神入院患者560例を対象とする横断的研究 PESITは、系統的な精査により、初回失神で入院した患者における肺塞栓症の有病率を評価する横断的研究(パドヴァ大学の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、他の説明可能な要因(神経調節性、起立性低血圧、心疾患)の有無にかかわらず、失神の初回エピソードで入院した患者とし、てんかん発作、脳卒中、頭部外傷などの明らかな原因を有する者は除外した。 Wellsスコアによる臨床的な検査前確率が低く、かつDダイマー検査が陰性の場合は、肺塞栓症を診断から除外することとした。残りの全患者に、CT肺血管造影または肺換気血流スキャンを施行した。 2012年3月~2014年10月に、イタリアの11施設で登録された560例が解析の対象となった。全体の有病率は17.3%、説明可能な要因がない場合は25.4% ベースラインの全体の平均年齢は76±14歳で、77.7%が70歳以上、52.5%が80歳以上と高齢者が多かった。男性は39.8%だった。 肺塞栓症の検査前確率が低く、Dダイマー検査が陰性であった330例(58.9%)で肺塞栓症が除外された。残りの230例のうち97例(42.2%)で肺塞栓症が同定された。全部で肺塞栓症除外例は463例だった。 コホート全体の肺塞栓症の有病率は17.3%(95%信頼区間[CI]:14.2~20.5)であり、約6例に1例の割合であった。 CTで肺塞栓症が検出された72例の病変部位は、30例(41.7%)が主肺動脈、18例(25.0%)は葉動脈であった。肺換気血流スキャンで検出された24例のうち、4例(16.7%)は両肺の総面積の50%以上に血流欠損がみられ、8例(33.3%)では総面積の26~50%に血流欠損が認められた。死亡した1例では、両肺の主肺動脈に肺塞栓が確認された。 失神の他の説明可能な要因を有する患者の肺塞栓症の有病率が12.7%(45/355例)であったのに対し、これを有さない患者は25.4%(52/205例)と高率であった。 著者は、「予想どおり、呼吸困難、頻脈、低血圧、深部静脈血栓の臨床徴候や症状を有する患者で肺塞栓症の有病率が高い傾向があり、担がん患者にも高頻度にみられたが、これらの特徴を持たない患者の有病率も無視できないものであった」としている。

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FFRジャーナルClub 第1回

FFRジャーナルClubでは、FFRをより深く理解するために、最新の論文を読み、その解釈を議論していきます。初回は、FFRの歴史、および現在のpositionを築きあげた主要な2論文を再確認したいと思います。第1回 FFRの歴史、現在のポジションを築き上げた2論文:DEFER Trail、FAME Study冠血流予備量比(Fractional Flow Reserve:FFR)は、オランダのNico Pijls氏によって考案された冠動脈狭窄重症度指標である。従来、狭窄の評価は冠動脈造影によって行われてきたが、冠動脈造影は管腔の影絵であるため、狭窄血管全体の抵抗(重症度)を評価することは不可能である。さらに、流体力学的には、狭窄部の最小内腔面積、狭窄長のみではなく、狭窄出口部の流れの剥離による圧損失に影響を及ぼす壁表面性状、さらには冠血流量自体が大きく寄与するため、解剖学的な情報のみから機能的重症度を知ることは困難といえる。そのため1990年代当時、冠血流予備能(Coronary Flow Reserve:CFR)が機能的重症度指標として重要であることが報告されていた。しかしCFRは計測時の血行動態や、左室の容量負荷の状態、微小循環障害の存在などに影響を受けること、正常値の範囲が3.0~6.0と幅広いことなどに加え、計測手技自体が安定しないことから、臨床で広く使用されるには至らなかった。その欠点を克服すべく提唱されたのがFFRである。正常値が1.0と明確であり、計測時の血行動態の影響・微小循環障害の影響を受けにくく、虚血閾値が0.75であり境界域(グレーゾーン)が0.75~0.80と狭いことなど、臨床で使用しやすい指標であることが示され、欧州を中心に使用され始めた。DEFER trialBeck GJW, et al. Fractional Flow Reserve to Determine the Appropriateness of Angioplasty in Moderate Coronary Stenosis. Circulation. 2001;103:2928-2934.Pijls NH, et al. Percutaneous coronary intervention of functional nonsignificant stenosis: 5 year follow up of the DEFER study. J Am Coll Cardiol. 2007;49:2105–2111.Zimmermann FM, et al. Deferral vs. performance of percutaneous coronary intervention of functionally non-significant coronary stenosis: 15-year follow-up of the DEFER trial. European Heart Journal. 2015;36:3182–3188.対象:冠動脈造影上中等度狭窄を有する症例。方法:PCIを施行する群(perform群)としない群(defer群)にランダム割り付けし、その後カテーテル検査時にFFRを計測、FFR<0.75であればどちらの群であってもPCIを施行(reference群)、FFR≧0.75の症例は割り付けに従い治療方針を決定した。結果:5年間の観察の結果では、FFR≧0.75でステント治療を回避した症例(defer群)の予後は良好で、心臓死や心筋梗塞の発生率は年間1%に満たず、ステント治療を行っても(perform群)それ以上改善し得なかった。画像を拡大する昨年、defer後15年の予後が報告されたが、死亡に関してはdefer群、perform群で自然予後と同程度にみられたが、関心病変における心筋梗塞の発生は有意にdefer群で低率であった(target lesionから生じた心筋梗塞はゼロ)。本論文の意義:中等度狭窄病変を認めても、FFRが保たれていれば(虚血が存在しなければ)、ステント留置により得られるメリットはなく、“deferする”という治療戦略は妥当であることが示された。FFRによる虚血判定は、予後改善を目的とした治療方針決定に有用である。FAME studyTonino PA, et al. Fractional flow reserve versus angiography for guiding percutaneous coronary intervention. N Engl J Med 2009; 360:213-224.Tonino PAL, et al. Angiographic versus functional severity of coronary artery stenoses in the FAME Study: Fractional flow reserve versus angiography in multivessel evaluation. J Am Coll Cardiol. 2010;55:2816–2821.van Nunen LX, et al. Fractional flow reserve versus angiography for guidance of PCI in patients with multivessel coronary artery disease (FAME): 5-year follow-up of a randomised controlled trial. Lancet. 2015;386:1853-1860.対象:冠動脈造影上50%以上の狭窄を多枝に認める症例。方法:Angioガイド群では、すべての病変にDESを留置。FFRガイド群では、すべての病変をFFRにて評価し、FFR≦0.80の病変のみにDES留置した。結果:FFRガイドにより、関心病変の37%に対するDES留置が回避され、その結果医療費が削減、その後のイベント発生も有意に抑制された。画像を拡大する画像を拡大する昨年、5年の観察結果が報告されたが、2年以降5年までの間には両群で同等のイベントが発生し、その差は有意ではなくなったものの維持された。本論文の意義:機能的に病変枝数を判断し治療を行う“機能的完全血行再建”が有用な方法であることが証明された。5年の観察結果をみると、中等度病変を多枝に有する症例においては、病変が進行しイベントにつながるリスクを常に有するため、deferした病変・症例に対しても積極的な内科的療法(optimal medical therapy:OMT)を行うことが重要であると考えられた。これら2論文を中心としたエビデンスにより、FFRガイドのPCIはESCのガイドラインではクラスI(エビデンスレベルA)、AHA/ACCではクラスIIaに位置付けされている。本邦でもFAME試験の発表以降、多くの施設でFFR計測が行われるようになった。しかし、冠循環を十分に理解し、FFR計測のピットフォールを踏まえたうえで、正しく計測し得られた値に基づいたものでなければ、その有用性を発揮することはできない。まずは、基本的な理論・計測方法を学んでいただきたい。(執筆・監修:東京医科大学八王子医療センター 循環器内科 田中信大)FFR Journal Clubでは、次回から注目すべき最近の論文、Keyとなる論文を紹介していきます。乞うご期待。

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TCT 2016注目の演題

2016年10月29日~11月2日、米国ワシントンD.C.でTCT 2016(心臓カテーテル学会)が開催されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考としていただくために、会員医師へ注目演題のアンケートを実施いたしました。その結果を、三井記念病院 循環器内科の矢作 和之氏のコメントとともにご紹介いたします。TCT 2016開催地、ワシントンD.C.のおすすめスポットはこちら※演題名および発表順は、10月14日時点でTCT 2016ウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Sunday Oct. 30 9:00 - 10:00、Main Arena IPlenary Session II. Late-breaking Clinical Trials 1: Cosponsored by The LancetModerator: Gregg W. Stone1.ILUMIEN III (OPTIMIZE PCI): A Prospective, Randomized Trial of OCT-Guided vs. IVUS-Guided vs. Angio-Guided Stent Implantation in Patients with Coronary Artery Disease2.BIO-RESORT (TWENTE III): A Prospective, Randomized Three-Arm Trial Comparing Two Different Biodegradable Polymer-Based Drug-Eluting Stents and a Durable Polymer-Based Drug-Eluting Stent in an All-Comers Population of Patients with Coronary Artery Disease3.BIONICS: A Prospective, Randomized Trial of a Ridaforolimus-Eluting Coronary Stent vs. a Zotarolimus-Eluting Stent in a More-Comers Population of Patients with Coronary Artery DiseaseQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大するILUMIEN III:OCT ガイド vs. IVUSガイド vs. 血管造影ガイドILUMIEN III試験に注目が集まっているようです。イメージングが盛んな日本においてOCT ガイドPCI vs. IVUSガイドPCI vs. 血管造影ガイドPCIの比較は非常に関心の高いテーマです。BIO-RESORT試験はcircumferential biodegradable coating stentのORSIRO、abluminal biodegradable coating stentのSYNERGY、durable coating stentのRESOLUTEの1:1:1のランダム化比較試験です。biodegradable polymerとdurable polymerの違いについて何らかの結果は出るのでしょうか。Sunday Oct. 30 12:15- 13:00、Main Arena IPlenary Session VI. First Report Investigations 1: Cosponsored by The LancetModerator: David W.M. Muller1.ABSORB China: Two-Year Clinical Outcomes from a Prospective, Randomized Trial of an Everolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold vs. an Everolimus-Eluting Metallic Stent in Patients with Coronary Artery Disease2.ABSORB II: Three-Year Clinical Outcomes from a Prospective, Randomized Trial of an Everolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold vs. an Everolimus-Eluting Metallic Stent in Patients with Coronary Artery Disease3.LEADERS FREE: Two-Year Clinical and Subgroup Outcomes from a Prospective, Randomized Trial of a Polymer-Free Drug-Coated Stent and a Bare Metal Stent in Patients with Coronary Artery Disease at High Bleeding RiskQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大するABSORB IIの3年時とABSORB Chinaの2年時でのvery late scaffold thrombosisは?このセッションではABSORB試験のうちABSORB IIの3年時とABSORB Chinaの2年時の結果が発表されます。先日ローマで開催されたESC(欧州心臓病学会)ではABSORB Japanでvery late scaffold thrombosisの報告がありましたが、これら2つの試験ではどうかが注目です。Monday Oct. 31 9:00 - 9:45、Main Arena IIPlenary Session II. Late-Breaking Clinical Trials 2Moderator: Martin B. Leon1.EXCEL: A Prospective, Randomized Trial Comparing Everolimus-Eluting Stents and Bypass Graft Surgery in Selected Patients with Left Main Coronary Artery Disease2.NOBLE: A Prospective, Randomized Trial Comparing Biolimus-Eluting Stents and Bypass Graft Surgery in Selected Patients with Left Main Coronary Artery DiseaseQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大するXience、BioMatrix、新世代ステントの大規模臨床試験の成績は?従来、左冠動脈主幹部の病変に対する治療は冠動脈バイパス術が第1選択でしたが、近年の薬剤溶出性ステントの登場により、その有用性を示唆する報告がみられます。このセッションでは新世代ステントにおける左冠動脈主幹部の病変に対する治療成績の発表があります。EXCEL試験、NOBEL試験ともに1,000人を超える大規模な臨床試験で、EXCEL試験はXience、NOBEL試験はBioMatrixという、ともに実績十分のステントとの比較であり、結果が注目されます。Monday Oct. 31 12:00 - 13:00、Main Arena IIPlenary Session VI. First Report Investigations 2Moderator: Patrick W. Serruys1.REVELUTION: 9-Month Clinical, Angiographic, IVUS, and OCT Outcomes with a Polymer-Free Sirolimus-Eluting Drug-Filled Stent2.FANTOM II: 6-Month and 9-Month Clinical, Angiographic and OCT Results with a Radiopaque Desaminotyrosine Polycarbonate-Based Sirolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold in Patients with Coronary Artery Disease3.MeRes-1: 6-Month Clinical, Angiographic, IVUS and OCT Results with a Thin-Strut PLLA-Based Sirolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold in Patients with Coronary Artery Disease4.FORTITUDE: 9-Month Clinical, Angiographic, and OCT Results with an Amorphous PLLA-Based Sirolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold in Patients with Coronary Artery Disease5.FUTURE-I: 6-Month Clinical, Angiographic, IVUS and OCT Results with a Thin-Strut PLLA-Based Sirolimus-Eluting Bioresorbable Vascular Scaffold in Patients with Coronary Artery DiseaseQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大する新世代デバイスのパフォーマンスをOCTで確認このセッションでは新世代の薬剤溶出ステント/スキャフォールドを用いた臨床試験の結果が報告されます。また、興味深いことにすべての試験において、6~9ヵ月のフォローアップをOCTを用いて行っています。新世代デバイスのパフォーマンスに注目です。Tuesday Nov. 1 9:00 - 10:00、Main Arena III,Plenary Session II. Late-breaking Clinical Trials 3: Cosponsored by the Journal of the American Medical AssociationModerator: Gregg W. Stone1.SENTINEL: A Prospective, Randomized Trial Evaluating Cerebral Protection in Patients with Severe Aortic Stenosis Undergoing Transcatheter Aortic Valve Replacement2.PARTNER II QUALITY OF LIFE: Health Status Benefits From a Prospective, Randomized Trial of Transcatheter and Surgical Aortic Valve Replacement in Intermediate Risk Patients with Severe Aortic Stenosis3.PARTNER I FIVE-YEAR ECHO: Long-Term Hemodynamic and Structural Outcomes After Transcatheter Aortic Valve Replacement in High-Risk and Inoperable Patients with Aortic StenosisQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大する今後のTAVRの方向性に示唆を与える研究報告このセッションは経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)関連の臨床試験の報告です。TAVR後の脳卒中は、デバイスの改良や手技の熟練により減少していますが、症例によっては重大な合併症となることがあります。SENTINEL試験ではClaret Medical社のプロテクションデバイスによる脳梗塞の発症予防に関しての報告を予定しています。PARTNER II試験では中等度手術リスク患者へのTAVRの短期の有効性が示されましたが、PARTNER II QUALITY OF LIFEでは中等度手術リスクの患者生活の質に関して、外科的大動脈弁置換術(AVR)と比較しています。今後のTAVRの行方に影響を与える可能性もあります。最後に、現在のTAVRの問題点として、外科的AVRと比較し長期成績のデータが不十分であることが挙げられます。PARTNER I FIVE-YEAR ECHOでは心エコーの指標から5年時点でのTAVRの有効性が報告される予定です。Tuesday Nov. 1 12:15 - 13:15、Main Arena IIIPlenary Session VI. First Report Investigations 3Moderator: Cindy L. Grines1.RESPECT: Final Long-Term Outcomes From a Prospective, Randomized Trial of PFO Closure in Patients with Cryptogenic Stroke2.COLOR: A Prospective, Multicenter Registry Evaluating the Relationship Between Lipid-Rich Plaque and Two-Year Outcomes after Stent Implantation in Patients with Coronary Artery Disease3.PLATINUM DIVERSITY: Outcomes from a Large-Scale, Prospective Registry of Coronary Artery Stent Implantation in Women and Minorities4.ReACT: A Prospective, Randomized Trial of Routine Angiographic Follow-up After Coronary Artery Stent ImplantationQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大する日本発! フォローアップCAGの長期転帰の影響を検討したReACT試験このセッションではRESPECT試験、COLOR試験、ReACT試験が注目されているようです。RESPECT試験は卵円孔開存(PFO)を有する原因不明の脳卒中患者において、Amplatzer PFO閉塞デバイスの有効性をみた研究ですが、今回はその長期の成績が発表されます。COLORレジストリはNIRS(近赤外線分光法)での脂質性プラークとPCI周術期の心筋梗塞発症の関係を調べた研究で、今回は2年フォローアップの報告です。ReACT試験は日本からの報告です。PCI成功例における、フォローアップCAGの長期転帰の影響を検討した試験です。フォローアップCAGをルーチンで行っている施設が多い日本で、今後、カテーテル検査のあり方の見直しにつながる発表です。Wednesday Nov 2 9:00 - 10:00、Main Arena IVPlenary Session VII. Late-breaking Clinical Trials 4Moderator: Martin B. Leon1.ILLUMENATE U.S.: A Prospective, Randomized Trial of a Paclitaxel-Coated Balloon vs. an Uncoated Balloon for Treatment of Diseased Superficial Femoral and Popliteal Arteries2.WATCHMAN US POST-APPROVAL STUDY: Multicenter, Prospective, Registry Results with a Left Atrial Appendage Closure Device for Stroke Prevention in Patients with Atrial Fibrillation3.AMULET OBSERVATIONAL STUDY: Multicenter, Prospective, Registry Results with a Left Atrial Appendage Closure Device for Stroke Prevention in Patients with Atrial FibrillationQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大する左心耳閉鎖の2大デバイス、リアルワールドでの成績は?このセッションは下肢動脈に対するインターベンションの1演題と左心耳閉鎖デバイス関連の2演題です。ILLUMENATE U.S.トライアルは大腿膝窩動脈病変に対するCovidien社のStellarex DCBと従来のバルーン治療のランダム化比較試験です。ILLUMENATE FIH試験において、Stellarex DCBの有効性、安全性が示されており、今回の結果は注目です。心房細動に伴う心原性脳梗塞の脳梗塞予防として左心耳閉鎖術が近年行われるようになっていますが、そのなかで、2大デバイスはBoston Scientific社のWATCHMANデバイスとSt. Jude Medical社のAmplatzerデバイスです。このセッションではこれらのデバイスによる多施設前向きレジストリ研究の結果が発表されます。実際の臨床での成績に注目です。Wednesday, Nov 2 12:15 - 13:15、Main Arena IVPlenary Session VII. First Report Investigations 4Moderator: Manel Sabate1.PRISON IV: A Prospective, Randomized Trial of a Bioresorbable Polymer-Based Sirolimus-Eluting Stent and a Durable Polymer-Based Everolimus-Eluting Stent in Patients with Coronary Artery Chronic Total Occlusions2.TOSCA-5: A Prospective, Randomized Trial Evaluating Collagenase Infusion in Patients with Coronary Artery Chronic Total Occlusions3.TRANSFORM-OCT: A Prospective, Randomized Trial Using OCT Imaging to Evaluate Strut Coverage at 3 Months and Neoatherosclerosis at 18 Months in Bioresorbable Polymer-Based and Durable Polymer-Based Drug-Eluting Stents4.RIBS VI: A Prospective, Multicenter Registry of Bioresorbable Vascular Scaffolds in Patients with Coronary Artery Bare Metal or Drug-Eluting In-Stent Restenosis – 6-9 Month Clinical and Angiographic Follow-up ResultssQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=94)画像を拡大するbioresorbable polymer DESとdurable polymer DES、アウトカムに違いはあるのか?現在、明らかにコンセプトの違う2種類のbioresorbable polymer DESとdurable polymer DESの差ははっきりしていません。このセッションでは、この点について2つの試験の発表があります。とくにTRANSFORM-OCT試験では3ヵ月のストラットの被覆化と18ヵ月でのneoatherosclerosisの発生率を調べています。両者に違いはあるのでしょうか?

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試験前の自信と試験後の落胆(解説:後藤 信哉 氏)-593

 クロピドグレルは、ランダム化比較試験の結果に基づいて世界にて広く使用された。使用の拡大後にクロピドグレルの作用メカニズムが解明された。メカニズムに基づいて個別最適化を目指した用量調節を行えば、クロピドグレルの有効性、安全性はさらに増加すると信じている人もいた。 本論文の責任著者であるフランスのMontalescot氏は、パリ市内のPCIをSteg氏と二分するカテーテル治療の専門家である。クロピドグレルを開発したサノフィ社がフランスの会社なので、抗血小板療法についても臨床的専門家の1人とされている。 筆者は「いわゆる血小板機能検査によるクロピドグレルの個別的薬効調節には意味がない。なぜなら、急性冠症候群の発症と直結する血小板の機能が未知であるからである」と話したところ、Montalescot氏が数年前に「ランダム化比較試験を行えば、個別用量調節を行ったほうが必ず結果がよい」と強い自信を持っておられた。EBMの論理体系を理解した論理的フランス人なので、今は「血小板機能検査の結果に基づいた個別的用量調節はできない」ことに同意されるようになった。 P2Y12 ADP受容体阻害薬の至適用量については、議論が継続している。筆者は、血小板凝集機能、VerifyNowなどの血小板機能検査ではP2Y12 ADP受容体の至適用量の探索はできないとのスタンスに一貫している。薬効は、P2Y12 ADP受容体阻害による。ならば、P2Y12 ADP受容体阻害率による用量調節を行うべきである。Montalescot氏の試験開始前の自信が強烈であったので、論文の結論として「Platelet function monitoring with treatment adjustment did not improve the clinical outcome of elderly patients treated with coronary stenting for an acute coronary syndrome.」と書くときの落胆は大きかったと想像する。 ランダム化比較試験は、臨床的仮説の検証には有用である。しかし、仮説の設定には専門家のアドバイスが役立つ。P2Y12 ADP受容体阻害薬の血小板機能検査による用量調節をめぐる壮大な無駄は、事前の仮説設定を慎重に行えば避けることができたと筆者は今でも思っている。

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日本人AF患者に対するリバーロキサバンのリアルワールドデータ:ESC2016

 ドイツ・バイエル社は、経口第 Xa 因子阻害剤リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)を非弁膜症性心房細動患者に使用した複数の国から得られた新たなリアルワールドデータが、2016 年欧州心臓病学会(ESC)学術集会で公表されたことを2016 年8月29日発表した。 日本の患者 11,000 人以上が登録された市販後の前向き観察研究 XAPASSでは、日常診療で新たにリバーロキサバンの服用を開始した非弁膜症性 AF 患者において、脳卒中および重大な出血事象の発現率がいずれも低いことが確認された。 XAPASSの対象患者は脳卒中の平均リスクがこれよりも低く、CHADS2 スコア平均値は 2.2 であった。XAPASS において、出血事象の発生率は100 患者・年当たり4.84 件で、このうち重大な出血事象の発現率は1.02 件、頭蓋内出血の発現率は0.43 件であった。また、脳卒中、非中枢神経系塞栓症および心筋梗塞の複合からなる主要評価項目の発現率は100 患者・年当たり1.35 件で、虚血性脳卒中の発現率は100 患者・年当たり0.90 件であった。これらの結果は、無作為化第Ⅲ相臨床試験 J-ROCKET AF とおおむね一貫していた。バイエル薬品のニュースリリースはこちら

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双極性障害青年、ちゃんと薬を飲んでいるか

 双極性障害(BP)青年の服薬アドヒアランスとそれに関連する要因について、米国・ピッツバーグ大学医療センターのTina R Goldstein氏らは、客観的および主観的手法により調査を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 対象は、小児科専門クリニックで初期BPと診断された青年21例。すべての対象者は、1剤以上の向精神薬を処方されていた。自己および親から報告されたアドヒアランスを6ヵ月間毎月評価した。服薬アドヒアランスに関する客観的なデータは、電子ウィークリーピルボックスを用いて収集した。人口統計学的および臨床的要因は、自己、親、医師よりベースライン、3、6ヵ月で評価した。 主な結果は以下のとおり。・客観的データによると、ベースラインから平均3ヵ月にわたり、投与量の41.5%(日数の58.6%)が、処方されたとおりに服薬されていなかった。・患者、親、医師より得られた主観的データは、客観的データと比較し、アドヒアランスを有意に過大評価していた。・1日用量の多さ、体重増加、服薬タイミング(朝、昼、週末は悪い)、薬剤管理面談から時間が経過している、治療アドヒアランスの自己評価でより大きな認知困難といった複数の理由における要因は、低いアドヒアランスと関連していた。服薬不良のもっとも強力な予測因子は、全体的な疾患重症度であった。 著者らは「調査結果より、BP青年の服薬アドヒアランスは悪く、主観的な報告では限界があることが示された。BP青年の治療中に、治療反応に関する決定や投与レジメを変更する際には、アドヒアランス状況に細心の注意を払う必要がある」としている。関連医療ニュース 双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには 小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は

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ESC 2016 注目の演題

2016年8月27~31日、イタリア・ローマでESC(欧州心臓病学会)2016が開催されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考にしていただけるよう注目演題に関するアンケートを実施しましたので、その結果を学会開催前にご紹介します。また、ローマのおすすめスポットについても、会員の方々から情報をお寄せいただきました。併せてご活用ください。ローマのおすすめスポットはこちらイタリア留学経験のある循環器内科医が選ぶESC 2016注目の演題はこちら※演題名および発表順は、8月12日時点でESC 2016ウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Clinical Trial Update coronary artery diseaseChairperson: Stephan ACHENBACH8/29(月)14:00 - 15:30、Forum - The Hub1.5-year outcomes after implantation of biodegradable polymer-coated biolimus-eluting stents versus durable polymer-coated sirolimus-eluting stents in unselected patients2.A life-time perspective on the effects of an early invasive compared with a non-invasive treatment strategy in patients with non-ST-elevation acute coronary syndrome - the FRISC II 15 years follow-up3.10-year follow-up of clinical outcomes in a randomized trial comparing routine invasive versus selective invasive management in patients with non ST-segment elevation acute coronary syndrome.4.Comparative Efficacy of Coronary Artery Bypass Surgery Versus Percutaneous Coronary Intervention in Diabetic Patients with Multivessel Coronary Artery Disease With or Without Renal Dysfunction5.The effect of CABG by age in patients with heart failure: 10 year follow data from the STICHES study6.ABSORB Japan: 2-year clinical results from a randomized trial evaluating the Absorb Bioresorbable Vascular Scaffold vs. metallic drug-eluting stent in de novo native coronary artery lesionsQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line coronary artery disease and imagingChairpersons: Fausto Jose PINTO, Michael HAUDE8/29(月)16:30-18:00、Rome - Main Auditorium1.CONSERVE - Direct catheterization versus selective catheterization guided by Coronary Computed Tomography in patients with stable suspected Coronary Artery Disease2.DOCTORS - Does Optical Coherence Tomography Optimise Results of Stenting?3.CE-MARC 2 - A randomized trial of 3 diagnostic strategies in patients with suspected coronary heart disease.4.PACIFIC trial - Head-to-head comparison of coronary CT angiography, myocardial perfusion SPECT, PET, and hybrid imaging for diagnosis of ischemic heart disease5.AMERICA - Systematic detection and management of multivascular involvement of atherothrombosis in coronary patients in comparison with treatment of coronary disease onlyQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するRegistries coronary artery disease, stroke and interventionChairperson: Elliott ANTMAN, Leonardo BOLOGNESE8/29(月)16:30-18:00、Sarajevo - Village 21.SWEDEHEART: Stent thrombosis and all-cause mortality in bivalirudin and heparin treated ST-elevation myocardial infarction patients undergoing primary percutaneous intervention2.Feasibility and safety of direct catheter-based thrombectomy in the treatment of acute ischemic stroke. Prospective registry PRAGUE-163.Quality Indicators for Acute Myocardial Infarction: rate of implementation and relation with 3 year survival. A study using data from the nationwide FAST-MI 2005 and FAST-MI 2010 registries4.Modulators of the response to CRT in international practice: the ADVANCE CRT registry5.ELECTRa (European Lead Extraction ConTRolled) Registry: a deeper snapshot on transvenous lead extraction in europe6.Two year prospective follow up of patients treated with dabigatran etexilate for stroke prevention in non-valvular atrial fibrillation: The GLORIA-AF RegistryQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line coronary artery disease and stentingChairpersons: Steen Dalby KRISTENSEN, Andreas BAUMBACH8/30(火) 11:00-12:30、Rome - Main Auditorium1.NorStent - Comparison of long term effects of new generation DES vs contemporary BMS on mortality, morbidity, revascularization, and quality of life2.BASKET-SAVAGE - Drug-eluting vs. bare metal stents in saphenous vein grafts3.PRAGUE -18 - Randomized comparison of ticagrelor versus prasugrel in ST elevation myocardial infarction4.Can patients with acute coronary syndromes caused by plaque erosion be treated with anti-thrombotic therapy without stenting?5.BBK II trial - Culotte versus T-stenting for treatment of coronary bifurcation lesionsQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大する欧州留学経験のある循環器内科医が選ぶESC 2016の注目演題ESC 2016開催に当たり、欧州留学経験のある循環器内科臨床医、大野 洋平氏が注目の演題を厳選して紹介する。ESCならではの循環器領域の多岐にわたる興味深い臨床研究が幾つもあり、会場でのdiscussionも含めて非常に楽しみである。まずは、ABSORB Japanの2年フォローアップの臨床結果に注目したい。ABSORB Japanは、薬剤溶出性生体吸収スキャフォールドAbsorbと第3世代薬剤溶出性ステントXienceの無作為化比較試験であり、昨年ロンドンで開催されたESC 2015のLate Breakingで1年フォローアップのデータが発表された。現在、スキャフォールド血栓症が話題であるが、本試験でのVery Late Scaffold Thrombosisが比較対象のXience 群と比べてどうだったのか、非常に気になるところである。血管内イメージング王国である日本では、IVUSあるいはOCTガイドによるPCIが日常臨床で行われている。しかし、OCTガイドPCIがはたして良好な治療転帰につながるかという明確な答えはまだ存在しない。今回のHot Lineでは、OCTはPCIの治療成績を最適化するか?という命題に答えを出すべく、フランスの多施設で実施されているDOCTORS(NCT01743274)試験の結果が発表される。非ST上昇型急性冠症候群の患者を「通常透視のみ使用群」と「OCTガイド群」に無作為に割り付け、DESあるいはBMSを留置するというもので、ステント留置後にFFRを評価する1次エンドポイントが特徴の試験である。半年後の有害心イベント(死亡、心筋梗塞の再発、ステント血栓症、標的血管血行再建)と併せて結果を確認したい。金属ステントだけでなく、BRSも入ってくるともっと面白いのだが。“Hot Line coronary artery disease and stenting”のセッションでは、“Can patients with acute coronary syndromes caused by plaque erosion be treated with anti-thrombotic therapy without stenting?”という演題に注目したい。近年、急性冠症候群を呈した患者の血管内イメージングにて、“plaque erosion”というplaque ruptureは来していないが病変に血栓を伴う症例が報告されるようになり、ステントを留置せず、抗血小板療法や抗凝固療法といった抗血栓療法のみで加療が可能ではないかという議論がある。こういった病変に対して金属ステントを留置することなく、抗血栓療法のみで安全に加療できるのであれば、非常に意義のあることだと考える。それを裏付ける結果が得られるかどうか、楽しみである。TAVI関連の臨床試験は今回あまり多くはないようだが、SENTINEL(NCT02214277)試験に注目したい。TAVIの合併症の1つに脳梗塞がある。幸い、後遺症を残すようないわゆるdisabling strokeに臨床で遭遇することはあまりないが、もちろん可能であれば予防したい。ちなみに、最新の自己拡張型生体弁であるMedtronic社のEvolut Rを使用した臨床試験(Evolut R CE Study)では、30日のdisabling strokeはなんと0%。より太いシステムであるEdwards Lifesciences社のSapien 3を使用した臨床試験(PARTNER II S3 Trial)でも0.9%と非常に良好な成績が報告されている。本試験で使用する脳梗塞予防デバイスはClaret Medical社のSentinelという脳保護システムである。右橈骨動脈よりアプローチして、右腕頭動脈および左総頸動脈にフィルターをかけるデバイスである。日本人オペレーターであれば、フィルターの留置に難渋することは少ないと思われるが、処置時間が短くなってきた現在のTAVIという治療の中では、やはり時間のかかる操作になる。筆者もイタリアで使用経験があるが、時間がかかるわりに効果はどうなのか、という印象がある。脳梗塞ハイリスクの一部の患者のみをターゲットにすれば有用である可能性はあるが、少なくとも全例に使用するデバイスではないと考える。どういった結果が出るのか、注目したい。

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ESC 2016開催地、ローマのおすすめスポット

ケアネットでは、学会に参加しながら歴史と芸術の都ローマを十分に楽しんでいただけるよう、会員の方々から募集したおすすめの観光名所、レストランなどの情報をご紹介します。また、イタリア留学経験のある大野 洋平氏(東海大学医学部内科学系 循環器内科学)に、ローマの“外せない”観光名所やおすすめのレストラン、さらに学会期間中に活躍しそうなイタリア語フレーズを教えていただきました。ぜひご活用ください。ESC 2016 注目の演題はこちら大野氏のおすすめはこちらローマ中心部から学会会場への移動学会会場のFiera di Romaは、フィウミチーノ空港から電車(FR1)で2駅(約5km)、ローマ市内中心部から約25kmのところにあります。市内中心部から会場へ向かう場合、Termini 駅から地下鉄でPiramide 駅へ、Piramide駅から徒歩でOstiense駅へ移動し、Ostiense駅から電車(FR1)に乗り換えてFiera Di Roma駅で下車します(所要時間約40分)。タクシーを利用する場合も同じく40分ほどかかるようです。名所旧跡ローマには多くの名所旧跡がありますが、とくに古代遺跡や映画「ローマの休日」に登場する観光スポットについての投稿を数多く頂きました。コロッセオ Colosseo絶対に外せない観光スポットの1つが、世界遺産の「コロッセオ」。常時観光客でごった返し、入場にかなり並びます。フォロ・ロマーノ、パラティーノの丘で共通チケットを購入または事前にネット予約しておくか、バスや地下鉄が乗り降り自由で美術館・遺跡の入場が割引になる「ローマパス」を持っているかするとスムーズに入れます。入場口では、入場券を持っている人は左レーンに並びます。右レーンは入場券を買う人で、いつも長い行列ができているのでご注意を。[アクセス] 地下鉄B線Colosseo駅スペイン広場 Piazza di Spagnaご存じスペイン広場です。映画「ローマの休日」で有名になったスペイン階段ですが、8月に入っても修復工事が続き閉鎖されていたようです。確認してから行かれたほうがよいかもしれません。ちなみに、修復が終わっていても、映画のオードリー・ヘップバーンのように階段でジェラートを食べることは文化遺産の保護のため禁止されていますので念のため。[アクセス] 地下鉄A線Spagna駅トレビの泉 Fontana di Treviローマに来たら必ず訪れたい場所ですね。この泉、古代の水道の終点だったそうです。いつも地下鉄の駅からたくさんの人が歩いていきますが、住宅地の中に突然姿を現します。スリにはくれぐれも注意。[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅ナヴォーナ広場 Piazza Navonaローマで最も美しい広場だと言われています。ベルニーニの彫刻「四大河の噴水」とボッロミーニ設計の「サンタニェーゼ教会」が見どころ。[アクセス] トレビの泉から徒歩12分真実の口 Bocca della Verità「日本で有名なわりに、結構わかりづらい場所にあり、看板も出ていない」(Iicchhyy)地下鉄の駅を下車してすぐに見える古代ローマ遺跡、チルコ・マッシモに沿って真っ直ぐ。徒歩約10分。[アクセス] 地下鉄B線Circo Massimo駅トッレ・アルジェンティーナ広場 Largo di Torre Argentina共和制ローマ時代の遺跡の中に捨て猫の保護センターがあるので、別名“cat sanctuary”と呼ばれ、猫のパラダイスになっています。猫好きの先生はぜひ。[アクセス] バス停「Via Torre Argentina」下車すぐサンタンジェロ城 Castel Sant'Angeloテラスから、サン・ピエトロ大聖堂やローマの街並みが一望できます。ライトアップされた姿が美しいので、夕暮れ後の散歩もおすすめです。[アクセス] 地下鉄A線Lepanto駅から徒歩15分バチカン美術館バチカン市国には、バチカン博物館、サン・ピエトロ大聖堂など見どころがたくさんあります。バチカン市国全体が神聖な場所ですから、美術館入場の際にも服装チェックがあります。人気スポットだけあって、入場には行列覚悟です。訪れる方は、事前にネット予約をしていくのがおすすめです。[アクセス] 地下鉄A線Cipro駅サン・ピエトロ大聖堂 Basilica di San Pietro大聖堂のクーポラ(ドーム)に上れることをご存じですか。途中までエレベータを使っても320段の階段を上らなければならないのですが、頂上からの眺めは最高です。[アクセス] 地下鉄A線Ottaviano駅ヴェネト通り Via Venetoローマ一美しいと言われる通りで、フェデリコ・フェリーニ監督の60年代の名画「甘い生活」の舞台となった場所です。ローマの町の喧騒とは別世界、落ち着いた雰囲気で、高級なホテルや店が並んでいます。この通りの終点にはボルゲーゼ公園(Villa Borghese)があります。ここもローマとは思えないほど緑に囲まれた公園で、週末にはジョギングやサイクリングを楽しむ人で賑わいます。ジョガーの先生におすすめの場所です。[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅ローマの骸骨寺 Santa Maria della Conceziones「骸骨寺(サンタマリアデッラコンツィオーネ)、ヴェネト通り沿い地下鉄駅近く。人骨シャンデリア、壁面飾りあり、一見の価値あり」(まつがえ)[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅レストランさすが食の国イタリア、どこに行ってもおいしいものが食べられます。La Carbonaraローマのパスタといえば、カルボナーラ。こちらは1906年創業、なんとカルボナーラ発祥のお店とか。[アクセス] Roma Termini駅Ristorante Vecchia Romaローマパスタの1つ、豚のほお肉とトマトソースのアマトリチャーナが味わえます。この店では樽型のチーズにパスタをいれてチーズを絡めます。チーズ好きな方におすすめです。[アクセス] 地下鉄A線Vittorio Emanuele駅Ristorante Tullio素材を活かした料理が評判の老舗レストラン。白トリュフのパスタ、ボンゴレ、Tボーンステーキなどが人気のようです。ただし、とても混んでいますので、事前予約が必須です。[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅ちょっと変わったお土産万年筆イタリアは万年筆が安く手に入ります。ものによっては日本の半額近いものも。トレビの泉近くのNovelli では、デルタ、ヴィスコンティなどのイタリア製はもちろん、モンブランやウォーターマンなど海外メーカーの万年筆も取り扱っています。小さなお店ですが、接客も丁寧で値引きもしてくれます。見つけにくい場所にありますので、地元の方に聞きながら行かれるとよいと思います。Novelli[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅イタリア食材老舗の食料品店Volpettiには、チーズ、トリュフ塩、ソーセージにバルサミコ酢、オリーブオイルなど、おいしいイタリア食材が選ぶのに迷うほどあります。お店の方も親切で、いろいろ味見させてくれます。いずれも日本では味わえない味です。日曜定休、昼休みも長めなので、しっかり調べてから行かれたほうがよさそうです。Volpetti[アクセス] 地下鉄B線Piramide駅スリにご用心風光明媚なローマですが、スリの被害が後を絶たないようです。とくに地下鉄を利用するときは注意。乗り降りの際、混雑に紛れて不自然に体を押し付けてきたり、子供が後ろからついて来て、バッグに手を入れ財布などを盗むといった手口が多いそうです。また、アンケートや物乞いも要注意。複数人で話しかけてきて、気をとられている間に、別の人間が財布を抜くという手口もあるそうです。大野氏のおすすめおすすめスポット今回のESC 2016は、ローマで開催されるから、頑張って演題を出してローマに行きたい!とモチベーションの上がった先生方も多いのではないだろうか。何を隠そう、自分もそのうちの1人である。ヨーロッパはもちろんのこと、シベリア鉄道を使ってのユーラシア大陸横断、中国シルクロードの旅、タイ・ミャンマー・カンボジアの秘境訪問など、学生時代はバックパッカーをやっていたので、それなりにいろいろな街・歴史遺産を見てきたつもりではあるが、やはりローマは別格である。初めて訪れたときの感動はいまだに忘れられない。容易に古代ローマ時代にタイムスリップさせてくれる街、それがローマである。純粋に、歴史遺産や美術館を訪れるもよし、あるいは、「ローマの休日」、「ダ・ヴィンチ・コード」などの映画をテーマに、さらには自分も大好きな塩野七生さんの著書「ローマ人の物語」に思いを馳せながら周ってみるのもいいだろう。前述の通り、ローマはどこを歩いても絵になる、そんな街である。特別な場所に行かなくても特別な気分に浸ることができる。強いて自分の中の「ここは外せない3ヵ所」を挙げるとしたら、以下になるであろう。La Cappella Sistina del Vaticano(バチカン市国内のシスティーナ礼拝堂)キリスト教の総本山であるバチカン市国内にある世界的に有名な礼拝堂である。ローマ法王の公邸、バチカン宮殿に位置する。ミケランジェロやボッティチェリら、ルネサンス時代の巨匠による内装は圧巻である。なかでも最も有名なのが、システィーナ礼拝堂の天井画「アダムの創造」である。16世紀に曲面の天井に描かれたものであることを考えると、ただただ驚異的である。そして、システィーナ礼拝堂の主祭壇の背側に位置する同じくミケランジェロの「最後の審判」も必見である。システィーナ礼拝堂の後は、出口に向かわず、礼拝堂の右奥にある扉から出ると、サン・ピエトロ大聖堂に直結しているので、こちらもお見逃しなく!今回のESCには何とローマ法王もいらっしゃるというニュースが入ってきた。そういう意味でも、ここは外せないNo. 1スポットであろう。Foro Romano(フォロ・ロマーノ)ここはローマの中でも「古代」ローマ時代の遺跡の集まるところである。一度も訪れたことのない人も、必ずやテレビの世界紀行のような番組で見たことはあるだろう。言い伝えによると、ロムルスとレムス兄弟に率いられたラテン人がローマを建設したのが、紀元前753年頃と言われている。日本の縄文時代に当たる頃である。素晴らしい景観と雰囲気が味わえるが、8月のローマは暑いので、日中はあまりおすすめしない。早朝ないしは日没後の散歩やジョグを楽しむとよいかもしれない。Colosseo(コロッセオ)フォロ・ロマーノ内のメインストリートであるVia Sacra(聖なる道)を進んでいくと、言わずと知れたコロッセオに到着する。中を見たい!という強い希望があるのであれば別だが、意外と間近よりも遠目から眺めるのがよいかもしれない。その場合は、Monumento a Vittorio Emanuele II(ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念講堂)の上に上がって眺めるのが最高だろう。コロッセオだけでなく、フォロ・ロマーノ、サン・ピエトロ大聖堂まで見渡せる結構穴場的スポットである。レストランさて、観光よりも食事という人も多いであろう。まず、押さえておきたいのが、Trastevereというテヴェレ川の西側に位置するエリアとその向かいに当たるTestaccioというエリアである。いずれも、おいしいtrattoria、ristoranteなど食事処が多い。また、食事の時間帯以外であれば、barに気軽に立ち寄り、本場のespressoを頂きたい。Felice(Via Mastro Giorgio 29、+39 065746800)ローマに来たからにはローマ料理を存分に頂きたい。ここは地元にも愛されるトラットリア。どの料理もおいしいが、とくにローマで有名な“Cacio e Pepe”という胡椒とチーズのパスタがローマ随一と言われている。Grazia & Graziella(Largo M.D. Fumasoni Biondi 5、+39 065880398)カルボナーラは好きですか? おそらく嫌いという人の方が少ないのではないだろうか。カルボナーラはローマの料理。もし絶品と言われるカルボナーラを食べてみたいのであれば、ここに行くのがよい。それ以外の料理も好評。Dar Poeta(Vicolo del Bologna 45、+39 06 5880516)ここは「ピザ派」の人にぴったりの場所。ここのピザはローマの地元の人々にも大人気。イタリア語フレーズ最後に、学会期間中に活躍しそうなイタリア語フレーズを幾つか紹介しておこう。Il conto, per favore.(イル コント ペル ファヴォーレ)「お会計お願いします」トラットリアやレストランでお会計をお願いするときの掛け声。Dov'è il bagno?(ドヴェ イル バーニョ?)「お手洗いはどこですか?」旅行中のトイレエマージェンシーに備えておこう。Vorrei andare a 〜.(ヴォレイ アンダーレ ア 〜)「~に行きたいです」タクシーを拾ってどこか行きたいときに使えるフレーズ。Vorrei andare a Fiera di Roma.「Fiera di Roma(学会場)に行きたいです」やVorrei andare al Colosseo.「コロッセオに行きたいです」など。イタリア人はとにかくおしゃべり好きなので、お店ではぜひ、Buon giorno!「こんにちは」やBuona sera!「こんばんは」、Grazie mille!「どうもありがとうございます」などと声を出してみよう。

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糖尿病治療薬が心不全治療薬となりうるのか? 瓢箪から駒が出続けるのか?(解説:絹川 弘一郎 氏)-579

 チアゾリジン薬の衝撃は、FDAをしてその後の糖尿病治療薬すべての認可の際に、心血管イベントをエンドポイントとしたプラセボ対照臨床試験を義務付けた。このことにより、図らずも循環器内科医にとっては糖尿病薬に関する勉強をする機会となり、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬などの糖尿病薬と心血管イベントの関連について知識が増えてきた。 DPP-4阻害薬の1つサキサグリプチンは、SAVOR-TIMI 53試験で心不全の発症増加ありとされたものの、その後のEXAMINE試験とTECOS試験で、ほかのDPP-4阻害薬は心不全発症に差がなかったことで、SAVOR-TIMI 53試験の結果は偶然であったという結論になっているようである。一方で、インクレチン関連という意味で体内動態には共通項が多いGLP-1受容体作動薬リラグルチドは、LEADER試験において心血管イベントを有意に減らした。 最近、世を騒がせているEMPA-REG OUTCOME試験は、LEADER試験と同じような心血管疾患の背景を有する患者を対象としており、糖尿病薬が血糖降下作用以外で心血管イベントを抑制する可能性が示唆されてきている点で興味深いが、しかしながら、その機序はまったく明らかでなく、そもそもFDAの勧告に従って、非劣性ならよしとした試験であるから、瓢箪から駒といわれても仕方がない。ネガティブに出たSAVOR-TIMI 53試験を偶然であったというなら、ポジティブに出たこれらの結果もまた慎重に受け止める姿勢があってもよいと思われる。この点、ESCの心不全ガイドラインの2016年アップデートにおいて、エンパグリフロジンを心不全の予防という観点でクラスIIa、レベルBで推奨しているのは勇み足ではないか。 ところで、本題である。このFIGHT試験は、収縮不全(LVEF<40%)の症例の中で、とくに最近2週間以内に(ガイドライン遵守の薬物治療中にもかかわらず)再入院した症例またはフロセミドの用量が1日40mg以上という症例をピックアップして、比較的重症度の高い症例に対してリラグルチドの効果があるかどうかを検討したものである。試験デザインはプラセボ対照、無作為化二重盲検であり、エンドポイントは死亡や心不全入院までの時間と180日間のNT-proBNPレベルの時間平均の複合スコアである。全部で300例がエントリーされ、実薬群154例、プラセボ群146例でそれぞれITT解析された。 結論からいうと、統計学的にはイベント発症など両者に差はなかった。ただし、シスタチンCはリラグルチド群で増加しており、腎機能障害をもたらす可能性がある。また、有意ではないものの(p=0.05)、死亡や心不全再入院はむしろリラグルチド群で多い傾向にあり、カプランマイヤー曲線をみても、リラグルチドが死亡や心不全入院を増加させる傾向は(とくに糖尿病合併例で)明らかであり、患者数を増やして検討すれば有意に出てしまいそうである。先のLEADER試験やEMPA-REG OUTCOME試験は、心不全のある症例は10%程度しか含まれておらず、このFIGHT試験にエントリーされた重症な心不全とは背景が異なるものの、この試験結果によればリラグルチドは心不全増悪に傾いている感じである。 このように糖尿病薬と心血管イベントの関係は最近入り乱れてまったく混乱の極みにある。そもそも、メカニズムの理解が先行しないところで、効いた効かないということを統計的に解析するのみで解釈は後回しという体勢は、再考すべき時に来ているのではないか。

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心不全に合併する「うつ」に抗うつ薬SSRIは効くのか?(解説:絹川 弘一郎 氏)-571

コメント対象論文Angermann CE, et al. JAMA. 2016;315:2683-2693. MOOD-HFは、うつを合併する慢性心不全患者(左室駆出率<45%)における選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors:SSRIs)、escitalopramの有効性・安全性を検証した、プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験である。これまで、うつ合併の慢性心不全患者に対するSSRIの効果を調べた研究は SADHART-CHFのみで、この試験ではセルトラリンのうつ症状改善効果は示されなかった。また、治療期間が12週間と短期であった。MOOD-HFは、うつを合併する心不全患者におけるSSRIの長期効果を検証したという点で新規性があり、結果が注目されていた研究である。 MOOD-HFの分析対象者は372例、escitalopram群およびプラセボ群の治療期間(中央値)はいずれも18ヵ月であった。両群間で主要評価項目の「死亡および入院」および副次評価項目の「うつ症状」に有意差は認められず、安全性を評価した指標についても差はなかった。本結果はSADHART-CHFの結果と一致する。 サブ解析では、プラセボに比して、escitalopramがうつ症状および主要評価項目であった「死亡・入院」を増加させる可能性が示唆された。さらに、高齢患者や重症な心不全患者・重度のうつ症状を有する患者・認知障害を有する患者では、escitalopramによって全死亡・入院のリスクが高まる傾向が示唆された。これらは、大変興味深い結果である。 海外と同様に、本邦のうつ合併の慢性心不全患者は少なくなく、心不全入院および死亡リスクも高い。また、うつを合併する患者では、服薬などのセルフケアのアドヒアランスが低いことがわかっている。このような結果を鑑みれば、うつ病を合併する心不全患者、とくに高齢患者や重度のうつ症状を有する患者、認知障害を有する患者に対しては、SSRIを用いた治療ではなく、カウンセリングやセルフケア支援、運動療法、認知行動療法、家族サポートなどを効果的に組み合わせたケア提供が有効であるかもしれない。一方で、心不全が重症であるほど、うつ症状の頻度が高くなることもわかっている。それゆえ、ケアのみならずエビデンスの確立された心不全治療薬の最適化は、うつ症状改善のためにも不可欠であろう。 言い換えると、心不全に合併する「うつ」はうつ病のそれと似て非なるもので、実は心不全の一症状である可能性が高い。

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解析対象9,000例、リバーロキサバンのリアルワールドでの使用成績は?

 バイエル薬品株式会社は7月6日に都内にて、リアルワールド・エビデンスに関するプレスセミナーシリーズの第2回を開催し、慶應義塾大学医学部循環器内科特任講師の香坂 俊氏と東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野主任教授 池田 隆徳氏が登壇した。(第1回:リアルワールドの成績はどう読み解くべき?)リアルワールド・エビデンスはなぜ必要か? リアルワールド・エビデンスとは、臨床研究のうちコホート研究、データベース研究、症例対照研究と呼ばれるものから得られるエビデンスのことである。香坂氏は、開発段階の無作為化対照試験(RCT)の問題点が明らかになった事例として、心不全の標準治療に抗アルドステロン薬を追加することの有効性を示したRALES試験を紹介した。同試験の発表後、カナダ・オンタリオ州では高カリウム血症による入院が顕著に増加したという。その原因として、リアルワールドでは臨床試験で除外されていた腎機能障害例などにも同療法が使用されたことや、実臨床では臨床試験ほど厳格な管理が行われない点などが考えられている。これらのことから、薬自体の有効性はRCTから確認できるが、治療法を適応できる人やその恩恵を享受できる人を見極めるために、リアルワールド・エビデンスが重要であることを同氏は説明した。 そのうえで、「RCTが可能性を示し、診療ガイドラインがルールを設定し、それに沿って実践した結果であるリアルワールド・エビデンスが、さらにフィードバックをかけるという循環が機能することが、現在の医療においてあるべき体制である」と述べた。解析対象9,000例、リバーロキサバンのリアルワールドでの使用成績は?  続いて池田氏が講演し、臨床試験の結果とリアルワールド・エビデンスにおいて、一貫性が得られるかどうかを検証する必要があると述べた。また、欧米と日本では用量設定が異なることから、日本におけるリアルワールド・エビデンスが重要であることを強調し、同氏が委員を務める、平均観察期間392日、9,011例を解析対象としたリバーロキサバン市販後特定使用成績調査XAPASSの第3回中間集計結果(2015年9月15日時点)を発表した。 同調査では、重大な出血事象1.31%/年、脳卒中・非中枢神経系塞栓症・心筋梗塞の複合イベントの発現1.42%/年であり、第III相臨床試験であるJ-ROCKET AF試験と比較して、予測し得ない頻度の出血関連イベントや複合イベントは確認されていないとのことである。この結果を受けて、同氏は、リアルワールドにおける有効性と安全性はこれまでのところ、きわめて良好なバランスであるとの見解を示した。今後、用量ごとのアウトカム、ならびに服薬アドヒアランスとの関係についても、より詳しく調査していく予定であると述べた。本解析結果の詳細は、8月に開催される2016年欧州心臓病学会(ESC)のLate Braking Science Sessionで発表される予定だ。

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未成年に抗うつ薬は処方すべきか~長い論争の果てに(解説:岡村 毅 氏)-562

 若年者のうつに対して抗うつ薬を使用すべきかどうかという、長い長い論争(と膨大な文献)における、最新の報告である。端的には、fluoxetine以外の抗うつ薬は、有効性を明確に示せなかったということが報告されているが、論争は続くだろう。 fluoxetineのみが有効性を示した事に関してであるが、言うまでもなく、そもそも本邦では承認されていない。加えて、性格を明るくするハッピードラッグなどと言われたり、“Prozac Nation”などという有名な本もあり、米国文明批評をする言説の標的となっている感もあり、なんともコメントしづらい。いや、臨床医としては、自分が処方したことがない以上、この薬剤についてコメントしてはならないだろう。 なお、fluoxetineは、FDAが未成年への使用を承認した唯一の抗うつ薬であり、したがって、本論文でも圧倒的に多くの報告が組み込まれている。このことは、結果にどのような影響を与えているのだろうか。 誤解のないように付記するが、もともと若年者には抗うつ薬が初めから処方されることはなく、2004年のFDA警告(子供の自殺リスクを増やす可能性、ただし、いまだに論争あり)を踏まえれば、むしろ処方しないに越したことはなく、米国国立精神衛生研究所(NIMH)のサイトでも、まず心理療法(認知行動療法や対人関係療法)がなされるべきだと明記している。しかし、それでも症状が改善しない場合にどうするか。未成年においてもさまざまな報告がある以上、本論文のようなメタアナリシスの重要性を否定するつもりはないが、社会的要因(恵まれた家庭の子息では抗うつ薬よりも心理療法が効果的)を示す報告(ref※)もあり、十把一絡げの解析を盲目的に信じるのも抵抗がある。 最後に、高齢者を専門とする臨床医として感想を一言述べたい。高齢者においては「うつ病エピソード」はさまざまな理由で起こりうるが、表面的な現象であることも多い。外来に「うつです」と来院される年配の方は多いが、初期のアルツハイマー型認知症のために仕事の失敗が増えて、当然の反応として抑うつ的になっている方や、レビー小体型認知症(DLB)の一症状としてのうつという方も多い。中枢神経の変性疾患の方に、抗うつ薬を処方すると有害事象が生じやすく、とくにDLBでは非常に危険なのである。また、高齢期はさまざまな環境変化(多くは別れと喪失)の時期でもあり、抗うつ薬で治るようなものではない。結果的に、私はほとんど抗うつ薬は処方しないが、しばしば純粋なうつ病の方には処方し、著効する。しかし、世間では、認知症なのに表面的な操作診断に基づいて抗うつ薬を処方されている方は多いようだ。児童思春期・高齢期は、心の成長期・収穫期という違いはあるが、安定した成人期の前・後という点では共通点も多いように感じている。エビデンスは重要だが、この論争にはなかなか決着はつかないのではないか、と思う次第である。参照文献※ Curry J, et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2006;45:1427-1439. 

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Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャー Q35

Q35 急性前立腺炎を疑って治療を開始する際に、前立腺炎への移行性を考慮してフルオロキノロンで治療を開始するべきですか? 「急性」前立腺炎であれば、基本的に移行性について考慮する必要はありません。大腸菌のフルオロキノロン耐性割合の多さを考えると、初期治療としてフルオロキノロン単剤治療は勧められるものではありません。 「臓器移行性」という言葉は一人歩きしやすいキーワードです。抗菌薬選択の際に考慮するべき要素ではありますが、それだけで決まるものではありません。前立腺は炎症がない状態では組織内へ移行する抗菌薬が限られていますが、急性炎症の存在下ではほとんどの抗菌薬が移行します1)。ですので、「急性」前立腺炎の初期治療を考えるうえでは臓器移行性はことさら考慮する必要はなく、地域や施設での耐性菌状況に応じて選択するべきだと思います。2014年のJANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業)のデータでは、レボフロキサシンに耐性を示す大腸菌の割合は36.1%でした2)。「移行性」だけで抗菌薬を選択すると失敗しかねません。初期治療としてはセフトリアキソンやセフタジジムといった第3世代のセファロスポリン(後者は院内発症で緑膿菌を考慮する場合)を選択することが多いです。敗血症性ショックでESBL産生菌まで外せない場合は初期治療としてカルバペネムを使用するのも妥当だと思います(感受性検査判明後にde-escalationします)。これに対して「慢性」前立腺炎は組織の炎症が乏しいため、組織内に移行する抗菌薬は限られます。耐性がなければフルオロキノロンが良い選択薬になります。フルオロキノロンに耐性がある場合は、ST合剤やテトラサイクリン系抗菌薬が移行性の観点からは使用可能です1)。 1)Lipsky BA, et al. Clin Infect Dis. 2010;50:1641-1652.2)公開情報 2014年1月~12月年報 院内感染対策サーベイランス検査部門.厚生労働省 院内感染対策サーベイランス事業.(参照 2016.6.20)

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青年期うつ病を予測する小児期の特徴

 カナダ・オタワ大学のMurray Weeks氏らは、16~17歳の抑うつ症状を有する青少年における4~5歳から14~15歳にかけての内在化問題、外在化問題、学力の3つのドメインについて縦断的に調査した。Journal of adolescence誌オンライン版2016年6月8日号の報告。 対象は、小児と青少年の全国縦断研究の一環として年2回フォローされたカナダの小児6,425人。 主な結果は以下のとおり。・内的ドメイン(すなわち、安定性)の影響は中程度であった。・小児期早期の内在化問題と外在化問題の間(正の相関)、および小児期後期、青年期の学力と外在化問題との間(負の相関)で、1時点(すなわち、one-lag cascades)での縦断的クロスドメインの影響を見出した。・また、4~5歳の低い学力と6~7歳の内在化問題の大きさが12~13歳以上の外在化問題を予測し、6~7歳以上の外在化問題が16~17歳以上のうつ病を予測することについて、複数時点(すなわち、multi-lag cascades)でのカスケード効果を見出した。・青年期うつ病への重要な経路は、小児期および青年期の内在化問題を通じた経路の安定性、ならびに適応のすべてのドメインを含む可能性のある複数の経路を含んでおり、これは青年期うつ病の多因子の性質を浮き彫りにするものである。関連医療ニュース 青年期うつは自助予防可能か 成人期まで持続するADHD、その予測因子は 生徒のうつ病に対する教師サポートの影響は

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