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小児がん患児に対する骨盤内照射で、将来の死産、新生児死亡のリスク増大

小児がん患児の性腺系への放射線照射は、将来、男児の場合はその子どもに重篤な有害作用をもたらすことはないが、女児では子宮や卵巣への照射によって死産、新生児死亡のリスクが有意に増加することが、アメリカ・国際疫学研究所(ロックビル)のLisa B Signorello氏らによるコホート研究で明らかとなった。近年、小児がんに対する積極的な治療により生存期間の改善が得られているが、変異原性の治療法である放射線治療は生殖細胞に障害をもたらし、この有害な作用は患児の子どもにも遺伝する可能性が示唆されている。しかし、受胎前の放射線曝露が死産、新生児死亡に及ぼす影響は不明だという。Lancet誌2010年8月21日号(オンライン版2010年7月23日号)掲載の報告。照射線量と死産、新生児死亡リスクの関連を評価する後ろ向きコホート研究研究グループは、不良な妊娠アウトカムのリスクを調査することにより、小児期に放射線治療や化学療法を施行された小児がん生存者からその子どもへの生殖細胞系の障害の遺伝リスクを間接的に評価するレトロスペクティブなコホート研究を行った。本研究は、小児がん生存者の子どもの死産および新生児死亡のリスクに関するコホート研究であるChildhood Cancer Survivor Study(CCSS)の一環として実施された。対象は、初回診断時に21歳未満で、アメリカの25施設およびカナダの1施設で治療を受け、診断後5年以上生存した患者であった。これらの患者に投与された化学療法薬および受胎前に睾丸、卵巣、子宮、下垂体に照射された線量を定量化し、この量と死産、新生児死亡のリスクとの関連につきポアソン回帰分析を用いて解析した。睾丸、下垂体への照射、アルキル化薬は関連なし、子宮、卵巣への照射でリスク増加対象となった小児がん生存者は女性が1,657人、男性が1,148人であり、妊娠数は4,946件であった。以下の項目は、死産、新生児死亡リスクの上昇とは関連がなかった。睾丸への照射[照射を受けた生存者の子ども1,270人のうち死産、新生児死亡は16人(1%)、補正相対リスク:0.8(95%信頼区間:0.4~1.6)、平均線量:0.53Gy(SD 1.40)]、下垂体への照射[17/510人(3%)、線量20.00Gy以上の場合の相対リスク:1.1(95%信頼区間:0.5~2.4)、女性の平均線量:10.20Gy(SD 13.0)]、アルキル化薬による化学療法[女性:26/1,195人(2%)、相対リスク:0.9(95%信頼区間:0.5~1.5)、男性:10/732人(1%)、相対リスク:1.2(95%信頼区間:0.5~2.5)]。子宮および卵巣への照射については、線量が10.00Gy以上になると、死産、新生児死亡のリスクが有意に増加した[5/28人(18%)、相対リスク:9.1(95%信頼区間:3.4~24.6)]。初潮前に放射線治療を受けた女性は、1.00~2.49Gyの低線量であっても死産、新生児死亡のリスクが有意に増加していた[3/69人(4%)、相対リスク:4.7(95%信頼区間:1.2~19.0)]。著者は、「男性の場合、性腺系への照射を受けても、その子どもが死産、新生児死亡となるリスクに影響を及ぼす遺伝性の変化はないことが示唆された。一方、子宮および卵巣への照射は子どもに対し重篤な有害作用をもたらし、これは子宮の障害が原因と推察された」と結論し、「思春期前に高線量の骨盤内照射を施行された女性が妊娠した場合は、注意深いマネジメントが必要である」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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肺がん患者への早期緩和ケア導入はQOL、精神症状、余命を改善

転移性の非小細胞肺がん患者には、早期緩和ケア導入のベネフィットが大きいことが明らかにされた。QOL、精神症状を有意に改善し、標準的ながん治療を受けた患者と比較して積極的治療は少ないにもかかわらず、生存期間がより長かったという。米国マサチューセッツ総合病院のJennifer S. Temel氏らの報告によるもので、NEJM誌2010年8月19日号に掲載された。転移性非小細胞肺がんはつらい症状に苦しむ上に、末期でも積極的治療を受ける場合がある。早期緩和ケア群と標準治療群に無作為化しQOL、精神症状を評価研究グループは、新たに転移性非小細胞肺がんと診断された患者を、標準的ながん治療と併せて早期緩和ケアを行う群(77例)と、標準的ながん治療のみを行う群(74例)に無作為に割り付け、ベースラインから12週までのQOLと精神症状の変化について追跡評価した。各評価には、QOLにはFACT-L(Functional Assessment of Cancer Therapy-Lung)スケール(スコア:0~136、より高いスコアほどQOLが良好であることを示す)が、精神症状にはHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)が用いられた。主要評価項目は、12週時点におけるQOLの変化とした。末期医療に関するデータは電子カルテから集められた。QOL、精神症状、余命とも早期緩和ケア群が良好被験者151例のうち、12週までに27例が死亡に至り、評価が完遂されたのは12週時点で生存していた患者124例の86%に当たる107例だった。早期緩和ケア群のQOLは、標準的治療群より良好だった(FACT-Lスケールの平均スコア98.0対91.5、P=0.03)。加えて、早期緩和ケア群は標準的治療群より、抑うつ症状がより少なかった(16%対38%、P=0.01)。積極的な末期医療を受けた患者の割合は、早期緩和ケア群より標準的治療群が多かった(33%対54%、P=0.05)にもかかわらず、生存期間の中央値は早期緩和ケア群が、より長かった(11.6ヵ月対8.9ヵ月、P=0.02)。(朝田哲明:医療ライター)

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外気温の低下により心筋梗塞リスクが増大

心筋梗塞のリスクは外気温が低下するごとに増大するが、外気温が高いこととは関連がないことが、イギリス・ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のKrishnan Bhaskaran氏らがMyocardial Ischaemia National Audit Project(MINAP)のレジストリーについて実施した解析で明らかとなった。外気温は短期的な死亡率増加のリスクに影響を及ぼし、暑い日も寒い日にも死亡率は増大することが示されている。一方、外気温が心筋梗塞のリスクに及ぼす影響については明らかにされていないという。BMJ誌2010年8月14日号(オンライン版2010年8月10日号)掲載の報告。外気温の1℃の変化ごとの心筋梗塞リスクの変動を評価研究グループは、イングランドとウェールズの15の大都市圏において外気温と心筋梗塞のリスクの短期的な関連について検討するために、時系列的な回帰分析を行った。対象は、2003~2006年のMyocardial Ischaemia National Audit Projectに登録された心筋梗塞入院患者8万4,010例で、イベント発生数中央値は57件/日であった。外気温の1℃の変化ごとの心筋梗塞リスクの変動を、その後28日にわたり検討した。心筋梗塞のリスクが高い集団への介入で、外気温低下によるリスク増大を抑制可能外気温と心筋梗塞の発症には、平滑化されたグラフとして直線的な関連が認められ、外気温の閾値とは無関係に対数線形モデルによって良好な相関関係が確認された。すなわち、1日の平均外気温が1℃低下するごとに、直近およびその後28日間の心筋梗塞リスクが2.0%(95%信頼区間:1.1~2.9%)ずつ累積的に増大した。最も強い影響は2~7日と8~14日の中間期に生じると予測され、外気温1℃の低下ごとに心筋梗塞リスクがそれぞれ0.6%(95%信頼区間:0.2~1.1%)、0.7%(同:0.3~1.1%)増加した。外気温が高いことは心筋梗塞に対し有害ではなかった。75~84歳の高齢者は85歳以上を含む他の年齢層よりも外気温の1℃低下による心筋梗塞の相対リスクが有意に高く(相互作用のp<0.001)、冠動脈心疾患の既往歴のある患者は既往歴のない患者に比べ相対リスクが有意に高かった(相互作用のp=0.001)。これに対し、アスピリン服用者は、非服用者に比べ心筋梗塞の相対リスクが有意に低かった(相互作用のp=0.007)。著者は、「外気温の低下による心筋梗塞のリスク増大は、寒さに関連した死亡率増加の促進因子の一つと考えられるが、外気温が高いことは心筋梗塞のリスクを増大させない」と結論し、「外気温低下の予報をきっかけとして、的を絞ったアドバイスを行うなどの介入法によって、心筋梗塞のリスクが高い集団におけるリスク低減が可能となるだろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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経口ビスホスホネート、食道がんや胃がんの発症リスク増大せず

 骨粗鬆症薬として用いられる経口ビスホスホネート製剤を長期に服用しても、食道がんや胃がんの発症リスクは増大しないようだ。英国Queen’s University Belfast公衆衛生センターのChris R. Cardwell氏らが、4万人超の治療群と同数のコントロール群について、約4年半追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月11日号で発表した。ビスホスホネートの服用による副作用として食道炎は知られるが、食道がんとの関係についての信頼性の高い研究は、これまでなかったという。約4万2,000人の治療・コントロール群を4.4~4.5年追跡 同研究グループは、英国General Practice Researchデータベースを基に、1996年1月~2006年12月の間に、ビスホスホネートを服用した4万1,826人と、同数のコントロール群について追跡し、食道がんや胃がんの発症リスクについて分析した。 被験者の81%が女性で、平均年齢は70.0歳(SD:11.4歳)だった。平均の追跡期間は、治療群が4.5年、コントロール群が4.4年だった。追跡期間が6ヵ月未満の人は、除外された。食道がんまたは胃がん、食道がんのみの発症リスクいずれも両群で同等 結果、追跡期間中に食道がんまたは胃がんを発症したのは、治療群の116人(うち食道がんは79人)に対し、コントロール群では115人(同72人)だった。食道がんまたは胃がんの罹患率は、治療群・コントロール群ともに、0.7/1,000人・年だった。食道がんの罹患率は、治療群が0.48/1,000人・年、コントロール群が0.44/1,000人・年だった。 食道がんまたは胃がんの発症リスクについて、治療群とコントロール群の間に、有意差はみられなかった(補正後ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.74~1.25)。 食道がんのみの同補正後ハザード比も1.07(同:0.77~1.49)と、両群に有意差はなかった。なお、ビスホスホネートの服用期間による、食道がんまたは胃がん発症リスクにも有意差はみられなかった。

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【お知らせ】女性限定セミナー「もっと知ってほしい婦人科がんのこと2010 in 大阪」開催

8月28日、NPO法人キャンサーネットジャパンは一般社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト共催で、女性限定のクローズドセミナー「もっと知ってほしい婦人科がんのこと2010 in 大阪」を開催する。医療者の参加も歓迎。 日時:2010年8月28日(土) 13:30~16:45場所:大阪国際交流センター 小ホール参加費:無料 定員:200名プログラム <開会挨拶>NPO法人キャンサーネットジャパン 理事 川上 祥子氏  <基調講演1> 「婦人科がん(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)の予防・診断・治療」講師:関西医科大学附属枚方病院産科・婦人科 斉藤 淳子氏 <基調講演2>「婦人科がん(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)の治療(特に薬物療法)について」講師:国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 温泉川 真由氏 <基調講演3>「婦人科がん患者が直面する問題(花嫁は子宮頸がん)」講師:一般社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト 理事長 河村 裕美氏 <Q&Aセッション>司会:川上 祥子氏回答者:斉藤 淳子氏・温泉川 真由氏・河村 裕美氏 <閉会挨拶>一般社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト 理事長 河村 裕美氏 詳しくはこちら http://www.cancernet.jp/eve100828.html

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ACCORD試験の細小血管合併症リスク、強化療法早期中止後の追跡結果

心血管リスクの高い2型糖尿病患者に対する強化療法(HbA1c<6.0%)は、標準療法(同7.0~7.9%)に比べ細小血管合併症のリスクを低減させないものの、その発症を遅延させ、腎、眼、末梢神経の機能の一部を有意に良好に保持することが、アメリカCase Western Reserve大学のFaramarz Ismail-Beigi氏らが行ったACCORD試験の追跡結果で明らかとなった。本試験は、2008年2月、中間解析で総死亡が強化療法群で有意に多かったため一部が早期中止となり、世界中の糖尿病専門医に衝撃を与えた。研究グループは、強化療法群の患者を標準療法群へ移行したうえでフォローアップを続け、今回、事前に規定された細小血管合併症の解析結果を、Lancet誌2010年8月7日号(オンライン版2010年6月29日号)で報告した。事前に規定された複合アウトカムと臓器機能について評価ACCORD試験の研究グループは、2型糖尿病患者では血糖値を低下させることで細小血管合併症の発症を低減できるかについて検討した。本試験には北米の77施設が参加し、対象は年齢40~79歳、HbA1c>7.5%、心血管疾患あるいはそのリスク因子を二つ以上有する2型糖尿病患者であった。これらの患者が、HbA1c<6.0%を目標とする強化療法あるいはHbA1c 7.0~7.9%を目標とする標準療法を施行する群に無作為に割り付けられた。今回の解析では、以下の事前に規定された複合アウトカムについて評価を行った。(1)主要複合アウトカム:透析あるいは腎移植、血清クレアチニン>291.7μmol/L、光凝固療法あるいは硝子体切除術。(2)副次的複合アウトカム:末梢神経障害+主要複合アウトカム。(3)腎、眼、末梢神経の機能に関する事前に規定された13の副次的エンドポイント。患者も担当医も治療割り付け情報を知らされていた。細小血管合併症の解析は全症例について行われ、受療の状況やコンプライアンスは考慮されなかった。強化療法群で、腎、眼、末梢神経障害の発症が遅延、7つの副次的エンドポイントが有意に良好1万251例が登録され、強化療法群に5,128例が、標準療法群には5,123例が割り付けられた。中間解析において、強化療法群で総死亡が有意に多かったため試験は早期中止とされ、この群の患者は標準療法群へと移行された。移行時点における主要複合アウトカムの発現率は、強化療法群が8.7%(443/5,107例)、標準療法群も8.7%(444/5,108例)(ハザード比:1.00、95%信頼区間:0.88~1.14、p=1.00)、副次的複合アウトカムはそれぞれ31.2%(1,591/5,107例)、32.5%(1,659/5,108例)(同:0.96、同:0.89~1.02、p=0.19)であり、いずれも両群間で同等であった。試験終了時の主要複合アウトカムの発現率は、強化療法群が10.9%(556/5,119例)、標準療法群は11.5%(586/5,115例)(ハザード比:0.95、95%信頼区間:0.85~1.07、p=0.42)、副次的アウトカムはそれぞれ38.2%(1,956/5,119例)、40.0%(2,046/5,115例)(同:0.95、同:0.89~1.01、p=0.12)であり、いずれも両群間に有意な差を認めなかった。試験終了時において、強化療法群では細小血管合併症のリスクは低減されなかったが、アルブミン尿や眼合併症、神経障害の発症が遅延していた。また、腎、眼、末梢神経の機能に関する13の副次的エンドポイントのうち7項目が、強化療法群で有意に良好であった(p<0.05)。著者は、「強化療法では、総死亡や心血管疾患関連死、体重増加、重篤な低血糖のリスクが増大する点を考慮したうえで、その細小血管合併症の抑制効果のベネフィットを慎重に検討すべきである」と結論し、「我々はHbA1c<6.0%という現在の治療戦略の目標値を安易に考えすぎかもしれない。ACCORD試験の患者のフォローアップを継続することで、長期的なリスク対ベネフィットの評価を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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教授 尾﨑重之先生の答え

遠隔期について自己心膜による大動脈弁形成の遠隔期成績はいかがでしょうか。大動脈弁逆流等の発生はないのでしょうか。自己心膜を使用した大動脈弁形成術は2007年の4月から開始し、現在、約3年半が経過しております。250名以上の方がこの手術を受けられておりますが、現在までのところⅡ度以上の大動脈弁閉鎖不全症を認める患者様はおらず、再手術例はありません。弁の生着、採取部位の強度についてはじめまして、都内で勤務医をしている整形外科医です。患者さんで弁置換が必要といわれている方がおり調べている間にたどり着きました。人工物に比し生体材料でつくられるものがより良いということはわれわれ整形外科でも常に言われていることですが、自己生体材料を採取するということはその採取部位に欠損が生じるということです。整形外科では骨は骨、硝子軟骨は繊維軟骨で再生されます。ただ強度は正常に比し、しばらくの間採取した大きさにもよりますが弱いです。自己心膜採取部位は採取後に再生される組織の強度、機能は問題ないのでしょうか?また生体弁は術後どれくらいで生着するのでしょうか?不勉強ですみませんがよろしくご教授ください。グルタールアルデハイド処理したヒト心膜の強度は、早稲田大学生命理工学部梅津研究室との共同研究の結果、正常な大動脈弁尖の4倍以上の強度があることを確認しております。従って、グルタールアルデハイド処理したヒト心膜を大動脈弁尖として使用することには、全く問題が無いと考えます。残念ながら、ヒト心膜は再生しないので切除した欠損部にはゴアテックスシートを挿入し、代用しております。縫着された自己心膜は、縫着直後より機能しておりますが、約1ヶ月もすれば完全に生着すると思われます。自己心膜の耐久性について生体弁は耐久性におとり10数年が限界と聞きましたが、自己心膜の場合はいかがでしょうか。基本的には自分の組織を使っているので、耐久性という概念自体がないのでしょうか?再手術が必要になる場合はどんな時なのでしょうか?基本的な質問で申し訳ないですがご教示お願いします。「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」、最長で3年半の経過です。遠隔期については5年、10年と経過を見なければなりませんが、3年半経過して再手術がゼロという数字は画期的な数字です。機械弁・生体弁では術後1年で約1%の再手術があります。とても成績がいいことは確かです。われわれの手術方法とは異なりますが、1990年代にアメリカのデュラン先生が、同様にグルタールアルデハイド処理された自己心膜を使用した大動脈弁形成術の耐久性を報告しています。対象疾患が「リウマチ熱による大動脈弁狭窄症」であるため、われわれの対象年齢よりはずっと若く20~30歳代の症例に手術を施行していますが、10年の再手術回避率(再手術を受けなくても良い確率)が86%です。一方、生体弁(ウシ心のう膜弁)を45歳の患者に移植した場合の再手術回避率も同様に86%という報告があります。若年者ほど生体弁の劣化が早いことは周知の事実です。デュラン先生が手術を施行された症例は更に若年であり、この事実を考慮するとグルタールアルデハイド処理後の自己心膜を使用した大動脈弁形成術の耐久性は、生体弁と同等もしくはそれ以上と言うことが出来ると考えます。詳しくは当科ホームページをご参照ください。再手術が必要となるのは移植した心膜が石灰化を起こし、重症な大動脈弁狭窄症を起こすか、心膜の劣化が起こり、重症な大動脈弁閉鎖不全症が発生したときです。経過観察中の患者さんでそのような方はおりません。執刀できる医師について先生の術式は大変素晴らしく、感銘を受けております。新しい術式なだけに執刀できる医師は限られていると思いますが、先生の他に執刀できる医師は何名位いるのでしょうか?また、この出術を受けることができる医療機関は貴院の他にも存在するのでしょうか?教えて頂けると幸いです。これまでに、多くの医師が当院に手術見学に来られ、現在準備を進めている施設がいくつかあります。しかし、手術の質を維持させるため、最初は必ず私が手術に立ち会わせて頂くようにしています。また、弁形成をするための器具であるサイザーやテンプレートなどの準備があり、手術を開始するには少々時間がかかっています。今後はさらに多くの施設で手術が出来るようにウエットラボ、ドライラボを使用したトレーニングシステムの構築等も考えています。現在のところ、苑田第一病院(東京都足立区)、仙台厚生病院(仙台市)、大分大学医学部附属病院(大分市)で自己心膜を使用した大動脈弁形成術が施行されております。入局について初期研修医1年目です。現在市中病院で研修を受けていますが、外科医を目指したいので、後期研修は大学病院に入局しようと考えております。大橋病院心臓血管外科のホームページを拝見しましたが、入局希望者への案内がありません。他の科は案内があるものとないものがありました。基本的に他からの入局は募集していないということなのでしょうか?場違いな質問かもしれませんがご回答宜しくお願いします。ホームページでの入局のご案内が未完成ではありますが、常に入局は大歓迎です。ご迷惑をおかけしました。遠慮なく下記にお問い合わせ下さい。見学、相談希望の方は、お気軽にご連絡ください。お問い合わせ先:医局秘書 古谷 美幸 myurine@oha.toho-u.ac.jp女性の心臓外科医現在医学部に通う学生、女性です。心臓外科に興味を持っています。どんな科でも、出産などで1、2年ブランクが開くと手技が衰えてしまうと思いますが、心臓外科医としてそれは致命傷になるのでしょうか?学生の思い込みかもしれませんが、心臓外科の手技は他の外科と比べ、特に繊細だと考えております。1、2年のブランクが心臓外科医として致命傷になるのか教えて頂きたくお願い申し上げます。心臓外科のトレーニングは、どの時期にどれくらい集中的に施行することが出来るかが大切であると考えます。私自身も、当初は自衛隊医官として勤務していたため、外来で毎日、風邪と水虫を診る日々でした。心臓なんて夢のまた夢でした。自衛隊退職後、卒後6年目からやっと心臓外科に携わるようになりました。心臓外科を始めた時期としては決して早いわけではありません。時期が来たときに集中してトレーニングを重ねることが出来れば、心臓外科医になることは十分に可能と考えます。自分次第ですよ。また、昨今、女性医師は増加しており、今後、女性心臓外科医も増えると思います。まだまだ環境は整っていないかもしれませんが、確実に女性心臓外科医が誕生する土壌は整いつつあります。諦めないでください。自己心膜では適さないケースについて患者さんの状態によっては、自己心膜を使用した大動脈弁形成術に適さず、人工弁でないと駄目なケースがあるのでしょうか。あるとしたらそれはどんなケースなのでしょうか。初歩的な質問で恐縮ですがご教授ください。すべての大動脈弁疾患(大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈基部拡大による大動脈弁閉鎖不全症、人工弁置換手術後の再手術、感染性心内膜炎など)に対し「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」を施行しています。これまでのところ大動脈弁形成術が適さなかった症例はありません。成長する大動脈弁について先生の記事拝読いたしました。「今後、身体の成長に合わせて「成長する大動脈弁」の開発に力を入れていく」とありましたが、具体的にはどのような研究なのでしょうか?人工弁だけど成長する弁なのでしょうか?もしくはまた違った着想での開発なのでしょうか?差し支えない範囲で結構ですので、その辺りの開発状況をお聞きしたく思います。現在、早稲田大学生命理工学部梅津研究室との共同研究で「無細胞化技術の開発」「無細胞化組織の滅菌技術の確立」に成功しており、当該材料の製造・滅菌において実用化に向けて更なる一歩を踏み出す域に到達しています。無細胞化する事でvirusの除去が完全に可能で有る事と、無細胞化組織を人体に移植すると異物として認識されず、scaffold(枠組み)の中に移植された人体から細胞が入り込み自己組織化していく事を、これまでの研究で実証しています。無細胞化組織を使用する事で、(1)遠隔期の弁尖の石灰化を予防出来き(2)無細胞化組織移植後組織に自己の細胞が入り込み無細胞化組織が自己組織化され組織(弁尖)が成長する可能性も高いと言えます。先生が理想とする心臓外科医ベルギー留学中に、先生が理想とする心臓外科医と出会われたそうですが、どんな方なのでしょうか?日本にはいないタイプなのでしょうか?興味あるので是非教えてください。記事の中でもご紹介しましたが、私がベルギーで出会った医師は、臨床での不明な点を大動物で実験・検証し、その結果を必ず臨床にフィードバックし、少しでも患者さんにプラスになるように努力していました。このように、文武両道な医師が私の理想とする医師です。私の感覚なので、そうではないと言われる方がおられると思いますが、日本の心臓外科医は手術をする人、研究をする人が別れており、両方をともにバランス良く行っている外科医はヨーロッパと比べて少ないと思います。あくまでも個人的な感想です。先生のご経歴を今は田舎で診療所をやっていますが、昔大橋病院にいたことがあります。その時代は外科手術を年間何百例もこなすようなところではなかった記憶があります。先生しかできない手術を行っているからかもしれませんが、それだけではないと思います。宜しければ体制を変えるために先生が取り組まれたことを教えていただけますでしょうか。宜しくお願いします。先生が大橋病院にいらした頃と同様に、私が大橋病院へ赴任した当初も開心術数は多くありませんでした。病院の体制としても現在のように開心術を200以上施行できる環境ではありませんでした。まわりのスタッフの多くが、「心臓の手術は大変だから。」という認識を持っていたと思います。大変なことを行うのはみんな嫌なわけで、その認識を変えない限り、前進できないなと考えました。まず取り組んだことは、慌てないでひとつひとつ実績を重ね、スタッフのみんなに「心臓の手術は大変ではなく、心臓の手術を受けた患者さんみんなが笑顔で元気に退院していくこと。」を実証することでした。心臓外科はチーム医療ですから、これまでの認識が変わるにつれてチームとして対応できるようになり、増えてきた症例数にも対応できるようになったと考えます。でも6年かかりました。「ローマは一日にしてならず。」を実感しています。総括「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」、最長で3年半の経過です。遠隔期については5年、10年と経過を見なければなりませんが、3年半経過して再手術がゼロという数字は機械弁・生体弁では不可能な数字です。それくらい成績がいいことは確かです。また、手術中に人工弁置換術に移行した症例もありません。この手術がいかに再現性の高い手術であるかが判ります。今後も遠隔期の向上目指してさらに努力していきたいと考えています。異物を使用しないこと、ワーファリンなどの抗凝固療法を使用しないためQOLが維持できることに患者さんはとても満足されています。「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」でも多くの患者さんの笑顔が見られます。学生・研修医の方々へ心臓外科は楽しいですよ。楽な科ではありませんが、患者さんは本当に元気になります。元気になった患者さんの笑顔を見ると疲れが吹っ飛びます。僕と一緒に心臓外科をやりませんか。教授 尾﨑重之先生「弁膜症治療の歴史を変える「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」」

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一般市民による心肺蘇生は胸骨圧迫に集中させた方がよいか?(その1)

一般市民による心肺蘇生(CPR)について、米国ワシントン大学のThomas D. Rea氏らは、「胸骨圧迫を重視させるべきとの戦略を後押しする結果を得た」とする、胸骨圧迫単独実施と胸骨圧迫+人工呼吸実施との有効性を比較した無作為化試験の結果を報告した。全体的な生存率改善に関しては両群で有意な差はみられなかったが、発作時の臨床症状別で解析した結果で、単独実施群の生存率の方が高い傾向がみられたという。NEJM誌2010年7月29日号掲載より。通報者へのCPR指示を、胸骨圧迫単独実施群、+人工呼吸実施群に無作為化し検討一般市民によるCPRで、人工呼吸を実施することの有効性については明らかになっていない。Rea氏らは、胸骨圧迫単独実施よりも、胸骨圧迫+人工呼吸併用実施の方が、生存率を改善するであろうと仮定し、多施設共同無作為化試験(米国ワシントン州キング郡とサーストン郡、英国ロンドン市)を行った。試験は、救急医療サービスに通報があった際に、通信隊員が胸骨圧迫のみを実行するよう指示する場合、もしくは胸骨圧迫+人工呼吸を実行するよう指示する場合に無作為に割り付け実行された。対象は、18歳以上の院外心停止のケース(外傷、溺水、仮死状態は除く)で、通信隊員が、通報してきた現場に居合わせた一般市民によるCPR実行が必要と判断した場合だった。主要評価項目は、生存退院とし、副次評価項目は、神経学的転帰良好な生存退院[CPC(Cerebral Performance Category)5段階評価で1、2に該当]とされた。なお、患者に対する事前承諾は行われなかったが、生存回復後に試験に組み入れられていたことが知らされた。生存退院者割合は有意差認められず、ただし……患者登録は3地域トータルで、2004年6月1日~2009年4月15日に行われ計1,941例が試験に組み入れられた。内訳は、胸骨圧迫単独群に割り付けられたのは981例、胸骨圧迫+人工呼吸併用群は960例だった。結果、生存退院した人の割合は、単独群12.5%、併用群11.0%で、両群間に有意差は認められなかった(絶対差:1.5ポイント、95%信頼区間:-1.4~4.4、P=0.31)。副次評価項目の、神経学的転帰良好で生存退院した人の割合も両群間に有意差は認められなかった(それぞれ14.4%、11.5%、P=0.13)。ただし臨床症状別に検討した事前規定のサブグループ解析の結果、単独群の方が生存退院者の割合が高い傾向がみられた。すなわち、心原性心停止ケースにおける生存退院者の割合は、単独群15.5%に対し併用群12.3%(P=0.09)、AED適応ケースでは単独群31.9%に対し併用群25.7%(P=0.09)だった。(武藤まき:医療ライター)

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1型糖尿病妊婦に対するビタミンC/E投与は、子癇前症を予防しない

1型糖尿病の妊婦に対しサプリメントとしてビタミンCとビタミンEを投与する方法は、子癇前症のリスク低下には効果がないことが、イギリスRoyal Victoria病院(ベルファスト)のDavid R McCance氏らによる無作為化試験(DAPIT試験)で示された。子癇前症は、妊娠後期にみられる妊娠誘発性の高血圧と新規発症の蛋白尿で特徴付けられる多系統疾患であり、未経産、20歳未満、40歳以上、肥満、子癇前症の既往歴、多胎妊娠、慢性高血圧・腎疾患・自己免疫疾患・抗リン脂質症候群・糖尿病などの既存疾患がリスク因子となることが指摘されている。既存疾患のない妊婦に抗酸化物質を投与しても子癇前症は低下しないことがすでに報告されているが、糖尿病の妊婦に対するビタミン類の効果は不明だという。Lancet誌2010年7月24日号(オンライン版2010年6月26日号)掲載の報告。ビタミンC/Eとプラセボで子癇前症予防効果を評価DAPIT試験の研究グループは、1型糖尿病の妊婦を対象にサプリメントとしてのビタミンCとビタミンEの投与が子癇前症の発症に及ぼす効果を評価するために無作為化プラセボ対照比較試験を実施した。イギリスの25施設から、妊娠前に1型糖尿病に罹患しており、妊娠8~22週、単胎妊娠、16歳以上の女性が登録された。これらの妊婦が、分娩まで1日1回ビタミンC 1,000mg+ビタミンE 400IU(α-tocopherol)を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。試験関係者と参加者には、治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、子癇前症(蛋白尿を伴う妊娠高血圧)の発症とし、modified ITT解析が行われた。子癇前症発症率:15% vs. 19%、有意差はないがベネフィットの可能性も2003年4月~2008年6月までに762人の妊婦が登録され、ビタミンC/E投与群に379人が、プラセボ群には383人が割り付けられた。子癇前症の評価は、ビタミンC/E投与群の375人、プラセボ群の374人で可能であった。子癇前症の発症率は、ビタミンC/E投与群が15%(57/375人)、プラセボ群は19%(70/374人)であり、両群間に差を認めなかった(リスク比:0.81、95%信頼区間:0.59~1.12)。母体および新生児ともに有害事象の報告はなかった。著者は、「サプリメントとしてビタミンCとビタミンEを投与する方法は、1型糖尿病の妊婦における子癇前症のリスクを低下させなかった」と結論したうえで、「ベースライン時に抗酸化物質が低下した状態にある女性では、サプリメントとしてのビタミン類の投与がベネフィットをもたらす可能性は残されているため、さらなる検討を要する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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【セミナー開催のお知らせ】一般公開シンポジウム 終末期医療と人の死を考える

 生き方 死に方を考える社会フォーラムは医療人文学研究会と共催で、2010年8月7日(日)に大阪府の豊中市千里公民館にて「一般公開シンポジウム 終末期医療と人の死を考える」を開催する。 開催概要は以下の通り。日時:2010年8月7日(日)14:00~17:00会場:豊中市千里公民館 3F 第一講座室料金:入場無料(どなたでもご自由にご参加ください)◆ゲスト恒藤 暁(大阪大学大学院医学系研究科教授・緩和医療学)「緩和ケアからみる現代医療の光と影」森岡 正博「日本人の死生観と現代に求められる死の哲学」◆ホスト大村 英昭(関西学院大学社会学部教授)石蔵 文信(大阪大学大学院医学系研究科准教授)主催: 生き方 死に方を考える社会フォーラム共催:医療人文学研究会連絡先: 大阪大学人間科学研究科文化社会学研究室山中浩司 Tel/Fax:06-6879-8078 e-mail:yamanaka@hus.osaka-u.ac.jp詳細は「医療人文学研究会」ウェブサイトへhttp://bunka.hus.osaka-u.ac.jp/medical_humanities/meeting.html

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膝前十字靱帯断裂の急性期は、まずリハビリを

米国では毎年20万件以上の膝前十字靱帯(ACL)再建手術が行われ、直接医療費は約30億ドルに上ると推計されるが、ACL再建が他の治療に比べて優れているとのエビデンスは、質の高い無作為化試験によっても明らかにはなっていない。ACL断裂は、若年者の活動性に重大な損傷をもたらすため、特にスポーツ愛好者・選手は、スポーツ再開を望み断裂修復こそが最良であるとみなし手術を受けるが、治療の中心はあくまで保存療法(体系的リハビリテーション)である。ただし現状では必ずしもリハビリは行われていない。そこで、スウェーデンのランド大学臨床科学整形学部門のRichard B. Frobell氏らは、ACL断裂の至適な治療戦略に関する検討を行った。NEJM誌2010年7月22日号掲載より。リハビリ+早期ACL再建 vs.リハビリ+必要に応じたACL再建Frobell氏らが検討した治療戦略は、体系的リハビリテーション+早期ACL再建(早期再建術群)と、体系的リハビリテーション+必要に応じて行うACL再建(待機的再建術群)の2つで、無作為化試験にて行われた。対象は急性期のACL断裂を有した活動的な若年者121例。主要アウトカムは、ベースラインから2年時点までの、KOOS(Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score)の、4つのサブスケール(疼痛、症状、スポーツ・レクリエーション時の機能、膝に関係するQOL)の平均スコア(0~100;点が高いほど良好)の変化とした。副次アウトカムには、KOOSのサブスケール5つすべて(前述+ADL機能)、SF-36健康調査票の結果、Tegner Activity Scaleスコアを含んだ。2年時の主要アウトカムの差は0.2ポイント早期再建術群に割り付けられた被験者62例のうち、1例は手術を受けなかった。一方、待機的再建術群に割り付けられた被験者59例は、手術を受けたのは23例で、36例はリハビリテーションのみで手術は必要としなかった。KOOS(4)の平均スコアの変化は、2年時点で、早期再建術群が39.2ポイント、待機的再建術群が39.4ポイントで、両群の絶対差は0.2ポイント(95%信頼区間:-6.5~6.8、P=0.96)だった。副次アウトカムについても、両群治療戦略間に有意な違いは認められなかった。有害事象は両群で同等に認められた。実際に行われた治療に基づき分析した結果も同様だった。これらからFrobell氏は、「ACL断裂を有した活動的な若年者では、リハビリ+早期ACL再建術の治療戦略が、リハビリ+必要に応じたACL再建術の治療戦略と比べ、優れているとは認められなかった。また後者の治療戦略を取ることで、再建手術がかなり減った」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

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特発性頭蓋内圧亢進症への低エネルギー食介入、3ヵ月で有意に改善

特発性頭蓋内圧亢進症を有する女性への、食事療法(低エネルギー食)介入は、有意に頭蓋内圧を低下し、耳鳴りなどの症状、乳頭浮腫も改善することが、英国バーミンガム大学免疫・感染症スクール眼科教育部門のAlexandra J Sinclair氏らによる前向きコホート研究の結果、報告された。食事療法終了後も3ヵ月間、効果は持続していたことも確認された。BMJ誌2010年7月17日号(オンライン版2010年7月7日号)掲載より。425kcal/日の低エネルギー食介入後の、頭蓋内圧の低下を観察試験は、英国内の病院の外来および臨床研究施設から被験者を集め行われた。被験者は、BMIが>25、乳頭浮腫を呈し、頭蓋内圧>25cmH2O、慢性(3ヵ月超)特発性頭蓋内圧亢進症の女性25人だった。手術治療を受けた患者は除外された。被験者は試験登録後、3ヵ月間は新規介入を受けず(ステージ1)、続く3ヵ月間は低エネルギー食(1,777kJ/日、425kcal/日)の介入を(ステージ2)、その後3ヵ月間は追跡期間とされた(ステージ3)。主要評価項目は、食事療法介入後の頭蓋内圧の低下。副次評価項目には、頭痛(headache impact test-6)スコア、乳頭浮腫[超音波測定(視神経乳頭腫脹、神経鞘腫直径)、OCT測定(乳頭周囲網膜厚)]、ハンフリー視野の平均偏差、LogMAR視力、その他症状を含んだ。評価は、基線、3、6、9ヵ月時点で行われ、また頭蓋内圧は、腰椎穿刺にて、基線、3、6ヵ月時点で測定された。体重、頭蓋内圧、頭痛、乳頭浮腫が有意に低下ステージ1の間は、各値に変化はみられなかった。ステージ2の間では、体重[平均15.7(SD:8.0)kg、P

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糖尿病性網膜症の進行を抑制する薬物療法

2型糖尿病患者の網膜症進行に対する薬物療法の効果を検討した結果、強化血糖コントロールと、抗高脂血症薬併用療法で進行率の低下が認められたことが報告された。一方、強化血圧コントロールによる効果は認められなかった。報告は、「ACCORD」試験被験者のサブグループ「ACCORD Eye」被験者データを解析した結果による。これまでのデータで、血糖、コレステロール、血圧という全身性因子が、糖尿病性網膜症の発症および進行に重要な影響を及ぼしている可能性が示唆されていたことを受けて行われた。NEJM誌2010年7月15日号(オンライン版2010年6月29日号)より。ACCORDサブグループ対象に解析無作為化試験「ACCORD」(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)は、2型糖尿病を有し心血管疾患リスクが高く、各種薬物療法を受けている1万251例が参加して行われた。被験者は、血糖コントロールの強化治療(目標<6.0%)もしくは標準治療(同7.0~7.9%)を受け、さらに脂質異常症に対する治療として抗高脂血症薬の併用投与[フェノフィブラート(商品名:リピディルなど)1日1回160mg+シンバスタチン(商品名:リポバスなど)]か単独投与(プラセボ+シンバスタチン)を、あるいは収縮期血圧コントロール[目標<120mmHg(強化群)か<140mmHg(標準群)]を受けた。これら治療の糖尿病性網膜症に対する4年時点の効果について、サブグループ「ACCORD Eye」(2,856例)を対象に評価が行われた。評価は、ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study)重症度スケール(7方向の立体眼底写真を17段階で評価、高段階ほど重症)で3段階以上の進行、あるいはレーザー光凝固術または硝子体切除術を余儀なくされた糖尿病性網膜症の発症について検討された。強化血糖コントロールのオッズ比0.67、抗高脂血症薬併用療法のオッズ比は0.604年時点の糖尿病性網膜症の進行率は、強化血糖コントロール群は7.3%だったのに対し、標準血糖コントロール群は10.4%だった。強化血糖コントロール群の補正後オッズ比は0.67(95%信頼区間:0.51~0.87、P=0.003)。抗高脂血症薬治療別では、併用群は6.5%だったのに対し、単独群は10.2%だった。併用群の補正後オッズ比は0.60(0.42~0.87、P=0.006)。一方、血圧コントロールについては、強化血圧コントロール群10.4%、標準血圧コントロール群8.8%で、強化血圧コントロール群の補正後オッズ比は1.23(0.84~1.79、P=0.29)だった。(医療ライター:武藤まき)

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肥満症治療薬lorcaserin、プラセボに比べ体重減少・維持改善が有意

選択的セロトニン2C受容体アゴニストである肥満症治療薬lorcaserin(国内未承認)の体重減少および維持改善効果は、プラセボに比べ有意であることが報告された。米国フロリダ病院&サンフォード-バーナム研究所のSteven R. Smith氏らが行った、2年にわたる98施設参加の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験「BLOOM」の結果で、NEJM誌2010年7月15日号で発表された。2年にわたる無作為化プラセボ対照二重盲検試験BLOOM(Behavioral Modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management)試験は、3,182例の肥満・過体重の成人(平均BMI:36.2)を無作為に、lorcaserin 10mgを1日2回投与を受ける群と、同プラセボ投与を受ける群に割り付け行われた。全員、食事療法と行動変容のカウンセリングも受けた。試験は2年にわたり、投与開始52週時点で割り付けの再設定が行われ、プラセボ群は全員引き続きプラセボを、lorcaserin群は無作為にlorcaserinかプラセボを受ける群に再設定された。主要評価項目は、1年時点の体重減少、2年時点の体重減少維持。安全性については、FDA定義の心弁膜症の発現について心エコー検査で確認がされた。1年時点で試験を受けていたのは、lorcaserin群55.4%(883/1,595例)、プラセボ群45.1%(716/1,587例)だった(両群計1,599例)。2年時点では、両群計1,553例だった。1年で5%以上体重減少、lorcaserin群47.5%、プラセボ群20.3%1年時点で、体重が5%以上減少したのは、lorcaserin群は47.5%、プラセボ群は20.3%だった(P<0.001)。重量減少でみると、1年間でlorcaserin群は平均5.8±0.2kg、プラセボ群は平均2.2±0.1kgだった(P<0.001)。1年間lorcaserin投与を受け基線より5%以上体重減少した人について、2年目も引き続きlorcaserin投与を受けた人の方が、2年目はプラセボ投与を受けた人よりも体重減少が維持されていた(67.9%対50.3%、P<0.001)。心エコー検査が行われたのは、1年目2,472例、2年目1,127例だった。いずれもlorcaserin投与に関する心臓弁膜症の増大は認められなかった。lorcaserin群で最も頻度の高かった有害事象は、頭痛、めまい、吐き気で、重篤な有害事象の発生は両群で同等だった。Smith氏は、「行動変容とともにlorcaserin投与を受けた患者の体重減少および維持改善は、プラセボ群と比べて有意だった」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

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テレケア介入で、がん患者の疼痛症状、うつ病を改善

症状監視自動モニタリングと連結した遠隔医療(テレケア)管理システムは、都市部の点在するがんケア施設の患者や、地方のがんケア施設で暮らす患者の、疼痛症状やうつ病を改善する効果があるという。米国インディアナポリス・Richard Roudebush退役軍人メディカルセンターのKurt Kroenke氏らが、無作為比較対照試験を行い明らかにした。疼痛症状とうつ病は、がん関連の最も一般的かつ治療可能な症状だが、認知されていなかったり、治療がされていなかったりする頻度も高い。Kroenke氏らは、テレケア管理システムに、そうした状況を改善する効果があるのか検討を行った。JAMA誌2010年7月14日号掲載より。がんケア施設入所者をテレケア介入群と通常ケア群に無作為化し追跡試験は、INCPAD(Indiana Cancer Pain and Depression)試験に協力する地域密着型がんケア施設(都市部と地方合わせて16施設)で行われた。2006年3月~2008年8月に被験者を動員し、2009年8月まで追跡された。うつ病(Patient Health Questionnaire-9)スコアが10以上か、がん疼痛[Brief Pain Inventory(BPI)worst pain]スコアが6以上、あるいは両スコアを満たしていた被験者を、無作為に、テレケアの介入を受ける群(202例)と、通常ケア群(203例)に割り付け、症状タイプごとに分析した。介入群の患者は、ナースフィジシャン専門家チームによるテレケア統合管理システムを受けた。双方向の音声録音またはインターネットで症状を自動で監視する在宅モニタリングシステムが活用された。主要評価項目は、基線・1・3・6・12ヵ月時点で盲見評価された、HSCL-20評価によるうつ病スコア、およびBPI評価による疼痛重症度とした。介入群の改善効果が一貫して大きい被験者405例のうち、うつ病の単一症状が認められたのは131例、疼痛の単一症状が認められたのは96例、両症状が認められたのは178例だった。疼痛症状があった274例のうち、介入群の137例は通常ケア群の137例より、試験12ヵ月一貫してBPIスコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~10)の改善(P<0.001)、基線からのBPI改善が30%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。同様にうつ症状があった309例も、介入群の154例が通常ケア群の155例より、12ヵ月の間のHSCL-20スコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~4)の改善(P<0.001)、基線からのHSCL-20改善が50%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。両群間の標準エフェクトサイズ差は、疼痛については3ヵ月時点0.67(95%信頼区間:0.33~1.02)、12ヵ月時点0.39(同0.01~0.77)、うつ病については3ヵ月時点0.42(同0.16~0.69)、12ヵ月時点0.41(同0.08~0.72)だった。

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小児がん5年生存児、診断後25年以降も早期死亡のリスクが高い

小児がん5年生存児は、一般集団と比べ早期死亡のリスクが高いが、長期において、特に一般集団での死亡が実質的に増え始める診断後25年以降についてはどうなのか。これまでの研究で、20年時点で、死亡リスクが高い疾患要因として、再発がんよりも二次原発がんや循環器系イベントによるものだったことが報告されている。英国バーミンガム大学のRaoul C. Reulen氏らは、それより長期の特異的死亡要因について大規模住民ベースによる調査を行った。JAMA誌2010年7月14日号掲載より。1940~1991年の英国小児がん5年生存児1万7,981例を追跡調査は、British Childhood Cancer Survivor Studyに登録された1万7,981例の小児がん5年生存児を対象に行われた。被験者は、英国内で1940~1991年に、15歳未満で小児がんと診断された5年生存者で、2006年まで追跡された。主要評価項目は、標準死亡率比(SMR)と、絶対超過リスク(AER)とした。再発死亡は減少するが、代わって二次原発がん・循環器系死亡が増大追跡期間中の死亡は3,049例で、一般集団の11倍だった(SMR:10.7、95%信頼区間:10.3~11.1)。SMRは追跡期間中減少していったが、診断から45年でもまだ3倍だった(同3.1、2.5~3.9)。再発による死亡のAERは、診断から5~14年時点では、1万人・年当たり97例(95%信頼区間:92~101)だったが、45年以降では8例(同3~22)に減少していた。対照的に同期間の、二次原発がんや循環器系イベントによる死亡のAERは、増加していた。二次原発がん死亡のAERは、8例(同7~10)から58例(同38~90)に、循環器系死亡のAERは、2例(同2~3)から29例(同16~56)に増加していた。診断後45年以降に観察された、再発による死亡のAER(%)は7%だったが、二次原発がん+循環器系の死亡のAER(%)は77%となっていた。Reulen氏は、「英国の小児がん5年生存児は診断後25年以降、二次原発がんや循環器系イベントによる超過死亡の状態が続いていた」と結論している。

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糖尿病とCAD有する患者への厳格血圧コントロール、心血管アウトカム改善認められず

高血圧治療ガイドラインでは、糖尿病患者の降圧目標は収縮期血圧130mmHg未満とする治療を行うことを提唱しているが、推奨値に関するデータは限られており、特に増大する冠動脈疾患(CAD)を有する糖尿病患者に関するデータは十分ではない。米国フロリダ大学のRhonda M. Cooper-DeHoff氏らは、糖尿病とCADを有する患者コホートにおいて、収縮期血圧コントロール達成と有害心血管アウトカムとの関連を評価することを目的に、「INVEST」試験参加者の観察サブグループ解析を行った。JAMA誌2010年7月7日号掲載より。厳格、通常、非コントロール群の有害心血管アウトカムを評価観察サブグループ解析が行われたのは、「INVEST」試験(International Verapamil SR-Trandolapril Study)参加者2万2,576人のうちの6,400人で、糖尿病とCADを有する50歳以上の人だった。参加者は、14ヵ国862施設から1997年9月~2000年12月の間に集められ、2003年3月まで追跡された。米国からの参加者の追跡評価は、全米死亡統計によって2008年8月まで行われた。INVEST参加者は、収縮期血圧130mmHg未満、拡張期血圧85mmHg未満を目標に、降圧薬治療の第一選択薬はCa拮抗薬あるいはβ遮断薬を用い、併用薬として、ACE阻害薬か利尿薬または両剤を服用した。Cooper-DeHoff氏らは、被験者を、血圧コントロールが130mmHg未満を保持している場合は厳格コントロール群に、130~140mmHg未満の場合は通常コントロール群に、140mmHg以上だった場合は非コントロール群に分類し、全死因死亡、非致死的心筋梗塞または非致死的脳卒中の初発を含む、有害心血管アウトカムを主要評価項目に検討した。主要アウトカム、通常群12.6%、厳格群12.7%、補正後ハザード比1.111万6,893患者・年の追跡調査の間、主要アウトカムイベントを呈した患者は、厳格コントロール群286人(12.7%)、通常コントロール群249人(12.6%)、非コントロール群431例(19.8%)だった。通常コントロール群 vs. 非コントロール群の心血管イベント発生率は、12.6%対19.8%だった(補正後ハザード比:1.46、95%信頼区間:1.25~1.71、P<0.001)。一方、通常コントロール群 vs. 厳格コントロール群は、12.6%対12.7%(同:1.11、0.93~1.32、P=0.24)で、ほとんど違いは存在しなかった。全死因死亡率については、厳格コントロール群は11.0%、通常コントロール群は10.2%(同:1.20、0.99~1.45、P=0.06)。延長追跡評価を含むと、同22.8%、21.8%(同:1.15、1.01~1.32、P=0.04)だった。上記結果から、「糖尿病とCADを有する患者における収縮期血圧の厳格なコントロールは、通常のコントロールと比べて心血管アウトカムの改善には関連が認められなかった」と結論した。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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トラネキサム酸が、出血性外傷患者の死亡リスクを低減:2万例の無作為化試験

出血性外傷患者に対して、トラネキサム酸(商品名:トランサミンなど)短期治療を早期に開始すると、安全性を保持しつつ死亡リスクが有意に改善されることが、イギリスLondon School of Hygiene & Tropical MedicineのHaleema Shakur氏らが実施した「CRASH-2試験」(http://www.crash2.lshtm.ac.uk/)の結果から明らかとなった。外傷による院内死亡の約3分の1は出血が原因であり、多臓器不全による死亡にも出血が関与している。トラネキサム酸は、待機的手術を施行された患者の出血を低減させる可能性が示唆されているという。Lancet誌2010年7月3日号(オンライン版2010年6月15日号)掲載の報告。40ヵ国、2万例の外傷患者のプラセボ対照無作為化試験CRASH-2試験の研究グループは、外傷患者に対する短期的トラネキサム酸治療の早期投与が、死亡、血管閉塞性イベント、輸血の費用に及ぼす効果を評価するためにプラセボ対照無作為化試験を実施した。40ヵ国274施設から重篤な出血あるいはそのリスクを有する2万211例の外傷患者が登録され、8時間以内にトラネキサム酸を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。トラネキサム酸は、10分以上かけて1gを負荷投与したのち、8時間で1gを静注投与することとした。患者および試験関係者(各施設の担当医師、試験運営センターのスタッフ)には、治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は受傷後4週以内の院内死亡とし、死亡原因を出血、血管閉塞(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓)、多臓器不全、頭部外傷、その他のカテゴリーに分けて解析した。全死亡が有意に9%低下、出血による死亡リスクも有意に15%改善トラネキサム酸群に1万96例が、プラセボ群には1万115例が割り付けられ、それぞれ1万60例、1万67例が解析の対象となった。全死亡率は、プラセボ群の16.0%(1,613/1万67例)に対し、トラネキサム酸群は14.5%(1,463/1万60例)と有意に抑制された(相対リスク:0.91、95%信頼区間:0.85~0.97、p=0.0035)。出血による死亡リスクも、プラセボ群の5.7%(574/1万67例)に対し、トラネキサム酸群は4.9%(489/1万60例)と有意に低下した(相対リスク:0.85、95%信頼区間:0.76~0.96、p=0.0077)。著者は、「トラネキサム酸は、出血性外傷患者の死亡リスクを安全に低減する。これらの結果に基づき、出血性外傷患者ではトラネキサム酸の使用を考慮すべきである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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術後合併症予防キャンペーンSCIP順守の効果は?

術後合併症の予防を目的として、米国の主な医療機関が参加・展開するキャンペーン「Surgical Care Improvement Project」(SCIP)で定められた予防措置を守ることで、術後合併症リスクは15%減らせることが明らかにされた。ただし順守と術後合併症予防に有意な関連は認められなかったとも報告している。米国オハイオ州のケース・ウエスタン・リザーブ大学のJonah J. Stulberg氏らが、40万人超の患者について調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月23/30日号で発表した。感染予防措置の3項目順守率、2~6項目順守率をそれぞれ評価同氏らは、SCIPに参加し、予防措置の順守率について「Hospital Compare Web」で、「Premier Inc's Perspective Database」に基づき報告・公開している医療機関398ヵ所で手術を受け、2006年7月1日から2008年3月31日までに退院した40万5,720人について、後ろ向きコホート試験を行った。被験者のうち、白人は69%、黒人は11%で、高齢者向け公的医療保険メディケアの患者が46%、68%が選択的外科手術例だった。SCIPは7つの評価項目(INF-1~INF-7)と、2つの複合評価方法(S-INFコア、S-INF)から成る。複合評価方法「S-INFコア」は、評価項目の中心であるINF-1~INF-3の3項目から構成され、「S-INF」はINF-5を除く6項目から成る。研究グループは、複合評価方法でSCIP項目を順守することの術後感染に対する効果を評価するため、S-INFコア指標について3項目すべてを順守した群と順守しなかった群とで術後感染との関連を調べ、またS-INF指標については2項目以上を順守していた群と順守項目がなかった群とで順守状況と術後感染について調べた。評価に際しては、病院特性(規模、位置、教育病院かなど)を加味している。2項目以上順守の術後感染率0.85倍、中核の3項目順守で0.86倍結果、追跡期間中に発生した術後感染は、3,996件だった。S-INF評価で2項目以上を順守した群の術後感染率は、1,000退院当たり6.8、非順守群は同14.2で、順守群の方が低かった(補正後オッズ比:0.85、95%信頼区間:0.76~0.95)。S-INFコアについても、順守群の術後感染率は1,000退院当たり5.3、非順守群は11.5と順守群が低かったが、統計学的有意差は認められなかった(補正後オッズ比:0.86、同:0.74~1.01)。またSCIPの6項目のうち、順守したか否かで術後感染率の低下につながり他の項目と有意な差がついたという項目はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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Rosiglitazone Associated with Increased Stroke, Heart Failure, and Death Compared to Pioglitazone in Elderly Patients

The thiazolidinediones rosiglitazone (Avandia) and pioglitazone (Actos) have become popular drugs for type 2 diabetes in recent years for their potential to improve glycemic control by increasing insulin sensitivity. Concern over the safety of rosiglitazone was raised by a 2007 meta-analysis of 42 trials associating the drug with increased risk of myocardial infarction (MI) and cardiovascular death (N Engl J Med 2007 Jun 14;356(24):2457).A new, large cohort study compared the safety of rosiglitazone vs. pioglitazone in 227,571 elderly patients (mean age 74 years) with diabetes who began taking 1 of the 2 drugs between July 2006 and June 2009. During a follow-up period of up to 3 years, there were 8,667 events of MI, stroke, heart failure, or death. The incidence rate per 100 person-years for the composite of these outcomes was significantly higher for rosiglitazone than for pioglitazone (9.1 vs. 7.42, p < 0.05) (level 2 [mid-level] evidence). The number needed to harm (NNH), calculated as the number of patients treated for 1 year to generate 1 excess event, was 60 for the composite outcome. Rosiglitazone was also associated with increased incidence rates of stroke (1.27 vs. 0.95, p < 0.05, NNH 313), heart failure (3.94 vs. 3, p < 0.05, NNH 106), and death (2.85 vs. 2.4, p < 0.05, NNH 222). Incidence rates of acute MI were not significantly different (1.83 vs. 1.63) (JAMA 2010 Jun 28 early online).Also recently published was an update of the 2007 meta-analysis with 14 additional trials comparing treatment with vs. without rosiglitazone. Rosiglitazone was associated with increased risk of MI (odds ratio 1.28, 95% CI 1.02-1.63), but there was no significant difference in cardiovascular death (Arch Intern Med 2010 Jun 28 early online).For more information, see the Rosiglitazone topic in DynaMed. Published by DynaMedCopyright(c) 2010 EBSCO Publishing. All rights reserved.DynaMedは、信用できる最新エビデンスを簡潔にまとめた診療サポート・EBM実践ツールです。DynaMed Weekly Updateは、毎週DynaMedに採用される記事の中から、医師にとって重要で臨床上の判断に影響を与え得ると思われる1~5つの記事を集めたニュースレターです。●問合せ先EBSCO Publishing (エブスコ・パブリッシング)〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-6-2 高円寺センタービル8FTEL: 03-5327-5321, FAX: 03-5327-5323, E-MAIL: medical@ebsco.co.jpHP: http://www.ebsco.co.jp/medical/dynamed

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