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SMSを活用した教育介入で、てんかん患者の健康関連QOLが改善

 てんかん患者における健康関連QOL(HRQoL)の改善は、さまざまな治療プログラムおよび行動介入において着目すべき課題となっている。マレーシア・Sultan Zainal Abidin大学のPei Lin Lua氏らは、SMS(Short Message Service)を活用した教育プログラムのてんかん患者のHRQoLに及ぼす影響の検討、ならびに良好なHRQoLの予測因子を明らかにすることを試みた。Quality of Life Research誌オンライン版2013年1月18日号の掲載報告。 マレーシア半島東海岸にある3つの公立病院のてんかん外来患者を適格症例とし、印刷物による教育資材のみが提供された群(対照群)と、印刷物に加えてモバイルてんかん教育システム(Mobile Epilepsy Educational System:MEES)によりSMSを受信した群(介入群)に無作為化した。HRQoLはThe Malay Quality of Life in Epilepsy Inventory-30(QOLIE-30のマレー語版)を用いて評価した。統計解析ソフトSPSS 16を使用し、記述統計、ペアt検定、共分散分析および多重ロジスティック回帰分析などによりデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・登録されたのは、てんかん患者144例であった。・患者背景は、年齢が30.5±11.8歳、未婚者が60.4%、教育レベルはマレーシア教育検定〔Sijil Pelajaran Malaysia:SPM、ケンブリッジシステムのOレベル(中等課程)〕以下が76.4%、罹病期間5年を超える例が51.1%であった。・想定される交絡因子調整後、介入群は対照群と比べて「発作への不安」「全般的QOL」「情緒的健康」「社会的役割」「総スコア」をはじめ、HRQoLプロファイルの改善が認められた(p<0.05)。・共変量調整後、SMSを追加したてんかん教育プログラムは、てんかん患者における良好なHRQoLの有意な予測因子であることが示された。・著者は、「SMSによる継続的な情報提供は、てんかん患者のHRQoLに好影響を及ぼすようである」と結論するとともに、「本研究は将来的なイノベーションの礎となるものであり、てんかん患者・家族がウェルフェアおよびHRQoLを確保するための努力を後押しするものである」と成果を強調した。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・抗てんかん薬、神経膠腫術後患者の言語記憶を改善

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腎同種移植片拒絶反応の未知の表現型を同定、高い移植片喪失リスク示す/Lancet

 フランス国立保健医学研究所(INSERM)のCarmen Lefaucheur氏らの研究グループは、腎同種移植片の拒絶反応の未知の表現型として、「抗体関連型血管性拒絶反応(antibody-mediated vascular rejection:ABMR/V+)」を同定したことを、Lancet誌2013年1月26日号(オンライン版2012年11月23日号)で報告した。このタイプの拒絶反応は全体の約2割を占め、移植片喪失リスクが既知のタイプの拒絶反応に比べて高いこともわかった。現在の国際分類では2つの急性拒絶反応の表現型(T細胞関連型拒絶反応、抗体関連型急性拒絶反応)が示されているが、表現型とアウトカムの臨床的関連は複雑なため、その同定は困難であり、見逃されている表現型が治療に直接悪影響を及ぼしている可能性があるという。拒絶反応のパターンを地域住民ベースの調査で評価 研究グループは、腎同種移植片拒絶反応の表現型の特性を評価して抗HLA抗体との関連を同定し、予後を正確に予測することを目的に、地域住民ベースの調査を行った。 1998年1月1日~2008年12月31日までに、パリ市のNecker病院およびSaint-Louis病院でABO適合型腎移植を受けた患者を対象とした。フォローアップは2010年3月31日まで行われた。急性拒絶反応をきたした患者の生検標本を調べ、移植片の機能低下と病変の病理組織学的な特性の関連に基づいて定義づけを行った。 主要評価項目は腎同種移植片喪失(再透析)とした。さらに、拒絶反応のパターンを検討するために、移植片の組織像、生検標本のC4d沈着、ドナー特異的抗HLA抗体を調べることで、拒絶反応エピソードのレトロスペクティブな評価を行った新たな治療法の開発につながる可能性も 2,079例が主解析の対象となり、そのうち302例(15%)が生検で急性拒絶反応を証明された。拒絶反応例の平均年齢は45歳(非拒絶反応例49歳、p<0.0001)、男性が49%(同:69%、p<0.0001)、再移植例は40%(同:12%、p<0.0001)であった。 以下の4つの腎同種移植片拒絶反応パターンが同定された。1)T細胞関連型血管性拒絶反応(TCMR/V+、26例、9%)、2)抗体関連型血管性拒絶反応(ABMR/V+、64例、21%)、3)T細胞関連型非血管炎性拒絶反応(TCMR/V-、139例、46%)、4)抗体関連型非血管炎性拒絶反応(ABMR/V-、73例、24%)。 このうちABMR/V+は、これまで認識されていない表現型であり、循環血中のドナー特異的抗HLA抗体による動脈内膜炎で特徴づけられた。 TCMR/V-と比べた場合の移植片喪失のリスクは、ABMR/V-が2.93倍(p=0.0237)で、ABMR/V+は9.07倍(p<0.0001)に達していたが、TCMR/V+ではハザード比が1.5であったものの有意差は認めなかった(p=0.60)。 著者は、「現在の腎移植片拒絶反応の分類にはないタイプの拒絶反応――抗体関連型血管性拒絶反応(ABMR/V+)――を同定した。この移植片喪失リスクが高い拒絶反応が広く知られるようになれば、抗HLA抗体を標的とした戦略など新たな治療法の開発につながり、多くの腎同種移植片が救済される可能性がある」と結論している。なお、これらの知見は、マウスモデルで確立されている動脈硬化の免疫学的な進展の概念がヒトでも支持されることを示唆するという。

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経口アザチオプリン、難治性小児アトピー性皮膚炎にベネフィットをもたらす可能性

 難治性小児アトピー性皮膚炎に対する経口アザチオプリン(商品名:アザニンほか、アトピー性皮膚炎には適応外)は、ベネフィットがある可能性を、米国・ジョージタウン大学医学部のMaura Caufield氏らが無作為化試験の結果、報告した。欧米ではアザチオプリンは、難治性アトピー性皮膚炎などでステロイドを節減する薬物として処方されるが、小児アトピー性皮膚炎での適正使用とモニタリングについては、前向きデータが限られており、Caufield氏らは、アザチオプリンの治療反応とモニタリングのあり方について検討した。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年1月号(オンライン版2012年8月11日号)の掲載報告。 研究グループは、アザチオプリンの治療反応を評価し、治療中にTPMT(thiopurine methyltransferase)活性を繰り返し測定することの必要性、および6-チオグアニンヌクレオチド(6-TGN)ならびに6-メルカプトプリン(6-MP)の代謝レベルの測定が有用であるかについて調べた。 重症難治性アトピー性皮膚炎の小児を対象に、経口アザチオプリンを投与し、前向きに追跡。疾患重症度は、SCORing AD指数によって判定した。 TPMTはベースラインで測定した後、症状の改善や十分な効果が得られない場合、あるいは治療反応が認められた場合に、6-TGNや6-MPとともに繰り返し測定した。 主な内容は以下のとおり。・被験児は12例であった。・アザチオプリン治療は、1例を除いた全患者の臨床的改善と関連していた。・有害事象はほとんどみられなかった。・3例では、治療中のTPMT活性に有意な変化がみられた。そのうち2例は軽度な低下を示し、1例は中間値から標準値へと増大する酵素誘導性を示した。・一方、こうした変化(臨床的効果と逆相関を示すような変化)は、6-TGNあるいは6-MP値ではみられなかった。・著者は、本試験が小規模であり限界があるとした上で、「難治性小児アトピー性皮膚炎治療において、アザチオプリンはベネフィットがある可能性が示された」と結論。また、「TPMT活性の反復評価が治療未反応あるいは反応の評価に有用であり、さらなる試験の根拠となりうる。対照的に、治療期間中のチオプリン代謝活性の測定は臨床的に役立たなかった」と報告した。

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地域でのケア移行、改善介入で不必要な入院が減少/JAMA

 米国メディケア患者は治療移行の間に、不必要な再入院など害悪をもたらす過失に見舞われているという。Colorado Foundation for Medical CareのJane Brock氏らケア移行プロジェクトチームは、ケア移行改善の介入によってメディケア診療報酬支払対象患者の再入院や入院が低減するのかを検証した。JAMA誌2013年1月23日号の掲載報告。14介入地域と50対照地域の比較で、ケア移行改善介入の効果を検討 研究グループは、14の介入地域と50の対照地域について、ケア移行改善実施前(2006~2008年)と実施以降(2009~2010)について、メディケア受給者1,000人当たりの全要因30日再入院率を主要アウトカムとして検討を行った。副次評価項目は、同30日入院率と、全要因30日再入院率/退院率などを含んだ。 14介入地域群のメディケア受給者は、地域により2万2,070人~9万843人にわたった。 介入は、質改善委員会(QIO)が地域組織によるエビデンスベースの改善策が実行しやすいよう技術協力を行い、参加者、実行力、有効性と有害反応のモニタリングを行った。全要因30日再入院率、同入院率は介入により減少 結果、全要因30日再入院率(1,000受給者当たり)は、介入地域群では介入前は15.21であったが介入後は14.34に、対照地域群ではそれぞれ15.03、14.72であった。両群の介入前後の変化の差は0.56/1,000/1地域(95%信頼区間:0.05~1.07、p=0.03)で、介入地域群のほうが再入院率が大きく減っていた。 入院率については、介入地域群では介入前82.27、介入後77.54であり、対照地域群では82.09、79.48であった。両群の介入前後の変化の差は2.12/1,000/1地域(95%信頼区間:0.47~3.77、p=0.01)で、介入地域群の入院率のほうが大きく減っていた。 退院率に対する再入院率の平均値は、介入地域群では介入前18.97%、介入後18.91%であった。対照地域群は18.76%、18.91%で、両群の介入前後の変化に有意差は認められなかった(0.22%、95%信頼区間:-0.08~0.51、p=0.14)。 プロセスコントロールチャートにより、改善は介入直後に始まったことが確認できた。

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大腸がん患者の生存率とウオーキングなどの活動時間との関連

 がんの治療中や治療後の運動が安全で忍容性があることは、ランダム化試験により報告されている。しかし、大腸がんにおけるレクリエーション的な身体活動(ウオーキング、ジョギング、テニス、サイクリングなど)と生存率の関連は明らかではない。米国のPeter T Campbell氏らは、大腸がん患者の身体活動時間と余暇を座って過ごす時間について、死亡率との関連を調査した。その結果、身体活動時間が長いと死亡率が低く、座って過ごす余暇時間が長いと死亡のリスクが高くなることを報告した。Journal of clinical oncology誌オンライン版2013年1月22日号に掲載。 著者らは、1992~1993年のベースライン時に大腸がんではなかった成人の集団から、2007年半ばまでに侵襲的非転移性大腸がんと診断された2,293例を同定した。彼らに、がん診断前(ベースライン時)とがん診断後に、レクリエーション的な身体活動時間と座って過ごす余暇時間を含む詳細なアンケートを行った。 主な結果は以下のとおり。・大腸がん診断後の追跡期間中(最長16.1年)、846例が死亡し、うち大腸がんによる死亡は379例であった。・レクリエーション的な身体活動が8.75 MET(metabolic equivalent)時間/週以上(ウオーキングに換算して約2.5時間/週以上)の群では、3.5MET時間/週以下の群に比べて、すべての原因による死亡率が低かった(診断前の身体活動:相対リスク[RR] 0.72、95%CI 0.58~0.89、診断後の身体活動:RR 0.58、95%CI 0.47〜0.71)。・座って過ごす余暇時間が6時間/日以上の群では、3時間/日未満の群と比較して、すべての原因による死亡率が高かった(診断前の座っていた時間:RR 1.36、95%CI 1.10~1.68、診断後の座っていた時間:RR 1.27、95%CI 0.99~1.64)。

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過去半年間にヒヤリ・ハットを経験した医師は60%以上

 昨年12月の日本医療機能評価機構の発表によると、同年7-9月の四半期に報告を受けた医療事故情報が2004年10月に分析を始めて以降、過去最多の814件だったという。ケアネットが行った、ケアネット・ドットコム会員の医師1,000人に対して行ったアンケート調査では、医師の約64%が半年以内にヒヤリ・ハットを経験していることがわかった。アンケート結果の詳細は、5日に報告した。 調査は2013年1月17日~18日に、インターネット上で実施したもの。有効回答数は1,000件。 日々の診療でのヒヤリ・ハットの経験頻度について尋ねたところ、『週に一度』(5.7%)『月に一度』(26.3%)を合わせ3人に1人が月に一度以上は何らかの形でヒヤリ・ハットに遭遇していると回答した。一方『なし』とした医師は全体の14.4%。内容別では『薬剤の処方・投与』『治療・処置』『転倒・転落』と続くが、「報告は形式的で成果が上がっていない。誤薬と転倒のみが表立っていて、もっと問題視すべき事象は表に出ないまま」「報告数を増やすため些細なものも報告している」などの他、「“報告すること”が目的化してしまい、有効な対策の検討にはつながっていない」といった声も挙がった。 さらに、ヒヤリ・ハットに遭遇した場合の報告の有無について尋ねると、全体の41.1%が『全て報告する』と回答。その他の医師の“報告しない理由”として、『レポート作成に手間がかかるため』46.0%、次いで『院内に報告の仕組みがないため』『報告しても事故予防に役立たないと思うため』と続く。『責任追及される、評価・懲罰に関わるため』とした医師は全体の2.2%。しかしその内訳は勤務施設によって異なり、診療所・クリニックにおいては『報告の仕組みがない』が約6割に上った。 また、報告が防止策につながっているのか、責任追及や懲罰についてなど、具体的なエピソードも、あわせて公開した。「ヒヤリ・ハット」、先生は報告してますか?記名or匿名?電子or紙?実態大公開http://www.carenet.com/enquete/dr1000/024.html

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「ヒヤリ・ハット」、先生は報告してますか?記名or匿名?電子or紙?実態大公開

診療中、検査中、手術中、「おっと危ない」と心のなかでつぶやいたこと、ありませんか?「ひょっとしてとんでもない事態になっていたかも」と大汗をかいても、喉元過ぎれば…でまた繰り返してしまったり。最近は「とにかく報告をあげろ」という病院も増えているようですが、果たして防止策につながっているのか?責任追及や懲罰は?具体的なエピソードと共に、一挙公開します!コメントはこちら結果概要3人に1人が月に一度以上ヒヤリ・ハットを経験、最も多いシーンは『薬剤の処方・投与』日々の診療でのヒヤリ・ハットの経験頻度について尋ねたところ、『週に一度』(5.7%)『月に一度』(26.3%)を合わせ3人に1人が月に一度以上は何らかの形でヒヤリ・ハットに遭遇していると回答。一方『なし』とした医師は全体の14.4%。内容別では『薬剤の処方・投与』『治療・処置』『転倒・転落』と続くが、「報告は形式的で成果が上がっていない。誤薬と転倒のみが表立っていて、もっと問題視すべき事象は表に出ないまま」「報告数を増やすため些細なものも報告している」などの他、「“報告すること”が目的化してしまい、有効な対策の検討にはつながっていない」といった声も挙がった。経験医師の約6割が『報告しないことがある』、最も多い理由は『レポート作成が手間』そうしたケースに遭遇した場合の報告の有無について尋ねると、全体の41.1%が『全て報告する』と回答。その他の医師の“報告しない理由”として、『レポート作成に手間がかかるため』46.0%、次いで『院内に報告の仕組みがないため』『報告しても事故予防に役立たないと思うため』と続く。『責任追及される、評価・懲罰に関わるため』とした医師は全体の2.2%。しかしその内訳は勤務施設によって異なり、診療所・クリニックにおいては『報告の仕組みがない』が約6割に上った。報告システムの電子化進むが、「かえって面倒」との声も施設の報告体制・安全対策として、4割近い医師が『スタッフ用マニュアル』『定期会議での検討・分析』『研修・セミナー』があると回答。当事者を明らかにするか否かについては、『記名式』35.5%、『匿名式』17.2%であった。報告手段については『紙ベース』44.9%、『電子化された報告システム』32.3%となったが、電子化システムの導入について施設別に見ると、一般の病院では26.5%だったのに対し、参加登録申請医療機関では60.2%、報告義務医療機関では70.1%となった。しかし前述の“報告しない理由”で『レポート作成が手間』とした医師は、報告義務医療機関では66.3%に上り「紙ベースの時のほうが報告しやすかった」「面倒なシステムだと、文化以前の段階で敬遠されてしまう」といった声も見られた。設問詳細ヒヤリ・ハットおよびその報告についてお尋ねします。昨年12月21日のCB医療介護ニュースによると、『日本医療機能評価機構は20日、今年7-9月の四半期に報告を受けた医療事故情報が、同機構が医療事故情報収集・分析・提供事業を始めた2004年10月以降で最多の814件だったことを明らかにした。(中略)同機構によると、9月末現在、報告が義務付けられている国立病院や特定機能病院など「報告義務対象医療機関」は273施設で、自主的に事業に参加している「参加登録申請医療機関」は637施設。7-9月は、157施設の報告義務対象医療機関から計726件、29施設の参加登録申請医療機関から計88件が報告された。同機構の担当者は、前年の報告数が約2800件に上ったことや、今回、四半期としての記録を更新したことから、「事故を報告する文化が定着しつつあるのではないか」と話している(略)』とのこと。医療事故につながる事例として「ヒヤリ・ハット」あるいは「インシデント」があります。日本医療機能評価機構による「ヒヤリ・ハット」の定義は以下です。(1)医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された事例。(2)誤った医療が実施されたが、患者への影響が認められなかった事例または軽微な処置・治療を要した事例。ただし、軽微な処置・治療とは、消毒、湿布、鎮痛剤投与等とする。(3)誤った医療が実施されたが、患者への影響が不明な事例。そこで先生にお尋ねします。Q1.日々の診療におけるヒヤリ・ハットのご経験について過去1年間で最も近い頻度をお選び下さい。週に一度月に一度半年に一度年に一度なし(Q1で「なし」を選んだ方以外)Q2.どのような場面でヒヤリ・ハットを経験しましたか?当てはまること全てをお選び下さい。治療・処置薬剤の処方・投与ドレーン・チューブ類の使用転倒・転落検査医療機器の使用輸血その他(Q1で「なし」を選んだ方以外)Q3.経験したヒヤリ・ハットへの報告の有無についてお答え下さい。全て報告している報告しないことがある全く報告しない(Q3「全て報告している」を選んだ方以外)Q4.報告しない理由について最も当てはまるものをお選び下さい。レポート作成等に手間がかかるため責任追及されるあるいは評価・懲罰に関わるため報告しても事故予防に役立たないと思うため院内に報告の仕組みがないためその他Q5.ご勤務施設のヒヤリ・ハット報告体制、および医療安全対策について当てはまることを全てお選び下さい。電子化された報告システムを導入している報告書は紙ベースである報告は匿名式である報告は記名式である報告されたヒヤリ・ハットに関し定期的な会議にて検討・分析している報告件数・内容などが集計され院内に発表される医療安全に関わる研修・セミナーを実施しているスタッフ用医療安全マニュアルがある上記全て当てはまらないQ6. コメントをお願いします(具体的なエピソード、防止策、報告に関する勤務施設内での対応方針、報告したことによる評価・責任追及・懲罰の有無、その他ご意見など何でも結構です)F1. 先生が勤務されている施設を以下からお選び下さい。おわかりにならない先生は「上記以外」からお選び下さい。「報告義務医療機関」とは国立高度専門医療センター及び国立ハンセン病療養所独立行政法人国立病院機構の開設する病院学校教育法に基づく大学の付属施設である病院(病院分院を除く)特定機能病院「参加登録申請医療機関」とは上記以外で医療事故情報収集等事業の参加に希望する医療機関報告義務医療機関参加登録申請医療機関上記以外の病院(20床以上)上記以外の一般診療所・クリニック(19床以下)その他F2. 年代F3. 診療科2013年1月17日(木)~18日(金)実施有効回答数1,000件調査対象CareNet.com会員コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「報告自体が医師の負荷を増しているのが悩ましい」(40代,内科,上記以外の病院)「同じような失敗が性懲りもなく繰り返されるが、対策を立てると減少する事例、患者サイドの要因が大きくなかなか減少しない事例がある。」(40代,脳神経外科,上記以外の病院)「報告システムはあるが形式的で結局なにも成果があがっていない。 誤薬と転倒のみが表立っていてもっと問題とするべき事項は表に出ないまま終わっている」(50代,神経内科,報告義務医療機関)「薬剤名の間違い(電子カルテで上下の段にある薬を誤って処方してしまう)がほとんど」(60代以上,耳鼻咽喉科,上記以外の一般診療所・クリニック)「他職種のヒヤリハットであっても、全て医師が患者や家族に説明する体制になっていてなんとなく腑に落ちないときがある」(40代,精神・神経科,上記以外の病院)「どの程度から報告したらよいか悩むことがある。今回、報告しなかったのは子どもが診察室の椅子で暴れて落ちそうになったことであり、ヒヤリハットの定義に当てはまらないと思われるが、転落してケガをしたら報告しなくてはならない。小児科であり、今回と同様のことをすべて報告していたらきりがない。以前の病院では、名前を伏せたレポートを冊子化しており、“こんなことが起こりうるのか”“このように注意したらよいのか”など参考になることがあった。レポートを提出することで注意されたり非難されたりしたことは一切なかったので、その環境はレポートを提出しやすくなるので大切」(60代以上,小児科,上記以外の病院)「ただ単に報告するだけでは、重大事故は防げないと思う。重大事故が既に過去に生じているから「ヒヤリ・ハット」と認識できるのであり、それだけでは新たな重大事故防止に不十分であると思うからです。報告することが目的のように勘違いされている風潮があります。重大事故を想像・想定する一歩進めたKYT(危険予知トレーニング)をもっと重視するべき」(50代,外科,上記以外の病院)「エピソードの報告があっても、原因・対応策の真剣な取り組みが見られないし、指導する者が居ない」(60代以上,内科,上記以外の一般診療所・クリニック)「医師は本来業務が煩雑で、ヒヤリ・ハットが多いが、忙しすぎていちいち報告できないのが現状」(40代,内科,上記以外の病院)「インシデント・アクシデントの報告は病院にとって宝であり、原則責任追及や懲罰はなく、特に発見者や対応策の提示者には表彰があります。」(40代,内科,上記以外の病院)「ピリン禁忌の患者にピリン系薬剤を処方し薬剤師より注意された。」(40代,内科,上記以外の一般診療所・クリニック)「電子カルテを最近導入したが,処方の際に小数点が落ちてしまったり,前回処方をコピーしようとして 前々回の処方をコピーしたりすることがある。電子カルテの操作性や,日付順に記載内容が表示されない など,電子カルテそのもののできが悪いとしか言いようがない。」(50代,小児科,報告義務医療機関)「昔なら問題にすらならないようなことまで、問題にされる傾向である。」(50代,内科,上記以外の一般診療所・クリニック)「事故を起こした個人の責任とせず、組織で再発防止を考える最近の流れに、大いに賛成しています。 昔は、ひどかった・・・。」(40代,内科,上記以外の一般診療所・クリニック)「ミスは誰にでもあるので、個人的な責任を問わないという姿勢も大事だとは思うが、明らかにミスを繰り返す傾向のある人もいる。その人に対して、どう対応すればいいのか?」(50代,小児科,上記以外の病院)「事故を報告する文化の醸成が重要、文化のないところにシステムを構築しても機能しないのではないかと思う。それと、報告システムの手間の軽減策、あまりに面倒なシステムだと、それが足かせとなって文化以前の段階で敬遠されてしまう。」(50代,消化器科,報告義務医療機関)「後日、重要なものについては医療安全管理室から事情聴取がある。」(60代以上,麻酔科,その他)「codeblueの館内放送が流れない部屋があったり、ブレーキの壊れた車椅子で院外に出た患者が危うく交通事故に合いそうになったりなど。」(60代以上,救急医療科,その他)「対策はしても責任追及はしない。あまりに報告が少ない部署は、むしろ要注意。」(50代,整形外科,上記以外の病院)「オカーレンスレポートを提出した事がありますが、某教授から退職するように強要されました。責任を追及しないなんて全くの嘘ですので。」(50代,循環器科,上記以外の一般診療所・クリニック)「責任追及ではないので、報告することで病院機能改善の方向に向かうと考えている。」(50代,耳鼻咽喉科,参加登録申請医療機関)「自身も含めインシデント・アクシデントの報告・連絡・相談は思うように行かない・・というのが実感」(40代,内科,上記以外の病院)「玄関前が凍結しており、患者が転倒することがあった。打撲程度であり、患者家族にも理解をしてもらえた。それ以後、翌朝凍結が予想されるときには診察終了時に玄関前に凍結防止剤(塩)を散布し、朝には湯をかけて凍結転倒しないよう配慮している。」(50代,内科,上記以外の一般診療所・クリニック)「報告件数・内容などが集計され院内に発表され対策会議にて再発予防策を策定しています。」(50代,泌尿器科,上記以外の病院)「自分自身、規格違いの内服薬の誤処方、静注薬の過量投与などを起こしたことがあるが、インシデントが起きたことを患者に説明すると、院長名の文書で具体的な改善策を求められ、患者側の意識が以前より高くなっていると感じる。当院ではレベル3b以上では、緊急に医療安全管理委員会が開かれて対応を協議している。報告は原則として安全管理システムの向上を目的としており、当事者の責任追及や懲罰はなされないのが通常の対応であるが、分析によって明らかに当事者個人の対応に問題があった場合はあり得る。」(50代,小児科,参加登録申請医療機関)「以前勤めていた病院で、手術中のエピソード(腰椎麻酔下での血圧低下と一過性の呼吸抑制のため一時術野から手をおろし対応)を報告したら、現場を知らない事務方に医療事故対応をとられる寸前のところだった。県立大野病院の事件の直後の頃である。ヒヤリ・ハットの報告も大事だが、関わるすべての人にきちんと責任をもってもらいたい。」(40代,産婦人科,上記以外の一般診療所・クリニック)「絶対ベッド上安静の患者(認知症なし)が勝手にベッドから降りようとして転倒した。 少ないスタッフでの看護にも限界あり。」(40代,整形外科,上記以外の病院)「外来での処方忘れや、看護師への細かい指示の行違い等、報告しているとキリがない。これらを無くすることは現実的には無理だと思う。 報告すべき事例と、しなくても良い事例の線引きが困難である。 」(40代,循環器科,報告義務医療機関)「ヒヤリハットの範囲が不明確である。処方での入力ミス(非危険薬):用法用量などがキーの入力ミスで 入力後気づく、あるいは薬剤師からの疑義解釈で気づくなどの場合、ヒヤリハットといえるか必ずしも明確でない(手書きでは起こらないことが電カルでは頻繁に起こる)。」(60代以上,リウマチ科,上記以外の病院)「電子カルテシルテムの様式が煩雑でハードルが高い」(50代,眼科,参加登録申請医療機関)「無床クリニックでの安全体制って、皆様いかが取り組んでいらっしゃるのか、知りたいところです。」(40代,内科,上記以外の一般診療所・クリニック)「研修医は直属の上司がはっきりしないため、報告システムが確立していない。」(30代以下,内科,報告義務医療機関)「よく似た名前の患者は、呼名で確認しても患者がハイと返事するので困った。番号で呼ぶのが良いかもしれない。」(50代,腎臓内科,上記以外の病院)「定期的に発信していかないと、報告数が減少してしまいます。報告者への責任や懲罰はありませんが、個別にはいろいろともめる原因になっているようです。」(40代,産婦人科,参加登録申請医療機関)「日常業務に差し支えのない程度の簡単な報告様式にするか、事務が書いてくれるなどしてくれるといいのだが。」(30代以下,産婦人科,報告義務医療機関)「外来処方時の日数間違えなどは登録していません。 入院中の点滴オーダー忘れや検査で有害事象が起きたときはすべて報告しています。」(30代以下,循環器科,その他)「当院では報告しても周囲に報告やお知らせなどせず、反映されていない」(40代,整形外科,報告義務医療機関)「もっと簡単なフォーマットになっていればいいと思います。」(40代,その他,報告義務医療機関)「うちの施設では、犯人探しになってしまうことが多い」(40代,呼吸器科,上記以外の病院)「電子カルテになって、電子化された報告システムになったが、紙ベースのときの方が報告しやすかった」(50代,外科,上記以外の病院)「懲罰はないが、あまりにひどい場合には依願退職した人もいる。」(60代以上,放射線科,参加登録申請医療機関)「報告による評価・責任追及・懲罰の有無はないとされているが、長期的に見た場合、全くヒヤリハット報告がない医師と、正直にすべて報告した医師とで、本当に評価の差が無いのか不安。」(30代以下,小児科,その他)「報告はある程度保存したあとは、残さないというルールでなければ報告は増えないと思います。」(40代,整形外科,上記以外の病院)「どこの病院でも医師からのインシデントレポート(ヒヤリ・ハット)は少ない。関係者が複数の場合、だれが報告を上げるかでも病院幹部の考え方が違っており統一されていない点が問題である。医療評価機構などが報告数を上げることを目的にしているように医師には思えてくるのではないか?真の医療の質の向上に結びついているという実感がないことが多いため報告しない可能性が高いと思う。」(50代,小児科,参加登録申請医療機関)「安全に対する対策費の増額が必要であるが、現状の医療環境の中で捻出が困難」(50代,消化器科,その他)「ワクチンの打ち間違えは痛かった。院長である以上、スタッフ全員に目を配らなければ。」(50代,小児科,上記以外の一般診療所・クリニック)「看護師による誤投薬で責任を取らされたことがあり腑に落ちない」(30代以下,呼吸器科,上記以外の病院)「処方箋の記入間違いがどうしても減らず困っています。」(50代,内科,参加登録申請医療機関)「医者は基本的にインシデント報告をしない人が多い気がします」(30代以下,精神・神経科,報告義務医療機関)「報告により責任追及は行われないことになっているが、誰が見ても防げる単純なミスなどはみっともないと思われるのは通常。どこまでを報告範囲とすべきか、決まっていないものもあり、手術時間の延長についても報告されない場合とされる場合がある」(40代,外科,報告義務医療機関)「MRM委員会と事例検討会が毎月開催されています。」(40代,呼吸器科,その他)「ヒューマンエラーは決してゼロにはならないとの観点から、ヒヤリハットの報告システムは重要と考える。しかし、報告したことや情報を収集したことで満足し、業務内容の改善等に生かされないのであれば意味がない。」(40代,血液内科,報告義務医療機関)「外来診察で高度の認知症のある別の患者が入室したことがあったが、診察終了までそれに気がつきませんでした。」(30代以下,皮膚科,報告義務医療機関)「病院首脳でヒヤリハット会議に出席しているメンバーに、ヒヤリハット事例の常連メンバーがおり、会議自体が形骸化している」(40代,内科,参加登録申請医療機関)「医師からの報告が少ないので、数字を増やすため、些細なものも報告している」(50代,内科,上記以外の一般診療所・クリニック)「報告しても、防ぐ手立てがないものが多い。今後、お互いに気をつけましょうで終わってしまう。」(50代,精神・神経科,上記以外の病院)

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検証!統合失調症患者の睡眠状態とは

 統合失調症患者では、睡眠状態に問題を抱えることがしばしば見られる。また、睡眠状態が統合失調症の各症状に影響を及ぼす可能性もある。ポルトガル・リスボン精神病院センターのPedro Afonso氏らは、睡眠パターンや睡眠の質、QOLに関して、統合失調症患者と健常者で違いがあるかを検討した。The world journal of biological psychiatry : the official journal of the World Federation of Societies of Biological Psychiatry誌オンライン版2013年1月15日号の報告。 対象は統合失調症患者34例(男性22例、女性12例)と健常者34例(男性19例、女性15例)。睡眠覚醒サイクルを評価するためにアクティグラフと睡眠日誌を用いた。睡眠の質の測定にはピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用い、QOLの測定にはWHO(世界保健機関)によるQOL評価尺度の簡易版(WHOQOL-BREF)を用い評価した。精神病理学の評価にはPANSSを用いた。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は、健常者と比較し、夜間により睡眠をとっていたが、睡眠効率が悪く、睡眠潜時と中途覚醒が有意に高かった。・自己申告によるQOLスコアは、健常者において、4つすべてのドメインで有意に高かった。・PSQIスコアは、統合失調症患者において有意に高く、睡眠の質が悪かった。・統合失調症患者では睡眠-覚醒のパターンが乱れていた(睡眠相前進症候群3例、不規則型睡眠・覚醒パターン3例)。関連医療ニュース ・睡眠薬、長期使用でも効果は持続 ・不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは ・慢性不眠症患者の中途覚醒の原因は?

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RAは、関節炎発症前からすでに不顕性炎症が起きているかもしれない

 関節リウマチ(RA)では、関節炎が臨床的に現れる前に抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)や急性相反応物質が増加する可能性があるが、こうした発症前段階ですでに局所の不顕性炎症が起きていることが、オランダ・ライデン大学病院のAnnemarie Krabben氏らによるMRIを用いた検討で明らかになった。Annals of the Rheumatic Diseases誌オンライン版2013年1月19日号の掲載報告。 臨床的関節炎を認めないACPA陽性の関節痛患者21例を対象に、四肢専用1.5テスラMRIを用い手および足関節の画像検査を行った。 比較対照はACPA陽性RA患者22例および無症状対照者19例で、スコアリングはOMERACT-RAMRIS(Outcome Measures in Rheumatology Clinical Trials / Rheumatoid Arthritis Magnetic Resonance Imaging Scoring)を用い炎症(滑膜炎および骨髄浮腫)について評価した。 主な結果は以下のとおり。・中手指節(MCP)関節/近位指節間関節の炎症スコア平均値は、無症状対照者群0.1、ACPA陽性関節痛患者群(有痛関節)0.7、ACPA陽性RA患者群3.7であった(各々p<0.001)。・手首の炎症スコア平均値はそれぞれ0.9、2.3および10.3(各々p<0.001)、中足指節関節はそれぞれ0.5、0.9および3.8(各々p=0.10)であった。・MCP関節の炎症スコアは、C反応性タンパク質および赤血球沈降速度と有意に相関していた(各々r(s)=0.83 および r(s)=0.78)。

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間欠自己導尿カテーテル、タイプ別に比較した尿路感染症リスクの発生/BMJ

 在宅患者にとって、間欠自己導尿カテーテルのタイプは、親水性、ゲルリザーバー、非コートタイプのいずれでも、症候性のカテーテル関連尿路感染症のリスクはほとんど差がないことを、英国・National Clinical Guideline CentreのSarah L Bermingham氏らがシステマティックレビューによるメタ解析を行い報告した。尿道カテーテルを利用している人の罹病状態や死亡の原因の先頭に立つのがカテーテル関連尿路感染症である。感染リスクは留置カテーテル処置患者で最も高く、膀胱管理には間欠導尿が好ましいオプション処置とされているが、これまで、その材質や方法論について、有効性と費用対効果の系統的比較は行われていなかった。BMJ誌2013年1月13日号(オンライン版2013年1月8日号)の掲載報告。親水性、ゲルリザーバー、非コートで比較 本検討は、在宅で間欠自己導尿を行っている患者にとって、最も有効で費用対効果に優れるカテーテルタイプを明らかにすることを目的とした。 システマティックレビューとメタ解析にて検討し、結果は確率的なマルコフ・モデルに組み込まれ、生涯コストとQALY(生活の質で調整した生存年)を比較した。 Medline、Embase、Cochrane、Cinahlのデータベースで2002年~2011年4月18日の間に、間欠自己導尿カテーテルについて親水性タイプ、ゲルリザーバータイプ、非コートタイプを比較している文献を検索した。また、2002年以前の論文の特定にはガイドラインを利用した。清潔(1日1回交換または週に1回交換)vs. 無菌性(使い捨て)非コートカテーテルの比較を行っている試験については、各データベースのサービス開始時点から2011年4月18日の間で検索を行った。 主要評価項目は、症候性尿路感染症、菌血症、死亡、患者の好みまたは快適性、使用したカテーテル数などが含まれた。経済的評価モデルには、尿道炎を含む尿路感染症と費用対効果が含まれ、QALY獲得のために増大するコストを算出して検討した。ほとんど差がないが、費用対効果も考慮し親水性かゲルリザーバーを選択肢とすべき システマティックレビューには8試験が組み込まれた。 間欠自己導尿法の利用は脊髄損傷患者が最も多く、大半は男性患者であった。 無菌性非コート群と比べて、ゲルリザーバー群と親水性群は、1回以上の尿路感染症(UTI)の報告例が有意に少ない傾向がみられた(いずれもp=0.04)。 しかし、親水性群と無菌性非コート群との差は、アウトカムを1ヵ月平均UTIで測定した場合(p=0.84)、または1年時点での総UTIで測定した場合(p=0.60)は有意ではなかった。 清潔非コートタイプと無菌性非コートタイプの比較では、1回以上のUTI報告に差はほとんどなかった(p=0.86)。 最も有効であったのはゲルリザーバータイプであったが、QALY獲得コストが>5万4,350ポンドで、清潔非コートタイプと比べて費用対効果では劣った。 以上の結果を踏まえて著者は、「間欠自己カテーテル法で利用されるカテーテルタイプは、症候性尿路感染症リスクについてはほとんど差がないようである。材質による大きな違いとしては、清潔非コートタイプが最も費用対効果に優れている。しかし、エビデンスベースおよび非コートタイプの呼称についての限界とギャップがあり、予防的観点から患者に与えられるべき選択肢は親水性およびゲルリザーバーとすべきことを推奨する」と結論した。その上で、現場の使用の流れが変わる前に、さらなるデータ(感染症、尿道合併症の発生、患者コンプライアンス、清潔カテーテルの扱い方、QOLなど)の積み上げが必要だと指摘している。

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全米小児病院の再入院率、疾病や病院間で有意な差/JAMA

 米国・ボストン小児病院のJay G. Berry氏らが、全米の小児病院急性期部門の再入院率を調査した結果、予定外の30日再入院率は6.5%であったことが報告された。再入院率は、患者が入院の間、および退院後に受ける治療の質のインジケーターとして利用される。本調査の再入院率も、疾病や病院間で有意差がみられ、著者は「本病院の質的改善活動に役立つであろう」とまとめている。JAMA誌2013年1月23日号掲載の報告より。1年間の72小児病院57万弱の入院について検証 調査は、小児病院急性期部門の再入院率と、病院間の格差について調べることを目的とした。 2009年7月1日~2010年6月30日の間、米国小児病院・関連施設協会のデータに基づき、72の小児病院での56万8,845件の入院について検証した。 病院、年齢、慢性疾患指標(Chronic Condition Indicators)ごとに30日再入院率を、階層的回帰モデルを用いて算出した。再入院率の「高い」「低い」は、病院ごとに求めた調整後再入院率の平均値にて特定した。 主要評価項目は、すべての診断、または10の入院診断項目で最も高率であった、未計画の30日再入院率とした。計画的再入院は、ICD-9-CMのコードで特定した。再入院率は6.5%、病院間の格差は28.6% 全入院児の未調整30日再入院率は、6.5%(3万6,734件)であった。 同値が「高い」病院と「低い」病院間の格差は大きく、調整後比較で28.6%であった[7.2%(95%信頼区間:7.1~7.2)対5.6%(同:5.6~5.6)]。 10の入院診断について最も高かった再入院率について検証したところ、調整後同割合は17.0%~66.0%にわたり、高い病院と低い病院の差が大きいことが認められた。たとえば、鎌状赤血球の再入院率は、最も高い病院で20.1%(95%信頼区間:20.0~20.3)であったのに対し、最も低い病院では12.7%(同:12.6~12.8)であった。

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不足している医療従事者のラテックスアレルギーへの知識、手袋の適正使用ができた人はわずか1%

 英国・Salford Royal NHS Foundation TrustのF. Al-Niaimi氏らは、医療従事者のラテックスアレルギーについての知識、手袋の適正使用および予防についての評価を行った。その結果、手袋の適正使用が可能であったのはわずか1%であったなど、教育の重要性が浮き彫りになったという。Clinical and Experimental Dermatology誌2013年1月号(オンライン版2012年10月1日号)の掲載報告。 英国では2008年に王立内科医協会(Royal College of Physicians)が、ラテックスアレルギーに関する労働衛生介入について初となるエビデンスに基づくガイドラインを発行した。その中で、医療従事者がラテックスアレルギーの知識を有することの重要性が強調されている。 医療従事者と患者は、手袋やさまざまな医療製品を介して天然ゴムラテックス(NRL)に曝される頻度が多く、幅広い重症度のアレルギー反応を引き起こす可能性がある。 本研究では、ラテックス手袋とNRLアレルギー、ルーチン予防、患者ケアにおける手袋の適正使用に関する医療従事者の認識を評価することを目的とした。 評価は、大規模教育病院の医療従事者を対象に、標準的な質問票を用いて行われた。 主な内容は以下のとおり。・評価の対象となった医療従事者は156人であった。・特異的な処置場面で適切な手袋を使用することができた医療従事者は、わずか1%であった。・半数以上(74.53%)が、NRLによるI型アレルギーの発現を認識できていなかった。・156人のうち131人(84%)は、NRLアレルギーおよび臨床治療における手袋のタイプ別使用についてトレーニングを受けることが有益であると考えていた。・以上の結果から著者は、「医療従事者における手袋の適正使用とNRLアレルギーについての教育の重要性が示唆された。教育の促進にあたっては、皮膚科医が重要な役割を担わなければならない」とまとめている。

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産業化の進展で精神疾患疑い例倍増、失業、離婚、自殺も増加/Lancet

 台湾(人口約2,300万人)では、1990~2010年までの20年間に、産業化の進展にともなって「頻度の高い精神障害(common mental disorder:CMD)」の疑い例が倍増し、並行して全国的に失業率、離婚率、自殺率が増加したことが、台湾・中央研究院(Academia Sinica)のTiffany Szu-Ting Fu氏らの調査で示された。マクロ社会の変動は精神的健康に影響を及ぼす可能性がある。CMDは、一般集団におけるほとんどの非精神病性障害、うつ状態、不安障害を含む広範な診断カテゴリーで、WHOによればうつ状態は2020年までに、障害調整生存年(DALY)の主要因になると予測されるという。Lancet誌2013年1月19日号(オンライン版2012年11月12日号)掲載の報告。CMD有病率の横断的調査を繰り返し、その変遷を解析 研究グループは、台湾の産業化が進んだこの20年間におけるCMDの有病率の変遷について、5年ごとに横断的調査を行った。 1990年、1995年、2000年、2005年、2010年に、12項目からなる中国版健康質問票を用いて成人台湾人の精神的健康状態を評価した。スコアが3点以上の場合に、CMDの可能性ありと判定された。 コクラン・アーミテージ検定を用いてCMDの傾向を評価し、多変量ロジスティック回帰モデルでリスク因子(性別、年齢、配偶者の有無、教育程度、就労状況、身体的健康状態)の解析を行った。得られた結果を全国的な失業率、離婚率、自殺率のデータと比較した1990年の11.5%から2010年には23.8%へ 1万548人の回答者のうち、質問票にもれなく答えたのは9,079人(86.1%)であった。CMD疑い例の割合は、1990年の11.5%から2010年には23.8%と倍増した(時間的傾向:p<0.001)。5回の調査年のすべてにおいて、全国的に失業率、離婚率、自殺率が並行して上昇していた。 CMDを疑う有意なリスク因子として、女性[調整済みオッズ比(OR):1.6、95%信頼区間(CI):1.4~1.8]、教育期間が6年未満(同:1.3、1.1~1.5)、失業(同:1.4、1.1~1.7)、日常活動を制限する身体的不良(同:6.5、5.4~8.0)が挙げられた。これらの因子を多変量モデルで解析したところ、有意な時間的傾向が維持されていた(p<0.0001)。 著者は、「台湾ではCMD疑いの有病率の増加と並行して全国的に失業率、離婚率、自殺率が増加していた」と結論し、「経済市場や労働市場の変動期には、臨床的、社会的な予防対策が重要と考えられる」と指摘している。

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肥満は腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に影響するか?

 腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に及ぼす肥満の影響について、米国・トーマスジェファーソン大学病院のJeffrey A. Rihn氏らによるThe Spine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)の解析結果が発表された。肥満患者は、手術を行った場合でも保存的治療を行った場合でも、非肥満患者と比較すると臨床的な改善効果は低いことが明らかになった。一方で、手術的治療は肥満患者および非肥満患者のいずれに対しても同様に保存的治療を上回る恩恵をもたらすという。The Journal of Bone & Joint Surgery誌2013年1月2日号の掲載報告。 肥満が腰椎椎間板ヘルニアの治療効果に影響を及ぼすかどうかを評価するため、SPORT研究の被験者についてas-treated 解析(実際行われた治療に基づいた解析)を実施した。 BMI 30kg/m2未満を非肥満患者(854例)、BMI 30kg/m2以上を肥満患者(336例)として比較検討した。手術的治療群と保存的治療群とで、両患者別に主要評価項目および副次的評価項目の各評価時期におけるベースラインからの改善を算出した。 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目の4年後におけるベースラインからの改善は、保存的治療群におけるSF-36 [身体の痛み]を除くすべてで、手術的治療群、保存的治療群のいずれにおいても肥満患者が非肥満患者より有意に低かった。 <手術的治療群>(肥満患者 vs. 非肥満患者)  SF-36 [身体機能]:37.3 vs. 47.7、p<0.001  SF-36 [身体の痛み]:44.2 vs. 50.0、p=0.005  Oswestry Disability Index:-33.7 vs. -40.1、p<0.001 <保存的治療群>(肥満患者 vs. 非肥満患者)  SF-36 [身体機能] :23.1 vs. 32.0、p<0.001  SF-36 [身体の痛み]:30.9 vs. 33.4、p=0.39  Oswestry Disability Index:-21.4 vs. -26.1、p<0.001・手術的治療群では、副次的評価項目である坐骨神経痛症状スコア(Sciatica Bothersomeness Index)および腰痛症状スコア(Low Back Pain Bothersomeness Index)の4年後におけるベースラインからの改善が、非肥満患者に比べ肥満患者で有意に低かった。しかし症状緩和に対する満足度および主観的改善率については、有意差を認めなかった。・4年後にフルタイムまたはパートタイムで仕事をしている患者の割合は、肥満患者77.5%、非肥満患者86.9%であった。・保存的治療群では、すべての副次的評価項目について肥満患者と非肥満患者とで有意差は観察されなかった。

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【CASE REPORT】非器質的疼痛とオピオイド治療 症例解説

症例解説整形外科医がオピオイドを使用する場合においては、やはり最もオピオイドが効果的であることが知られている「侵害受容性疼痛」に対して治療を行うことが優先される。「侵害受容性疼痛」にはNSAIDsが効果を奏し、その効果が十分ではないときにオピオイドを使用することで治療効果が最大となる。しかし、難治性疼痛ではこのように単純な「侵害受容性疼痛」は少なく、「神経障害性疼痛」「中枢機能障害性疼痛(機能性疼痛症候群)」や「心因性疼痛」が存在することが知られている。心因性疼痛にはオピオイドを使用すると依存や耽溺、乱用となることが知られている。整形外科医が心因性疼痛の存在を診断することは、多科目連携治療アプローチとして精神科医が加わらない限りは難しい。がん性疼痛ならオピオイド治療には死亡という投与終了が規定されているが、非がん性疼痛の場合は、投与終了できない事もある。そのため、その適応には乱用や依存などを十分考慮することが必要である。この症例の場合、術後の難治性疼痛ということで、痛みの原因が不明であったのにもかかわらず、オピオイド治療を開始したところに問題がある。オピオイド治療はNSAIDsが効果的であり、かつその効果が不十分である症例で、つまり侵害受容性疼痛(XPなどで容易に医師が患者の痛みの程度を理解できるもの)が適切と考えられる1)、2)(表1)。画像を拡大するまたオピオイド治療は精神疾患罹患では依存、乱用の頻度が高くなること3)が知られており、その点でも不適切と考えられる。また37歳という若年では、オピオイドの依存が発生しやすいこと、60歳以上の高齢者の方がオピオイドの鎮痛効果が高いこと4)からも、オピオイドを若年に使用する時はとくに注意が必要であり、長期投与した場合のリビドーの低下や性ホルモンの低下5)なども考慮する必要がある。痛みは患者本人にしかわからないものであり、疼痛(顕示)行動から推察するしか無い。術後難治性疼痛は、その原因を明確にする事が困難である。この症例では、不動時に必ず認められる筋萎縮や骨萎縮が無いことからも精神科疾患も含めた心因性疼痛、機能性疼痛、中枢機能性障害性疼痛の範疇と考えられ、オピオイド治療については慎重であるべきである。参考文献1)三木健司.新薬と臨床.2011;60:1212-1218.2)三木健司ほか.運動器慢性疼痛とオピオイド.In:七川 歓次 監修. 前田 晃 ほか編.リウマチ病セミナーXXIII.永井書店;2012.p.155-161. 3)Edlund MJ, et al.Pain.2007; 129: 355-362.4)Buntin-Mushock C ,et al. Anesth Analg.2005; 100:1740-1745.5)Lin TC,et al.J Anesth. 2010;24:882-887. Epub 2010 Oct 1. << 症例経過へ

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医療の価値とは何か、本当の競争とは何かを考える3時間!

11月10日(土)東京女子医科大学・河田町キャンパスにおいて山本雄士氏(株式会社ミナケア 代表取締役)主催による「山本雄士ゼミ」の第7回(後期第2回)が開催された。前半では、山本氏が邦訳を行った『医療戦略の本質』(日経BP社)を題材としてディスカッションを行い、後半ではケーススタディとして「西ドイツ頭痛センター」(『The West German Headache Center: Integrated Migraine Care』)のケースを題材にディスカッションを行った。山本雄士ゼミは、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した山本氏をファシリテーターに迎え、ケーススタディを題材に医療の問題点や今後の取組みをディスカッションによって学んでいく毎月1回開催のゼミである。医療の価値とは何か?イントロダクションとして山本氏が、『医療の本質』の内容について概要を説明した。「現在は医療サービスが分断され、医療提供者側の論理だけで行われている。競争といっても同じ設備や同じ考え方では、競争が起ることは難しい」と説明した後、再度医療保険の三面構造(患者・支払側・提供者の関係)を詳しく解説、日本の国民皆保険だけでなく、海外の医療保険制度もレクチャーした上で、次の問題提起を行った。「あなたが、医療保険会社の社長だとして、収益を増やすために何をするか?」との山本氏からの問いかけに対し、ゼミ生からは次の様な回答が寄せられた。・近い将来疾病リスクのある人の除外(保険に加入させない)・支払いの項目の適正化(一定の上限や免責疾病事項を設ける)・病院の機能分化促進(病院へのアクセスの見直し)・医療サービスの単価の見直し(検査、手術の適正化)・保険料を上げる・加入者を増やすこれらの回答を踏まえた上で医療コストパフォーマンスの点に注目し、現在、医療経営や医療経済の世界に「HEOR(医療経済評価)」などの医療のアウトカムも含めた評価の実施しようという動きがある。アメリカでいうと、「現在は患者側と支払側で医療コストの押し付け合いの状況が続いていて、本当の意味での医療の価値を向上させる競争が起っていない(経済的な競争のみ)。本当の医療の価値すなわち、『コストあたりの健康上の成果』をきちんと訴求していくことが大事と本書では述べている」と解説した。「今後は、患者、提供側、支払い側の三者が意識変革をし、本当の意味での医療の価値での競争を考え、実行していくことが大切」と山本氏が述べ前半を終了した。ドイツ型改革を学ぶ!ケーススタディとして「西ドイツ頭痛センター」(『The West German Headache Center: Integrated Migraine Care』)を題材に、主に病院(提供者)と保険(支払い側)の関係について、ディスカッションを行った。「西ドイツ頭痛センター」(以下「WGHC」と略す)は、ドイツの医療保険制度改革を受けて、慢性疾患管理サービスを目的に生まれた医療施設である。WGHCは、エッセン大学付属病院の敷地内にあり、頭痛患者が必要とするサービス全般を提供している。頭痛に関する教育、入院、診療、慢性期のフォローなどの一連の流れを医師、看護師、理学療法士が診療チームとして提供する仕組みがあり、診療を受けた患者の約9割が診療に満足を示し、診療面では成功をしている。医療経営的には、当初1社のみの健康保険会社の保険料で採算割れだったが、後に複数の健康保険会社と契約を結ぶようになり改善傾向にある。はじめに山本氏より「WGHCの良い点・悪い点は何か?」という質問から始まり,現状を把握した上で,「頭痛診療は収益を生んでいるか?」と病院のシステムや収益に関しても,深く分析していった。次にドイツの大胆な医療保険改革について、被保険者、保険者、提供者の三面構造で考察。山本氏より「なぜ保険者や提供者は、他と差別化しないと生き残れないのか?」という問題に対し、ゼミ生からは、「良い競争が生れるから」や「被保険者より低コストで、良質なケアの提供が求められるから」などの回答がなされた。ここで山本氏のミニレクチャーとなり、「保険社間で競争が起これば(いい提供者を選ぶようになる)、被保険者は安くて良質なケアができる医療機関を選ぶようになり、医療の提供側も保険会社へのアピールのために、より質の高い医療を提供するようになる」という構造を押さえておく必要があると話した。ドイツでは、被保険者が自由に保険会社を選択できるようになった。その結果、被保険者がコストの低い医療ばかりを求め、保険者が支払いに疲弊し、これが原因で医療の質が低下しないように最小限の規制として保険料率の均てん化や保険会社への徴収強化や利益の再配分などの安全装置の施策が行われていると説明した。最後に、山本氏がまとめとして糖尿病患者を例にわが国の問題点を説明。日本の民間保険会社は、「病識のない患者予備軍」を将来の支払いコスト上昇を抑えるために、保険の加入には慎重な審査を課している。今後、「こうした患者群をどのように考え、公的私的保険を問わず加入させるのか、国民健康保険との開発も急がれる」と示唆を行い、ゼミを終えた。

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膝OA患者へのビタミンD3 vs.プラセボ、2年間投与の効果は?/JAMA

 米国・タフツメディカルセンターのTimothy McAlindon氏らは、症候性変形性膝関節症(膝OA)患者に対して2年間にわたり、十分量のビタミンD3サプリメントとプラセボとを投与し比較検討した無作為化試験の結果、サプリメント群はプラセボ群と比較して、膝の痛みの程度や軟骨減少について、低下はみられなかったことを報告した。膝OAには効果的な内科的治療法はないが、一部の試験でビタミンDが、軟骨や関節周辺骨の障害の、進行を防ぐ可能性があることが示唆されていた。JAMA誌2013年1月9日号掲載より。症候性膝OA患者146例を対象に無作為化プラセボ対照二重盲検試験 2年間にわたった無作為化プラセボ対照二重盲検試験は、症候性膝OA患者146例を対象に行われた。被験者は、タフツメディカルセンターで2006年3月~2009年1月の間に試験登録され、プラセボを投与される群か、血清レベルが36ng/mL超となるようビタミンD3サプリメント(2,000 IU/d)の漸増投与を受ける群(投与群)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、WOMAC疼痛スコア(0~20、0:疼痛なし、20:疼痛最大)で評価した膝の疼痛度、およびMRI測定による軟骨減少とした。副次エンドポイントには、身体的機能、膝機能(WOMAC機能スケール0~68で評価、0:障害なし、68:障害最大)、軟骨の厚さ、骨髄病変、X線でみた関節裂隙幅などが含まれた。膝の痛み、軟骨減少への投与群の有意な効果はみられず 被験者146例は、平均年齢62.4歳(SD 8.5)、61%(57例)が女性、79%(115例)が白人だった。ベースラインにおいて、膝の疼痛度は、投与群(平均6.9、95%CI:6.0~7.7)のほうが、プラセボ群(同:5.8、5.0~6.6)よりもわずかだが高かった(p=0.08)。また、膝機能は、投与群(同:22.7、19.8~25.6)のほうが、プラセボ群(同:18.5、15.8~21.2)よりも有意に低かった(p=0.04)。 被験者のうち、試験を完了したのは85%だった。 血清25ヒドロキシビタミンD値の上昇は有意差がみられ、投与群は平均16.1ng/mL[95%信頼区間(CI):13.7~18.6]に対し、プラセボ群は平均2.1 ng/mL(同:0.5~3.7)だった(p<0.001)。 しかし、膝の疼痛度は両群ともに低下し、投与群は-2.31(95%CI:-3.24~-1.38)、プラセボ群は-1.46(同:-2.33~-0.60)だったが、追跡期間中いずれの時点でも両群間の有意差は認められなかった。 軟骨量の割合は、両群ともに同程度減少し、投与群は平均-4.30(95%CI:-5.48~-3.12)、プラセボ群は平均-4.25(同:-6.12~-2.39)だった(p=0.96)。 副次エンドポイントについてはいずれも両群間の有意差は認められなかった。

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双極性障害とADHDは密接に関連している

 双極性障害は合併症を有する割合が高いことが報告されている。なかでもADHDでみられる多弁、注意欠陥、多動性などの症状が、双極性障害の症状と高率にオーバーラップしていることから、双極性障害とADHDの関連に注目が集まっている。トルコ・チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学のElif Karaahmet氏らは、双極性障害における注意欠陥・多動性障害(ADHD)の合併頻度、ならびにADHD合併の有無による双極性障害の臨床的特徴の相違について検討した。その結果、双極性障害患者の約23%にADHDの合併が認められたこと、ADHD合併例では双極性障害の発症年齢が低く、躁病エピソードの回数が多くみられたことを報告した。Comprehensive Psychiatry誌オンライン版2013年1月7日号の掲載報告。双極性障害患者の23.3%に成人ADHD 本研究では、双極性障害におけるADHDの合併頻度、ならびにADHD合併患者の臨床的特徴を明らかにすることを目的に検討を行った。2008年8月1日から2009年6月30日までにゾングルダク・カラエルマス大学Research and Application病院の双極性障害ユニットを訪れ、DSM-IV 分類により双極性障害と診断された患者は142例であった。同意書にサインした118例のうち、試験を完了した90例を評価対象とした。試験に参加した全患者に、社会人口統計学評価票である「ウェンダー・ユタ評価尺度(Wender Utah Rating Scale;WURS)」、「成人ADD/ADHD Diagnostic and Evaluation Inventory」および「DSM-IV 第 I 軸障害構造化面接(Structural Clinical Interview for DSM-IV Axis I Disorders, Clinical Version;SCID-I)」を施行し、評価した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者の23.3%に成人ADHDが認められた。・成人ADHD合併の有無で、双極性障害患者の社会人口統計学的特性に相違はみられなかった。・成人ADHD合併患者は、成人ADHD非合併患者に比べて最低1年間留年している者が多く、その差は統計学的に有意であった。・成人ADHD合併群は、成人ADHD非合併群と比べて双極性障害発症年齢が有意に低く(p=0.044)、躁病エピソードの回数がより多かった(p=0.026)。・成人ADHD合併群ではパニック障害(p=0.019)が、小児ADHD合併群では強迫性障害(p=0.001)が最も高頻度にみられた。・双極性障害において成人ADHDは頻度の高い合併症であり、双極性障害の早期発症、多い躁病エピソード、Axis Iに分類されることなどと関連していた。

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ACL損傷患者、3年以内に再建術を受ける人は約4人に1人

 米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJamie E. Collins氏らは、膝前十字靭帯(ACL)損傷後の再建術を受けた人の臨床的特性や手術の頻度などについて調べた。これまで、厳密な調査は行われていなかったという。調査の結果、ACL損傷患者の約4人に1人が診断後3年以内に再建術を受けていることなどが明らかになった。American Journal of Sports Medicine誌オンライン版2013年1月9日号の掲載報告。 研究グループは、成人ACL損傷患者における再建術の3年累積発生率を調べ、再建術を受けている人、受けていない人について、人口統計学的および臨床的特性による比較を行った(コホート研究、エビデンスレベル3)。 ヘルスケアシステムの登録データを利用して、2001年1月1日~2007年12月31日の間でACL損傷と診断された人を特定し、診断後3年以内に再建術を受けた人の追跡データを入手した。そのうえで、多変量ロジスティック回帰モデルにて、ACL再建術を受けた人の患者特性(性、年齢、人種、第一言語、社会経済的状態、健康保険加入状況など)との関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・2001~2007年の間にACL損傷と診断された人は2,304例、平均年齢は47歳であった。・ACL診断後3年間の再建術の累積発生率は、22.6%(95%CI:20.9~24.3)であった。・再建術を受けた人の86%は、診断後6ヵ月以内に手術を受けていた。1年以内に受けた人が94%に上った。・多変量モデルにより、再建術を受ける人の特性(独立因子)が明らかになった。 「男性」…調整オッズ比(aOR):1.4、95%CI:1.1~1.7 「年齢がより若い」…10歳あたりのaOR:1.8、95%CI:1.7~2.0 「白人」…aOR:1.4、95%CI:0.94~1.9 「社会経済的状態がより高い」…低い状態の人に対する高い人のaOR:1.4、95%CI:1.04~1.8、低い状態の人に対する中間層のaOR:1.3、95%CI:1.02~1.8 「民間保険加入者」…自費受診者に対するaOR:1.9、95%CI:1.04~3.5

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糖質制限食に警鐘?-20万人以上のメタアナリシスの結果がPLoS ONE誌に発表-

 血糖を上昇させる主たる栄養素は糖質であることから、糖質制限(低炭水化物)食が流行している。これまで糖質制限食が長期予後に及ぼす影響について不明であったが、糖質制限食が死亡リスクを上昇させる危険性を示唆するメタアナリシスの結果を国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋氏らの研究グループがPLoS ONE誌に発表した。 能登氏らは2012年9月までに発表され、その中から該当した9件をメタアナリシスの対象とした。総死亡、心血管疾患死の解析対象例はそれぞれ227,216人、249,272人。総死亡者数は15,981人であり、糖質制限食により総死亡リスクは31%有意に増加した〔調整リスク比 1.31(95%信頼区間=1.08-1.59)、P=0.007〕心血管疾患死亡者数は3,214人であり、糖質制限群で10%増加したが、統計的有意差は認められなかった〔調整リスク比 1.10(95%信頼区間=0.98-1.24)、P=0.12〕。 世間では「糖質制限食」「糖質オフダイエット」など流行になっているが、本研究は長期的な視点で考えた場合、安易な糖質制限は死亡リスクを高める可能性があるという警鐘を鳴らしている。まずは患者さんの食事内容を把握することが肝要だ。 原著論文は下記よりPDFファイルでダウンロードできる。Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studieshttp://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0055030 論文が掲載される前に著者の能登氏に取材しているので、下記も合わせてご覧頂きたい。[関連コンテンツ]今、話題の糖質制限食は寿命を延ばすことができるのか?http://www.carenet.com/news/prognosis/carenet/33045

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