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肥満と飲酒は相乗的に肝疾患リスクを増大する

アルコール消費量とBMIは、相乗的に肝疾患リスクを増大するようだ。英国グラスゴー大学地域医療部門公衆衛生・ヘルス政策のCarole L Hart氏らが1万人近いスコットランド人男性が参加した2つの前向きコホート試験データを解析し、報告した。BMJ誌2010年3月20日号(オンライン版2010年3月11日号)掲載より。平均47歳スコットランド人男性1万弱を29年追跡解析が行われたのは、男性9,559例(平均年齢47.3±9.55歳)が参加した「Midspan」と呼ばれる2つの前向きコホート試験。1つ目の「Main」試験は、1965~1968年にスコットランド中心地帯の職場、タイリー島および本島の住民が参加し行われた(参加者年齢:14~92歳)。2つ目は「Collaborative」試験で、1970~1973年にグラスゴー、クライドバンク、グランジマウスにある27の職場から参加者が集められ行われた(同:21~75歳)。両試験参加者は2007年12月31日まで、平均29年(範囲:0.13~42年)追跡された。参加者は、BMI値(25未満:やせ/標準体重、25~<30:過体重、≧30:肥満)と、アルコール消費量(非飲酒、1~14、≧15単位/週;1単位はビール1/2本)で、9グループに振り分けられ、肝疾患罹患率、死亡率について検討された。BMIとアルコール消費量とも数値が高い人ほどリスク増主因が肝疾患だった死亡は80例(0.8%)、原因を問わない肝疾患死亡は146例(1.5%)だった。「Collaborative」試験では、196例(3.3%)が、肝疾患による死亡、入院またはがんだった。BMI(P=0.001)とアルコール消費量(P

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准教授 平山陽示先生「全人的医療への入り口」

平山先生は循環器内科医を20年経験後、総合診療科の道に入る。医師が自分の専門領域しか診察しない今の医療体制を変化させるべく、総合的に診察して患者さんのメンタル面を含む治療アプローチを実践。東京医科大学病院における「総合診療科」の設立に尽力し現在活躍中である。プライマリ・ケアの重要性から総合診療へ大学病院での初期研修は、通常各診療科目をラウンドしますが、それだけではプライマリ・ケアの習得は困難です。専門診療科のラウンドでは入院患者ばかりを診察、外来患者を診察することがほとんどありません。大部分の患者さんは既に診断がついています。しかし、多くの患者さんは「疾患名」ではなく「主訴」で病院の外来を訪れます。そこでは患者さんの訴えから病気を診断していく重要なプロセスがあります。「症候論」といってもいいし、「診断学」「診断推論」と言っても構いませんが、この初期の段階では幅広い知識と技術が必要です。そして、この研修にはプライマリ・ケアを扱う部門が必要となります。例えば、循環器内科をラウンドすれば心筋梗塞の入院患者さんを診察。しかし、この患者さんが病院を訪れたのは「胸が痛かった」からであり、実際にはこの「胸痛」という症候から正しく診断しなければならないわけです。「胸痛」を主訴とする患者は心臓が原因であれば循環器科、肺が原因でならば呼吸器科、肋骨骨折ならば整形外科、帯状疱疹ならば皮膚科、心因性の胸痛ならば精神科に紹介することもあるわけです。循環器医は心臓由来の胸痛ではないと診断するだけではなく、その患者の胸痛の原因がなんであるのかを推論、院内でたらい回しをせずに適切な診療科に橋渡しするべきです。だからこそ専門治療のスぺシャリストを目指ししている医師にもプライマリ・ケアの知識が必要なのです。幅広いジェネラリストの上にスペシャリストが立つのです。ジェネラリストとしての地固めをしないと良いスペシャリストにはなれません。以前は、プライマリ・ケアを学ぶ場はあまりありませんでした。アクセスのよい都心にある東京医科大学は市民病院的な役割も果たしており、紹介状の有無に限らず、単なる風邪や下痢で来院する患者さんも比較的多く、プライマリ・ケアを学ぶ環境が揃っていました。それも総合診療科が育った要因です。また、この領域では全国的に有名な大滝純司教授をお迎えすることが出来たのも幸運でした。なぜ総合診療なのか東京医科大学病院総合診療科設立のきっかけは新医師臨床研修制度の始まりでした。新制度の目的がプライマリ・ケアの習得であるので、当院では初期研修医に総合診療科のラウンドが義務付けられています。最近では後期研修で総合診療科を希望する人が増えてきており、総合診療科が役に立つ診療科目であることを研修医たちが認知し始めているのを実感しています。総合診療科は、文字どおり総合的に患者さんを診る診療科であり、患者さんが訴えている症状を読み取り、身体所見や検査所見を加味して推論した診断で次なる専門診療科への道筋をつけるチーム医療と同時に、専門医の手を煩わせることもない一般的な疾患(Common disease)は総合診療科で治療をしています。また、総合診療では専門診療科との連携を図りながら、プライマリ・ケアを通して診療のの基礎を固めることができます。ですから、総合診療科の役割のひとつは、研修医に病気を診るのではなく患者さんを診るという態度を身に付けさせることでもあるのです。例えば、MUS(Medically unexplained symptom:医学的に説明できない症状)を訴えてくる患者さんにはメンタルな要因も多いわけですが、そのときに身体疾患がみつからなくとも"症状"まで否定することなく、その症状を現す意味について、患者さんの社会的環境要因も考えるぐらいのことが医師の頭の中にないといけません。いわゆる「全人的医療」、つまり病気を診るのではなく患者さんを診ることの教育が必要なのです。診療科目が細分化されすぎて専門的な知識のみで症状を追うのではなく、幅広いプライマリ・ケアの知識を持った上での診察が求められています。東京医科大学病院の研修医にこの意識を持たせることも総合診療科の重要な役割です。総合診療科という立場への理解不足総合診療科として専門診療科の医師と連携がうまくとれているかと言えば、必ずしもそうではありません。それは臓器専門医にプライマリ・ケアが十分に理解されてないからだと思います。総合診療科は初期診療の担い手ですが、決してスーパーマンではないので、専門診療科で診ないと言った患者さんを何でも引き受けることが出来るわけではありません。極端な例を挙げれば、原発不明がんの患者さんは、いくつかの臓器にがんが見つかっても原発巣が同定されないと、どの診療科も主治医になろうとはせず院内でたらい回しにされてしまう危険があります。だからといってプライマリ・ケアの総合診療科がこのような患者を受け持つことは適切ではありません。現に専門診療科からの患者さんの押し付けで疲弊している総合診療科も多々あるように聞いています。また、総合診療の場合、各診療科目との連携が重要となるのでコミュニケーション能力は極めて重要です。しかし、連携を図るのが容易でない時があります。その場合相手の診療科に患者さんを押し付けるのではなく「一緒に診てほしい」「相談に乗ってほしい」とお願いする心がけを指導しています。連携をとる苦労はどこにでもあると思いますが、難しいですね。総合医の果たす役割今の医療体制では、患者さんが自ら診療科を探すことが多いため、自ら選んだ診療科では病気が分からず帰宅するケースがあります。その意味では総合診療科は医療の玄関口として、その先に専門性の高い医師に依頼して先端治療へ導くなど役割は大きいです。また、プライマリ・ケアを通して診療の基本を研修医に教えるのも総合医であり総合診療科の役割です。現在では、総合的に診療ができるジェネラリストが求められています。総合診療科を目指すドクターがもう少し多くならなくては、今の医療体制の変革には限界があると思います。英国では家庭医制度が確立されており、患者がいきなり総合病院や大学病院に行くことはまずありません。家庭医に診てもらってから専門医へ紹介され診療を受けます。そのため家庭医になるためのプログラムが確立しています。我々の総合診療科でも家庭医養成プログラムを用意しており、何人かの後期研修医がそのプログラムに則って研修しています。家庭医はメンタル面を含めた総合的な診察をします。家族全員を診るため、大人は内科、子どもは小児科などの振り分けを行わず、家族に同じ症状があれば家庭内での原因も探ります。家族全体を診ていくという姿は医療の理想のひとつの型でもあります。もし、そういう家庭医を大学病院でも育てていくとしたら総合診療科がなくてはできないと思います。総合医認定制度がスタート総合診療科がしっかりとプライマリ・ケアを実践するには、専門医に委ねるべき患者を臓器別専門科がしっかり請け負ってくれることが大切です。総合診療と専門診療がうまく連携できていれば、より少ない専門医でも病院は機能するはずですし、それが本来の病院の姿だと私は思っています。厚生労働省も総合医を推進、「総合医認定制度」を視野に入れて検討しているようです。日本プライマリ・ケア学会、日本総合診療医学会、日本家庭医療学会の3学会は、今春にひとつにまとまって総合医(家庭や総合診療医)の育成プログラムと認定に向けてすでに準備が進んでいます。この認定制度により、首都圏はもとより地域医療も大きく変化、そして患者さん側の医療に対する意識も変化していくでしょうね。多くの総合医(ジェネラリスト)が活躍すれば患者さんは単なる風邪や下痢などの一般的な疾患で大病院を受診することも少なくなり、医療費削減にもつながります。私は東京医科大学病院において、総合診療科の第一線で活動してきました。現在取材も多く、注目を浴びている診療科目です。ぜひ、総合医(ジェネラリスト)を目指す人が多くなることを期待します。質問と回答を公開中!

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症候性頸動脈狭窄、ステント留置術は時期尚早?:ICSS試験

手術適応の症候性の頸動脈狭窄に対する第一選択治療は、現時点では頸動脈内膜切除術(CEA)とすべきことが、英国University College London神経学研究所のMartin M Brown氏らが進めている無作為化試験(ICSS試験、http://www.cavatas.com/)の中間解析で示された。CAVATAS試験では血管内治療(ステント使用/非使用の血管形成術)が有用な可能性が示唆されたが、CEAの主要な合併症(脳神経傷害、重度血腫)は回避しうるものの術後30日以内の脳卒中/死亡の発生率はいずれの治療でも高かった。また、SPACE試験ではCEAに対する頸動脈ステント留置術(CAS)の非劣性が示せず、EVA-3S試験では周術期の脳卒中/死亡の発生率がCASよりもCEAで有意に低かったため、いずれの試験も早期中止となっている。Lancet誌2010年3月20日号(オンライン版2010年2月26日号)掲載の報告。安全性に関する中間解析ICSS(International Carotid Stenting Study)試験の研究グループは、CASとCEAの有用性を比較する国際的な多施設共同無作為化対照比較試験を進めており、今回の中間解析では安全性に関する結果を報告した。症候性の頸動脈狭窄の患者が、CASあるいはCEAを施行する群に無作為に割り付けられた。治療割り付け情報は患者、研究者ともにマスクされず、患者のフォローアップは治療に直接には関与しなかった医師が独立に行った。主要評価項目は術後3年間における致死的あるいは廃疾性の脳卒中(disabling stroke)の発生率であり、現時点では解析結果は出ていない。安全性に関する中間解析の主要評価項目は、術後120日間における脳卒中、死亡、治療関連心筋梗塞の発生率であった。安全性の主要評価項目、CAS群8.5%、CEA群5.2%で有意差あり2001年5月~2008年10月までに、ヨーロッパ、オセアニア、カナダの50施設から1,713例が登録され、CAS群に855例が、CEA群には858例が割り付けられた。割り付け直後に試験を中止した3例(CAS群:2例、CEA群:1例)はintention-to-treat解析には含めなかった。無作為割り付け後120日までの死亡および廃疾性脳卒中の発生率は、CAS群が4.0%(34例)、CEA群は27例(3.2%)であり、両群間に有意な差はなかった(ハザード比:1.28、95%信頼区間:0.77~2.11)。120日までの脳卒中、死亡、治療関連心筋梗塞の発生率は、CAS群が8.5%(72例)、CEA群は5.2%(44例)であり、CAS群で有意に高かった(ハザード比:1.69、95%信頼区間:1.16~2.45、p=0.006)。脳卒中はCAS群65例、CEA群35例(ハザード比:1.92、95%信頼区間:1.27~2.89)、全死亡はそれぞれ19例、7例(ハザード比:2.76、95%信頼区間:1.16~6.56)にみられ、いずれもCAS群で有意に多かった。治療関連心筋梗塞は、CAS群で3例にみられすべて死亡したのに対し、CEA群で認めた4例はいずれも非致死的であった。脳神経麻痺は、CAS群では1例のみであったが、CEA群では45例に認めた。血腫の頻度も、それぞれ31例、50例と、CAS群で有意に少なかった(p=0.0197)。これらの結果により、著者は「頸動脈内膜切除術との比較における頸動脈ステント留置術の有用性を確立するには、長期のフォローアップを完遂する必要がある」とし、「それまでは、手術適応の症候性頸動脈狭窄患者に対する治療としては頸動脈内膜切除術を選択すべきである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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小児喘息、低用量吸入ステロイド療法でコントロール不良の場合の次なる選択肢は?

低用量吸入ステロイド療法(ICS)を受けていても、多くの子どもでコントロール不良の喘息が起きる。米国ウィスコンシン大学医学公衆衛生校Robert F. Lemanske氏らは、コントロール不良が起きた場合の次なる治療法に関して模索する試験「BADGER(Best Add-on Therapy Giving Effective Responses)」を実施した。これまでステップアップ療法に関するエビデンスはない。検討されたのは、「ICS増量」「LABA追加」「LTRA追加」の3つのステップアップ療法で、基線特性によって次なる選択肢としてどれが最適かが評価された。NEJM誌2010年3月18日号(オンライン版2010年3月3日号)掲載より。3つのステップアップ療法に対する反応差を検証試験は、fluticasone 100μgを1日2回投与ではコントロール不良だった、6~17歳児182例。対象児は、3つの盲検化されたステップアップ療法、すなわち「ICS増量」(fluticasone 250μgを1日2回)、「LABA追加」(fluticasone 100μg+長期作用型β作動薬50 μgを1日2回)、「LTRA追加」(fluticasone 100μgを1日2回+ロイコトリエン受容体遮断薬5mg/日もしくは10mg/日)を、無作為にオーダーされた順番で16週間ずつ計48週間受けた。使用された薬剤商品名はそれぞれ、fluticasoneは「Flovent Diskus」、長期作用型β作動薬は「Advair Diskus」、ロイコトリエン受容体遮断薬は「Singulair」である。評価は、複合転帰[増悪、コントロールできた日数、1秒量(FEV1)]を指標に、それぞれのステップアップ療法間の反応差が25%以上となるかどうかが判定された。「LABA追加」への反応が最も良さそうだったが……反応差が確認されたのは、165例の患児のうち161例(P<0.001)だった。反応が最も良かったのは「LABA追加」で、「LTRA追加」と比べて相対確率は1.6倍(P=0.004)、「ICS増量」とでは同1.7倍(P=0.002)だった。また「LABA追加」への反応は、無作為化前の喘息コントロールスコア(基線でのコントロール良好)が高い患児ほど、反応が良さそうだった。人種別の特性としては、白人の子の「LABA追加」への反応が最も良さそうだったこと、黒人の子の「LTRA追加」への反応が最も悪そうだったことが挙げられている。しかし結論としてLemanske氏は、「「LABA追加」への反応が他の2療法よりも有意に高いようだったが、他の2療法の方が最良の反応だった患児も多かった。したがって、定期的モニタリングを欠かさず、患児に応じた最適なステップアップ療法を選択していく必要があることが強調されたと言える」とまとめている。(医療ライター:武藤まき)

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米国がんセンターの約8割以上で緩和ケアプログラムを提供

米国のがんセンターの約8割以上で、緩和ケアプログラムを設置・提供していることが、米国テキサス大学緩和ケア・リハビリ部門のDavid Hui氏らが行った、全米約140ヵ所のがんセンターに対する調査で明らかになった。なかでも、米国国立がんセンター(National Cancer Institute:NCI)認定のがんセンターでは、緩和ケアプログラムの設置率は98%に上っているという。JAMA誌2010年3月17日号掲載より。緩和ケア専門医はNCI認定センター92%、非指定は74%に同研究グループは、2009年6~10月にかけて、全米71ヵ所のNCI認定がんセンターと、無作為に抽出した全米71ヵ所のNCI非認定がんセンターに対し、調査を行った。調査票は、センター管理職や緩和ケア臨床プログラムの責任者に対し送付され、回収率はそれぞれ71%と82%だった。その結果、緩和ケアプログラムを設置していたのは、認定センター51ヵ所中50(98%)に対し、非認定センターでは50ヵ所中39(78%)だった(p=0.002)。また最低1人以上の緩和ケア専門の医師がいたのは、認定センターが92%、非認定センターは74%(p=0.04)、入院患者向け緩和ケア・コンサルテーション・チームを設置していたのは、それぞれ92%と56%(p

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【お知らせ】セミナー「iPhone in Medicine:診療現場にiPhoneを」

来る4月10日(土)、アップルストア銀座店において、iPhoneの医療における活用事例を紹介するセミナー「iPhone in Medicine:診療現場にiPhoneを」が開催されます。革新的な研修医教育プラットフォーム「Resi-Share Pyramid」、救急現場での遠隔医療画像参照ソリューション「ProRad DIVA」、電子カルテを利用した訪問医療の新しいコミュニケーションスタイル「WINE CORK」など、iPhoneを使った最新の医療関連サービスを、実際にiPhoneを活用しているドクターがご紹介します。 ※セミナーにおいて、ケアネットから革新的な研修医教育プラットフォーム「Resi-Share Pyramid」を紹介させていただきます。「Resi-Share Pyramid」については下記をご覧ください。●「Resi-Share Pyramid」概略(PDF)http://www.carenet.com/news/carenet/pdf/resishare.pdf 【日時】4/10(土)9:00-13:00 【開催場所】アップルストア銀座店 〒104-0061東京都中央区銀座3-5-12 【題目】iPhone in Medicine:診療現場にiPhoneを 【司会・進行】神戸大学大学院医学研究科内科学講座特命講師 杉本真樹 先生 【当日スケジュール】8:45 開場9:00-9:20  医療従事者から見たiPhone・海外事例紹介        神戸大学医学部 杉本真樹先生9:20-10:00  Resi-Share Pyramid(研修医・看護師教育・復帰支援)        株式会社ケアネット医療コンテンツ部長 姜琪鎬氏        医療法人社団 淀さんせん会 金井病院理事長 金井伸行先生10:00-10:40 Pro Rad DiVa:遠隔読影        株式会社 トライフォー代表取締役社長 広瀬勝己氏        慈恵医大脳神経外科助教 高尾洋之先生10:40-11:00 休憩・質疑応答11:00-11:40 WINE Cork:地域医療、訪問・在宅医療        キワム電脳工務店、医師 高橋究 先生        医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック院長 遠矢純一郎先生11:40-   質疑応答 【問い合わせ先】 アップルストア銀座店http://www.apple.com/jp/retail/ginza/ 

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受診ごとのSBP変動の増大、最大SBP高値が脳卒中の強い予測因子に

収縮期血圧(SBP)の受診ごとの変動および最大SBPは、平均SBPとは独立に、脳卒中の強力な予後予測因子であることが、イギリスOxford大学John Radcliffe病院臨床神経内科のPeter M Rothwell氏らによる検討で明らかとなった。血管イベントの原因として一定期間の血圧の平均値が重視され、広く高血圧の診断や治療の指針となっているが、血圧の上昇が脳卒中などの血管疾患を引き起こすメカニズムは完全には解明されていないという。平均血圧が重要なことは明確だが、受診ごとの血圧変動や最大血圧が血管イベントの発症に部分的に関与している可能性があり(特に高齢者)、著者らはすでに脳卒中の高リスク集団では受診ごとの血圧変動幅が大きいことを示している。Lancet誌2010年3月13日号掲載の報告。UK-TIA、ASCOT-BPLA、ESPS-1、Dutch TIA試験のデータを解析研究グループは、血圧の受診ごとの変動、最大血圧、未治療のエピソード的高血圧、治療中の患者の残存的な血圧変動が予後に及ぼす影響について検討した。UK-TIAアスピリン試験とその妥当性を検証した3つのコホート試験(ASCOT-BPLA、ESPS-1、Dutch TIA)に参加した一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴を有する患者、およびASCOT-BPLA(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial Blood Pressure Lowering Arm)試験に参加した既治療の高血圧患者を対象に、脳卒中のリスクと受診ごとの血圧変動、最大血圧との関連について解析を行った。ASCOT-BPLA試験では24時間自由行動下血圧測定(ABPM)の検討も行われた。治療中の高血圧患者ではSBPの受診ごとの変動幅の増大が重要なリスク因子個々のTIAコホートでは、SBPの受診ごとの変動は脳卒中の強力な予測因子であり(UK-TIAの7回の受診におけるSBPの標準偏差の最大10分位ハザード比:6.22、p<0.0001)、平均SBPとは独立の因子であったが、測定の正確性とは依存性の関係がみられた(10回の受診の最大十分位ハザード比:12.08、p<0.0001)。最大SBPも脳卒中の強い予測因子であった(7回受診の最大10分位ハザード比:15.01、p<0.0001)。ASCOT-BPLAでは、治療中の高血圧患者における受診ごとのSBPの残存的な個体内変動も、脳卒中や冠動脈イベントの重要な予測因子であり(脳卒中の最大10分位ハザード比:3.25、p<0.0001)、受診時およびABPMの平均SBPとは独立の因子であった。ABPMの変動は弱い予測因子であったが、いずれのコホートでも血圧変動に関する測定項目はどれも、若年者や平均SBP低値(<中央値)の患者において脳卒中を予測した。著者は、「SBPの受診ごとの変動および最大SBPは脳卒中の強力な予測因子であり、平均SBPとは独立の因子である。治療中の高血圧患者における受診ごとのSBPの残存的な変動の増大は血管イベントの高いリスク因子である」と結論し、「今後は、血圧の受診ごとの変動に関連する予後情報をルーチンの日常診療で簡便に使用可能にする方法を確立する必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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待機的冠動脈造影には、よりすぐれたリスク選別の方法が必要

心臓カテーテル検査適応患者の選別に関して、ガイドラインではリスクアセスメントと非侵襲検査を推奨している。米国デューク大学臨床研究所のManesh R. Patel氏らの研究グループは、実施されている非侵襲検査の種類と、冠動脈疾患が疑われる患者に施行するカテーテル検査の診断精度について、米国の最新サンプルデータを用いて検討を行った。NEJM誌2010年3月11日号掲載より。待機的心カテ検査の精度は3分の1強にとどまる試験は、2004年1月から2008年4月にかけてAmerican College of Cardiology National Cardiovascular Data Registryに参加する663病院で、待機的カテーテル検査を受けた冠動脈疾患の既往のない患者を同定し対象とした。患者の人口統計学的特性、リスクファクター、症状、非侵襲検査の結果について、閉塞性冠動脈疾患との関連性を調査。その際、閉塞性冠動脈疾患は左主幹冠動脈の直径50%以上の狭窄または主要心外膜血管の直径70%以上の狭窄と定義された。この研究では、合計39万8,978例の患者が対象となり、年齢中央値は61歳、男性が52.7%、26.0%に糖尿病が、69.6%に高血圧症がみられた。非侵襲検査は患者の83.9%に実施された。カテーテル検査から37.6%(14万9,739例)に閉塞性冠動脈疾患が認められ、冠動脈疾患なし(狭窄が全血管の20%未満と定義)は39.2%だった。リスク層別化の優れた方策の必要性を強調解析の結果、閉塞性冠動脈疾患の独立予測因子として、「男性」(オッズ比:2.70、95%信頼区間:2.64~2.76)、「高齢」(5歳加齢当たりオッズ比:1.29、95%信頼区間:1.28~1.30)、「インスリン依存性糖尿病を有する」(オッズ比:2.14、95信頼区間:2.07~2.21)、脂質異常症(同:1.62、1.57~1.67)だった。非侵襲検査の結果が陽性の患者は、検査を一つも受けなかった患者と比べ閉塞性冠動脈疾患を有する割合が高かったが、わずかだった(41.0%対35.0%、P

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医療機器用滅菌包装材「キムガード 滅菌バッグ」新発売

キンバリークラーク・ヘルスケア・インクは18日、医療機器用滅菌包装材「キムガード スタンダード滅菌バッグ」「キムガード プラズマ用滅菌バッグ」を医療機関向けに4月1日に発売すると発表した。同社従来品の滅菌ラップは、シート状のもので大型の医療機器を包装し滅菌することに適している。今回発売される滅菌バッグは、バッグ内に機器を入れ包装し滅菌するタイプ。ラップとバッグの両タイプを取り揃えることで、医療機器のサイズや使い勝手に合わせて包装材を選択できるようになるという。また、滅菌工程を通過したことが判別できるよう、滅菌バッグの表面にはインジケーター(プロセスインジケーター)が印刷されている。キムガード 滅菌バッグのインジケーターは、色調変化と文字表示が大きく、滅菌工程通過が判別しやすくなっている。また、ヒートシール(加熱密封)しただけで、インジケーターが滅菌済みのように色調変化することがないとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.kchealthcare.com/japan/PDF/File_1.pdf

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チロシンキナーゼ阻害薬「スーテント」のOS(全生存期間)データがASCO GUで発表-日本人の転移性腎細胞がん患者における長期生存を確認

ファイザー株式会社は18日、日本人の転移性腎細胞がん(mRCC)患者においてスーテント(一般名:スニチニブリンゴ酸塩)が生存期間の延長に貢献することが国内第Ⅱ相試験の最終解析により明らかになったと発表した。このデータは国内フェーズ2試験の最終解析によるもので、3月5~7日にサンフランシスコで開催された2010 Genitourinary Cancers Symposium (ASCO GU)において浜松医科大学泌尿器科の麦谷荘一氏によって発表された。同試験では、患者の全身状態の指標となる「ECOG PS」が0~1、腎摘手術あり、未治療あるいはサイトカインベースの全身療法レジメンを受けたことのある日本人mRCC患者に対するスーテントの有効性と安全性を検討した。登録患者は未治療群25例(ファーストライン治療)、既治療群26例の計51例。有効性の評価(主治医判定)では、奏効率は52.9%(未治療群52%、既治療群53.8%)、PFSの中央値は未治療群が12.2ヵ月、既治療群が10.6ヵ月、OSの中央値は未治療群が33.1ヵ月、既治療群が32.5ヵ月と、海外の第Ⅲ相試験結果(奏効率:47%、PFS中央値:11ヵ月、OS中央値:26.4ヵ月)2と比べ同等以上の結果であり、特にOSに関しては海外第Ⅲ相試験の成績を約半年間上回る結果だったという。●詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2010/2010_03_18.html

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小児の重症感染症の危険信号となる臨床徴候を同定

外来診療における小児の臨床徴候のうち、重症感染症の危険信号(red flag)としてチアノーゼ、速い呼吸、末梢循環不全、点状出血発疹が重要であり、両親の心配や臨床医の直感も危険なことが、ベルギーLeuvenカトリック大学一般医療科のAnn Van den Bruel氏らが行った系統的なレビューで明らかとなった。小児重症感染症の死亡率や罹患率を低減するには早期の正確な診断が要件となるが、重篤な病態の罹患率は低く、また重症度が明確でない早期の時点で重篤な病態を呈する患児はほとんどいないため診断は容易でないという。プライマリ・ケアでは重篤な病態に至る患児は1%未満だが、臨床医には心配する両親を安心させ、重症患児を診断する義務がある。Lancet誌2010年3月6日号(オンライン版2010年2月3日号)掲載の報告。危険信号としての臨床徴候を尤度比で評価研究グループは、先進国における外来診療時の小児重症感染症の鑑別に有用な臨床徴候の同定を目的に系統的なレビューを行った。小児の重症感染症の臨床徴候を評価した論文を同定するために、データベース(Medline、Embase、DARE、CINAHL)を検索し、関連研究の参考文献リストに当たり、各研究者と連絡を取った。1,939の関連文献を同定し、さらに以下の6つの基準で論文の絞り込みを行った。1)診断精度や予測基準を評価する研究、2)対象は感染症以外の疾患がみられない1ヵ月~18歳の小児、3)外来診療、4)予後:重症感染症、5)外来診療で評価が可能な徴候、6)十分なデータが提示されている。試験の質の評価は、Quality Assessment of Diagnostic Accuracy Studiesの判定基準で行った。各臨床徴候について、重症感染症発現の尤度比(陽性尤度比)および非発現の尤度比(陰性尤度比)を算出した。陽性尤度比>5.0の臨床徴候を重症感染症の危険信号とし、陰性尤度比<0.2の場合は除外徴候とした。リスクのレベルに応じてとるべき臨床行動を同定すべき30の試験が解析の対象となった。チアノーゼ(陽性尤度比:2.66~52.20)、速い呼吸(同:1.26~9.78)、末梢循環不全(同:2.39~38.80)、点状出血発疹(同:6.18~83.70)が複数の研究で危険信号として同定された。プライマリ・ケアに関する一つの研究では、両親の心配(陽性尤度比:14.40、95%信頼区間:9.30~22.10)および臨床医の直感(同:23.50、同:16.80~32.70)が強力な危険信号であった。40℃以上の発熱は、重症感染症の罹患率が低い状況でも危険信号としての価値はあることが確認された。単一の臨床徴候のみで重症感染症の可能性を除外することはできなかったが、いくつかの徴候を組み合わせると可能であった。たとえば、呼吸困難がみられず、かつ両親の心配がない場合は、肺炎は高い確率で除外できた(陰性尤度比:0.07、95%信頼区間:0.01~0.46)。観察所見で重症度を判定するYale Observation Scaleは、重症感染症の確定(陽性尤度比:1.10~6.70)にも、除外(陰性尤度比:0.16~0.97)にも有効ではなかった。これらの結果を踏まえ、著者は「今回の検討で同定された重症感染症の危険信号はルーチンに用いるべきだが、効果的な予防措置を講じなければ重篤な病態は今後も見逃されるだろう」とし、「リスクのレベルに応じてとるべき臨床行動を同定する必要がある」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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エフエム東京、子宮頸がん啓発ライブイベントを開催

4月に開局40周年を迎えるエフエム東京は、若い女性の間で増えている子宮頸がんの予防啓発プロジェクトの第1弾として、4月9日にライブイベントを開催する。ライブイベント「Hellosmile Live2010」は、4月9日、東京都文京区のJCBホールで開催され、出演者はすべて女。伊藤由奈、BENI、YOSHIKA、LOVE、leccaの予定。詳細はこちらhttp://www.tfm.co.jp/hellosmile/

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血液も拭き取れる、全面フラットのキーボード「“COOL LEAF”Φ-QWERTY」を開発

ミネベア株式会社は2日、キーボードなど全面がフラットのインプットインターフェイス(入力機器)に使用可能な次世代入力機器“COOL LEAF” を開発したと発表した。このシリーズは、デザインディレクターの川崎和男氏(大阪大学大学院教授)とのコラボレーションによるもの。“COOL LEAF”は、インプットデバイス(入力機器)のキートップを全て無くしたフラットデザインが特徴の入力機器。キーボード「Φ-QWERTY」、リモートコントロール「Φ-Remote」、計算機「Φ-Calc」の3製品がある。従来のキートップは、凹凸があることから清掃に手間がかかっていた上に、表面や機器内部に汚れや埃が堆積しやすく不潔になりがちだった。全面一枚板を採用しているため、入力面の清掃が容易で常に清潔に保つことができる。医療現場では感染予防のため、血液の付着したキーボードは廃棄処分の対象になるというが、フラットなキーボードであれば、アルコールと中性洗剤で表面に付着したバクテリアや血液を除去できる。“COOL LEAF”は同社のキーボード(入力機器)、ライティングデバイス(導光板式バックライト)、計測機器(フォースセンサー)の設計・開発で培ってきた技術の組み合わせによって製品化が実現したもの。また、製品化にあたっては、東レ株式会社が開発した新素材フィルムをフラットトップに採用し、世界で初めて「静電容量式タッチパネル」と「荷重センサー」を組み合わせた入力機構に実装したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.minebea.co.jp/press/2010/1185130_3997.html

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頸動脈狭窄、内膜摘除か?ステント留置か?:短期・中期アウトカムの比較

米国ミシガン大学のPascal Meier氏らの研究グループは、議論が続いている頸動脈狭窄に対する頸動脈内膜摘除術と頸動脈ステント留置術の、周術期における安全性と中期の有効性を評価するため、過去に行われた無作為化臨床試験のシステマティックレビューとメタ解析を行い、BMJ誌2010年2月27日号(オンライン版2010年2月12日号)に発表した。死亡または脳卒中の複合エンドポイントで比較使用したデータ・ソースは、1990年1月1日から2009年7月25日までのBIOSIS、Embase、Medline、the Cochrane central register of controlled trials、International Pharmaceutical Abstracts database、ISI Web of Science、Google scholar and bibliographies。症状の有無にかかわらない頸動脈狭窄患者を対象とした無作為化対照試験で、頸動脈内膜摘除術群と頸動脈ステント留置術群について比較を行った。主要エンドポイントは「死亡または脳卒中」の複合とした。また2次エンドポイントとして、「死亡」「脳卒中」「心筋梗塞」「顔面神経麻痺」と「死亡または重い障害の残る脳卒中」を評価した。11試験(4,796例)が対象となり、そのうち10試験(4,709例)が短期アウトカム(30日以内の周術期)を、9試験が中期アウトカム(1~4年)を報告していた。中期アウトカムは有意差なし、症状に応じた選択が必要周術期の「死亡または脳卒中」リスクは、ステント術群より内膜摘除術群の方が低かった(オッズ比0.67、95%信頼区間:0.47~0.95、P=0.025)。その主な要因は「脳卒中」リスクの低下(0.65、0.43~1.00、P=0.049)によるもので、「死亡」リスク(1.14、0.56~2.31、P=0.727)ならびに「死亡または重い障害の残る脳卒中」リスクに有意差はなかった(0.74、0.53~1.05、P=0.088)。一方、周術期の「心筋梗塞」(2.69、1.06~6.79、P=0.036)、「脳神経損傷」(10.2、95%CI 4.0~26.1、P

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搬送中の上腕虚血プレコンディショニング、primary PCI後の心筋救済を改善

急性心筋梗塞が疑われる患者に対する搬送中の上肢の虚血プレコンディショニングは、primary PCI施行後の心筋救済(myocardial salvage)を改善し安全性も良好なことが、デンマークAarhus大学Skejby病院のHans Erik Botker氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。虚血プレコンディショニングは、心筋を事前に短時間の虚血状態に曝露するとその後に起きる心筋障害が軽減される現象で、内因性の心保護作用として重視されている。上肢や下肢の遠位虚血プレコンディショニングは待機的手術や血管形成術施行時の心筋障害を抑制することが示されている。Lancet誌2010年2月27日号掲載の報告。遠位虚血プレコンディショニングの有無で、primary PCI後30日の心筋救済インデックスを比較初回経皮的冠動脈インターベンション(primary PCI)が予定されているST上昇心筋梗塞患者に対する遠位虚血プレコンディショニングは心筋救済を改善するとの仮説を検証するために、プロスペクティブな単施設無作為化対照比較試験が行われた。2007年2月~2008年11月までに初回心筋梗塞が疑われる18歳以上の患者333例が登録され、primary PCI施行前に遠位虚血プレコンディショニングが行われる群(166例)あるいはprimary PCIのみが施行される群(167例)に無作為に割り付けられた。遠位虚血プレコンディショニングは病院への搬送中に間欠的上腕虚血法で行われた。上腕に装着した血圧測定用のカフを5分間加圧したのち5分間減圧し、これを4回繰り返すこととした。両群とも病院でprimary PCIが施行された。主要評価項目はprimary PCI施行後30日における心筋救済インデックスとし、治療によって救済されたリスク領域の割合を心筋灌流画像(SPECT)で評価した。解析はper protcolで行った。心筋救済インデックスの中央値、平均値がともに優れる患者選択基準を満たさなかった82例が病院到着時に除外された。32例はフォローアップされず、77例はフォローアップが完遂されなかった。解析の対象となったのは、遠位虚血プレコンディショニング群が73例、primary PCI単独群が69例であった。primary PCI施行後30日の心筋救済インデックス中央値は、遠位虚血プレコンディショニング群が0.75と、primary PCI単独群の0.55に比べ有意に改善された(差の中央値:0.10、p=0.0333)。心筋救済インデックスの平均値はそれぞれ0.69、0.57であり、やはり遠位虚血プレコンディショニング群が有意に優れた(差の平均値:0.12、p=0.0333)。冠動脈関連の重篤な有害事象としては、死亡が両群ともに3例ずつ、再梗塞が1例ずつ、心不全が3例ずつ認められた。「急性心筋梗塞が疑われる患者に対する搬送中の遠位虚血プレコンディショニングは心筋救済を改善し、安全性も良好である」と著者は結論し、「これらの知見は、遠位虚血プレコンディショニングが臨床的な予後に及ぼす効果の確立を目的に、より大規模な試験の実施を促すものである」としている。(菅野守:医学ライター)

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スタチン治療により糖尿病発症リスクがわずかに増大、診療方針には変更なし

スタチン治療により、糖尿病の発症リスクがわずかながら増大するものの、心血管疾患のリスクを有する患者や心血管疾患患者の診療方針を変更するほどではないことが、イギリスGlasgow大学Glasgow心血管研究センターのNaveed Sattar氏らによるメタ解析で示された。スタチンのプラセボ対照試験における糖尿病の発症率は、JUPITER試験ではロスバスタチン群で高かったのに対し、WOSCOPS試験ではプラバスタチン群で低いなど相反する知見が得られている。これによりスタチンの長期使用の安全性に疑問が生じたため、系統的な検討が求められていた。Lancet誌2010年2月27日号(オンライン版2010年2月17日号)掲載の報告。1,000例以上の大規模な無作為化試験のメタ解析研究グループは、スタチンの使用と糖尿病発症の関連性について、公表されたデータと未発表のデータを用いてメタ解析を行った。データベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials)を用いて、1994~2009年までに実施されたスタチンの無作為化対照比較試験を検索した。1,000例以上が登録され、1年以上のフォローアップが両群で等しく行われた試験のみを解析の対象とした。臓器移植患者や血液透析を要する患者の試験は除外した。糖尿病発症リスクが9%増大したが、絶対リスクは低い13のスタチンに関する試験(ASCOT-LLA、HPS、JUPITER、WOSCOPS、LIPID、CORONA、PROSPER、MEGA、AFCAPS TexCAPS、4S、ALLHAT-LLT、GISSI HF、GISSI PREVENZIONE)が同定された(合計91,140例)。平均4年間に4,278例が糖尿病を発症した(スタチン群2,226例、対照群2,052例)。スタチン治療により糖尿病の発症リスクが9%増大した(オッズ比:1.09、95%信頼区間:1.02~1.17)。試験間の不均一性はほとんど認めなかった[I(2)=11%]。メタ回帰分析では、スタチンによる糖尿病の発症リスクはより高齢の患者を対象とした試験で高かったが、ベースライン時のBMIやLDLコレステロール値の変化はリスクに影響を及ぼさなかった。4年間のスタチン治療を255例(95%信頼区間:150~852例)に対して行うと、1例が糖尿病を発症することが示され(スタチン群:12.23/1,000人・年、対照群:11.25/1,000人・年)、絶対リスクは低かった。著者は、「スタチン治療により糖尿病の発症リスクがわずかに増大したが、絶対リスクは低く、冠動脈イベントの低減効果と比べてもリスクは低かった」と結論し、「心血管疾患のリスクが中等度~高度の患者や心血管疾患患者の診療方針を変更する必要はない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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HIV感染者への結核診断アルゴリズム

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者に対しては、結核スクリーニングが、早期診断と抗レトロウイルス療法とイソニアジド予防投与を安全に開始するために推奨されている。しかし、慢性的な咳についてのスクリーニングは一般的に行われているものの、その最適方法について、エビデンスに基づく国際的に認められたガイドラインは今のところない。米疾病管理予防センター(CDC)のKevin P. Cain氏らの研究グループは、その開発に取り組んだ。NEJM誌2010年2月25日号より。慢性的な咳による結核の検出感度は低い研究グループは、カンボジア、タイ、ベトナムの、計8つの外来診療所からHIV感染者を継続的に登録した。各々の患者から喀痰3検体と、尿、便、血液、リンパ節吸引液(リンパ節腫脹がある場合)を各1検体採取し、マイコバクテリア培養検査を行った。そのうえで、結核のスクリーニングと診断アルゴリズムを導き出すため、培養検査で陽性だった検体が1つ以上あり結核と診断されたHIV感染者と、結核と診断されなかった患者の特性を比較した。試験の結果、HIV感染者1,748例[CD4+Tリンパ球数の中央値242/mm(3)、四分位範囲:82~396)のうち、267例(15%)が結核と診断された。慢性的な咳(過去4週間で2~3週間以上続いた)を指標とした場合の結核の検出感度は、22~33%だった。継続しない咳、発熱、長く続く寝汗も問診すべき一方、過去4週間で、「継続期間を問わない咳」と「発熱」、さらに「3週間以上続く寝汗」の3つの症状がみられた場合の結核の検出力は、感度は93%、特異度は36%だった。これら症状のいずれかを伴う1,199例の患者において検討した結果、結核陽性の診断除外には、「喀痰スミア:2検体陰性」「胸部X線:正常」「CD4+細胞数:350/mm(3)以上」が有用だった。「喀痰スミア:1検体以上陽性」で結核陽性と診断された患者は113例(9%)に過ぎず、大半の患者はマイコバクテリア培養検査を要した。これらから研究グループは、HIV感染者における結核スクリーニングは、慢性的な咳の症状の有無だけでなく、複合的な症状についても問診しなければならないと述べている。そして、3つの症状(咳、発熱、寝汗)が陰性の患者は、抗レトロウイルス療法とイソニアジドの予防投与は問題なく開始できるとしつつも、大半のHIV患者の結核診断にはマイコバクテリア培養検査が必要だろうと結論づけた。(医療ライター:朝田哲明)

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高齢者の入院、退院後の認知症リスクが1.4倍に

入院をした高齢者は、疾患の程度にかかわらず退院後の認知症リスクが、入院をしなかった人に比べ有意に増大することが明らかにされた。米国ワシントン大学内科のWilliam J. Ehlenbach氏らが、約3,000人の高齢者について、前向きコホート試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年2月24日号で発表した。入院後のCASIスコア、重篤・非重篤にかかわらず有意に低下同研究グループは、1994~2007年にかけて、試験開始時点で認知症の認められない65歳以上、2,929人を対象に追跡試験を行った。追跡期間中は、2年毎に認知機能スクリーニング検査(CASI)を行い、スコアが86点未満の人については、認知症の検査を行った。追跡期間の平均値は、6.1年(標準偏差:3.2年)。追跡期間中、重篤疾患ではない入院が1.287人、重篤疾患による入院は41人あった。入院した人のCASI評価は退院45日以後に行った(評価実施は被験者の94.3%)。その結果、入院後のCASIスコアは、入院しなかった人の同スコアに比べ、疾患が重篤ではない人でも1.01ポイント低く(95%信頼区間:-1.33~-0.70、p

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先天異常の疾患別、サブタイプ別の20年生存率が明らかに

イングランド北部で実施された地域住民研究の結果、一つ以上の先天異常を有する患者の20年生存率は85.5%で、各疾患のサブタイプ間には差がみられることがわかった。先天異常は周産期および幼児期の死亡の主要原因とされる。治療法の進歩によって予後の改善がもたらされた疾患やサブタイプもあるが、多くの先天異常の生存率(特に1歳以降)はよく知られていないという。イギリスNewcastle大学保健・社会研究所のPeter W G Tennant氏らが、Lancet誌2010年2月20日号(オンライン版2010年1月20日号)で報告した。NorCASの18年間のデータを解析研究グループは、先天異常およびそのサブタイプの20歳までの生存率について検討する地域住民研究を実施した。イングランド北部地方における先天異常の地域住民ベースのレジスターであるNorCAS(Northern Congenital Abnormality Survey)のデータを用いて、1985~2003年に一つ以上の先天異常がみられた子どもの情報を収集した。EUROCAT(European Surveillance of Congenital Anomalies)のガイドラインに基づいて、疾患群、サブタイプ、症候群に分類した。生児として出生した子どもの生存率の確認には地方病院と国の死亡記録を用いた。20歳までの生存率はKaplan-Meier法で推算し、生存に関与する因子の解析にはCox比例ハザード回帰モデルを用いた。20年生存率85.5%、サブタイプ間にはばらつきが13,758例の先天異常が同定され、生児として出生した10,964例のうち生存状況が確認できたのは10,850例(99.0%)であった。20年生存率は、一つ以上の先天異常を有する全症例では85.5%であった。また、心血管系異常(総動脈幹、大血管転位、単心室など)は89.5%、染色体異常は79.1%、泌尿器系異常(嚢胞性腎疾患)は93.2%、消化器系異常(食道閉鎖、十二指腸閉鎖・狭窄、横隔膜ヘルニア)は83.2%、口唇・口蓋裂は97.6%、神経系異常(神経管欠損、水頭症)は66.2%、呼吸器系異常は64.3%であった。同一の先天異常疾患のサブタイプ別の生存率にはばらつきがみられた。出生前診断での胎児異常による妊娠中絶率は、1985年の12.4%から2003年には18.3%と有意に増加した(p<0.0001)。この妊娠中絶率の増大(補正ハザード比:0.95、p=0.023)および出生年(同:0.94、p<0.0001)が、生存の独立予測因子であった。「先天異常の疾患別、サブタイプ別の予測生存率は、先天異常が見つかった場合に、その家族や医療者にとって有用と考えられ、個々の患者の将来のケアの立案に役立つであろう」と著者は結論している。(菅野守:医学ライター)

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venlafaxineは、うつ病患者の心臓突然死リスクを増大させない

 venlafaxineは他の一般的な抗うつ薬に比べ、うつ病や不安障害患者の心臓突然死のリスクを増大させないことが、カナダMcGill大学疫学・生物統計学科のCarlos Martinez氏らの調査で明らかとなった。イギリスでは、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるvenlafaxineは、他の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に比べ致死的な過剰摂取率が高いことが報告され、患者の背景因子(自殺リスクが高い患者など)、venlafaxine固有の毒性、催不整脈作用などの原因が指摘されている。治療量のvenlafaxineが心臓突然死や致死的な不整脈のリスクを増大させる可能性については、これまで検討されていなかったという。BMJ誌2010年2月13日号(オンライン版2010年2月5日号)掲載の報告。Venlafaxineと他の一般的な抗うつ薬の心臓突然死リスクを評価 研究グループは、venlafaxineが他の一般的な抗うつ薬に比べ心臓突然死あるいは重症左室不整脈のリスクを増大させる可能性について評価する、地域住民ベースのコホート内症例対照研究を実施した。 イギリスの一般医の診療情報が記録されたGeneral Practice Research Databaseを用い、1995年1月以降に新規にvenlafaxine、fluoxetine、citalopram、ドスレピン(商品名:プロチアデン)の使用を開始した18~89歳のうつ病あるいは不安障害の患者を対象とした。 フォローアップは2005年2月あるいは心臓突然死や瀕死の病態(診療記録で非致死的な急性左室頻脈や突然死が心臓に起因することを確認)、急性の虚血性心イベントによる院外死を発現するまで行った。個々の患者に対し、年齢、性別、暦時間、適応で調整した対照を30人ずつ選択した。venlafaxine群の心臓突然死リスクは他の抗うつ薬と同等 20万7,384人が登録され、平均3.3年のフォローアップが行われた。心臓突然死あるいは瀕死の病態は568人(急性左室頻脈27人、心臓突然死236人、虚血性心イベントによる院外死305人)に認め、背景因子をマッチさせた対照は1万4,812人であった。 心臓突然死、瀕死の病態の内訳は、venlafaxine群18人(3.2%)、fluoxetine群63人(11.1%)、citalopram群39人(6.9%)、ドスレピン群35人(6.2%)であった。venlafaxineに関連した心臓突然死、瀕死の病態の補正オッズ比は、fluoxetineとの比較では0.66(95%信頼区間:0.38~1.14)、citalopramとの比較では0.89(同:0.50~1.60)、ドスレピンに対しては0.83(同:0.46~1.52)であった。 このように、venlafaxineによる心臓突然死、瀕死の病態の頻度は他の抗うつ薬3剤と有意な差はなく、むしろ低い傾向がみられたことから、著者は「venlafaxineは、うつ病や不安障害患者の心臓突然死リスクを過度に増大させることはない」と結論している。なお、venlafaxineは一般的なSSRIに比べ好ましくない有害事象の頻度が高く治療中止例が多いことを示唆するデータがあるため注意を要するという。

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